白山〜妙見山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『谷川』を参照していただくようお願いいたします。

2010.12.11.  土曜日  曇り後小雨  気温 ふつう

播州には数多くの法道仙人開基のお寺があるのだが、それらは法道仙人というキーワードを元に独自の ネットワークを持っていたという。その一つの例として、黒田庄の荘厳寺(しょうごんじ)から 西光寺を経て社町の朝光寺までの尾根伝いに修験のルートがあった。 これは仙峰修業(回峰入)と呼ばれ荘厳寺と朝光寺がそれぞれ隔年に行ったという。

今年の2月にTQFさんと朝光寺が元々あったと言われる 権現山(三草山) に登ったのだが、そのときに池とか瓦を発見して感激し、「古の行者たちと同じく、この 修験の道を完歩できるだろうか?」と思い立って考えたのが今回のルートです。 当然、一度では無理なので数回に分けて荘厳寺から朝光寺まで行ってみる計画です。

広い駐車場。庫裏を正面に見て右手へ白壁沿いに階段を行く

荘厳寺の駐車場には8時40分。ここにある説明版を見ると、白雉年間(650〜)に法道仙人によって開基されたと あるのはもちろんだが、宝暦年間(1751〜)には社町の朝光寺と鴨川の西光寺を行場とする権現信仰の修験道が 存在していたと書かれていた。読んでいるとなにか力づけられる思いがする。 白壁に沿って苔むした石段を登っていくと左右に 何段もの平坦地があるが、これらは昔あった塔頭跡ということだった。
左手に梵鐘と向こうに本堂多宝塔

本堂の階段前左手に梵鐘がある。慶安二(1649)年と書かれているので戦時中の供出から 逃れたのだろうか。石段を登り詰めた本堂は慶長十六(1611)年で本尊は十一面観世音菩薩である (法道仙人開基のお寺の多くは十一面が本尊だ)。興味深いのはこの本尊の脇には 法道仙人の像もあるらしい。見ることはできるのか??
砂防ダムを越えて斜面をひたすら登る

本堂と多宝塔のあいだにある谷に入る。砂防ダムを越えて、とにかくまっすぐに登っていくのだ。 お寺の話によるとたしかに昔はこの谷に道があったという。谷はいかにも崩れやすそうな感じで、 権現への道が消失しているのもそれらが原因だろう。斜面は風もないために暑い。一枚脱ぎ、二枚脱ぎで またまた半袖になってしまう。
稜線にある権現跡に着

権現跡、つまり稜線には9時35分着。石積みが残っていてその上が平坦地になっている。 ここが権現跡とわかっていなければまずわからないだろう。昔はオフィシャルな案内板が あったように記憶しているが、今はプラスチック板に手書きで『権現跡』と書かれているだけだった。 (当然だが権現は白山権現のことのことを指す。そして白山権現の本地仏は十一面観音です)
白山頂上からの展望

白山の頂上には9時45分。標高510m、三角点は無し。 谷斜面を登っている時は暑かったがさすがにここは風が冷たい。麓からは尖った岩峰だが、 実際に立ってみるとさほど尖り感は無い。空はいかにも寒そうで、実際ポツポツと雨も 降っていたりする。ここからの展望のすばらしいが、実際行者たちが立ったと思われる場所は ここより30mほど西に行った所だ。
白山西ののぞき

岩峰の突端部分で山頂よりはるかに高度感がある。 赤い屋根は荘厳寺の向かいにある老人ホームで、荘厳寺の本堂の屋根も見える。 ここで行をすれば真下に権現堂、さらに本堂も望めるということだ。 さらにいずれ行く予定の西光寺山も杉原山の向こうに見えている。 自分が行者のつもりで周囲を見るのもおもしろい。 山頂へ戻って妙見へ向かう。
快適な尾根道十字路に着

よく歩かれている尾根(登山道)なので快適だ。ここも昔はMTBで走ったことがあるが 確かによく乗れた。高低差もほとんどなく快適なのだが、雨が降り始めリュックのカバーを付ける。 10時32分十字路に着く。わかりやすいイラスト地図がある。とりあえず妙見堂へ行ってみよう。
つえたて分岐

高度差のない山腹の道を行くとまたもや十字路に出会う。ここは『つえたて』という名前のある分岐だ。 なにやら呪術的な名前で修験ともかかわりがありそうだが、本来の由来はわからない。 山仕事の人たちが決まった所で休憩を取る際に、手に持っていたつえを地面に立てたことから 『つえたて』という字があると聞いたことがあるがどうだろうか?
妙見堂

さらに平行に道を進む。とても良い道なのはこの先にある妙見堂まで牛を連れて来る必要があったためだ。 実際、荘厳寺近くの村の人に聞いた話でも明治の頃でも牛を連れて登ったということだった。 その妙見堂には10時43分。山の中にしてはなかなか立派なお堂です。大きな銀杏の木からの落葉が 周囲を黄色い絨毯にしていた。お堂の入り口には妙見の呪が書かれていて ここも荘厳寺の管理のようでした。ということはここも修験のルートになっていたのかも。
妙見山(三角点)妙見山(最高峰)

『つえたて』分岐まで戻ってここから山頂を目指す。道も良いのであっさりと山頂に着、三等三角点、標高622m。 10時58分。実は妙見山は三つのピークからなりたっており、 どういうわけかその中の一番標高の低いピークに三角点が設置された。 それゆえ、誰もがここが山頂だと疑わない。

最高峰を山頂とするならば、それは次のピークだ。標高は630+mほど。ここも三角点ピークと同様に展望が無い・・・・と思ったら。 地面に赤く塗られた標識があった。それには『稲谷展望所』と書かれている。 実は、妙見山は谷川集落では稲谷山と呼ばれていて、古くは(明治初めまで?)米相場の連絡に使われた 旗振り山だったということだ。この標識のちょっと下が刈り込まれているのだが好展望とは言い難い。

妙見山(まばお)

三つ目のピークも標高は630mほどある。『まばお』と名前まで付いているピークで、ひょっとしたらここが旗振りだったのでは?と 思わせるほど現在も展望は良い。あいにく雨も本降りとなりつつありピークに立とうという気にはなれず木陰に避難。 TQFさんと相談して雨の中を歩いても楽しくないので、ここでギブアップ宣言をする。
おおたわ

足早に十字路分岐まで下って、そこからおおたわへ向かう。牛も通った道はU字に掘れていてMTBで走れば 極楽だ。おおたわには11時40分着。左に下れば荘厳寺、右に下れば笛路の集落から谷川へ。 正面は竹林山、あるいは天狗山へのルートだ。ここは植林帯の峠なので暗いが雨風を防いでくれるので 昼食とする。
天狗山からのハイカー転けた〜っ!

食事も終わって荘厳寺方向へまさに下ろうとした時、北から熊鈴の音がして二人のハイカーが 来る。こりゃ、めずらしい所から下りてくるなあと思い「竹林山?それとも天狗山からですか?」と聞くと 天狗山からだという返事うれしいことに私のレポートを参考に登ったということだった。 。二人にさよならを言い、ルンルンで下りかけると、枯れ枝に足をひっかけて無様に転倒。う〜ん、行者失格だあ。(>_<)

三体の地蔵石仏がある林道終点には12時20分。荘厳寺には12時50分。 お寺で修験の起源、ルート、などのお話を聞きたかったのですが住職は不在だったのでかないませんでした。 さあ!続きはいつになるのか?こうご期待!

今回の白山〜妙見山の地図は こちら(約100k) でごらんください。


それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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