はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1 『西河内』、『岩屋』を参照いただくようお願いいたします。 2008. 8. 3. 日曜日 晴れ 気温暑い
江浪峠には何度も訪れているのですが、それは一番行きやすい峰越峠から稜線を たどって行くルートのみでした。 それでも当時は踏み跡も無く、峠の地蔵を見つけたときの感動は今でも忘れられません。 その江浪峠を今度は鳥取の吉川から行ってみようと思う。そう思いつつなかなか腰を上げずにいたら、 OAPさん、TQFさんの二人に先を越されてしまった。う〜ん、ならばMTB担いで行けば それなりの価値があるかな? 熊避けにM氏を誘って二人で登ることにする。 吉川の集落奥から始まる『沖の山林道』を車で上る。全線舗装なので快適だ。 注意深く左手を見ていると地形図にもある草ぼうぼうの道が進行方向とは逆方向に 登っているのが見える。こいつが江浪峠へ続いているのだ。ちゃんと標識もある。
舗装林道のコーナーにスペースがあるのでそこに駐車する。 ここが峠道の入り口と書いたが、実際は吉川の集落からあるはずで、ここは あくまでも中継地点とでも言うべき所だ。その証拠に止めた車の後ろには 谷に下っている踏み跡が続いている。10時10分スタート。 路面はまあまあ良い状態でMTBも乗れたりする。右下には峠の名前の由来でもある 江浪谷川が流れている。周辺は植林でその中のいくつかの杉の幹には 白ペンキで持ち主の名前などが書かれている。この峠道はその仕事道として 現在も存在しているのだろう。
入り口で一本だった峠道は広い道と昔からの?細い踏み跡の二本に離れたり、重なり合ったりするも同じ方向に進んでいるので どちらを歩いても問題はない。やがて谷を離れて斜面をつづらに登り始めると 周囲は雑木帯と姿を変えていく。この辺が一番きれいな所か。 このまま峠まで行けたら良いんだけど、実際の峠周辺は激笹藪だったという 記憶があるので、どこでこの道が変化するのか楽しみというか、不安というか・・・。
幾重にもあるジグザグにつけられた道のコーナーには補強のための 石組みが残っている。まさに先人の苦労が忍ばれる。地形図では4ターンほどのジグザグだが 実際はその倍ほどある。そのジグザグ道が終わって峠への 谷を巻く方向になったとたんに道は不明瞭になる。 若い植林帯の中にわずかに残っている踏み跡をたどる。アップダウンも無く、ほぼ平行に あって谷を巻いているのだが、あまり進んでしまうと峠から 離れてしまうので、周囲を眺めて、この辺と思われる所から峠方向へ向かう。 珍しくM氏の勘がさえていてわずかに残っていた峠道を発見する。 |
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最後に笹藪を抜けて | 江浪峠となる |
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どんぴしゃで峠へ着!!11時55分。初めて来た時と同じく石仏が迎えてくれた。 その時は周囲だけ空間があり、その向こうは果てしのない笹藪だったのだが、 今では四方に踏み跡がある。今回はその東の踏み跡をたどって 三国平へ行ってみる。 閑話休題。この江浪峠をはじめとしてこの近辺には『カナゴ乢』、『中江乢』、『大通峠』と四つの峠がありました。 そのどれもがタタラ製鉄のための砂鉄、木炭などを運ぶためのものだったのでした。 江浪は江戸の中期に造られた峠だということなので、秀吉の軍勢が鳥取に攻め入る時には無かったということになります。 そしてタタラ製鉄が終焉を迎えるとともに、それらの峠も徐々に廃道の運命をたどるわけですが、 『大通峠』だけは現在も舗装路として生き残っています。
峠から東に踏み跡があって植林と笹藪の間を刈り払って道が造られている。 切り口が尖った笹の上を走るのでパンクが心配だ。 わずか数分で終点となる三国平に着。標高1128m、三角点無、展望無しの何にも無いところに宍粟市の『50山』の標柱だけが 真ん中にぽつんとある。 実際は三国と接しているわけでもないので山名もおかしいし、ピークというのもおこがましい場所だ。 それだったら天児屋山まで道をつけてそこを宍粟の50山にしてほしかった。 ここを50山にするなんてよほどネタに詰まったか、個人的ごり押しがあったか? と、なんだかんだと文句を言いつつ、風が涼しいのでここで食事にしよう。 食事もコーヒーもすんでそろそろ後半戦と思った頃、二人(ご夫婦)のハイカーがやってきた。 まさかこんな所に?と思ったが、我々同様に物好きの人がいるようだ。 お話をすると『やまあそ』のHPも見てくれているようで、ますます物好きのお方とみた。
峠に戻り、ここから県境の尾根に向かう。峠からちょいと千種側に 下りた所にあるという千種川の源流碑は時間が無いのでパスする。 その県境尾根にたどり着いた所が正真正銘の三県境界ポイントである。 ここからはパノラマの乗れ乗れコースとなる。 ただし登りは押しで途中には二箇所の林道またぎもありまっせ。
二箇所の林道横断も終えて最後のピークの上り下りが終わるとそこが若杉峠だ。13時30分。 鳥取吉川と岡山西粟倉村を結んでおり、スックと立つ夫婦杉の根元には祠に安置された石仏がある 正当派の峠である。宝暦四甲戌(1754)年七月、大茅村中と銘がある(近くにある案内板には間違いがあるので注意)。 さて、この峠から吉川方向に下っても良いが、もうちょっと時間がありそうなので先に行ってみようと 相談する。実は裏技があるのです。
それは別途地図の『E』地点から芦津・吉川越へ直線的にショートカットを試みてみようと いうものです。 最初は渋っていたM氏も実際に『E』地点から一歩踏み込んだ突端に俄然やる気がでたらしく ずんずんと進んでいく(もちろん道は無く、通れるところを進むだけ)。 緩い地形なので迷いそうだが、小さな沢の流れに沿えば問題ない。 途中で見つけた陶器のかけらはソマ人が歩いていた証拠か。
三つの沢が合流する地点である地点を凝視する。すると予想どおりに 踏み跡を発見。こいつをたどると間違いなく芦津・吉川越へ行けるはず。 てなわけで難なくショートカット成功で鞍部に立つ。14時15分。 吉川から智頭へこの峠を使って行くのはたいへんな行程だったと思う。 実際ここから鳥取側の下流にある三滝渓谷周辺は昔MTBでよく走った所で、その距離感は よーくわかっています。熊の出そうな雰囲気も濃厚な地帯です。
さて、林道までの最後の山道下りの始まりです。 遊歩道なので当然ながら階段もあって、それだけが難点だ。 これだけ暑いのでハイカーともまったく出会わなかった。 たとえ暑くなくてもハイカーのほとんど来ないコースです。 先週は私が後部変速機をぶっ壊しましたが、今日はM氏が枝をからめて沈没!! 工具を持っていない氏に変わって私が即席修理でなんとか走れる状態に。 舗装林道の『沖の山林道』には14時45分。そのまま駐車ポイントまでの 下り坂をMTBで駆け下って10分でゴール。 あとはお約束の川へドボン!!全身ホットになっていたので水につかったとたん ジューッという音が出ました。
今回の江浪峠〜三国平〜芦津・吉川越の地図は こちら(約160k) でごらんください。 |