栗柄峠〜鼓峠

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『宮田』を参照していただくようお願いいたします。

2006. 4.16.  日曜日  曇り  気温うすら寒い
今回は中央分水嶺の調査(調査って言ってもただ歩くだけやけど)です。 去年の今頃にたぬきさんと鏡峠〜栗柄峠の 分水嶺を歩いています。その続きということで栗柄峠から鼓峠までを計画してみました。 距離はきわめて短いですが、途中には高王山、表山と二つのピークがあります。

前回同様に観音堂に駐車をします。準備をしているともう一台乗用車がやってきて、男性が一人カメラをぶら下げて降りてきました。 この周辺の動物やら植物を観察(趣味??)しているらしい。今日は関西ではめずらしい○○どじょうを探しに来たと言う。 説明を聞くが、どじょうのことはとんとわからない。向こうも分水嶺の山歩きと言われてもピンとこないようだった。 観音堂の樹木に寄生しているランの一種を教えてもらうが長くなりそうだったので出発した〜い。 「では、失礼します」「どうじょ、どうじょ」(とは、言わなかった)10時。
観音堂から谷中分水嶺を見る

観音堂の近くが栗柄峠。普通、峠と言うと目をつむっていてもわかるものだが、ここは地形がフラットでどこが峠だかわかりません。 さらにここは不思議な地形です。視界の中に二つの川が見えて(実際は見えていないけど・・・)いて、右にあるのが 宮田川、左にあるのが杉ヶ谷川(竹田川)。くっつきそうな距離にあって、ここから見ると同じ方向に 流れている二つの川だが、宮田川は瀬戸内海に流れ、杉ヶ谷川は日本海に流れていく。不思議でしょ?? これを谷中分水界と言うそうです。

目の前の舗装の畦に降った雨ははたして日本海に流れるのか、はたまた瀬戸内海に流れるのか? その水の流れを想像すると両方の黒目が左右に離れていく(まさか!!)。 視線をキリリと前方に戻し前進する。地形図に工場のマークがあって、その裏手から尾根の突端に 取り付く予定です。なぜって?だってそこが分水嶺ですから。

地形図では工場マークでしたが、現在は『ふれあい会館』という公民館のような建物になっていました。 その左にある民家から道がある。左右に別れていてどちらも墓地に至るが左の小径が正解。 奥には個人の墓地があった。この墓地は貴重である。なにせ、分水嶺の真上にあるのですから。 その墓石手前には六つの小さな石仏がある。普通は六地蔵だがこれは 六体の如来像だった。墓石の奥は切り取られた竹がバリケードになっていたが、それを越えると 小径がある。
サイレン塔そばに石碑が

目の前のピークに変なものが。共同受信のアンテナかと思いきや、それはサイレン塔だった。 もし正午にここに来ていたら耳がつぶれていたかもしれません。その足元にはなにやら 怪しげな石碑もある。表に回ってみると『□□位式 記念桜』と読める。 裏には『大正四年十一月十日栽之 栗柄校』とある。周囲を見渡すが桜の木はもちろん、 枯れた切り株すらなかった。桜がサイレン塔に化けたのかも。10時20分。

5月1日、nakanishiさんと言う方よりメールを頂きました。大正4年11月10日は 大正天皇の即位の日だそうです。私もはじめに見たときに即位式と読めそうだったので、 大正天皇の事かと思いましたが、まさか4年もたって即位式はないだろうと決め込んでしまいました。 そう思って見直すと、祝即位式と読めそうです。m(_ _)m

道があります。考えれば、この周辺は赤松があるからマツタケ山なのでしょう。 頂上に向かってずーっと明確な道が続いているので地図も見る必要はありません。 途中には何カ所か左右に降りている道もありました。それ以外にも踏み跡が多数。 ヤブ尾根を予想していましたが、良い方向に外れました。案ずるより生むがやすし西川きよし・・・。

コバノミツバツツジの木が多く目に付くが、つぼみも堅くまだまだ咲きそうにない。 それ以外に花らしい花がなく、茶色ばかり目に付く道中だった。 フラットな尾根が続いて、ちょっと登るとまたフラットな尾根・・・・。 そういう尾根だから、そのちょい登りのピークが不思議と頂上に見えてしまう。「もう頂上か、早いなあ・・・」と 思ったらまだ道が続いていたという具合。それを何度か繰り返して本当の頂上に着きました。 けっこう汗びっしょりになりました。高王山、11時20分。
終始道は存在した高王山山頂

標高543.3m、三等三角点。地形図で見るより広くてフラットな山頂だった。ただし展望は無い。 ここで昼食しようと思っていたのだが、次の表山まで行ってみようと考える。 ところがここでアクシデント。満タンに充電したはずのニッケル水素をデジカメに入れたはずなのに、 もう空の表示が出ています。リュックの中を探すとアルカリが3本。必要なのは4本だし、 使い切ったはずのアルカリだったが、試しに3本にニッケル水素1本を合わせてデジカメに装填。 なんとか使えそうな感じだが必要最低限の撮影に限定しないといけません。
この先からダダ広い斜面になる鞍部着

ほぼ真東に向かって下っていく。登りに使った尾根はちょっと暗めの尾根だったが こちらは明るい雑木の尾根だった。細く明確な尾根だったが、途中からだだっぴろい斜面となる。 方向を見定めて下っていくとまた尾根に乗れる。それで安心してはいけません。 そのまま下っていくと間違いで、途中から左に折れると鞍部に着く。11時55分。 (この辺がちょいむずかしいかも)

地形図には点線ルートがあるので左右の斜面を探ってみるが明確な踏み跡は見えなかった。 ただ、ここから露岩が非常に多くなる。高王山まではなかったのに、この鞍部からいきなり出現する という感じ。その露岩の横手をすり抜けるように登っていく。山頂までは一登りなのだが たぶん高王山と同様に展望はないだろう。途中によさげな露岩があれが・・・・・。
頂上手前の大岩テラス

あまり良いように見えなかった露岩だが、回り込んでみると一大展望が待ち受けていました。 しかもちょうど一人分の広さで座り良さそうなテラスになっています。 ここで食事に決定!!12時15分。
そこからの展望

栗柄でメインの山というと西ヶ嶽に三嶽の両ピークだが、それらは表山方向になるので 松の木に隠れ気味。しかし、低い標高にもかかわらず予想しない山々が見えて驚きだった。 まず、近くにあってシルエットの美しい鹿倉山。その向こうには福知山の三岳山。横手に小さなトンガリは 二つあるのは伏見山と龍ヶ城。中央分水嶺の山稜である三尾山から堂の峰までの巨大な山塊もある。 さらに天徳山、高山、猿藪、西光寺山、白髪岳・・・・。おもしろいように同定が出来ます。

食事をしてコーヒーを頂きます。氷上ではヒカゲツツジを見るために向山に登っているたぬき隊がいる。 たぬき隊は総勢8名、そのうち7名は無線局なのでだれかが応答してくれるだろうと無線で 呼んでみる。私もヒカゲツツジは見たいが、向山は他のハイカーでにぎやか過ぎるだろうと 敬遠してしまった。どうせ見るなら静かな山でじっくりと見てみたい。それって贅沢?

無線でお話しもできて満足。しかし、まだここを去りません。時間はたっぷりありますから オカリナを楽しみます。反響は少ないですが、このすばらしいロケーションはオカリナには ぴったりです。吹き始めると鹿があちこちから呼応してくる。たぶん警戒の鳴き声なんでしょうけど。
表山山頂にある二つの大穴

表山の山頂には13時05分着。標高505m、三角点無し。 途中にもあったのだが、山頂には大きな穴が二つある。なんの穴なのかまったく不明。 もちろん炭焼きのそれではない。予想通りに展望はなかったのでそのまま下山とする。 南東ぎみに方向を決めて斜面を下る。やがて細い尾根に乗ると方向は南西になる。

デジカメの電池が無いので余分な写真を撮ることが出来ないが、あえて撮るような被写体もなかった。 途中のピークから左に降りる尾根を探す必要があったが、これは簡単に見つかった。 高王山からずっとマーキングのようなものもあるが、これだけを頼りにすると自分の位置が わからなくなり忠実な分水嶺から外れるおそれがある。あくまでも地形図を見ながらのトレース を自分に言い聞かす。

車の通過音が徐々に大きくなってきて、それに連れて踏み跡も薄くなってくる。やがて鼓峠が真下に見えるポイントに着。 まさにドンピシャで峠にやってきました。斜面を下るとコンクリートの壁と金網で道路に降りることができません。 横ばいで抜けようとしましたがヤブだったので金網を乗り越えて道路に飛び降りる(正確にはずり落ちる)。 止まっていた車には人がいて、突如空から降ってきたイケメンハイカーに驚いたようだった。13時55分。
鼓峠に転げ落ちる

峠の東側(遠方)はそれなりの傾斜で下っているが、西側(栗柄)方向はゆるやかな坂道程度で まっすぐな道である。観音堂までは25分ほどで到着だった。近くにいたおばあさんに話を聞いてみると あのふれあい会館は昔学校だったらしい。石碑の謎が少し解けました。しかし、よく考えてみると記念の植樹なんて、 学校の校庭の一番目立つ所にするのが普通なのに、あの石碑は裏山の薄暗いピークにあった。こりゃ、さらなる謎やね。

カメラは液晶に表示せず、ファインダーで撮影していたのでまだ電池があるようだ。 そこで倶利伽藍不動滝を見物することに。栗柄という地名も本来は倶利伽藍が変化したものだ。 参道はショウジョウバカマでいっぱいだった。
倶利伽藍不動滝小滝にあった珍しい不動

あの、のっぺりとした谷中分水界で、日本海に流れようか、それとも瀬戸内海に行こうかと 悩んでいた水も、この滝で一気に日本海へ向かってその身をゆだねることになる。 (なにをオーバーな表現してるんだか・・・・)

滝の横には不動明王と二体の童子の石仏がある。普通倶利伽藍不動というと 剣に巻き付いた竜の姿がそうなのだが、これは普通の不動である。 私の立っているところに小さなお堂があるがこの中にあるのかもしれない。 滝の落差は5mぐらいだろうか水量はまあまあだが水は汚い。

近くにあった別の小滝の水はきれいだった。そこにも不動の石仏があるが、 こちらはちょいと変わっている。普通は右手に持った剣を垂直にしているのだが、この不動は 大きく頭の上から振り下ろそうとしている。近くに頭を持っていったらスパッと切り落とされそうだ。 写真を整理していてわかったのだが、頭の部分に文字があった。写真では判読出来なかったので また見に行ってみたい。さて、次回の分水嶺はどこになるやら・・・・。

今回の栗柄峠〜鼓峠の地図は こちら(約100k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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