かせい

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『大屋市場』を参照していただくようお願いいたします。

2008.12.13.  土曜日  晴れ  気温ふつう
登りたいと思っても良いルートが見つからなくて登れない、そんな山も多い。 神子畑にある『かせい』と呼ばれるピークもその一つです。 地形図だけ見ると神子畑の選鉱所跡から登ればいかにも簡単だが、そうは問屋が卸さない。 この周辺の間歩谷ダムから選鉱所跡、鳥ノ奥ダムにかけては一帯がすべて 進入禁止になっている。

そういう禁を犯して選鉱所跡の廃施設を探検したり、写真に撮ったりするマニアも いるのは現実だが、模範ハイカーの私としてはそういう掟破りは出来るだけ したくない。そこで今回のルートを考えてみた。目的のピークまでたどり着けなくても 良い。その周辺の雰囲気を見たいというのが今回の目的です。
神子畑鋳鉄橋の駐車場

とはいうものの、WEBではまだ誰も登っていない感じなので たどり着ければ儲けものだ。駐車は日本最古と言われる 神子畑の鋳鉄橋の駐車場を利用する。9時15分スタート。

その鋳鉄橋を左に見ながら1分ほど歩くと最初の民家があり、そこから林道が ある。ゲートがあって、ハンターに注意するべしの看板もある。 施錠はされていないのでそれを開いて中に入る。
未舗装の林道終点からも道はある

未舗装の林道で路面は少々荒れている。左右から木の枝の張り出しなどがあって、 道幅は徐々に狭くなるが轍があるので車の通行もあるようだ。 静かな谷で熊鈴が周囲によく響く。やがて林道の終点。そこには トタン屋根の資材置き場と古くて動くのかどうかわからない重機が置いてあった。

この谷は大呂谷と呼ばれており、行き着く先である594mの鞍部は大呂峠だ。 この峠道は昔は街道だったという。なるほど、地形図を見てみると、ここ神子畑から 佐中を経て建屋まではダイレクトに行けるショートコースとなっている。 地形図では林道終点からは道の記述は無いが、上記の理由のためかちゃんと道はあった。
みつまたの大群落

古くは木地師もこのどこかに住んでいたという。古い墓石などもあったらしいが、 林道の工事やら、周辺の植林やらで散逸したという。 峠の直前まで林道の痕跡はあった。あとは頭上に見えている鞍部に向かって 激斜面をよじ登るだけだ。
大呂峠です稜線に出ました

大呂峠には10時15分。佐中方面にも踏み跡は無いが簡単に下っていける斜面だった。 ここより南東へ登れば大宮山、反対に北西に登れば主稜線に合流する。 もちろん主稜線方向に登っていくが、これがけっこう急な登りだった。 周囲は杉と檜の混じった植林帯で、一汗かいたころようやく緩やかになり、 稜線と合流する。10時40分。

ちょっと水分補給をしながら周囲を歩いてみる。 この稜線から北にあるスルガの山塊を見てみたかったのだが、 立木から間からわずかに見えるのみ。やはり植林のピークでは展望は望めない。 展望があることを願って西方向に進んでみる。
感じの良い尾根だ696ピーク

最初は倒木が多かったが植林帯を抜けると、そこからは歩きよい雑木の稜線となる(北側は あいかわらず植林が多く視界は無い)。左右ともけっこう急な斜面である。 目の前に696ピークが迫る。落ち葉が多くて一歩踏み込もうとするとズルッと滑る。 冗談じゃなく滑り落ちそうな感じすらある。 ようやく登り切った696ピークからは望んでいた選鉱所跡が見えた。
選鉱所跡が見えるそれをズームする

さらに最終目的地である『かせい』ピークも見えているが、まだまだ遠いように思える。 ここは暖かくて景色も良いのだがお昼にはまだ早いしもうちょっと先まで行ってみよう。
パノラマ尾根を行く

青色の鹿避けネットが稜線上にある。左の谷はまばらに木が生えているだけで、 ほとんど裸地と言っていいほどで保水力はなさそうだ。事実、一部崩落している 箇所も見受けられた。ネットは地面にも這わされているのでそれにつまずかないように進む。
『C』ピーク
『C』から見える展望

稜線の途中に小さなコブ(地図の『C』)のようなピークがあった。 そこへ立ち寄ってみると期待通りに北側の展望があった。 スルガの山塊はいかにも大きく、これまでこの方向から見ることがなかったので新鮮だ。 スリが峯のピークには天狗がいたという杉も見える。 高岩峯からアオマ山へのほとんど平坦で 山腹の大部分は自然林で下部に見える植林との境界付近を真横に林道が走っていた。 とにかくダイナミックな山並みであった。

ここから見える稜線の右にある伐採地がなんとも不自然な感じだ。 近づいてみるとそこには青い1mほどの棒が何百本(あるいは千本以上かも)も立っている。 どうやら何かの苗の添え木のようだが、肝心の苗木が見えない。 ひょっとして全滅しているのか?謎である。
『D』ピークに着そこからは赤松が多い

ここから急に稜線は細く、しかも岩がごつごつとあり歩きにくくなる。 そして地図の『D』ピークには11時40分着。 696ピークからこの『D』を見て感じたのだが、下山はここからがよさそうだ。 その下山方向を見ると国土調査のマーキングもあったので降りるには問題ないだろう。 時間的にもここで食事をすれば体力も回復したのだろうが、ついそのままに西に進んでしまう。

左側は赤松が多くひょっとしたら秋には止め山になっているのかもしれない。 南方向のどこかに切り開きでもあれば鳥ノ奥ダムが見えるのだがまったく見えない。 とうそう『E』の鞍部に着いてもまったく無かった。 一般の進入が出来ない所なのでせめてどういう感じか見てみたかったのです。 ここからダムに降りるような踏み跡も見えなかった。
『E』の鞍部に着

時間は12時05分。これより急な登りがいくつか続いて標高931.2m、点名佐中、里称『かせい』という ピークになる。たぶん30〜40分ほど掛かるだろう。この後の下山ルートとその時間、降りてからの 聞き取り調査等と考えると無理して登ることはやめようと決定する。誰か同伴がいればきっと 登っていただろう・・・。
『D』から587へ下るやってきた東方向を見る

『D』に戻ってようやく昼食。なんかお腹が減りすぎて食欲無し。食後の無線も空振りに終わる。 数曲オカリナを演奏してくつろぎタイムも終了。さ〜て下りましょう。 ネットに沿って下る。やってきた東方向を見ると、なんと粟鹿山がくっきりと見えた。

思ったより傾斜が急なのでネットをつかみながら下ることになる。落ち葉が深くて くるぶし辺りまで埋まってしまい靴が滑る。何度も尻餅をつきかけながら平坦になる。 残念だがこの支尾根からも鳥ノ奥ダムは見えない。代わりに新設の四等三角点 『鳥ノ奥』が587mのところにあった。
三角点を過ぎてネットに沿う鉄柱から離れてネット沿いが正解

三角点を設置した人は右のダムから登ってきたとマーキングが示していた。 私はそのままネットに沿って下る。するともう使われていないTVのアンテナ施設が 放置されていた。その電源を供給するための鉄柱が切り開きに点々とある。 方向を確認するとこれもまずい方向だったので左のネットへ戻る。
真っ暗な植林帯で出会った妖怪のような

途中でネットから離れて真っ暗な植林の中を下る。まったく生物がいないような、 そんな感じすらする気味の悪い植林帯だ。するとその先にオレンジ色の人の姿が見えた。 どうやらハンターらしい。私も驚いたがむこうはもっと驚いた風だ。 まるで幽霊でも見るような目つきで、私が単なるハイカーだと言っても信用してくれない。 その人は単独のハンターなので仲間とか猟犬はいないと聞いて安心する。

地図とコンパスで確認しながら植林の斜面を滑り降りる。思っていたとおりの地点に 降り立つ。14時ジャスト。林道入り口の民家でお話をうかがって駐車ポイントには 14時半。ここからも『かせい』は見えた。あ〜、やっぱりがんばって登ればよかったなあ。

今回のかせいの地図は こちら(約100k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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