はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1 『宮田』、『柏原』を参照いただくようお願いいたします。 2009.11. 7. 土曜日 晴れ 気温暑い
北摂の落ち武者こと新川氏が「夏栗山のコースを走ってよ」と再々電話をしてくる。来年の 春に行うイベントに向けてコースを開拓したという。 そろそろ北摂へ行こうと思っていたのでM氏を誘って楽しむことにしよう。 新川氏が言うコースは佐仲ダムから佐仲峠、夏栗山の脇を通って点名『大谷』へ向かうという。 その途中から一印谷へ下って、次は文保寺から肩越えの辻、音羽山、火ともし山を経て 巡視路で南矢代付近に下山するというものだ。 そのとおりに走ろうかとも思ったが、お手軽にしたいというから夏栗山だけを走ることにする。 その夏栗山でお昼の食事をするには距離も時間も中途半端なので、 まずは歩きで波賀尾岳に登ることにする。
登り口があるのか道があるのかそれすらもわからないが、山の北側に神社があるのでそちらへ向かう。
神社の北側にはこぢんまりとした平屋とそれに付随する小さな農地が数棟並んでいる。
どうやら昨今流行っている週末だけ泊まりも出来る市民農園のようだ。
その横手を通過して神社に着く。9時10分。鳥居の前には広い駐車場もあるがそんなに多くの参拝者がいるのかと 思えるほどの小さなお社だ。もう少しで紅葉も全開となりそうな雰囲気で、その頃には多くの人が来るのだろう。 小さな本殿で行き止まりだったが、M氏が右奥に林道が見えるという。 それはやがて作業道となって右山腹をジグザグに登っていった。これならMTBでも楽しめそうだが、 時間調整のための登山なのでカメラだけ持って徒歩の登山だ。
このまま稜線まで行くのかと思ったら中途半端な所で行き止まりになる。稜線は20mほど上に見えているので
そのまま斜面を登る。踏み跡もあるのでここから登る人があるのだろう。
稜線から左に折れて一登りであっけなく頂上となる。標高392m、三角点無し。9時35分。
展望があると思っていたのだが、まったくと言っていいほど駄目だった。展望があれば今日はまだ周辺に雲海が残っている のだ。木々の間からその雲海の名残を見る。狭い山頂だったが、そこには2つの看板が立てられていた。 一つは波賀尾岳の伝承に関する物。富士に似た姿の波賀尾岳は丹波の二大標山(しめやま)の一つ だったという。もう一つは先ほどの農園奥にあった大山小学校の校歌が書かれたもの。 ということは小学生もここを登っているのか? 小学校コースは我々と同じ作業道とは思えない。ひょっとしたら山頂から北に降りている尾根だろうか。 看板の裏手に踏み跡もあったが登ってきた道の途中から山腹を巻いてその北尾根に乗ることにする。 するとそこにはやはり道があった。そのまま神社まで降りるのかと思ったら途中から右に下っていた。我々は神社に 戻るので踏み跡のない斜面を下って神社に降り立つ。10時05分。
短い時間で登れる小さなピークだったがこれが案外大汗をかいて時間もつぶせた。
これでアップ完了だ。さて、肝心の夏栗山だが、佐仲から登らずに大山側にある高蔵寺から登ることにする。
ここから佐仲峠〜大ヶ谷の縦走路に出る登山道があると聞いたことがあるだが、どこから登るのかもわからないまま
お寺へ向かう。お寺の駐車場で準備をして10時35分スタート。
お寺の人がいたので「夏栗の登山道はどのへんですか?」と聞くと、「『観音水』の右手だよ」と教えてくれる。 紅葉の始まりかけたモミジの下を少し走ると小さな橋と階段の奥には古いお堂(観音堂?) があった。 その階段の所に『観音水』がある。さっそく一口頂いて元気をもらう。おじいさんの言っていた右手には 頑丈そうな害獣避けのゲートがあってそれを抜けると、さらに50mほど先にも同じゲートがある。
めんどくさい二つのゲートを抜けると左右に道は別れていた。左のほうがきれいだったが、右の木の幹に
『なつぐり山 登山口』とプレートがぶら下がっている。あやうく見逃す所だった。
腐りかけた橋を渡って正面の尾根をM氏は行くが「こっちはあかんみたいやで」と言う。
そこで左の谷を進んで堰堤を越える。ここからまっすぐに谷を登るのだが
実は先ほどの尾根が正解だったようだ。
谷なので道はえぐられ、土砂やら倒木に埋もれている。とりあえず登っていくと左右の分岐らしき所があった。 私の体内GPSは右を指していたが、M氏は左を行くという。 (このときは正解ルートだと思っているのだが、すでにミスコースしているのでどっちゃでもええ) 谷川はすでに流れていないが地面はヌタヌタで靴はドロドロになっている。 目の前はクロスするように倒れている倒木帯だ。 「歩きなら通過できるけどなあ」とM氏。翻訳すると『だめだこりゃ』と言うことだ。 私の体内GPSだとあと20mほどで稜線なので無理やり登ろうと言うことになった。 |
土塁状の稜線コース | 夏栗山の入り口 |
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予想通りに20mほどで稜線に出た。コース的には間違っていたのだろうが、出てきた所は これから走るにはちょうど良い所だった。『大山振興会所有地 NO51』の標識のある所だ。 時間は11時30分。2分ほどで佐仲峠からのコースと合流する。ここより土塁状の尾根を走って行く。 やがて見覚えのある夏栗山への取り付き地点に到着。
ここから頂上までは担ぎだが下りはほとんど乗れるのでそれを楽しみに担ぐ。
途中から黒頭峰(クロズボ)がきれいに見える。麓から見ると黒頭峰と夏栗山は
標高もほとんど同じで姿も似ていることから、黒頭峰は『雄岳』、夏栗は『雌岳』とも
呼ばれるそうな。その雌岳の頂上には11時57分。標高600m、三角点無し。
計画通りにお昼の登頂となった。さっそく展望台で食事にする。 気を付けないと床が鉄のメッシュなので小物が地面に落ちてしまう。 無線もしてコーヒーも飲んで展望も楽しんでとやるべきことはすべて終了。 おっと、石仏を見るのを忘れていました。
ここの頂上は山城跡でもあり、距離と場所から言ってもすぐ北にある三尾山の三尾城の出城なのだろう。 その曲輪の片隅に石の祠がある。大正元年の銘があるのだが、『夏栗山、佐仲山』という文字も見える。 佐仲山とはたぶん黒頭峰のことだろう。その祠の中には観世音菩薩が祀られている。 右手は欠け落ちている(与願印か)が左手には水瓶を持っている。
頂上からの下りは乗れ乗れのはずだったが、登山道に沿ってある謎のビニールヒモが車輪にひっかかったりして
快適とは言い難かった。登山口には13時。ここからは未知のコースとなる。果たして新川氏は
どういうコース取りをしているのだろう・・・。
しばらくは植林の山腹を走る。路面は石がゴロゴロとしており、油断すると植林の斜面を転げ落ちそうだ。 杉の枝もたくさん落ちている。これを巻き込むとトラブルだ。と、思うまもなく前を行くM氏が悲鳴を上げる。 見るとその枝がリアメカに巻き込んで、あろうことかディレイラーを引きちぎっているではないか。 変速ができないどころかこのままではもう走れません。幸いチェーンカッターを持っていたので それで固定ギア仕様にして応急処置とする。 |
がんがん走れるぞ | すばらしい稜線です |
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突如の災難でむかついているM氏をなだめながら先を急ぐ。稜線上には『丹波森の径』と書かれた標識が 要所に立てられている。それには『←夏栗山 大ヶ谷→』と書かれており、その大ヶ谷方向に走っている。 実はこの標識は平成8年に丹波県民局が発行した『丹波森の径』をいうガイドマップがあって、 その記述に沿ったルートの道標なのだ。
そのまま大ヶ谷まで行くのかと思ったら新川氏のルートはそうではないらしい。それまで快適だった尾根が
いきなりヤブっぽくなる。ここにも『←夏栗山 大ヶ谷→』の標識があるのだが、そこから右に降りている
支尾根に入り込むのだ。うっかり直進したとして、
まあ、乗れないのを覚悟で大ヶ谷まで行くのもおもしろいかも・・・。
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稜線から支尾根に入ってもすごい | めちゃ、ええルートです |
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さて、この支尾根だが、入ったらすぐに路面の崩れている箇所がある。 それを過ぎると、そらもう乗れ乗れの超極楽ルートなのだ。 里から山へ入るための仕事道だと思うのだが、すばらしく保存状態が良い。 新川氏が言うには倒木とかけっこう除いたらしい。 いつまで続くのかと感じるコースだったが、 『16』とプレートのある害獣避け柵を抜けて 里に降り立つ。13時45分。あ〜、おもしろかった!!
実際、地形図は持っていたものの、どこの支尾根を下ったのか最初はわからなかった。 民家を見て、周辺の地形から初めて自分の位置を確認する。一印谷という所だ。 地図で見ると驚くほど距離が短いのだが、感覚的にはめちゃ長く感じた。 これも新川マジックのなせる技だろうか。あとは国道をのんびり走って高蔵寺に到着。 14時10分。 今回の波賀尾岳・夏栗山の地図は こちら(約160k) でごらんください。 |