上林峠

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『丹波大町』を参照いただくようお願いいたします。

2007. 8. 5.  日曜日  晴れ  気温暑い
7月16日に長老ヶ岳 に登った際、他にMTBで遊べるような面白いところはないかと地形図で周辺を探してみると、 なんとなくピンと感じる所があった。 それが今回のルートです。

綾部市側からこの上林峠(かんばやしとうげ)へ登り、そこから町境界尾根を西に1.3km行くと 689mのピークがあります。地形図を見るとそこから綾部市睦寄町へ向かって 点線ルートがある。それは傾斜から判断してもよだれが出そうなシングルトラック だ。はたして現在も道は残っているのか、ヤブになっていないか。 よだれが出るか、涙が出るか、試してみる価値はありそうです。

単独で行くつもりでしたがM氏が同行してくれるという。 カーナビどころか、道路マップもないM氏の車で迷いながら睦寄町へたどり着く。 草壁公民館の近く、民家沿いの道路が広くなった所に駐車して出発。10時10分。

ここから上林峠を経て仏主へは『長老ヶ岳を訪ねるみち』と称して近畿自然歩道に選定されています。 したがって舗装路から峠への入口分岐には道標もあるでしょうし、 峠道自身の普請もきっちりとされているでしょう。

草壁川に沿った舗装路は走りやすく順調な出だしです。ただ無茶苦茶に暑くて 体力が持つかどうか不安になる。長ズボンをはかずに自転車用のパンツで走る。 山の中に入ったら長ズボンをはきましょうか。 途中、道向こうにすごい滝があった。優に50m以上の落差はあるだろう。 地元の人はもちろん知っているのだろうが、無名の滝らしい。 (近年、周囲の木々を伐採して見えるようになったらしい)
写真では判りませんが
すごい滝です
道標はあったが壊れている

峠への道標がありました。10時30分。 見ると『市町境2.4km』と書かれた腕部分が地面に落ちています。 すぐ下が草壁川なのはわかっているが今日初めてのシングルトラックなので とりあえず乗って下るが倒木があってその向こうはヤブっぽい。 地形図を見ると川沿いに道があるようなのでそこから河原へ降りてみる。

それは間違いでした。河原には道はなく対岸に渡ってみても道は無い。 「正規ルートはもうちょっと上流やで」と言うものの後の祭り。あの倒木を越えれば 難なくあったルートをわざわざ川まで降りて迷っているのですから 頭が暑さでオーバーヒートしているのでしょう。
頭熱足寒?激斜面をよじ登る

正規ルートはすぐにわかりましたが、そこにあるはずの橋は流されており、 私は裸足で、脳が熱暴走のM氏は靴のままやけくそ気味で渡渉するのでした。 渡りきった対岸の奥に道標があったのでここで間違いない。 先ほどのようなケアレスミスをしないためにも、ここでじっくりと地形図を見る。

その地形図どおりならとんでもない激斜面をよじ登らなくてはなりません。 他に道もなさそうなので、その激斜面をよじ登ります。 空身ならともかくMTBを担いでいるので、後ろ向けにひっくりかえりそうになる。 まさしく命がけです。

斜面を登り切ったところで小憩。時計を見るとすでに11時半。 なんと1時間あまりもこの近くをうろついていたことになります。 水分補給と小腹を満たすためにフルーツゼリーを食べる。 ちょっと一息着きました。
黄色のルートで来たが
ブルーが正しいのか?
ぶっ倒れそうです

地形図通りの点線で登ったのに正規ルートではないのか? その答えは100mほど進んだ所にあった。

自然歩道の道標がポツンと立っている。それには進行方向に『市町境1.6km』とあり、 西の谷方向(写真のブルー矢印)に『府道0.8km』とあった。つまり谷に道があったということか? 実際谷も見たのだが道は無くなっていたようだったので先ほどの激斜面を よじ登ったのです。それにしても府道からここまでたった800m進むのに70分も掛かっている。

MTBを担ぎながら汗でドボドボになりながら「気を失うとしたら今かなあ・・・」 などと薄れ行く意識の中で考える。後でM氏に言うと同じように失神しそうだったらしい。 この苦行に比べたら『ビリーズ・ブートキャンプ』なんて幼稚園児のお遊戯だ。 普通ならなんとない山道なのだが、今日の暑さと来たら・・・。

12時35分、境界尾根に着く。ここから東へ少し行くと『中津灰』という三角点ピークが あるが、とても寄り道するような体力、気力はない。ということで境界尾根を 少し西に行くと遊歩道の標識があった。
ここは峠ではありません上林峠です
一瞬ここが上林峠かと思ったがそうではなさそうだ。標識を見ると 我々がやって来た方向には『山の家バス停 7.2km』とあり、仏主方向には 『仏主バス停 4.8km』とバス停の案内板のようになっている。 仏主方向には木製の階段が続いていた。

お腹がペコペコだったので近くでお昼にする。あまりの暑さに食欲は無い。 ところがM氏はまるで馬のようにバクバクと食べています。 胃が丈夫でないとこういうお遊びは出来ませんね。休憩してその先にある 上林峠には13時25分着。残念ながら石仏等は無かったが、雑木林が気持ちよい馬の鞍のような ゆるやかで広い鞍部だった。
乗れるところは乗る!!作業道を行く

689ピークまでの境界尾根がヤブだったらたいへんなことになるが、 そうではなくて助かった。それでも小さなアップダウンがあって ボディブローのようにじわじわと効いてくる。ところが和知側に地形図にない作業道が 現れる。そっちへエスケープして前進するが気持ち的にだいぶん楽をした感じだ。

境界尾根は西方向から北方向へ90度折れ曲がっている。 作業道はここで終点では無く、ここから和知町側へ下っていた。 再度進入した北向けの境界尾根もヤブでなく気持ちよいシングルトラックだった。 徐々に極楽が近づいて来ている予感がする。
689ピーク手前689ピーク

689ピークには14時20分着。ここから先も明確な尾根道が 続いていたので3年前にMTBで登った鉢伏山までも縦走が出来るかもしれません。 我々は小憩後真北に下っているシングルトラックでゴールへ向かう。

出だしは快調だった。ただし不安があった。それは地形図に記載されていて、あらかじめ わかっていたのだが、この極楽シングルちゃんは途中で林道と交差するのだった。 「法面が高かったら困るよなあ」と話ていたら、なんとそれが的中!! 法面の真上で呆然とする。 真っ正面に続きのシングルが見えているのだが、落差8mの法面を下らなければ そこに行き着けません。
極楽が続くはずだったなんとか林道へ降りる

覗き込んでみると上部の土砂が崩れ落ちているために軽くオーバーハング状態です。 掴む物もないし、第一MTBをどうする?M氏は周辺を探索しているがどこも 同じような状態だという。

鳩首会談の結果、一番降りやすいであろう地点から死のダイブを試みることに決定する。 (写真の黄色矢印付近だけ砂地で、ずり落ちても怪我ぐらいで済みそうだが他は岩盤で降りられそうにない) 詳細は略するが何とか降りられた。MTBも大丈夫だったし、身体も泥だらけになった だけでかすり傷もない。ただ30分ほどロスしてもう15時だ。 ここから続きのシングルが乗れるような道でなければ万事休す!!
なにがなんでも乗るんじゃあ!!終点間近
こうなりゃあ、どんなヤブでも身体ごと突っ込んで突破あるのみ!! 林道から続きのシングルトラックは596ピークを 過ぎた頃からUの字のボブスレーコースとなる。 20年ほど前なら超乗れ乗れだっただろうが、現在は倒木と張り出した木々に 邪魔されて乗りにくい。

それでもガンガン突き進むやまあそとM氏。露出した部分は傷だらけ、さらに身体中 蜘蛛の巣だらけだ。M氏のMTBはスポークが折れ、リアディレイラーが2度も こむらがえりを起こしている。満身創痍だがテンションだけは異様に高い。 やがて下界が見えてきた。なんとか生きて降りられたと思うと さらにテンションを上げて激下りを楽しむ。棚田跡の作業道に出て民家裏を通過する。 『森宇橋』を渡ればすぐに駐車ポイントだ。16時ジャスト。
お約束の水浴び

頭からつま先までドロドロだ。お風呂に行こうと言うと「何言うとんや。目の前に 川があるやろ」とどこまでもテンションの高いM氏。


今回のルートは上林峠を通過することにこだわってしまったが、 我々が苦労したあの林道を利用して下界から『G』ポイントまで登れば あとはボブスレーシングルを下るだけです。 数人で倒木排除しながら下ると後世まで残るMTBコースとなるでしょう。

今回の上林峠の地図は こちら(約140k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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