はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1 『戸倉峠』を参照していただくようお願いいたします。 2010. 6. 6. 日曜日 晴れ 気温ふつう
赤谷山を戸倉峠から登ろう!というと、なんだ普通のルートやないかと言われそうだが、
今回は鳥取の小船山ルート(私が勝手に命名)にチャレンジ。そもそもは積雪期に赤谷山から
戸倉峠の鳥取側に視線を向けると、小舟山と言われるピークに電波反射板を見たことにヒントを得た。
つまり反射板までは管理道があるはずと予想したからだ。
この無謀な計画に参加してくれたのはOAPさん、TQFさんのいつものメンバー。 竹呂山〜三室山 、とうろう岩〜氷ノ山 、小通峠〜高倉〜くらます 、などの数々のヤブ山を同行してもらった強者ですから今回も安心です。 さらに今回は下山後にオプショナルルートも設定をしました。時間があれば歩いてみる予定です。 戸倉隧道の兵庫側(土盛りで隧道入り口は見えません)に駐車して9時50分スタート。 |
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戸倉峠から左の林道へ | 落石箇所あり |
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隧道脇にある林道(旧の峠道)で戸倉峠の赤谷山登山口へ。10時12分に登山口に到着するが 、そのまま素通りして鳥取側が見える峠に立つ。ここから林道は左右に分かれているが、 我々は左の林道へ進む。この林道の途中に小船山の反射板への管理道入り口があると想像したからだ。 無くても登れそうな所から登ればなんとかなるでしょう。 |
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林道から戸倉峠を見る | ここから登れそうだよ |
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車でも充分走れそうな道幅だったが、途中に大規模な落石箇所があった。 補修がされていないということはこの先に管理道入り口がある可能性は低い。 が、予定通り進んでいく。途中にある木々のすきまから戸倉峠を見る。 下山後は黒矢印で下っていくオプショナルツアーが待っているのだ。
林道ののり面はほとんどが切り立った岩盤で、到底登れそうな雰囲気ではないのだが、
予定していた付近(『C』地点)に唯一登れそうな踏み跡があった。
10時45分そこへ進入だ。
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ヤブもなく踏み跡もある | くらますがきれいだ |
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あきらかに反射板の管理道では無いが、予想外に良い尾根でヤブもなかった(予想通りにヤブなら困るが・・・)。 とりあえず反射板まではこの調子が続きそうで安心だ。若くて元気なブナやナラも多く 目を楽しませてくれる。ここの木はほとんどのハイカーが見たことが無いと思うと気分も良い。
林道の取り付きからほぼ真南に向かって進んでいたのだが、90度左に折れるポイントがある。 この辺から道らしい踏み跡も現れて、どうやらこれが管理道らしい。 我々の歩いた林道からではなく、西にあるハサリ川から来ているのかも。 |
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これ管理道です | 反射板着 |
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反射板には11時15分着。ここが小船山のようだ。標高ca.1020m。 反射板の銘板には『小船山反射板 昭和61年12月』とある。 何のための反射板かは不明。時間があればてっぺんまで登って展望を楽しむのだが、 この先、どんなルートになっているのかわからないのでとりあえず先を進むべし。 |
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こんな良い所もあれば | こんな所もある |
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この小船山ルートは赤谷山の手前にあるピーク(赤谷山前峰)に合流する。 何度かこのピークを通過したことがあるが、そこから小船山へ向かう踏み跡を 確認したことはなかった。つまり、前峰付近は絶対にヤブだということだ。 1096の標高点を過ぎる頃からいやらしいヤブになり始めた。 もうブナを愛でる余裕は無くなってくる。 |
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ストックを紛失して前峰に着 | 赤谷山山頂 |
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二人とはぐれるようにしてヤブを一人かき分けて進む。向かう方向は間違いないので そのままがむしゃらに前進するのみ。初めてこの赤谷山に登ったときはこれ以上に 手強いヤブだった。それを思い出すと気は楽だったが、ふと気が付くとストックを 一本紛失しているではないか。後ろを振り返ると笹の海が広がるだけだ。 あきらめ気分で二人と合流して山頂へ。12時40分、二等三角点、標高1216.4m。 初めて登ったときは『赤谷の頭』と言い、その後、宍粟50山に選定されてからは 赤谷山が通称になってしまった。鳥取側では落折山と言うと聞いたこともあるし、 道谷小学校のF先生のお話では持ち主の名前をとって『別当山』とも呼ばれている。
思ったより空気は澄んでおり、昨日登ったばかりのスリガ峯もきれいに見えていた。
食事も済ませて、OAPさんは後山のMXFさんと無線をしている。
ふと、さっきのヤブに戻ればストックは見つかるのではと思い、先に山頂を離れる。
TQFさんも手伝ってくれると言う。
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小船山反射板を見る | 昨日登ったスリガ峯 |
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詳細ははぶくがストックは案外簡単に見つかってホッとする。OAPさんも前峰に来て 三人そろってさしたる時間のロスもなく下山をする。下山後のオプションルートを 歩き通すためにはあまり山中にいるわけにはいかない。
戸倉峠の登山口には14時25分着。ここから駐車ポイントには戻らずに、 峠から鳥取側へ明治時代の道を歩いて下っていくことにする。駐車ポイントにある旧の戸倉隧道は 昭和29年に出来ている。ということはそれ以前は当然この峠からの道があったはず。
もう何年も前からここを下ってみたいという思いで一杯だった。古の人々が歩いた古道を 自分の足で確認したいという思いが他人より強いのだろうか。 逆に他の人たちはなぜここからあるはずの峠道の存在を確かめようとしないのだろうと不思議に思う。 お城や古民家には興味があっても、徐々に姿、かたちを失っていく古道には関心が無いのだろうか。 |
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ちゃんと階段がある | 徐々に昔の道が現れる |
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ミズナラの大木がガードレール? | 廃道の路面にしてはきれいすぎ |
入ってしばらくで危険な崩落箇所もあったりする。滑り落ちると遙か下まで止まることは 無いような所だ。最初名MTBで下ってみたいと思っていたが、この箇所を通過するのは 無理かも・・・。それをクリアーすると徐々に道は昔の姿を現してくる。 のり面に石垣の残っている所もあったり、道脇に炭焼き窯跡があったりする。 ともかく昭和29年まではここが街道だったのだ。
ちょっと寄り道をする。
それは戦時中に造られたという軍用のトンネルだ。兵庫側には貫通していないのだが
60年以上前のものとは思えないほど頑丈に造られた様子がうかがえる。
詳しくは三倉廃坑・戸倉軍用トンネル・戸倉隧道
をごらんあれ。
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軍用の未成隧道 | 中に入ってみる |
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奥には入らないで入り口付近だけ見学してトンネルを出る。 前回同様に水路をくぐり抜けて戸倉隧道の真ん前に出る。15時05分。 今度はこの隧道で兵庫側へ帰るのだ。 だーれも知らないが、実はこの隧道入り口の真上には、まるで御神木のような栃の大木がある。 ご丁寧に周囲を石垣で囲まれて保護されており、ここを工事する時もこれを切り倒さないで守ったということが わかる。
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鳥取側の入り口 | 兵庫側まで歩くのだ |
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この隧道が出来てからは当然だが峠の古道は忘れ去られていく。しかし、私も何度となく利用してきた この隧道も平成のトンネルが出来たことによって過去の物となってしまいました。 一つの峠に、旧峠道、未成隧道、昭和の隧道、平成のトンネルと4つも道があったというのは 非常にめずらしいと言えそうだ。15時27分駐車ポイント着。
今回の赤谷山の地図は
こちら(約85k)
でごらんください。 |