夜久野町末の里山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『矢名瀬』を参照していただくようお願いいたします。

2009. 2.15.  日曜日  晴れ  気温あたたか
登りたいとリストに挙げていても山名とかルートがはっきりしない山はどうしても 後回しになってしまう。今回はそういう山の一つですが、表題もそれを表すかのような あやふやな題名になってしまった。

夜久野町末と千原の北側には標高300m前後で距離にして4kmほどの小さな山塊がある。 真ん中よりちょっと西よりには末という集落と向という集落を結ぶ峠道がある。 全体的になんの変哲もないごくありふれた里山だ。とうぜんハイキング本などにも載るはずもない。

しかし、この山中には鉱山跡とか城跡などもある。最近はそういうのを探すのが楽しいし、 ひょっとしたら熊にも出会えるかもしれない。遠阪峠を経てスタート地点に設定した末の公民館前に到着。 周囲には人影が無く、駐車の許可が得られない。ふと横の民家を見ると人の気配がしたので うかがうことにする。
公民館の横手を行く作業小屋から支尾根に取り付く

そこのご主人は猟師もされていたのでこの辺のことはたいへん詳しい方だった。 もちろん鉱山跡、城跡なども知っておられた。ただ、それぞれのピークには 名前も無く、これから向かおうと思っていた峠にも名前は無いという。 公会堂の駐車場で準備を終え、 適当な所から登って最後は峠で下山しようかと思っていると 「公会堂の横手から行きなさい」と塀越しにおじさんが詳しいルートを教えてくれる。 ならばそうしようか。10時スタート。

入り口は舗装路だったが民家を過ぎるとすぐに谷沿いの畦道となる。 やがて谷の分岐になるが、そこには教えてもらった作業小屋があった。 谷沿いを行くのではなく、ここから支尾根に取り付くように言われていた。
歩きよい支尾根だやがて雑木だけになる

教えてもらったとおり歩きよい支尾根だったが、いかんせん勾配が急で いっきに汗がほとばしる。それでなくても今日は暖かいのです。 ウインドブレーカーを脱ぎ捨てても暑い。 「最近は熊も冬眠しなくなったからなあ」とおじさんも言っていました。
雲海に浮かぶ湯舟山稜線も快適だ

稜線上のピークには10時35分着。 ここから右へ行けば砦跡のある329mのピークだが、 まずは左方向にある267.8mの三角点は行ってみる。 稜線も快適な雑木尾根でその隙間から見える粟鹿峰の電波塔下付近にはまだ雪が残っていた。 さらに周囲に漂う雲海の上には湯舟山の大きなピークがまさに舟のように浮かんでいた。
良い展望地がありました

気をつけるように言われていた分岐ピークを直角に左に下る。 (これまで数え切れないほど聞き込みをしてきたが、なかなか、 こういう当を得た山道の説明を聞いたことがなかったので感心する) すると木々が切れて西方向に気持ち良い展望が広がった。

目の前は三角点のある点名『鉢ケ谷』だ。その向こうには粟鹿峰と雲海の消えた湯舟山。 右手を見れば小倉の尻山、和田山の町並みの向こうは室尾山だ。 9号線の騒音がここまで聞こえてくる。

点名『鉢ケ谷』の周辺のどこかに銅山跡があるという。地形図でだいたいこの谷辺りかと 目星をつけておいたのだが、おじさんもそこの谷を指さしていた。 ピーク手前から右下を見るとなるほどなにやら怪しい地形をしている。 さっそく斜面をズリ下がってそこへ行ってみる。
鉱滓発見石垣などもある

いかにも人の手が入った地形で、広くくぼんだ所は貯水池だろうか? 一段高い所にはたくさんの鉱滓が落ちていた。これでここが鉱山跡だったことは まちがいない。記録では銅山となっていて宝暦年間(1750年ごろ)に操業されていたとある。 ピーク直下で精錬されていたということはこの周辺で鉱石が採れていたのだろうか。

もうちょっと谷を下ってみたかったが、先が長いので切り上げて三角点のある ピークへよじ登る。あれ?ピークを間違えたか?あるはずの三角点が無い。 よく見ると地面に埋まっていた。土をどけて上面だけ確認する。 三等三角点、標高287.8m。11時25分。

ちょっと早いがここで昼食とする。無線で各局を呼んでみるが応答無し。周囲を囲まれているので 仕方なし。オカリナで数曲奏でてそそくさと出発する。 登ってきたピークまで引き返して今度は砦跡を目指すのだ。 途中でちょうど12時になったとき麓から『春よこい』のメロディーが流れてきた。 いかにも里山という感じでのどかだ。
落ち葉の尾根を行く二段ある堀切

落ち葉の尾根を楽しんでいると目の前に低いピークが迫り、2段構えの堀切が現れる。 堀切のむこうに見えているピークが砦跡だ。堀切を登り切ってピークに立つ。 12時20分。それほど大きなピークでは無い。奥にはもう一つこちらと 同じようなピークがある。そちらへも行ってみよう。
堀切の上は曲輪

回廊のようにまっすぐに伸びた落ち葉の尾根を歩く。こちらのピーク手前にも堀切がある。 それを乗り越えピークに立つ。さきほどのとどちらが本丸というような規模の 山城では無い。この周辺には山城が多くあり、南には同じように規模 の城跡のある烏帽子山、北には龍ケ城がある。ここは その中継地点とも言えそうだ。さらに足元の京街道も一望できるので要所と言えよう。

ここから一段下の曲輪に降りて峠方向へ下る。滑り落ちそうな急斜面なので足元に注意。 20mほど下るとあとは歩き良くなる。地形図にはそこが峠とは思えないような 変なところに点線が横切っている。その地点で左右を丹念に探してみるが峠道は無かった。 ならばと、その先の最低鞍部までやってくるとちゃんとした峠がありました。 12時45分。
ちゃんとした峠でした

周囲を探してみたが石仏とか道標のたぐいは無し。左右にきれいな道が続いています。 このままこれで下山すれば簡単だったのですが、ここから登り返したピークには三角点があるので そこまで行ってみようと思う。「その辺に熊の巣があるから気をつけて」と、くだんのおじさんからの 注意もあったが、鈴を盛大に鳴らしながら登っていく。
粟鹿峰のピークが見える

三等三角点『矢原』、標高314.3mには13時ジャスト着。ここでコーヒーをわかして おやつを食べる。残念ながら熊の巣は見つけられなかった。ここからは粟鹿峰のピークが良く見える。 尾根方向を見るとこれまで通りの感じで、十分に終点まで縦走できそうだ。 しかし、帰りの舗装路歩きがしんどいのでここから下山をする。
鉄塔『梅谷支線22』こんな所に出た

南西に見えている小ピークを経て高圧送電線の鉄塔に出ようと思う。ここも 問題なく歩ける。途中には竹林があった。きっと春には熊のえさになるタケノコも 多いのだろう。鉄塔『梅谷支線22』には13時25分。

ここからは巡視路があるので楽勝に降りられるだろうと思っていたのが甘かった。 いつのまにか踏み跡は薄くなり巡視路では無くなっていた。しかし、支尾根を下っているのは 間違いないのでそのまま下り続ける。 やれやれ里に着いたと思ったら変な崖地になっていて、しかもその下は民家の敷地内。 怪しい人物の思われるのはいやだったのでそろ〜っと降りる。

公民館には13時50分着。見送りしてくれた家の奥さんがちょうどおられたので 下山のお礼を言い着替えをする。下山するなら峠からか、あるいは最後まで尾根を縦走するのが よかったかも。

今回の夜久野町末の里山の地図は こちら(約75k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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