はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1 『大江山』、『内宮』を参照いただくようお願いいたします。 2006.11. 4. 土曜日 晴れ 気温ふつう
標高の高い山の紅葉はもう終わっているらしい。ならば適当な標高の山で、さらにMTBも楽しめそうな ところは無いかいな?というM氏のリクエストにお答えして、大江山連山の一番北端に位置する 大笠山を提案してみました。この山域は3年前に大江山縦走 と銘打っていかにも素直に稜線を往復したことがあります。その時に山名がわからずに『管制塔ピーク』としているのが 今回の大笠山です。 西の温江(あつえ)をスタートゴールにして山頂を目指します。駐車に適した所はないかと地図を見ながら 虫本までやってきました。神社のマークが地図にあるのでそこへ行ってみる。
駐車するにはおあつらえ向きの大虫神社がありました(ちなみに近くには小虫神社もあるらしい)。 準備をすませて10時10分にスタートする。神社にちょこっと寄ってみると不思議な物がありました。 それは石で出来た狛犬です。神社に付き物の狛犬になんの不思議がありましょう。普通狛犬というと 大陸から伝えられた獅子の姿をしているものですが、ここの狛犬は犬そのものなのです。 2対(4頭です)の狛犬があって、1対はとてもユーモラスな顔をしています。 もう1対は首に変な物をぶら下げています。う〜ん、なんでしょう? さらに本殿の正面上を見上げると、欄間?にも犬の彫り物があります。 |
まんがのような顔 | 鏡をぶらさげた狛犬 | 本殿の上にも犬が・・・ |
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大江山というと源頼光が酒呑童子という鬼を退治する話で有名ですが、実はそれよりはるか昔、
聖徳太子の弟である麻呂子(まろこ)親王が英胡(えいこ)、軽足(かるあし)、土熊(つちぐま)という
三匹の鬼を退治する伝説が残っています。当然ながら古い時代の方がオリジナルでしょうから、
酒呑童子と源頼光の物語は麻呂子伝説のリメイク(あるいは発展型)かもしれませんね。
その麻呂子親王が鬼を退治すべく此の地にやって来たとき、鏡を身につけた白い犬が現れ 親王を鬼の元に導き、その鏡の光で隠れていた鬼達の姿を照らし出したという。 その白い犬が持っていた鏡がこの大虫神社で祀られていたというのだが、 火事で焼けてしまったという。・・・そんないわれがあったのね。 舗装路を登り始めると『大江山登山道案内図』があり、その左を曲がると『かや山の家』 という施設がある。それを無視してまっすぐ行くが、とんでもない傾斜が待ち受けていた。 前輪が浮き出して、心臓バクバク、汗はダクダク、頭ガンガン。 M氏はよろめきながらも登っていくが、私は素直に降りて押す。 絵に描いたようなジグザグの舗装路が続きます。いつのまにか下界がはるかに見えるように なってきました。ふと左手を見ると『すんがはらの滝』と標識があります。 行きがけの駄賃に見学に行きましょう。 ゲートがありますが、横から抜けるとそこから地形図に記載のない未舗装の林道となる。
しばらく走ったがそれらしい滝の音すらない。すると再度『すんがはらの滝』の標識があり、 あろうことか下界方向に向かって『←500m』と書かれている。「500mも下ったら スタート地点に戻ってしまうがな!!」二人とも大ブーイングだが、その矢印方向にある道は 極楽シングルトラックで思わずゴクリと喉が鳴る。 滝見物はキャンセルして再び舗装路を上っていく。気になる分岐、地形図にない林道、湧き水、 頭上の紅葉、それらをインプットしながらやがて舗装路の終点である池ヶ成公園に着く。 11時20分。 そこはキャンプ場で、前日からのキャンパーも数組いました。 そうそう、スタート地点の大虫神社は昔はここにあったらしい。 その旧大虫神社であるキャンプ場から鬼のいた岩屋までは1.5kmとある。 ルートはいくつかあるが、正面の階段(写真の黄色矢印)を登ることにする。 歩き始めてすぐの分岐は左を選択。ほとんど歩かれていないような感じがする。
腐りかけた木製階段をクリアーすると快適な遊歩道となる。 平坦なところは当然だがMTBで楽しむ。 手持ちの地形図には記載されていないのでどこを歩いているのか見当がむずかしいが、 どうやら右上が縦走路の稜線のようだ。 前方に鬼の岩屋横にある展望台が見えてきた。分岐を右に折れて上り詰めると 縦走路に出る。そのすぐ先が『鬼の岩屋』だった。お腹が減っているし、 大笠山の頂上はすぐなので、岩屋見物は後回しで階段を登っていく。 無人管制塔を右に見て芝生とベンチの山頂に着く。12時20分。 標高740m、三角点無し。
寒いと予想していたのに、ポカポカと暖かく気持ちがよい。食事とコーヒーを済ませて、 M氏はベンチにごろり、私は無線でちょいと遊ぶ。展望は良いのだがかすみがひどくて ほとんど何にも見えないに等しい。 この山頂は我々の登ってきた縦走路と東から登ってきている林道がある。 誰もいないし、誰もやってこない感じだったので 荷物を置いたままその林道を歩いてみる。 すると、すぐ舗装路になって、縦走路から金網越しにしか見えなかった管制塔が丸見えになる。 スキー場からやってきていると思われる舗装路の登り口にはゲートも無いのか、普通車が二台ほど登ってきていた。 頂上に帰って、こんどは北に視線を向ける。地形図には点線のルートが572.9mの三角点へ向かって 下っている。もししっかりしたシングルトラックならMTBで下ってみるつもりだった。 ところが階段の痕跡などは残っているものの、取り付き付近は笹のヤブがひどい。 歩きならもうちょっと先まで行って様子を見るところだが、MTBなので あっさりとあきらめる。池ヶ成公園の地図にはここのルートも記載されているので 昔はしっかりした道があったのかもしれない。 鬼の岩屋にMTBを押し込んで記念撮影をし、展望台から霞んでボケボケの千丈ヶ岳を見て、 やることをやり尽くしていよいよ縦走路を下る。
経験済みでわかっていたが、ここの下りは快適だ。道も広いし、ほとんど人もいない。 オッと、そう言っていると家族連れに出会ったのでスローダウンしてすれ違う。 最低鞍部にはボロボロの避難小屋と分岐その1がある。その1分岐を下ってしまうと池ヶ成公園に なってしまうからもちろん素通り。 鍋塚方向にちょっと登り返すと『温江4.0km』と書かれた標識のある分岐その2に到着する。 標識があるぐらいですからきっと極楽な4kmになるはず。 標識以外にも『南無妙法蓮華経』と彫られた石塔がある。 草をどけて横手を見ると『妙見講中』『左 ないくみち』とあった。 13時42分突入。 草刈りをされた形跡があり気持ちよく乗れますが、一般ハイカーに利用されているような雰囲気はない。 おおきくえぐれたような道もあり、最近出来たような感じでもなく、稜線にあった石碑からして古道だったのかもしれません。 点線通りなら奥手という大虫神社近くの集落降りられるはず。 |
草刈りされてます | ががががーん | 林道出合い |
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気持ちよく下り続ける。ずーっとシングルだと思っていたのに、いきなり林道に出る。14時ジャスト。 振り返ると『金屋財産区』という標識はあるものの、 大江山登山道というような標識の類はない。 林道は左右に延びているが、地形図の点線ルートに復帰すべく左折してゆるい下りを行く。 この林道は未舗装なれど、ガレなどはなく草の上を滑るように下っていけます。 気持ちよく下っていくと「あれ?おかしい。下るべき尾根と送電線鉄塔があんな所に見えるやん」 あわてて地形図を出すものの、現在地の標高もわからないし、この林道自体の記載がないため 一瞬どこにいるのかわかりません。 さらに不思議は続きます。林道を引き返して正規の点線ルートに乗ろうとするのですが、 それが見つかりません。ぜったいココと思える所なのに覗き込んでもそれらしい雰囲気ではないのです。 ちょっと離れて見るとちゃんとした尾根なのに・・・。 しかたなく『金屋財産区』まで戻り、しばし思案の後林道を反対方向に行くことにする。
この方向はほとんど上り下りがなく、いたって平坦な林道である。 おかげで楽ちんに進むことが出来る。この林道はどこへ続いているのだろう。 そういえば池ヶ成公園の手前の道沿いに水場があって、そこは林道の分岐になっていた。 標高と方向からしてそこに出るのでしょう。ならば再度すんがはらの滝へチャレンジできるかもしれません。 ところが四差路分岐に出会う。14時40分。地形図で確認すると大虫神社へダイレクトに降りられる 谷道です(標識などは一切無し)。覗き込んでみるとここも刈り込みがされており、傾斜も緩そうだ。 M氏も滝ルートはやめてここから下ろうと言う。ならばと二人で飛び込む。 こぶし大の石がごろごろしている所もあるが、それさえ注意すれば ほぼ100%乗車が可能だ。腰を浮かせて両足でショックを吸収するので 長い距離を下るとももの筋肉がひくついてくる。 途中の林道で迷ったおかげでこちらの極楽ルートで降りることができた。 まさに怪我の功名。ながーいシングルの下りを 堪能して電撃柵の出口に出会う。15時05分。
電撃柵の向こうは畑地になっている。電線の向こう側に2基の石塔があった。 見るとどちらも『南無阿弥陀仏』の名号塔だ。年号でも彫られていないかと 眺めるが、電線の向こう側には行けず石塔も草に埋もれかけている。 畑地を抜けると人家があり、丹後ちりめんの機織り機の音が聞こえている。 その向こうは駐車に利用した大虫神社だった。 今回の大笠山の地図は こちら(約110k) でごらんください。 |