はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1 『矢名瀬』、『福知山西』を参照していただくようお願いいたします。 2007. 3.11. 日曜日 晴れ 気温ふつう
7週に渡ってMTBでの山行きが続きましたが、そろそろカメラ片手にのんびり歩きもしてみたい。
久しぶりに分水嶺の山行きでもしてみようかと思い、まだ歩いていない所をコースとして
考えてみる。千原峠〜烏帽子山〜梨木峠〜榎峠が未踏の所で、MTBをデポすれば周回も可能です。
別案として宍粟の廃村コースも考えていて、どちらにするかは朝起きた時の気分で決めよう!!
すると、たぬきさんから千原峠〜梨木峠までを行かないかとメールが来る。まるでテレパシーの やりとりでもあったようなタイミングだったので、さっそくOKの電話をする。 そして榎峠まで行くことをお願いする。 朝待ち合わせて、下山予定の榎峠近くにたぬき号を置いて、やまあそ号で遠阪の集落手前に行く。 準備を済ませて9時15分スタート。遠阪の集落入口には昔ながらのたばこ屋さんがある。対面式の小窓の下には『こばた』と 逆方向の赤文字で書かれていて、子供の頃にお使いでタバコを買いに行ったたばこ屋さんを思い出す。 気分はタイムスリップしたかのようだ。 千原峠へは何度も訪れているので入口を探す手間はない。 しかし以前と違うのは大げさなゲートが設置されていたことだ。 これを開けるのは難儀やなあと思っていると横手の金網を開けば入れるのでした。 近所のおじいさんが「ちゃんと閉めててや」とでも言うようにこちらを見ています。 はいはい、ちゃんと閉めますからね。
峠までは植林の中にある短い林道を行く。途中には谷を埋め尽くすようにミツマタの群落があった。 まだ満開ではなく三分から四分といったところだろうか。 見上げると稜線までずーっと群落は続いている。そして小倉村の久右ヱ門さんの銘が彫られた地蔵石仏が 現れればそこが千原峠です。 しかし、こんな驚きの峠が他にもあるのでしょうか?真っ正面には手堀の隧道が口を開けています。 以前あった倒木は排除され、うずたかくあった土砂も取り去られて整備されています。 写真でもわかるように隧道自身は短いものですが、その隧道手前にある左右の岩壁も 人の手によって掘られたものでしょう。こんな大工事をわざわざしなくても その上を通過すれば極普通の峠道となるはずなのに・・・謎です。
隧道を抜けた夜久野町側にも2体の石仏があります。 どちらも道標の石仏で、それらの示す地名を解読するのも 楽しみの一つです。道も地形図どおりに二手に別れていて末と千原に通じています。 (初めての千原峠はこちら をどうぞ。) |
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峠からちょっと登って北方面を見る |
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峠からちょっと登るとしばらくは大したアップダウンはなさそうだ。峠道で見たミツマタ群生地の最上部に
あたる所で展望があった。北方向にいくつものピークが見える。いずれも登ったことのある
おなじみのピークたちだった。
355ピークの付近だったかに『分水嶺縦走 徒登行山岳会』と書かれた赤布がぶら下がっている。 WEBで調べてみると関東の山岳会だが、個人で10年以上本州の分水嶺を歩いているとある。 私は兵庫県内の分水嶺探査を目標としているが、個人で本州全域とは恐れ入ります。 他にもホワイトバードなるグループのマーキングもある。 |
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71鉄塔から粟鹿峰などを見る |
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今回のルートで一番の登りといえばこの箇所だろう。右上に赤白鉄塔71が見える、その手前の
斜面。等高線も混み合っていて一気に50mほど標高を稼ぎます。ずり落ちそうになるのをグッとこらえながら
登りきり、右に折れると展望の鉄塔がありました。
そこからは粟鹿峰がくっきりとした姿を見せてくれました。ちょっと立ち位置を変えると
なんと白く雪をまとった鉢伏山まで見えます。
またしばらくは平坦な尾根歩きとなる。73の鉄塔からは福知山方面がよく見える。目を凝らすと青葉山、弥山も 見えた。それよりも気になったのは一直線に延びている送電線鉄塔だ。ひょっとしてMTBで乗れ乗れの 巡視路かも・・・。探索の必要ありかもね。 510+mのなるいピークを左(東方向)に折れる。青垣・福知山・夜久野の三境界ピークである477付近から ようやく烏帽子山が見え始める。このピークを南下すればよいのだがそろそろお腹が減ってきた。 477ピークは風が強いので烏帽子も同様だろうということで477からちょっと南下した付近でお昼にする。 食後はちょっとオカリナも吹いてみました。久しぶり〜♪13時15分再スタート。 |
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烏帽子手前に道標と分岐あり | 切り開かれた尾根を登る |
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烏帽子山手前の鞍部には四差路の分岐があった。正面はもちろん烏帽子山、右は採石所で左は下戸の集落。
いかにも子供が書いたと思われるイラスト付きの『←烏帽子ヶ岳』という道標がかわいらしい。
近頃、山中には目障りは道標やらマーキングが多いが「こういう道標なら好感が持てるよね」と三人の
一致した意見。頂上直下の2段の曲輪を登ると烏帽子山頂上。13時37分。
烏帽子山には別コースで 2003年に 訪れています。その時と同じ石の句碑が建っていた。細長い山頂はそれ全体が分水嶺だが、 昔ここにいた武者達にはなんのことかわからないだろうね。 烏帽子山周辺には春を告げる花が多く、カメラを持ってきた甲斐ががありました。 さて後半戦開始です。 梨木峠へ向かって下る。なまじ地図読みをして分水嶺をたどろうとしたら、 悪戦苦闘で周囲をうろつく羽目になってしまった。 ここは素直に踏み跡をたどり、すり鉢状の谷の源頭部をグルッと回り込んでいけば 自然に小牧と梨木との分岐に出るのだった。(地図のF付近)
ここから俄然道は良くなります。ずいぶんと歩かれた形跡もある。頭上ではヒュウガミズキの 黄色い花が、空では名も知らぬ鳥が、地面のヌタ場にはカエルの卵塊がそれぞれに春を告げています。
375付近に来ると峠はもうすぐだ。この辺はザレた赤土の斜面だ。よーく見ると なんだか露天掘りの鉱山跡のようだ。下りながら周囲を見渡すがその思いは強くなる。 摂れるとしたらやはり珪石だろうか。峠へ下る道は明確で迷いようがない。
梨木峠には14時48分。花を見たり写真に撮ったりで寄り道が多すぎたのかちょっと遅い到着になってしまった。 昔は周囲の笹がうるさく暗い峠だった記憶があるが、現在はちょっと光も差していて 昔の面影はない。峠にはなにもないが、ちょっと法用側に下ると石の道標『右 ほうよみち 左 ふくちみち』がある。 この場所で考えるとちょっとおかしい表示なので違う場所にあったのかもしれない。 のんびりはしておられません。榎峠が残っています。現在15時前ですから16時にはなんとか榎へ行けるでしょう。 ここで一つ問題が。三人とも梨木から榎までの地形図を持っていなかったのです。誰かが用意しているだろうと 思っていたからです。まあなんとかなるだろうと出発。339、390とクリアーする(この辺までは地図あり)。 烏帽子から梨木までは明るくて花もあったが、ここは植林で暗いしあまり楽しいとは言えないコースだ。 390を過ぎると地形図無しで榎を目指す。
道路が右下に見えた地点から下るのが正解だったのだが、尾根が続いているのでつい そちらへ行ってしまう。結局峠からずいぶんと離れた所に下りてしまったようだ。 最後はたぬき隊を別れてここぞと思う所を下ったがずいぶんと峠から離れてしまった。 16時ジャスト。 舗装路を歩いて峠へ向かうが、この429号線の榎峠も下部にトンネルをつくる計画があるというので やがて通行されることも無くなるだろう。 峠から舗装路を下らずに、旧の峠道をたどる。まあまあ歩ける程度の路面で難路ではない。 途中から棚田跡なども現れる。棚田も道も昔は利用されていたんでしょうね。 429を車で通過だけでは絶対わからないところです。今回の 分水嶺も有意義なコースでした。 今回の烏帽子山の地図は こちら(約190k) でごらんください。 |