高星山〜平石山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『長谷』を参照していただくようお願いいたします。

2007. 5.20.  日曜日  小雨後晴れ  気温寒い後普通
ほんとうは氷ノ山に向かうつもりだったのですが、波賀町ぐらいから小雨になり、戸倉トンネルを 抜けても止まなかったのでしかたなくUターンする。 手持ちの地図の関係で高星山のある生野まで下ってきました。 同行のM氏をなだめすかしてこの山に登ろうと説得する。

高星山というと生野学園から登れるいくつかあるルートがメジャーですが、 今回は神河町川上から登ってみます。長谷ダムの右岸にある深山トンネルを抜けたところに 『清水お大師』という所があります。そこからある谷を上り詰めると 『ものいいだま』という露岩があるという。この『ものいいだま(漢字で書くと 『物言い魂』かな?)』とは、ここで声を出すと周囲に反響がすごいらしい。 現代人なら何とも思わないような単純なことでも昔の人は神秘を感じたのだろう。 その『ものいいだま』でオカリナを吹いてみたいという思いを長く持っていました。

期せずして今日がその日になってしまったのですが、その『清水お大師』に来てみると ここも小雨が降っていて私とM氏のテンションはダダ下がりです。 谷を見上げても『ものいいだま』の岩場が見えないのでダム湖の対岸へ車で移動してみると 確かに大岩らしきものがありました。ただし、木が覆っているのではたして上に立てるかどうかも わかりません。さらにそこまでの斜面がとてもきつそうです。

近くで田圃仕事をしていたおじさん(『ものいいだま』のことは知っていた)に聞いてみると、 『清水お大師』からはもう登れないだろうということだった。それを聞いてさらにテンションは下がる。 ただし、高星に登るのならあそこに見える谷からが良いよと指さしで教えてもらう。 とりあえずそちらへ行ってみる。
植林帯にある作業道を登る

『万歳橋』が目印だ。そこから谷の奥へ向かって作業道が見える。 外で準備をするがすこぶる寒い。こんな軽装で大丈夫やろか?と心配になるほどだ。 スタート時間もずいぶんを遅くなってしまいました。波賀町から回り道してやってきたので 仕方ないが、遅ければ遅いほど天気も回復してくるだろう。10時半スタート。
小滝 その1小滝 その2ん!なんかあるかな?

植林の際に造ったとみられる作業道跡を登っていく。おじさんの話ではずいぶんと上まであると 言うことだったが、実際はさほど続いてはいない。途中から薄くなった踏み跡をたよりに とりあえず沢に沿って登っていくと、 落差はそれぞれ2m〜4mほどだが次々と小滝が現れる。思わず下りて写真を撮る。 石仏でも安置されていそうな穴のある大岩もあったりして覗き込んだりする。

このまま沢に沿って登るのは難しいので、右岸の斜面をよじ登っていくと それなりの踏み跡があったりする。ある程度登った所で奇妙な道と交錯する。 その道は水平に山腹を巻いており、古びた塩ビのパイプが横たわっている。 どうやら簡易水道として川上の集落へ送水していた施設のようです。 古い陶器製の管の欠片も転がっていたのでそうとう昔から利用していたと思う。
パイプの横たわる水平道脱兎のごとく逃げるM氏

少しその水平道を歩いているとM氏が「なあ、なんか聞こえへんか?」と言う。 なるほど、何か声のようなものが聞こえはじめ、だんだんと近づいて来る様子だ。 どうやら犬の鳴き声とわかったものの、それは尋常な鳴き声ではなかった。 まるで狂ったように吼えている。季節柄猟犬ではなさそうだし、とすると野犬か? なら、なおさら具合が悪い。

犬嫌いのM氏はもちろんだが、そうでない私もあの声を聞くと落ち着いてはいられない。 目の前の激斜面をよじ登り始める。何かのスイッチが入ったか、あるいは危険な薬物でも 利用したかのようにM氏はみるみる 見えなくなる。私はどんな犬か見たい気もあるし、追いかけられたら怖い気もあるし、ほんとは 足元がもつれて息もあがってなかなか上がれない。その間にも犬の声はどんどんと近づいてきます。

激斜面の雑木帯だが見渡してもよじ登れそうな木はない。とにかく上に行って犬に気づかれないようにするしかない。 M氏が待っていてくれて「何をのんびり登ってるんや〜」と怒る。二人とも汗びっしょりなので 上着を1枚脱ぐ。犬の鳴き声は聞こえなくなったのでどこかへ行ったようだ。 枝尾根が間近になったのでそちらへ向かう。
枝尾根から川上集落を見るネットとヤブで登りづらいそれらを抜けると快適になる
「いやっ〜、怖かったなあ」と二人。一息ついて下界を見るが、大汗をかいた割には標高を稼いでないのに 気づく。ここからは快適に登れるかと思いきや、ネットとヤブで思うように登れません。 そろそろお昼になるのでお腹も空いてきました。ネットが無くなるとそこそこ歩けるようになり 稜線が近づくとさらに快適になってくる。 この山域特有のゆるやか〜な稜線に乗っかってちょっと南へ向かうと高星の頂上となる。12時30分。
あせびに占領された頂上

記憶にある(といっても3年も経っていない)山頂とは大きく違っていた。 周囲にあった木々も成長しているし、なんと言っても三角点の周りはアセビのヤブと言っていいような 山頂になっていた。ここでは落ち着いて座れないのでちょっと斜面を下った所が良い。
食事ポイントから南方向を見る
ここからだと太田池を正面に大展望がある。キラキラと輝く瀬戸内海と家島も見えています。 食事の準備をしながらリュックを探りますが、ありゃ〜、無線機を忘れています。 携帯も圏外なのでおとなしく食事をするしかありません。 砥峰高原のお鉢もよく見えています。あそこの山焼きをここから眺めたら壮大やろねえ。 コーヒーもいただいて13時10分平石へ向かって出発。
山頂を離れ平石へ向かう谷の源頭部が目の前にある足にまとわりつくアセビ
M氏は生野学園から高星に来たことはありますが、ここから平石方面へは初めてのルートになります。 稜線は広く、極端なアップダウンはありません。アセビさえ気にしなければ下草もない 歩きよいルートです。稜線の左右を眺めるとこれまたゆるやかな斜面で、 谷の源頭部が目の前にいくつも現れます。

所々で右方向、左方向に展望が開ける。粟鹿山、雲頂山、千が峰を中心とする長大な山塊。 逆方向を見るとアンテナ群が目立つ暁晴山が大きいが、その直下にあるホテルリクラシアの 駐車場に止めてある自動車が見えるのには驚いた。

さほど難しいコースではないが、いつものクセで ピークごとに進むべき方向を地形図とコンパスで確認をする。 マーキングもあるがむやみに信用すべきではない。 それぞれのピークはアセビの藪になっているのでちょっと迂回しながら通過することになる。 やがて尾根は徐々に細くなっていき平石山が近いことがわかる。
看板に偽り無ししばしまどろむ(矢印方向に三角点)

平石山(別名、フエバノ峰、あるいは長迫山)には14時30分。 三角点はピークよりちょっと裏手に回り込んだ?ところにある。 赤い板に白文字という派手で判りよいがセンスのない看板がぶら下がっている。 ここで2度目のコーヒータイムとする。 シダの枯れた地面は寝ころぶと気持ちよい。真っ正面には段が峰から フトウガ峰までの稜線が一目で見える。
対峙する段が峰の山塊

千町ヶ峰、千町峠、段が峰などを見ながら稜線を下っていくと鞍部となる。 ここは川上越というれっきとした峠です。 ここからその川上に向かって下っていくのだが、 しっかりとした道がある。昔はその道をたどって下ったのだが途中で不明瞭になって 仕方なく倒木斜面を谷まで下った記憶がある。
鞍部(川上越)へ下る谷へ一直線に下る

現在はどうなっているかと思ったら、下りかけてすぐに谷へ向かって一直線に下っていくように マーキングがされていた。確かに手っ取り早いコース取りなので素直に従う。 激下りなので谷に下りるまではつまずかないように気を付ける。 降り立った谷は倒木もなくさほど苦労なく歩けます。

下りるに従ってだんだんと道は良くなってくる。 すると石を組んだ祠を発見。中身はなかったが石仏があったと想像する。
石仏があったのだろう石仏のある黒滝

林道ほどの道幅になればもう終点は間近です。右下に石仏と滝が見えてきました。 黒川の滝不動 です。15時50分。昔はブロックを積み上げた汚い小屋だったのですが、現在は新築されて 『黒滝堂』と額もかかっています。この小屋のあるところは林道との出合いになっていますが、 右を選んで下ります。

川上の集落の中を散歩しながら駐車ポイントに着きました。16時40分。 『ものいいだま』には行けませんでしたが、それはまたの楽しみに取っておきます。

今回の高星山〜平石山の地図は こちら(約170k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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