うちおく(銅山)

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『大屋市場』を参照していただくようお願いいたします。

2006.10.29.  日曜日  曇り後晴れ  気温ふつう
無線仲間のTQFさんから「うちおくへ連れてって〜」とリクエストをもらう。 オフはしたいけれども時間の余裕がないので、自分の登りたい山ばかり登っていましたが、 うちおくは紹介に値する山です。では、いちばん具合がよさげな秋に行きましょう!!

集まったのは、OAP、JMM、MXF、TQF、IRC、DQK(敬称略)、そしてやまあそこと IXWの無線局ばかりとなりました。いつもは違う山どうしで無線を楽しんでいる人達ですから 一同に集まってしまうと肝心の無線で遊べませんね。

和田の集会所が県道沿いにあり、駐車場には大きなイラスト地図もあって道路から良い目印になるのでそこで待ち合わせをする。 その地図は『古屋探訪案内図』と銘打って、周囲の見どころや、古屋製糸工場、小倉屋敷の見取り図などもあったのに、 やって来てみると残念なことに撤去されいていた。全員そろったので車で古屋廃村へ向かう。 古屋炭工房、アルトスビレッジを通過して『古屋記念碑』が正面にある空き地に駐車。

石碑もさることながら、古屋のことを詳細に書いた案内板が目にとまる。 そこには50年前にはここに30数戸の家があったという。養蚕がさかんだったので 草葺きの大きな家ばかりだった。その最奥には小倉製糸工場があり繁栄していた。等々・・・・。 前説が長くなってしまったが、詳細は前回のレポート 『うちおく』を 見て頂きたい。
小倉屋敷の石垣人工の滝は石組みで造られていた

石碑前を9時40分にスタート。みなさんは小倉の屋敷跡を見学するのは初めて、私は3度目。 で、私は屋敷跡よりも近くにあるという滝を探してみることにする。 屋敷の石垣が見えてきた。右に林道の分岐がある。と、写真の矢印方向に水の落ちる音がする。 近寄ってみると石組みの水路だがけっこうな落差で落ちています。 これが『飛竜の滝』かもしれません。

『不動の滝』もすぐにわかりましたが、滝周囲にある倒木がひどくて写真を撮すことすら 出来ませんでした。名前からして不動明王の石仏があるかもしれません。『小滝』、『中の滝』は 発見できず。
本屋敷への階段下を流れる水路も石組み

周囲の石垣は凄い規模だ。宝暦元年(1751)に完成したと標識に書かれている。 屋敷の見取り図を手に入れることが出来たので、それを見ながら「この辺が蔵跡で、庭があっち。 あの松ここに載ってる松やで〜」と山座同定ならぬ、屋敷同定。 ここの屋敷と併設してあった製糸工場には近隣からの男女100人が働いていた。 そして当然ながら住み込み従業員の寮もあったのだから、その規模はそうとうのものである。

五右衛門風呂の鉄製の釜がひとつならぬいくつも転がっていた。 「この辺がお風呂だったんやね」
「女工さんのお風呂やったんやろか・・・うしし」
坂の谷を登っていく谷を登りきった652m付近

屋敷跡のど真ん中に送電線鉄塔が建っている。電線はすでに撤去されているが塔は残されたまま。 その塔もいつも見るような鉄のアングルを組んだものではなく、中が中空の電柱が対で建っています。 それは横行の水力発電所から明延の鉱山へ電力を供給していました。

その鉄塔のある坂の谷を登っていきます。ずいぶん上の方にも墓地があり、さらに上にも石垣が 残っていました。その最終地点付近が要注意の分岐でもある。 2度来ているので迷うことはないが、初めてならわかりにくいかもしれません。 今回は佐治見越の最低鞍部を目指すのではなく、652m標高点のあるところへ行きます。 そちらのほうが、踏み跡もしっかりしており登りやすいのです。

急な登りなので視線は下を向きがちだが、目線を上げると台場くぬぎのでかいのがあったりする。 フーフー言いながら稜線に出る。11時10分。ここで小憩。 周囲はなるい地形の杉植林帯で切り倒された杉が放置されている。雑木のエリアも残っているので 全域が雑木だった昔はさぞ良かっただろうと想像できる。 そして南へ向かって下り始めます。(北へ向かえば『和田山』 です)ブナの木に隠れて見えなかったが大きな獣が逃げていく音がした。 ひょっとしてクマだったかも。
佐治見越です雑木の林を登る

雑木に囲まれた鞍部が佐治見越の峠です。佐治見川に向かって下っている斜面にはわずかに踏み跡があるが、 古屋の方はさらに薄い。ここを登るのがたいへんなので、今回は652ピーク経由で来たのです。 みんなは徐々に多くなってきた雑木に歓声を上げ始めます。 この付近はアベマキやらクヌギ、ナラ、カシなどが多い。
明るい赤松の林でお昼にします

急な登りがあるが、それをクリアーすると再度ゆるやかな尾根になり、それとともに 周囲は赤松の林となる。地元の炭焼きのおじさんが言う『うちおく』 とはこの辺りを指すのだと思う。807ピークを 過ぎた辺りで昼食とする。12時10分頃。

目の前には須留ヶ峰と大杉山の山塊。松の木越しにそれらを眺めながら各自それぞれに食事を済ませる。 12時50分再スタート。標高もそこそこ高くなってきたので木々の色づきも 鮮やかになってきています。 それも良いが、不思議な地形が現れてくる。一宮と大屋を分ける中央分水嶺の稜線まで 登り一方かと思いきや、ゆるやかなピークをこえるとゆるやかな窪み、大きなうねりの上を歩いているような地形、それが 何度か続く。
ゆるやかな窪みここを登ると中央分水嶺

まるで小規模な鉱石の露天掘り跡のような感じ。答えは見いだせないが みんなも同じように不思議がっています。その最後の激斜面をよじ登って 中央分水嶺にたどり着きました。13時15分。 食後なのでみなさんお腹が重たかったようです。

ここから東に向かって大路越えの峠まで下っていくのですが、その前に10分ほど 西に歩いて三等三角点、標高953.7m。点名は『筏』(銅山)へ寄り道します。 展望もなく長居のできるピークではありませんが、ここから西へ1時間半ほどがんばれば 藤無山へ行くことも可能です。
標高953.7m。点名は『筏』(銅山)極楽分水嶺 その1

さーて、いよいよ極楽尾根を下っていきます。写真が小さいので とてもその全容は表せません。どうぞ実際に、それも秋の紅葉時期に歩いてみてください。
その2その3

この尾根はミズナラ、ブナが主体になっています。 普通、尾根の方斜面だけが雑木で、反対の斜面は植林というパターンが多いのですが、 ここだけは両方の斜面がミズナラ、ブナで覆われています。 「いや〜、あの谷の斜面ええなあ」「あのミズナラすごいわ」と、みんなの声がする。
その4大路越に着

みんなの歩調が急に牛歩状態になる。まあ仕方ないことではあるが。 斜面を降りたり、逆戻りしたり、立ち止まったり・・・。 そういえば食後のコーヒーをしていないのでここで飲みません??

857ピークで樹間から藤無が見える。ここから見るとコニーデの富士山の姿に 見えるから不思議だ。そして最後の下りを終えるとそこは大路越えの鞍部となる。 14時55分。ずいぶんとたくさんの写真を撮ったが、そのすべてを紹介出来ないのが 残念である。こんなに良いところは兵庫では数が少ないので、ぜひ後世に残して欲しいものです。
植林斜面を下りソマ道を下る

大路越からの下山がちょい難しい。少し下ってから左へトラバースして地形図にある 小さな枝尾根に乗る。そこが一番歩きよい。さらに下るとやがて植林帯の ゆるやかな斜面となる。注意が必要なのは地形図に表せないような地形があるということ。

この谷は大路谷と呼ばれていますが、ここにも滝があります。 まず落差30mの赤滝。水音が大きくなって来たので谷を覗き込んでみると そこは落ち口のように見える。位置からして赤滝だと思うが、やはり下から仰ぎ見ないと はっきりとは確認できないな。

二重稜線のような所がある。その源頭部分から水が染み出ていて 流れになっていく。その先が大きく落ち込んでいて覗き込んでみると岩を伝う滝になっていた。 これが落差10mの御滝だと思う。落ちた流れは本谷と合流している。 とうとう、今回もどちらの滝もまともに見れないままだったなあ。

ちょっとザレた激下りをクリアーすると炭焼き窯跡がある。ここから谷に沿って 登り返すと前述の滝が二本見えるわけだが、もう時間も無いので下山を続ける。 崩れかけたソマ道をたどっていくと、やがて林道に出る。 今日の山行きを思い返しながら右上見ると我々の車が止めている空き地であった。 16時15分。

今回のうちおくの地図は こちら(約120k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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