扇ノ山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『扇ノ山』を参照いただくようお願いいたします。

2006. 8.13.  日曜日  晴れ  気温ふつう
お盆はいろいろと用事があったのでひょっとして山には登れないかもと思っていたが、 M氏からタイミングの良いお誘いがあったので渡りに船ならぬ、MTBでの 山行きをする。いろいろと候補もあったが、涼を求めてオーバー1000m、 プラス乗れ乗れとなるとコースはおのずと限られてきます。

加古川からはちょっと遠出になるが、通い慣れた扇ノ山に向かいます。 ただしコースは地形図で検討した結果、姫路コースで登って、下りは大石コースということで だいたいの予定を立てる。扇ノ山の西側中腹には林道が貫通しているので それを利用すれば簡単に周回が可能になる。

二人とも山に登る際は必ず地形図を持っているのだが、その登山口へ向かう一般道路については カーナビどころか道路地図すら持っていません。「29号線を鳥取に向かっていたら姫路への 標識ぐらいあるやろ」と、いつも通りの脳天気。

ところが鳥取市内に近づいてもいっこうに姫路の標識が現れない。 ようやく誤りに気が付いて近くの道の駅にある地図で姫路の位置を確認。 なんと、いつも通い慣れた八東ふるさとの森へ向かう道の途中から曲がれば良いことが判明。 つまり29号線からは標識は無いってことです。

その姫路(姫路城のある播州姫路ではありません)の集落を抜けて舗装の林道となる。 このまま扇ノ山林道と合流して姫路コースの登山口まで行くつもりでしたが 途中ですれ違った車のドライバーからこの先行き止まりという情報をもらう。
林道出合いは土砂崩れで行き止まり左(大石コース)も右(姫路コース)も

どこが通行止めでも我々にはあまり関係ない。そこをスタート地点にしてMTBを転がせば良いからだ。 その通行止めのポイントは林道との出合い地点だった。 先日からの大雨のためか、法面の土砂が樹木共々路面に崩れ落ちていた。 先ほど出会った車はここでUターンしたようだ。 我々はここに車を止めて準備をする。その前に土砂崩れが歩いて通過できるかどうかを確認する。 歩けさえすればMTBを担いでクリアーできるからだ。

大石方向も姫路方向もどちらもさほどの崩れでは無いので一安心。チェーンソーと小さなユンボで 簡単に整備出来そうだがしばらくはこのままにしておくのかな?準備をしている間にも 姫路コース方向(八東ふるさとの森)からやって来た車が我々のいる分岐を目の前にしてUターンしている。 お気の毒様です。すぐそばで 薬草摂りをしているおばちゃんが「あんたら自転車で登るんかい?」と驚いていた。そうなんです。 頭に良い薬草があるなら下さ〜い。
姫路コースに突入

道迷いのせいもあって11時にスタート。早い時間に登り始めたら涼しいのに、もうこんな時間に なってしまっている。はたして頂上まで行けるのかなあ・・・。登り基調で舗装の林道を15分ほど走ると 姫路コースの入口に出会う。もう汗びっしょりです。私にとっては初めてのコースだが、M氏はここを下りに使って 案外乗れたという。ほんまかいなと眉にツバを付けながらMTBを担ぐ。

渓流沿いの細い道を登り始める。何度か渡渉して尾根に取り付く。ここからいきなり急な登りとなる。 激登りという表現がふさわしいこんな所を下りで乗れたのでしょうか? 前の登っているM氏もさすがにこの暑さと急登りでグロッキー気味だ。 手袋をしてMTBを担いでいるが、玉のように浮き出た腕の汗が流れ落ちて その手袋に溜まっていく。それぐらい暑い。

何組かのハイカー達とすれ違う。良識あるハイカーは朝早く登ってこれくらいの時間には 下山するのである。こんな時間に上りはじめて、しかもMTBを担いでいるなんて 山登りを知らんやっちゃと思われているやろな・・・。その通りやけどね。

激登りの枝尾根から大きな尾根に乗るとMTBの乗車が可能なほど傾斜もゆるやかになる。 目の前に『名勝 檜蔵』と墨書きされた看板がある。「ここは展望の岩場なんや」とM氏の 勧めもあって立ち寄ることにする。12時05分。
檜蔵に到着。この大岩によじ登るすると奥にも岩があってそこに立つ

標識から入り込んだらすぐに大岩が通せんぼをしていて展望などは皆無だ。 「これを登るんやがな」とM氏はMTBを足場にして器用によじ登る。 私も後に続いて登るが岩の周囲は断崖そのもの。ちょっと手を滑らすと 扇ノ山の露と消えるのは確実だ。
その突端にある岩からの展望。足元断崖でけっこうスリルがある

よじ登ったその岩の奥にはさらに岩がある。「こっちの方がええんや」という 悪魔のささやきについフラフラと付いていく。足元はさらに危なっかしくなるがその分 展望は南向けにドバッと広がっている。動くと怖いので首だけ左に回すと扇ノ山頂上も すぐそこに見えている。シルエットと方向から判断して三室山と思えるピークも肉眼では見えるが 写真ではなにがなんだか・・・。暑さと空腹で倒れるとたいへんなのでへっぴり腰で 岩場を離れる。

「山頂は人が多いかもしれんからここで食事にしよか」岩から降りた所で座り込んで リュックの口を開ける。食事を終えてコーヒーは山頂で飲もうということで12時40分再スタート。 道の両サイドにブナが現れ始め、最後の急登りが終わるとそこが扇ノ山山頂になる。13時ジャスト。
山頂のベンチでコーヒー山頂よさらば!!

避難小屋に何人かいるようだったので上がることなく表のベンチでコーヒーにする。 その間にも何組かのハイカーが下山していく。姫路コースで下る人は無くみなさん大ズッコ方向に 向かっています。いつもならもう少し山頂でゆっくりするところですが、 到着が遅かったし、下山コースが初めてのコースなのでどれくらいの 時間がかかるのかも判りません。気持ちははやりますが我々も下山は大ズッコ方向なので、 下山のハイカーとかち合わないようにちょっと時間をずらして13時25分下山開始。
山頂からの下りシーン若いブナ林を走る

山頂から下った所にある展望所に立ち寄ってみる。かすみが無ければ大山も見えるであろう そんな方向に開けています。鳥取の市内にある久松山はあれかな?おっと日本一大きな池で 有名な湖山池が見えています。ところで山頂からの下り道はこんなに荒れていたっけ? 道の中央が大きくえぐれていますけど・・・。

大ズッコは担ぎ上げてクリアー。周囲はブナばかりで担ぎも苦にならない。 そのままガシガシ下って小ズッコへ向かう。 その小ズッコ(1159m)手前に目的の分岐がある。 それには『大石6.4km』とある。そのコースをのぞき見るとなかなか良さそうな匂いがする。 その前に分岐にあった大杉の古木を見学。そして14時、大石コースへ。
大石コースもブナまみれ道は細く、急になるが乗れる

河合谷へ向かう県境のメインコースも良いが、こちらの大石コースもすばらしい!! あまり利用する人は無いのだろう、ハイカーの足跡も無い。あまりに静かすぎて 一人で歩いていると熊と遭遇しそうな雰囲気がある。熊鈴の効果は期待できないが 我々の奇声は熊除けにも人除けにも効果がある。

古い地形図には途中から分岐があって、そちらのほうが距離が長い。 前半でこれだけ快適なのだから距離の長い方を走りたくなるのが人情と言うもの。 ところがこの分岐が見つからない。う〜ん、道はなくなったのかも知れないなあ。 ちなみに最近の地形図にはこの点線ルートは記載されていません。

ブナ林の向こうに耕作地のようなものが見え隠れする。地形図には記載がないが どうやら高原野菜の畑のようだ。こんな所で畑が見えてしまうと興ざめだが、 注意深く見ないとわからないのであまりきょろきょろしないで進むのがよろしい。 畑地にするために周囲のブナは伐採されたんだろうなあ・・・残念。

きょろきょろしなくてもひょいと目に付いたのが白い木柱。倒れているがそこには 『袋川源流の碑・・・』とある。袋川とは鳥取市街地を流れている川で鳥取城の お堀もこの川の水である。その源流がこの扇ノ山大石コース途中にあったというわけだ。 しかし表面がささくれ立っているのは熊の仕業ではないのかな?

ガンガンの下っていく。歩くには変化が少なく面白みのない道かもしれないが MTBには極楽のような道である。なによりもハイカーがまったくいないというのが良い。 ブナの林が無くなって徐々に急になるも、それはそれで面白く乗れる。 やがて植林をしたときに作ったと思われる細いソマ道となってくる。 そして舗装の林道に飛び出る。14時半。
舗装林道に飛び出る峠の見晴らし広場

この大石コースの入口にはオフィシャルな道標がない。わずかに赤いテープが ぶら下がっているだけだ。最近たぬきさん夫婦がこの道で扇へ登っているが よく見つけたもんだと感心する。このルート、林道で寸断されているが 地形図ではさらに大石の集落へ向かってもあるはず。しかし覗き込んでみても それらしい入口は発見できなかった。

ここから駐車ポイントへ向かって舗装林道を走る。最初はずっと下り。 気持ちよく下っていく。途中で小さな法面崩れがあって(別途地図参照) 自動車はそれよりは通行不可となる。 まさかこのまま下りばかりが続くわけもないと思っていたら、はたして その通りで、上地ルートの登り口を境に一転登りになる。

そうなると急に暑さが身にしみる。ドボドボと汗が噴き出てきて目に入り痛い。 M氏の姿はとうに見えなくなっている。車の通行が無いので 路面には木っ端や木の葉、蔓状の植物が覆っている。 観光用林道だから整備がおざなりになっているんやろか。

上りは『峠の見晴らし広場』まで。ここは屋根無しの東屋とキャンプサイト(水場無し、トイレ無し)がある。 現在、車で来ることが出来ないので利用者は皆無だ。この先から下りになってようやく我々の駐車した 崩落地点にたどり着く。15時30分。もちろんだが薬草採りのおばちゃんも誰もいない。 ちんたら走ったとはいえMTBで1時間かかった林道なので歩きだとたいへんそうだ。 今回もMTBならではのコース設定でした。 帰り道の途中でいつものように車を止めて途中の谷川で水浴びをしてクールダウン。

今回の扇ノ山の地図は こちら(約150k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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