笠形山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『粟賀町』を参照していただくようお願いいたします。

2011. 9.11.  日曜日  晴れ  気温 あづ〜い

神河町根宇野(みよの)の越知川沿いに標高285mのかわいい三角点ピークがある。名前もあって毘沙門山という。 名前からして山頂には何かありそうだが、これだけ登るのはいかにも寂しい。 そこで無理矢理、笠形からの縦走を計画する。つまり笠形頂上からダイレクトに毘沙門山へ下ろうという計画です。

この頂上から北へのルートは大柿さんも歩いているし、今回は『山屋のIさん』から詳細な地図を頂いたので それを参考にしています。とりあえず毘沙門山への林道入り口に車を1台デポして(隣家に許可をもらいました)、グリーンエコー笠形へもう1台で 向かい9時20分スタート。同行はTQFさんと、地元なのでぜひとも登るとやる気満々の作畑ガール。

コテージの横を行く今にも崩落しそうな子育て観音

なにせ11年ぶりの笠形山なので見るものすべてが初めてのような感じだ。小橋を渡れば『子育て観音』。 なぜ子育てなのか意味不明だが、元は『夫婦岩』という奇岩である。積み上げられたような二列の岩の柱が 夫婦岩なのだろうか?地震があれば間違いなく崩れ落ちそうで怖い。
オウネン滝

その先にオウネンの滝があった。落差は24mとか。細い流れが壺まで徐々に広がって、岩盤を滑り落ちる姿はとても素直だ。 この上流にある扁妙の滝と違って途中で流れが引っ掛かる所が無いために寒くなっても凍りにくい?とか・・・。 (作畑ガール談)
扁妙の滝

鉄製の階段を登ってオウネン滝を越える。遊歩道の標識に従ってしばらく進むと滝見台への分岐があり、その反対方向に 扁妙の滝がある。こちらは江戸時代の僧侶の名前が由来らしい。ならば先ほどのオウネンはなんだろう? オウネンよりも上流なのにこちらの方が水量が多いように感じるのは盛大に飛沫が飛んでいるためだろう。 落差65mと言うがそんなに高く感じられない。

10時に扁妙の滝を離れ滝見台へ向かう。そうそう思い出した。昔、ここをMTB担いで登ったことがある。 そんなに辛いとは思わなかったのはバカだったからか。

滝見台への階段滝見台から見た扁妙の滝

階段を登り切ると左右に踏み跡がある。左を行くと滝見台を経て笠形山頂への正規登山道。 右を行くとベンチのある三合目へのショートカットコースだ。とりあえず滝見台へ行ってみる。 そこで初めてわかった。先ほど下から見上げた扁妙の滝の落ち口と思ったのは中段の出っ張り部分で、 上にはさらに倍ほどの高さがあったのだ。これで65mは納得。

滝見見学の軽装の一行がやってきたので滝見の東屋を出発。先ほどの三合目ショートカットコースを登る。 ここにも展望の岩場がある。別方向から滝が望めるかと思ったがさほど良くなかった。

三合目に到着ここから登山道を離れる

ベンチのある三合目には10時37分。ここからしばらくは正規登山道を歩く。ちょうど親子連れのハイカー一団と 合流したのでその後ろを着いていく。その中でお父さんとおぼしき男性が小さな男の子を背負っていた。 体重は5kほどとか。なら、MTBの方が倍ほど重たいわけだ。

やがてIさんから教えてもらった箇所に到着。そこには古ぼけた木札がぶら下がっている。 消えかかった文字で『・・・神崎町粟賀・・・』の文字が読みとれる。 林業作業者の目印と思われる。ここから登山道を離れて 笠形山の北に位置する尾根を目指す。

812に到着たまご茸発見

木札ポイントから稜線上の812ポイントまではわりとしっかりした踏み跡もあり、傾斜も さほどきつくはない。それでも作畑ガールは遅れ気味になるのでペースはゆっくりだ。 扁妙の滝では空模様が怪しかったのだが、812では木漏れ日がまぶしいくらいで、 目的の方向には頂上も樹間から見える。 時計を見ると11時25分。ここからはアップダウンもほとんど無いのでちょっとペースを上げたい。
雑木の尾根だ倒木もあるが歩きよい

812からは東向けに進み、500mほど行ったところ(『F』地点)でほぼ90度右折れで最後の登りとなる。 今回使った812からのコースは全体に雑木主体の尾根で歩くにはなんら支障はない。Iさん曰くここは古い登山道だということだが、 そう言ってもおかしくないルートだ。稜線を吹き抜ける涼しい風に吹かれながらやがて山頂への急登りとなる。

山頂はもうすぐそこだ。ハイカーたちの声も聞こえ始めた。と!そこで見たのは『市川町青年団』と書かれた木の杭。 山屋のIさんからも情報をもらっていたが実際に見ると驚きだ。杭の先は岩場で前方が開けている。つまり 大展望の岩場だった。頂上からついそこにあるのにほとんどの人が知らないとはなんとも愉快。

展望の岩場だ!!むこうあるのは千が峰への縦走路

『市川町青年団』の文字の上には場所の名前の書かれた板があったはずだが今は無い。 作畑ガールの知り合いの方が言うには『天邪鬼の切り岩(あるいは挽き岩)』と書かれていたらしい。 つまり大屋コースの頂上手前にある天邪鬼の挽き岩と対をなすものだったわけだ。

ちなみにこの天の邪鬼の伝説は、一晩のうちにこの笠形山と多可郡(旧中町)妙見山を石の橋で結ぼうと したものの橋脚だけしかできなかったというのが大屋コースの挽き岩とこの岩場です。 ちなみに妙見山にも同じような所がハイキング道の途中にあって天の邪鬼の伝説の場所とされています。

どうしてこんな良いところが忘れられてしまったのか不思議だ。 逆に言うとここは秘密にしておいたほうが良かったかも・・・。 ここで昼食にしようとTQFさんが言うが、 とりあえず山頂へ行きましょうよ。

東屋の横手から山頂へ人気の山で人も多い

昔は笹でとても歩けるとは思えなかった所から東屋横をすり抜けて山頂となる。12時25分。 三合目で出会ったハイカーもすでに山頂に到着していた。ベンチが空いたので三人でそそくさと食事をする。 ぐうぜん山頂には知り合いの方がいたのでお話をしたり、TQFさんは無線にいそしんだり、作畑ガールと 合奏したりで時間を過ごす。気が付くと山頂には我々三人だけ・・・。さーて、下山しますか。13時。

812まではピストンだが、目的の下山地は毘沙門山なのでその方向へ下っている尾根は注視しなければならない。 まずは『F』から下っている『あ』のコースだが、三人とも気にすることなく素通り。 あとで地形図を見ると一カ所傾斜の急な所があるものの時間的には早く毘沙門にたどり着けるコースだ。

812下にある大岩を巻く標高600付近。快調

812には13時40分。740までは順調に道がある。その740から『い』のコースも 候補に考えていたが、傾斜の急な所が多いので作畑ガールにはしんどそう。山屋のIさんからもらった 地図は574に向かっているので我々もそれに倣うことにする。 740付近はちょっと迷いやすい箇所で、広い平坦地を注意深く方向を定める。ここは昔は山仕事の場所だったようだ。
『J』の分岐。道は左だが、正面を行く

標高600mぐらいからいきなりしっかりとした道となる。574を過ぎて『J』の分岐には14時35分。 毘沙門山へ下山すると意識していなければこの分岐はわからない。
傾斜の急な所もあるMTBも乗れそうな道

ここから林道まで距離的には短いはずなのに感覚はすごく長く感じられた。 途中から下界も見えて「もうちょっとやな」と言葉にするものの、いつまで経っても下界に着かない。 しかも蜘蛛の巣がとてつもなく多くて、先頭でストックを振り回しながら歩く。 ストックは綿菓子と化している。 傾斜の急な所は踏み跡も怪しいが、緩くなるとMTBでも走れる良いトラックが現れるのだった。
林道に出た裏参道から頂上へ

林道には15時25分。最後の目的地、毘沙門山へ向かうぞ。その毘沙門山の真裏に到着。 するとそこからは登山道といった雰囲気の裏参道があった。そして頂上にはまったく想像もしていなかった きれいなお堂がある。さっそく中を覗いてみると山名の毘沙門は祀られていなくて不動明王があった。
真ん中が義光不動、左は役行者、右は観世音菩薩

この義光不動の由来がなかなかおもしろい。明治の頃、秋山良覚という僧侶がこの不動を背負って全国を行脚していたという。 一時期、この不動は扁妙の滝の右側に建てられた祠の中で祀られていた。その後、この僧侶が但馬に旅立ったのでこの不動は 僧侶にゆかりのある下田家が預かっていたが、夜な夜な 不動に後光がさして家人が眠れないために 現在の毘沙門山頂にお堂を建てて祀られるようになった。これが義光の由来らしい。
この辺にあるはずなんだけど・・・

忘れかけていたが、ここには四等三角点がある。ところが周辺のどこを探しても見つからない。 TQFさんがGPSでこの辺のはず(数mの誤差はあるが)と言う。TQFさんの立っている場所は 杭とロープで仕切られているが、そこって護摩炊きする神聖な場所とちゃいます?

この近くにはさらに不動明王の磨崖仏あると聞いていたが時間切れでキャンセル。 後で調べたらそれは勘違いでここよりさらに東にある神明谷の奥だと言う。 その神明谷のさらに奥には神社があって(はるかの昔だが)、それは金蔵寺の由来となる神社であるという。 また行かねば!!

林道入り口のデポ地には15時55分。ほどよい時間になりました。

今回の笠形山の地図は こちら(約170k) でごらんください。


それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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