小金ヶ嶽

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『村雲』を参照していただくようお願いいたします。

2008. 7.22.  月曜日  晴れ  気温蒸し暑い
10日ほど前にこの近くの筏見四十八滝遊歩道をMTBで駆けめぐりましたが、 その時に駐車場で見たイラスト地図が妙に気になっていた。 それには小金ヶ嶽の北斜面に『岩門』、『聖窟』というものがあると記載されていたのだ。 たまたま、北摂の落ち武者(新川氏) からの電話でもその話題が出る。 そうなると実際に探してみたくなるのがやまあそだ。

県道300号線沿いに川阪の集落がある。 数人の住民に聞き込みをしてみたが知っている人はいなかった。 前述のイラスト地図で探せば良さそうだが、あくまでもだいたいの位置 しか書かれてないし、それを地形図と照らし合わせたとしてもその位置か どうかもわからない。つまり行き当たりばったりで勘を頼りに行くしかないのです。
道標があってそれぞれコース名がある

村道の終点に別荘があり、そのそばに駐車する。ことわりを入れようと思ったが 別荘は無人だった。帰りやすいように車の向きを入れ替える。 その時気が付いたのだが、車の真後ろには遊歩道の道標があって それぞれ三つのコースがあった。

後でわかったのだが、兵庫県が整備した『篠山市川阪・しみずの森』の遊歩道が この裏手に広がっているらしい。これの途中に例のものがあれば楽勝に 見つけられるだろう。さっそく出発だ。9時25分。
作業小屋の横手を行く。
白矢印方向ではない
最初はこんな感じ

林間コースを行くと、すぐに作業小屋のある分岐となる。道標は『みはらしの丘』と書かれており 小屋横のヤブっぽい方向を指しているが、別に明確な道が白矢印方向にあって、うっかりすると そちらへ誘われそうになる。地形図で確認するとその明確な道は別途地図の『D』と『E』の 間にある鞍部付近へ行けそうな感じで こちらも捨てがたい。とりあえず道標に従って小屋横を行くと 予想通りにヤブだった。

途中からは明確になったり、あやふやになったり・・・。つまりこの遊歩道を造ってから 今日まで一度も整備しなかったということだろう。 まあ、道探しの遊びとしてはこの方が楽しいのだが、 税金の無駄遣いの典型的な例だ。
こんな良い雰囲気の所もある秋葉神社跡

『みはらしの丘』はさらに山腹を巻くようだ。どうやら地形図にある鳥居マークが そこなのだろうと見当が付いた。ちょっとした鞍部様の地点(地図の『B』地点)がある。 道標は無いがそこから北へ1分でトタン屋根のお堂があった。9時50分。

お堂は空っぽで、しかも『みはらしの丘』なのにまったくと言っていいほど見晴らしは無い。 ただ、お堂跡の前にある岩がおもしろかった。 ちょっと見ただけではわからないが、微かに人の形に浮き彫りの跡が見える。 ひょっとして地蔵菩薩立像かなにかだったのかもしれない。

『B』地点に戻りこれからどうするか考える。288ピークまで行ってみて、 そこから535ピークへ登ってみようかとも思ったが面倒に感じ、ここから ダイレクトに535、そして多紀連山縦走路(中央分水嶺)まで登ってみよう。
急登りの連続だ535ピーク

言うのは簡単だが、実際は急登りの連続するきつい支尾根だった。 一気に汗が噴き出てくる。水分を補給するが、これよりどれだけ 水が必要か考えるだけで怖くなるほど暑い。とりあえずの目標である535まで行けるかどうか不安になる。 しんどいが、とにかく一歩ずつ、辛抱強く進んでいけば目的地に着けるのが 山歩きの良いところ。そう思い直して登る。

その535ピークには10時35分着。頂上は真っ平らで、しかも一段下がった 所も平らなまま頂上をぐるっと取り巻いている。つまりそれらは曲輪跡であって、 このピークは山城だったという証拠だ。家に帰って笹倉さん(山城調査の権威だ)のHPを調べてみると やはり『川阪砦』としてレポートがありました。

川阪砦からさらに進む。下った鞍部から左右にはうっすらと踏み跡らしきもの? もあったように見えたが、実際たどれるかどうかはわからない。 ただ、砦に行くためのルートがどこかにあったはずなので、私の登ったルートか この鞍部へのルートが有力だと思う。 とりあえず、ここまでなんとか来られたのだから小金ヶ嶽までは行ってみたいもんだ。
な、なんだこりゃ!!

急登りを続ける。535まではとんと無かった岩が現れ始める。 行く手を遮るよな大岩が現れたら困るなあ・・・と、思うまもなくそれが現実になる。
楽に抜けられる大きさ反対側から見るとこんなふう

どでかい岩塊が支尾根上にある。でも、どうしようかというような思案は不必要だった。 というのもど真ん中にぽっかりと穴が空いていたからだ。 どうぞここを通ってくださいと言わんばかりにきれいな穴だった。さらにそれは どうみても人為的なものだった。

三岳から小金ヶ嶽周辺は古代から、さらに近代にかけても大峰に負けない修験の山域だった。 山塊の幾箇所には山岳寺院の跡もある。今回のようにメジャーなハイキングルートでない 所にもそういう遺跡が残っていても不思議ではない。 形状から考えて、あのイラスト地図にあった『岩門』ではなかろうか。
多紀連山縦走路(中央分水嶺)に出た稜線はさすがに快適

それまでの疲れも吹っ飛んで気持ち良く標高を稼ぐ。突如明確な道に飛び出して、 そこが多紀連山縦走路だと気が付くのに少し時間がかかるほど興奮が続いていた。 登ってきた川阪修験道と縦走路との合流点はなんのマークも特徴もないので よほど山慣れた人しか入り込めない支尾根だと思う。(特に下りは危険)11時15分。
小金ヶ嶽山頂

縦走路は目をつむっても歩けるほど快適だ。緩やかな登りを続けると小金ヶ嶽にたどり着く。 11時45分。標高725m、三角点無し。頂上には三岳で見たのと同じような方位盤が 設置されている。三岳には現在も役行者の像が祀られているが、ここも蔵王権現が 祀られた蔵王堂があって蔵王ヶ嶽とも呼ばれていたらしい。
砦跡から岩門のルートを見てみる

あまりに暑いので木陰でおにぎりをほおばり、冷たいお茶を飲む。 平日なのでだーれも来ない。オカリナも久しぶりに吹いてみる。 普通ならもうちょっとのんびりしたいところだが暑いので下山する。 12時10分。
展望台に登る小倉タワに向かって下る

ここから小倉タワ経由で下山を試みる。川阪修験道分岐には12時40分。 普通に歩けばもっと早いのだろうが、 所々に展望があるのでついつい立ち寄ってしまう。 結局は霞がひどくて写真も撮らずにいるのだが・・・。
小倉タワに着

植林の中の急下りが終わると峠が見えてくる。下界からもわかるほどくっきりとした 鞍部には立派な道標も立っている。13時15分。 その『川阪』と彫られている方向へ下るのわけだ。下る前に峠の周辺を探索してみたが 石仏等はなかった。
峠道を下る鹿ものんびり

昔から南北の往来に使われてきたはずの峠道だが、お役ご免になった現在、 その道は徐々に自然に戻りつつある。 ちょっと危ない箇所もあれば、しっかりした道のままの箇所もある。 建物が見えたので民家かなと思ったら、無人の倉庫のような小屋で、そこが林道との 出合いになっていた。そばで鹿が草を食べている。13時40分。
こちらにも遊歩道入り口あり駐車ポイントに着

林道をテクテク下っていくと『篠山市川阪・しみずの森』の看板があった。 これを左に曲がると『ふれあいの丘』を経由して駐車ポイントにショートカット出来る。 荒れた道を上っていくと『ふれあいの丘』だったが、それは草ぼうぼうの 斜面があるだけのつまらない場所だった。

ここから林道を下ると愛車が見える。駐車場着。14時。 別荘に人がいたので駐車の件をわび、こういう山に登ってきたと デジカメの画像を見せる。すると主がこういう話題に興味があるらしく、 部屋に招いてくれて、しばし話をする(山、山岳宗教、山城、等々)。

次回また訪れるなら『聖窟』を見つけたいものだ。

今回の小金ヶ嶽の地図は こちら(約85k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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