もっつい山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『但馬新井』を参照していただくようお願いいたします。

2009.11.26.  木曜日  晴れ  気温ふつう
生野の桃源郷?とも言える黒川には二つの有名な滝がある。一つは梅ヶ畑の奥にある 洞滝。 二つ目は簾野にある 直谷不動滝。 そして今回紹介するのが三つ目の滝なのですが、 地形図にも滝のマークが記載されている(前述の二つは無い)にも関わらず、地元の古老達も その名前はおろか、存在すら知らないと言う幻の滝です。

その滝は市川の支流にあって、谷の名前はもっつい谷という。 ダイレクトにその谷から滝へ行こうと思うといわゆる沢歩きの範疇となり、 私の得意分野とは言えなくなる。矢問さんに同行をお願いしようかと思っていたのだが、 なんせ夏場はヒルがすごくて二の足を踏んでいた。

この時期になるとヒルは居なくなるが寒くて足を水に浸けるなんてとんでもない。 そこで考えたのが山越しで滝へ行ってみようという計画だ。うまく滝へ行くことができたら その谷を遡行してもっつい山にも登ってみよう。時間があれば大持山まで縦走するのも良いかも。 と、計画だけはいつものようにふくらんでいく。

ここからスタート左の川を見ると甌穴が

先週と同じく直谷(なおたに)の入り口付近に車を止める。9時20分スタート。 今回はまず直谷の不動滝の見学から始まるのです。林道の入り口にはチェーンが 掛けられており車の通行は出来ない。500mほど歩けばもう不動尊の入り口があるのだが、 その途中、歩きながら渓谷を眺めてみると、坑口跡と思えるような穴とか、川底の甌穴などが 見られたりする。
トタン小屋のむこうに滝石で出来た花生け筒

直谷不動尊への 入り口はわかりにくいが、誤って通り過ぎたとしても左下に青いトタン小屋が見えるので 引き返せば良い。林道から川まではさほど高低差はなく。すぐにそのトタン小屋に着く。 初めて訪れたときは小屋もしっかりしていたが、今はもうぼろぼろと言った感じになっていた。 その向こうに滝があって、正面の大岩の上には遙拝出来るように一対の花生け筒?がある。

その石柱には『三ツ組 寄附者 梁瀬村野間 衣川某』とある。 梁瀬村野間とは現在の朝来市山東町矢名瀬町野間のことで、ここからはずいぶんと離れている。 年代は彫られていなかったが、梁瀬村は明治22年から大正15年までの名称である。

直谷不動滝

滝の横手に石組みの祠が中にある不動尊石仏

滝の中段付近左手に石組みの祠がある。ちょっと危なげな踏み跡を登って そこに行ってみる。中には舟形が崩れたような形の石仏が安置されており、 前にはお供え物もある。不動尊と言われているので、そのように見えるが なんの説明もなければ何の仏様かと思うような姿だ。ただ、キリッとつり上がった細い目と、 への字の口元、福耳がなんとも言えない。
不動滝の上から巡視路を行く鉄塔着

不動滝から林道に戻る。ちょうど滝の落ち口付近に関電の巡視路入り口がある。 流れを渡ってその巡視路を登る。雑木と落ち葉の巡視路を一登りすると送電線鉄塔 『大河内線 38』だ。10時05分。

展望のなかなか良いポイントなのだが、南方向は逆光で黒と白のモノクロの世界。 さて、ここから幻の滝へ行くにはどうするか。地形図を見るとわかるのだが、 この鉄塔から標高を同じに保って山腹を移動すると良い。

こういう谷をいくつか通過する平坦な所もある

言うのは簡単だが、地形図ではわからないような小さな谷とか方向がわからなくなるような 平坦な地形などがある。私にとってはおもしろくて、スキップしたくなるほどワクワクする。 ここはぜひGPSのスイッチをオフにして歩いてもらいたい所だ。

そのいくつかの小さな谷の最後に現れたのがもっつい谷だ。もうちょっと上かなと思いつつ 谷に降りてみる。やはり谷には踏み跡すらなかったので山越えコースが正解のようだ。 目の前の2mほどの小滝の向こうが目的の滝だった。

もっついの滝

水量は少ないがここから見ると15〜20mぐらいあるように見える。 滝の上部3分の一は大きく前に出っ張った岩の庇になっている。そして中程はえぐられたように なっている洞窟のような感じだ。ここから見た限りは絶対に中に石仏か何かがありそうだ!!
近づいてみる窟の中から滝を見る

近づくと岩の庇の感じから高さが低く感じられる。そして中程の洞窟もそれほど 奥行きが無いというのもわかる。しかし、人が立っていられるぐらいの広さはある。 岩場をよじ登って中に入ってみると、残念なことに何もなかった。(T_T)

しかしすばらしい滝には間違いない。もうちょっと水量があると迫力満点だ。 やはり梅雨時分に来るべしだろうか。それと、 これほどの滝なのに地元の古老が知らないというのも不思議な話だ。

沢を登っていくそろそろ終点

左岸の尾根にに逃げてそれで滝の上に出る。沢には降りずにそのまま尾根を歩きながら 適当な所で再度沢に降りる。もう流れは細くて足を濡らすようなことはない。 それどころか明確な道もあって炭焼き窯跡に続いている。 最後の炭焼き窯跡から踏み跡も無いので適当な所からよじ登る。 そのまま一気に頂上まで登り切る。
もっつい山頂上

四等三角点、標高775.7mのもっつい山には12時ジャスト着。 記憶にある頂上とはまったく違っていて、三角点の周囲は広く刈り払われていた。 以前は暗くて狭いイメージの頂上だったのだ。とりあえず食事を済ませる。 早い時間で幻の滝も発見できたし、もっついの頂上にも来たし、 充分満足したのでこの時点で大持山まで行く気持ちは無くなっている。
多々良木ダム湖法道寺山

とはいうものの、下山コースを求めて大持山方向へ進んでみる。12時半。 ここから大持山までは中央分水嶺なのだが、昔歩いた時より ヤブっぽくなっているように思えた。もっついから下りかけてすぐにある直角に右に曲がる所だけ要注意。 そこから登り返して731mピークには12時55分。頂上から左右には青い金網が張られている。
大持山方向を見るネットに沿って下る

731mピークから南に下ればもっつい滝に行くときに通過した鉄塔に至る。 しかし、地形図を見ると枝分かれが多くてむずかしそうでパス。 ネット沿いに北方向に下り最初の鞍部からネットを乗り越えることにする。
谷と平行に道がある地図にない林道に出た

予想外に良いソマ道を発見。山腹にまっすぐ東に向かっている。 それを下っていると突然目の前が明るくなり林道の終点に着いた。 地形図には無い林道だ。 谷向こうの尾根には『大河内線 39』が見えている。 そのまま林道を下って行くと谷の林道と合流。すこぶる簡単に下山完了。 そのままテクテク林道を歩いて駐車ポイントには13時40分。

今回のもっつい山の地図は こちら(約100k) でごらんください。


それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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