舟木山〜長義山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『上郡』を参照いただくようお願いいたします。

2007. 5. 4.  金曜日  晴れ後大雨  気温ふつう
GW後半の一日はMTBで遊びます。M氏にどこへ行こうかと相談すると 後山縦走をしようという。このシーズンにはぴったりのコースなので異議はありません。 いつも登りに利用しているのは板馬見渓谷からオゴシキ山の大馬鹿門経由で後山の 山頂に行くルートです。このコースはオゴシキ山の手前にある 雑木林の新緑が魅力的なのですが、とにかく最初の林道がしんどい。 上りの林道をMTBで走るだけでいつもグロッキーになっています。

そこで今回は千種スキー場へ向かう途中に入口のある鍋ヶ谷林道を利用することにする。 もちろん初めてだが、この林道を利用すると舟木山の山頂近くの稜線上に出てくるらしい。 そのスキー場への舗装路を進んでいくと池の近くに駐車場がある。そこへ止めて準備をする。 9時25分スタート。

目的の鍋ヶ谷林道はちょっと舗装路を引き返した所に入口がある。『鍋ヶ森神社 奥の院  約3.5km先』という丸太の端材で出来た墨書きの道標が目印となる (裏には立派な石碑もある)。 この林道は終点までダートだが路面は締まっており、傾斜もゆるやかなので楽に走れます。 気が付けば標高もそこそこに稼いでおり、奥に見えている雑木のピークは目的の舟木山だろうか。

伐採の枝尾根が目の前に現れる。つぶれてペチャンコになった作業小屋の残骸がある。 山側に木製の標識がなぜか進行方向に対して裏返しに設置されていたので 回り込んで覗き込んでみると『後山登山口』と書かれていた。10時ジャスト。 林道の終点ではなかったが、どうやらここが登山口らしい。 登山口もわかって一安心したので、例によって寄り道をしてみる。 それはさらに林道の奥にあるという鍋ヶ森神社の奥の院です。
ゆるやかな上りが続く奥の院への道

登山口からさらに林道を走ると、次の谷で林道の終点となる。 奥の院まで250mという標識があるが、ここからは山道となるのでMTBはデポして 歩くこととする。山腹をぐるっと回り込んで小さな谷に出合い、沢をちょっと 登ると右からも小さな流れがある。その二つの流れが合わさって所に小さな祠があった。10時15分。

もちろん私は初めて来たのですが、M氏は数年前に来たことがあるという。 しかし、アルツの進行のためにその時の記憶はいっさい無いらしい。 ただ、ここから後山へMTBを担いで行き、途中で猛烈なチシマ笹のヤブのために 撤退したということだけはうっすらと覚えているようだった。 (てことは、例によって先ほどの正規の登山道は見逃しているのです)
奥の院と神秘の甌穴

奥の院を説明する看板があった。全文を書き出してみる。 『森様の由来  むかしの人たちは子供のように純粋で素朴でした。 暗い森を縫って流れる清冽な谷川の岩に穿たれたポットホール(甌穴)を 神の所作と信じ、森様のお鍋として畏れ敬いました。神の示現や龍の昇天などの伝説が残されています。  後に雨乞いの神として広く知られると地の利にうとい他国の人たちが迷ったり 危険な思いをしたので、森の入口に拝殿を設け遙拝する略式参拝が考え出されました。  それが定着して鍋ヶ森神社のもととなったのです。』平成十年四月

えっ!甌穴があるの!!谷川をのぞいてみるとすごいのがありました。 なるほど、これが鍋と言うのか!!一人感心していると、M氏はその甌穴に向かって 石を投げ入れています。「もっと甌穴をでかくするんや〜」と罰当たりなことを言う。 きっと天罰が落ちるでしょう。彼だけに当たればいいのですが、私はいつもそのとばっちりにあっています。 今回はどうなるのか?
林道の切り開きから県境の山々を見る
林道に戻り登山道入口までMTBで戻ります。途中にある切り開きから 兵庫ー岡山、兵庫ー鳥取の県境尾根が見渡せます。もうちょっと空気が澄んでいれば いろんな山が見えたでしょう。

登山口から登っていくが道の存在は微妙な感じだ。 ネットに出会う付近で怪しくなってくる。はて、どこを行けばいいのかな? 向かって右の尾根を行くか、その反対に左に見える伐採尾根によじ登るか・・・。 M氏はあいだを取って真ん中の谷を行こうという。
まずは谷を行く右の尾根に登ると道があった

このまま谷を詰められるわけもなく、右手を見ると容易に枝尾根に取り付けそうだったので そちらへルート変更する。すると予想通りというか、以外というか、 至極明確な道があった。あの登山口のどこから登ればよかったのかなあ??

この付近の道は道のようにも見えるし、水路のようにも見える。 ひょっとして砂鉄を採取するためのカンナ流しの跡なのかもしれません。 ともかくはっきりした道なので、ひたすらそれを頼って登っていく。 私はいつものことだが、久しぶりにMTBを担ぐM氏はちょっと苦しそうでペースも遅い。 それに追い打ちをかけるようにこの先からとんでもなく激登りの斜面となる。
稜線直下の激登り!!稜線の縦走路に出ました

植林のあいだはまずます歩きよかったが、それが終わるとこの激斜面登場だ。 息を整える間も無いまま10歩登っては立ち止まるを繰り返す。MTBが肩に食い込んで痛い。 地形図を取り出す元気もないが、稜線が間近なのは判っている。 ブナの倒木をくぐり、チシマ笹をかき分けるといきなり稜線上の道に飛び出た。 12時10分。

ここは舟木山頂上のちょっと東よりだった。 『鍋ヶ谷林道終点へ』という道標が地面に転がっていたが、それがなければ わからないほど入口は不明瞭になっている。 そして二人ともヘトヘトである。 当初はここから後山へ向かい、そしてUターンして駒の尾へ向かう予定だったが、 あっさりと後山はキャンセルとなる。そしてこの舟木山で昼食にしましょう。 お腹ペコペコですから。

無線で呼びかけてみると小松島のSXIさん、三木のMXFさん、滋賀県の三重嶽付近を歩いている IRC、DQKご両人と繋がる。無線は楽しめたが、展望はかすみがひどくていまいちだった。 道の真ん中で食事をしているので、ときおりハイカーが通過する。 いつもなら多くのハイカーと出会うが今日は案外と少ないようだ。12時55分 縦走開始。
両側は笹また笹きゃ〜、楽しい!

この舟木山から後半のルートではハイカーとまったく出会わなかった。そのほうが我々にはありがたい。 思いっきりMTBを楽しめます。 両側はチシマ笹の高さが3mほどあって巨大メイズの中を走っているような感覚になる。 しかし、正面には展望ピークのある駒の尾が見えてきました。 ん?いつのまには鍋ヶ谷山は通り過ぎたようです。
駒の尾が見えてきたストーンサークルのある頂上

駒の尾直下には避難小屋とダルガ峰への分岐がある。そこから一登りで駒の尾の頂上となる。 標高1280.7m、二等三角点、13時35分。頂上は誰もおらず風が強い。 振り返ると後山からの縦走路が見える。「おー!あそこを走ってきたんやなあ」 ストーンサークルをバックに写真を撮る。 昔の頂上にはこんなものはなかったはずだが、当時も展望のある頂上だっただろうか。

このストーンサークルだが、実はダルガ峰からちょっと西に下ったところに 元祖ストーンサークルが存在しています。それは自然が造ったものなのか、 人が人工的に造ったものなのかは判然とはしませんが石柱が整然と立ち並んでいるそうです。 それを元にして造られたのがここ駒の尾のストーンサークルです。

13時40分頂上を後にする。さきほどの分岐に戻るのだが、行きがけの駄賃に 避難小屋を覗いてみると私の部屋よりきれいに片づけられていた。 さて、大海里峠までも乗れ乗れルートです。ついついスピードが出るので 曲がり角でいきなり熊に遭遇したら逃れきれないでしょう。そのためにも M氏を先行させます。1211mからは激下りになるので安全のために押して行く。
大海里峠

峠に着きました。標識にある『ちぐさ高原』方向に下ると 駐車ポイントへダイレクトに下りられます。もちろんそんなことするわけもなく、 我々はこの先にあるダルガ峰へ向かいます。

正面にある1206.8mの大海里山はパスして西側山腹を巻く道を行く。 途中に倒木帯もあるがそれ以降はけっこう乗車出来る。 ダルガ手前の鞍部から40mほどの急登りをクリアーすると そこには目を見張る雑木の台地が広がる・・・・はずだった。
ダルガ峰を走る

ダルガの真ん中を兵庫ー岡山の県境が走っている。昔、その兵庫側はブナを含む雑木林で 岡山側は薄暗い植林でその中を1本のトレールがあって、それなりに雰囲気のあるところだった。 その植林がバッサリと無くなっており、残された雑木林も妙に明るくなってしまい、昔あった しっとり感まで無くなっていた。 とりあえず写真は雑木側を主体に撮す。

ダルガから長義山へ向かうにはとりあえず県境をたどればよいはずだ。 大茅スキー場とちぐさ高原への三叉路分岐があったが、県境を忠実にたどるので ちぐさ高原方向に進む。すると千種スキー場の最上部に飛び出た。14時30分。 (ダルガからここまでは乗れ乗れで〜す) 後山縦走の時はここからいつも下山しているポイントだが長義山へ向かうのには 都合が悪い。そこでちょっとUターンして倒木の植林帯を抜ける。
ここから未知の道

するとそこにはハイウェイのようにまっすぐ延びた作業道があった。 なんとかたどり着いた作業道だったが、先ほど通過したダルガ峰の途中にあった 三叉路分岐を『大茅スキー場』へ行くとここと簡単に合流するのでした。 「これやな。こいつを行きましょう」言うが早いかM氏はスピードアップで下っていく。 後を追うが右を見るとチラッと千種スキー場の斜面が見えた。

やがて林道の終点に着く。ここからも行けそうだったが、ちょっと引き返して 山に入る。そこは地形図に表しきれないような複雑な地形をしていた。 足元が切れ落ちていて、覗き込んでみるとまるでどんぶりの底を覗いているような 感覚になる。これってどう見ても砂鉄を採取した跡ではないだろうか?
両側が切り落ちている

そんな奇異な地形がしばらく続く。そろそろ疲れが出てきて思考も注意力も無くなりボーっとしてくる (つまりいつも通りって感じ)。 緩く登ったり下ったりも2、3度あってどこにいるのかわからなくなる。 「長義山ってこのへんちゃうん?」地形図を見ると長義山の手前は等高線の詰まった 激登りがある。てことはここではない。視線を上げて目の前を見るとまだはるか向こうのピークがそのようだった。
ここも超激登りだ〜長義山山頂

靴が脱げそうになる激斜面の登りで疲れはピークを迎える。「頂上でコーヒーにして甘いもん食べよ」を 合言葉に登りきるとそこは植林の中の真っ暗な頂上だった。15時40分、標高1105.6m、四等三角点。 やれやれここでお茶しましょうと思った刹那にいきなり雨が降り始める。 最初はポツポツだったが雰囲気としては本降りになりそうだ。 これはお茶どころではない。下山しましょう!!
ちょっと下ると道が見えてきた
この時点で本降りです

下山にいかほどの時間が掛かるのか気になるところだ。 長義山の標高はオーバー1000mだが、実はわずか100mほど下には県道が走っている。 三角点から少し下るだけで伐採地となり、その右横には県道も見えていた。 雨は本降りとなり水煙を上げた自動車が走り抜けていく。

千種スキー場の駐車場あたりでは路面は川のようになっていた。顔を流れ落ちる雨は 舐めてみるとしょっぱい。眼鏡はワイパーがないのでまったく見えません。 頭からつま先までビショビショになって駐車ポイント着。16時。 ところがここでは小降りで、さらに下方では道路も乾いています。 これって鍋ヶ森神社のバチが当たったんちゃいますん!!

今回の舟木山〜長義山の地図は こちら(約180k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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