上山高原

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『扇ノ山』、『湯』を参照いただくようお願いいたします。

2006.10.15.  日曜日  晴れ  気温ふつう

扇ノ山に何度か足を運んでいろんなルートを楽しみましたが、まだ未踏のルートがいくつか残っています。 その一つがこの上山高原から石橋集落へ降りる点線のルートです。 このルートはずいぶん前から考えていました。しかしここを楽しもうと思うと複数台の車が必要になってきます。 つまり、車で上山高原までMTBごと運んでもらって、そこからダウンだけ楽しんだ後、下に置いておいた 車で再度上山高原まで戻るというものです。

なにげなくM氏に話をすると「下からMTBでヒルクライムしたらすむやんけ!」と、にべもない。 う〜ん、ずいぶんとしんどいけど、それしか方法がなさそうです。暑い時期はたいへんなので、涼しくなった この日にチャレンジ。 下山予定地の石橋にある県道のチョイ広い所に駐車してMTBを組み立てる。 涼しいと思っていたが車外は案外と暖かい。水分補給は大丈夫かな〜。9時35分スタート。

国道9号線方向へちょっと戻るようにして、バス停のある分岐から海上(うみがみ)集落への舗装路を ヒルクライムする。ここから標高差143m、距離にして2.53kmで海上の集落になる。 M氏はゆっくりと登ってくれるがこちらはそれ以上にゆっくりペース。途中に咲いている花などを 写真に撮りながらペダルをこぐ。

海上の集落の入口にあたる児島神社の前に10時05分着。バス停分岐から25分ほどだった。 ここには真新しいイラスト地図が設置されている。それにはこれから登っていく上山高原へのルートは もちろんだが、下山予定にしているルート (牛道・左馬殿道という名前までついています)も詳細に書かれている。地形図には石橋に向かって 下っているだけだが、これには海上にも下っているようになっていた。 これは期待が持てそうだ。
ずいぶんと登ってきましたよん

海上の集落から上山高原までは標高差546m、距離6.23kmだ。 登り始めてすぐ、集落の中程でその牛道への分岐案内があった。芝桜公園を過ぎて 『シワガラの滝』への分岐も通過する。やがてガードレール越しに海上集落とその向こうに 牛ヶ峰山も望める箇所に出る。 そもそも山の奥に海上なんて名前の集落があるのが不思議でしたが、それは牛ヶ峰山にあった お寺にまつわる伝説が名前の由来となっているようです。

M氏はずいぶんと先行している。途中で待っていてくれるが、たどり着いた途端にまた先に行く。 つまりいつまで行っても私は休憩できないというわけです。 林道の左の谷を越えた向こうには下山に使用する尾根が見えています。 いかにもゆるやかで見るからにMTBに向いているのがわかります。 その尾根とこの林道が合流する所が上山高原になるわけです。
稜線は伐採されて広々している上山高原に着きました

林道はやがて稜線に出る。そこは大規模に伐採されており、明るくていかにも高原だと 感じさせる。これにも訳があるようで、チシマ笹やら、灌木を伐採して、後にはブナなどを 植えて昔の雑木林を復活させようという計画らしい。

そして上山の登り口に到着。11時40分。上りはじめてちょうど2時間。私なりにがんばった つもりだが、M氏に言わせると「歩いているハイカーより遅いがな!!」と、酷評である。 せめて「ハイカーと同じぐらい」と言って欲しい。 (ちなみに林道を歩いているハイカーは誰一人いなかった)

ここは下山路の牛道との分岐でもある。そこにも精細な地図が用意されています。それを確認して とりあえず山頂に行く。写真の白い矢印は階段道だ。登りなので担いで行く。 頂上には11時50分、三等三角点、標高946m。とうぜんのことですが ここで昼食にします。
扇ノ山から左方向へパンする
北方向を眺めてみる

山頂は全方向に開けています。標高が低いので周りはすべて高い山ばかり。すぐ横手には 扇ノ山があり、もちろんのこと双眼鏡で覗くと山頂の避難小屋がばっちり。 ダイコン畑の上にあるのが秘境青が丸、そして山頂にお寺のあったという仏ノ尾。 仏の左奥には鉢伏山も見えています。 写真ではわかりにくいですが、北方向には日本海が。あれは浦富の海岸線やろか?

食事も終え、コーヒーも頂いてM氏はごろんと寝ころんでいます。 暑くもなく、寒くもなく今の季節が一番快適。ただ、周囲の紅葉はまだのようです。 無線もやってみます。標高が低いのであまり聞こえてきませんが、鉄鈷山のOAPさんと タイミング良く繋がりました。

13時05分下山開始。登りに使った階段道は面白くないので、三角点からちょっと奥に入ったところにある サブルート(上の写真、ピンクの矢印)で下山する。こちらは適度な傾斜で乗り乗り。しかも道ばたにはお花も咲いていました。 それを下りきると新設の避難小屋です。
オレンジ矢印で下ると避難小屋に出る

以前来たときは建設中でしたが立派に出来上がっています。風の当たる北側には窓もドアもなく、南に回り込むと 入口がちゃんとありました。 誰もが利用できるようになっていて、中もきれいです。 トイレもあってM氏はさっそく利用しています。

この上山高原は昔はあふれるほどのブナとミズナラの林が広がっていたという。 それが昭和10年から40年頃までにかけての伐採と植林で現在のようになったらしいが、 伐採された木々はトロッコ道で麓まで降ろされたという。するとそのトロッコ道とは どこのことだろう?そういうことにすぐ反応してしまうやまあそです。
いよいよ牛道へ突入

いよいよあこがれのダウンヒルです。高原に到着したときに確認していた『←青下・海上』という標識に従ってMTBを進めます。 13時25分。 最初は踏み跡程度の道ですが、やがてはっきりとした道になります。 この道は牛道と呼ばれていますが、古くは殿様も通った『左馬殿(さまどの)道』と言われ、 各集落を結ぶ高原の道でした。 左馬殿道は避難小屋からさらに畑ヶ平まで続いており、2003年に 『扇ノ山』への登山ルートとして利用しました。

とにかく超快適です。道幅も一定で、傾斜も適度、さらには路面も堅く締まっています。 「さっきのトロッコ道って、ひょっとしてこの道のことか??」M氏も私と 同じことを考えていたようです。下山後、海上のおじいさんに聞いたところ、 やはりここがトロッコ道だったらしい。

トロッコ道と言っても線路を敷設したものではないらしい。伐採した木々は丸太のまま 下にコロを敷いてこの傾斜を降ろしていったらしい。 その情景を想像しながらここを下ると一種感動を覚える。 そして伐採後に上山高原は牛の放牧に使われたという。 『左馬殿道』→『トロッコ道』→『牛道』そして現在は『遊歩道』と 道の名前も利用のありかたと共に変化していったのだろう。
牛道。うっしっし・・・現在はMTB道だね

小橋を渡ると 『綱付け場』という最初の分岐がある。放牧した牛をここで繋いでいたという。 正面を行けば『青下』左に曲がれば『海上・石橋』。 地形図を見て驚いた。ちょっとしか時間がたっていないように感じるのに もうこんな所まで来ている。う〜ん、楽しみを長引かせるにはこれから先はゆっくりと行くべしやな。 分岐からはもちろん左に曲がる。ここからも全乗り。

展望の利きそうな所もあるが、木々が邪魔している。地形図で確認するとまもなく池(水越の池という)があるようだ。 その池を横目で見て下りきると、そこは池からの水路の横切る『水越』という鞍部になっていた。
立ち入り禁止のところもある水路と平行してある牛道

トロッコ道(牛道)は左を行くべしだったが、そこは水路の管理道になっていて、通行が禁止されている。 右を行くと正面は階段道のバイパスが設定されていて200mほどの距離で地形図の668mピークを越える。 階段の手前には右折れに小径(地形図に記載はないが万場道という)が下っており、『田中・岸田』へ下っているようだ。

688を越えると再度MTBで乗れ乗れの道となる。そして水路が平行して続くようになる。 それにしてもこの遊歩道を利用するハイカーは存在するのだろうか? 扇ノ山を登るなら、車で上山高原まで行くだろうし、石橋とか海上からこのロングコースを 登る酔狂なハイカーはまずいないだろう。仮に登れば帰りもロングのこのコースを 利用しなければならないから、そうとうの時間がかかることを覚悟しなければいけません。 そうするとこれを有効に利用できるのは我々のようなMTBerしかいないのでは?

道は利用してこそ道であって、放置しておればすぐに藪に帰してしまう。 路面が荒れない程度にならMTBで遊んでもおとがめはないだろう。 ただし大勢で訪れるのは遠慮願う。あくまでも分別のあるMTBerでいてほしい。 そういっても単独だとクマが怖いエリアである。このへんがジレンマやね。でも幸いに 今回はクマ用のおとりであるM氏が同行してくれています。

楽しかった牛道も終わりに近づきました。最後の分岐に到着です。14時10分。 右に下れば石橋なので駐車ポイントにダイレクトです。しかし、海上に下ってみようと 意見がまとまります。 上山高原からこの分岐まで標高差364m、距離3.35km。 ここまでの道中、要所要所には地図付きの道標が設置されており、現在地と目的地の確認が容易に出来る。 これはありがたかった。
最終分岐に着。さあどっちへ?海上へ下る

等高線でも予想していましたが階段道でした。それを下りきるとゆるやかなので再度 乗れると思ったら目の前に畑地が・・・。そこから急に遊歩道があやしくなったので 畑地を横断して林道に出る。あとは下るのみ。 途中に分岐があったが右を選択(朝方見た標識に出るには左が正解のようだった)。

途中であったおじいさんに牛道について話をうかがう。その後はもときた舗装路を ダウンして駐車ポイントに着。14時55分。思った通りのMTBに最適の道でした。 もうちょっと効率的に楽しむなら、海上の児島神社の駐車場をスタートにすれば 上山高原で遊ぶ時間が持てるでしょう。

今回の上山高原の地図は こちら(約240k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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