毘沙門山〜雨石山〜櫃ヶ嶽

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『村雲』を参照していただくようお願いいたします。

2007. 4.21.  土曜日  曇り  気温蒸し暑い
先週登った西谷山から見て気になった山がある。まずは なんと言っても八ヶ尾山だ。南の四十八滝コースで登るのが 一般的だが、分水嶺である藤坂峠から登り、L字に折れて 東(528)に延びた雑木の尾根で下るという変則ルートが すぐに頭に浮かんだ。 そしてもうひとつが毘沙門、雨石の山塊だ。西谷山から見ても タムシバの白とヒカゲツツジの黄色が確認できる。 どちらに行こうか迷ったが時期から言ってヒカゲの楽しめる毘沙門に決める。

先週一緒に登ったたぬきさんも同様のコースを 考えているはずと踏んで、メールしてみると そのとおりで、さらに足を延ばして櫃ヶ嶽も登るという。 先週同様に篠山細工所にあるハートピアセンターの駐車場で待ち合わせをする。

下山地点になる宮代に私の車を置いて登山口へ向かう。R173を北上し 小原の集落の北端付近から藤坂川を越える小橋を渡り、 地道の林道を少し走ると駐車ポイントがある。 そこにはイラスト地図の看板もあって、毘沙門洞への登り口になっていた。 その地図を見ると林道のもうちょっと奥には滝もあるらしい。 準備を済ませてそっちへ行ってみる。9時25分。

すぐに一の滝があった。垂直の岩盤を一条の細い流れが 落ちています。行場になっていたのか石仏やら石塔もある。せっかくあった石仏だったが 廃仏毀釈の犠牲になったのか首が無い。 この地点からも毘沙門洞へ登れるので木製の鳥居をくぐって登り始める。 ちなみに巡視路の入口もあったので毘沙門山へダイレクトに登るならこれが 最短ルートだろう。
一の滝に寄り道する毘沙門洞にも寄り道する

鳥居を抜けると右手からのルート(駐車場からのルート)と合流する。そのまま登っていくと 大岩が現れ始める。地震がくるとゴロンと転がり落ちてきそうな感じで怖い。 暑くなってきてたまらないので立ち止まって半袖になる。すっきりして歩きはじめたら 分岐になる。 登山口にあったイラスト地図を思い出すと右手が毘沙門洞で左が展望台のはず。 まずは毘沙門堂へ行ってみる。

まさにパックリと口を開けているといった感じ。中はとうぜん真っ暗だが入るとすぐに 目が慣れる。正面上部にはステンレスの祠に安置されている毘沙門天の石仏があった。 毘沙門天は別名多聞天とも言い、四天王の一人で北方を守る護法神です。 ほんとうなら分水嶺である板坂峠から巡視路を使って毘沙門山に登りたかったのですが、 この毘沙門洞へ寄りたいがためにこのコースを選んだのです。 まさに期待通りの洞窟と石仏でした。

満足して外に出ましたが、周囲を見渡しても山頂へ向かう道がない。 そこで分岐まで戻って展望台へ行ってみる。 そこは岩場で先端に鎖の柵が設置されており大台の大蛇グラを連想させる。 しかし、周囲の松が成長しており、展望は皆無に近い。 さらに追い打ちをかけるように鉄柱に『この先行き止まり』と落書きがあった。 しかし、実際はきれいな踏み跡が頂上へ向かって登っています。 それを利用してズンズンと登る。

540+mのピークに寄り道してみるが展望無し。引き返して580+mの細長く 平坦で、岩混じりの尾根を歩く。いきなり開けて鉄塔『甲64』の立つ伐採地に出る。 天気は曇天だが先週より遠くが見渡せます。 北斜面をのぞき見るとタムシバとヒカゲツツジがあふれんばかりに咲いています。
鉄塔『甲64』付近高度感バツグン
先週登った西谷山から太平山が真っ正面!

もう1基の鉄塔は『乙64』へ向かう途中で南に下りる巡視路を確認。 そして『乙64』に到着すると周囲の雑木が切り倒されており、薪のように積み上げられている。 送電線に梢が近づきすぎると放電のおそれがあるために切られるのだろう。 たぬきさんはそれを暖炉に使いたくて持って帰りたそうにしている。 この鉄塔から中央分水嶺となる。

ヒカゲが徐々に多くなって喜んでいると目の前に大岩が立ちふさがる。 北側がスパッと切れ落ちている。その大岩をクリアーすると ますますヒカゲが多くなる。覆い被さるようになってきて 3人からは感嘆の声しか出ない。
身体が隠れるほどのヒカゲちょっとでも高い所へ

登りきったピークには松の木がありそこに『毘沙門山』のプレートがぶら下がっている。 11時10分。地形図にある630mのピークだった。この山塊ではここが最高点のようだ。 吹く風が気持ちよく心配した雨にはなりそうになかった。 遠くから人の声が聞こえたように思っていたら4人ほどのハイカーが 足早に通り過ぎていく。聞くと櫃ヶ嶽まで行くという。 我々はいつものようにのろのろ、キョロキョロだが、それを聞いてペースを 上げなければと思う。
櫃ヶ嶽までは遠いやん

南側にアセビ、北斜面にヒカゲと、自然はうまく棲み分けが出来ている。 そのヒカゲのトンネルも終わりを告げる。北が植林、南が雑木となり その植生界を歩く。

次は雨石のピークが目標だ。地形図では611mのピークがそうなっているが 地元ではそこではないらしい。雨石と言うぐらいだから雨乞いの儀式がされたのかも しれません。それにふさわしいような上部がフラットで火が焚けそうな大岩 もあったが、それは611mではなかった。
雨石山の落ち葉の上で食事これまた気持ちよい595付近

地理院の言う雨石山は雑木の茂るゆったりとしたピークだ。11時45分。 展望はないが先ほどのハイカー達が食事をしているので我々もそれに習う。 うだうだと話をしているとハイカー達は先行して行く。 遅れて我々も後を追う。

次の595mピークが目の前に現れる。周囲は雑木でどこでも歩ける。 毘沙門の荒々しい岩尾根と違ってこちらはたおやかな落ち葉の散歩道だ。 小野峠への分岐点はすぐにわかる。そこからは急な斜面を下る。 マーキングもあるが雑木越しに見える546mピークを目指せば間違いない。
小野峠に着

先行組は無事に行っているだろうか?うっすらとある足跡があるので 先行していることがわかる。小野峠には12時55分。 個人で来ていたらここから下山の予定だったが、ここからきつーい登り返しが 待っています。

足元がズリズリと滑りやすい。周囲を見ると板状に節理した赤っぽい岩石(たぶん珪石)があった。 それは546mピーク付近から櫃ヶ嶽の手前まで延々続いている。 つまり我々は岩尾根の上を歩いているわけだ。南に展望があり、半国山、深山、高岳・・・等々。 近場ではMTBで遊んだモロケ谷の頭も目の前だった。

櫃ヶ嶽への急な登りが残っています。父たぬきさんは軽いフットワークで すいすいと登っていますが、私と母たぬきさんは山腹にある石垣に目を見張ります。 なんでこんな所に?さきほどの珪石尾根にもそれらしい跡が残っていましたが、 ここもどうやら珪石の採掘(試掘)があったようです。
櫃ヶ嶽頂上下山鞍部

頂上には13時50分着。標高582.1m、二等三角点。 先行のグループとここでも再会してちょっとお話しもする。 展望はなく、ヒカゲもここには無いがたくさんの蝶々が出迎えてくれた。 そんな山頂だがたくさんのプレートがぶら下がっている。中には 『羊ヶ嶽』と書かれた標識も。そういう別名があるために干支の山として 12年ごとに大量のハイカーが登ってくるそうだ。

あとは下るばかり。下りきったところは植林の鞍部だった。ここから宮代方向には 明確な道が存在しています。それを下っていると下から中年夫婦が登ってくる。 「櫃ヶ嶽はすぐですか?」「ヒカゲツツジはありますか?」 ヒカゲは無いし、山頂の展望は無いし、時間も中途半端だし、 やめたほうが良いよとアドバイスする。 これって親切なのかお節介なのか?
宮代から櫃ヶ嶽を見るツツジに囲まれたお社

宮代の集落に下りました。 そのまま車に行くのではなく、気になるポイントに足が向かう三人。 それはコバノミツバツツジに覆われた小さな岡だった。 地形図には285mの標高点がある。その頂上へ行ってみると東屋と祠があった。 もちろん周囲はコバノミツバツツジでいっぱいだ。 提灯がぶら下がっているのでツツジを見ながら花見するんかな?

駐車ポイントには15時10分。

今回の毘沙門山〜雨石山〜櫃ヶ嶽の地図は こちら(約140k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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