はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1 『板根』、『西河内』を参照していただくようお願いいたします。 2006. 3.21. 火曜日 曇り 気温ふつう
去年の年末には雪がドカッと降ったので、「こりゃ、年が明けてからの残雪ハイクも十分に
楽しめるわい・・・」とほくそ笑んでいましたら、なんだか暖かい日が続いてしまい山の雪もみるみる融けてしまってます。
先週の赤谷の頭でそれを痛感しましたのでボヤボヤしておられません。そこで先週よりももうチョイ雪深いであろうと
思われるこの山を選んでみました。
2003年の6月に M氏とMTBでの登頂を果たしておりますが、積雪期に登るのはもちろん初めてのことです。 ルートは一番無難な若杉原生林(岡山県)からのピストンが良さそう。 でもどんな感じかまったくわかりませんし、さらに単独行なので早い出発にするべく5時に家を出ます。 車で走行していると携帯にたぬきさんからメールが入る。どうやらたぬきさん夫婦とOAPさん達は 千種の天児屋山に 登るらしい。あそこはお手軽スノーハイクに持ってこいの山です。沖ノ山とは近いので無線で交信しながら 登ることもできそうだし、アレでアレすることも出来そう。(^_^)v 若杉原生林の駐車場にやって来てみるとここまで除雪されていて大助かり!!途中から歩く羽目になるのではと 危惧していたのだが、これで大幅に時間が短縮できそうです。準備をして7時半スタート。 駐車場からすぐ上にある東屋の屋根にはまだうずたかく雪が積もっています。 地形図で確認するとこの東屋から左手の斜面を登るのが良さそう。 馬鹿正直に若杉峠から県境尾根に乗らなくても1140のピークを経て 鳥取(智頭町)・岡山(西粟倉村)の県境尾根に行くショートカットを試みます。
カシャ、カシャとスノーシューが気持ちよい音を立てます。杉の植林帯には広い切り開きがあって そこを登ろうとしますが、傾斜が徐々に急激さを増してきたし、凹状の斜面になってきたので 横手の凸状斜面を登ります。元来ならスノーシューにはきつい傾斜なのですが、幸いなことに 雪が締まっているのでクランポンが面白いように効いてくれます。
このままずっと植林かと思いきや、一旦傾斜が緩くなると目の前にはブナの林が広がります。 登りで身体も暖まったので上着を脱いで軽装に。千種方面を見ると良い感じの展望があったので カメラで写しますが、あわてなくても登るに連れて展望は広がって来るのでした。 1140のピークから方向を転じて右折れに。考えたらこのピークにわざわざ登らなくても 手前から斜面をトラバースすれば良かったことに気が付く。標高40mほど損した。 |
県境尾根に到着。振り返ると千種の山々。矢印のルートで登ってきました |
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県境尾根には8時20分着。智頭町・若桜町・西粟倉村の三境界ピーク(Ca.1195m)より ちょっと沖ノ山よりで思惑通りの地点だった。ここから改めて千種方向を見る。 三室山(右肩には竹呂山)、植松山。後山〜駒の尾連山。OAPさん達が登る予定の天児屋山。 千種スキー場のゲレンデも見えているし、その奥には白くなだらかなダルガ峰。 無線機をリュックから取り出して三人を呼んでみるが応答はない(まだ8時半やからねえ)。 これからいよいよ沖ノ山への稜線歩きとなる。地形図を見る限り緩くしかも広い。 天気は高曇り。風はほとんど無いが、一転して吹雪くとか、ガスが出ると 危ういルートになるやもしれません。歩きながら稜線の細かい曲がり具合とか、後ろを振り返っての地形の確認とか、 特徴のある木を覚えたりとかしながら歩いていく。
稜線には消えかかったスノーシューの跡があった。天気が良くなかった土曜か日曜のものだろうか?? 今日のものはとりあえず私ただ一人だけのようだ。 稜線上はブナがたっぷり。稜線を外れる両側は植林になっている。 目の前の小ピークを登るとそこは三角点のある1196.3mピークだった (もちろん雪で三角点は未確認)。8時50分。 |
1196.3m三角点から見た沖ノ山 |
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ここから真っ正面に沖ノ山のでかい姿が現れる。目的の山が見えるとなんだか安心する。 見える限りまだまだ雪はたっぷりといった感じ。 頂上がガスっていたら嫌だなあと思っていましたがその心配もなさそう。 山頂の左下にはMTBで登った林道も見えています。
スノーシューはまったく沈むこともなくカシャカシャと乾いた音を立てています。 ストックを雪に突き刺すと数センチで止まってしまうことからその下は凍っているようだ。 快適なペースでブナのあいだをすり抜けるように進んでいきます。 ゆるいピークをいくつか越えると・・・・。その人はいました!!
その人?は生身の人間ではなく、この山の持ち主であるSさんのブロンズ像です。 雪原にスクッと立っている姿はなんとなく奇異な感じが否めません。 MTBで来たときはその像と横にある小さな中国風のブロンズ像、六角の記念碑だけだったのに、 今では新しい記念碑と石灯籠が増設されていました。この先なにが増えていくのでしょうか? 出来たら自販機を置いて欲しいな。(^_^;) 今まで通り稜線を辿って頂上に行くにはけっこうな斜面なので、MTBで走った 林道を利用するのがよさそうです。この辺りで天児屋隊のOAPさんと無線で繋がる。 天児屋隊はようやく登り始めたぐらいでまだまだこれからのようです。 私はまもなく頂上だと告げる。その林道の途中から稜線へ登ると気持ちよい展望があった。 |
頂上手前から振り返って見た展望 |
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こうやってみると若杉原生林からは案外と近いことがわかる。東山(とうせん)も真っ正面にあった。 この角度から見る東山はもちろん初めてである。その右下は舗装路の大タワがある。そこから 狩谷山を経て若杉原生林までの稜線は中国自然歩道になっていてMTBで走ったことが二度ほどある。 東山へ行こうと思うとあの稜線を往復するわけだがいかにも距離がある。 くらますの山頂付近は雪が少なくなっている。その奥に見える氷ノ山はさすがに遠く感じる。
沖ノ山山頂には9時35分着。標高1318m、二等三角点。 写真を撮ったりブナを見たりしながら歩いたにもかかわらず 2時間ほどで来れたのは予想外だった。雪の具合とかによってはもっと時間がかかるかもしれないので、 いつもこのように快適とは限らない。 無雪期には背丈を超えるチシマ笹の頂上だったのに嘘のように何もない。 唯一あった山頂のプレートは地面から2m以上の所に付けられていたのに 今は足元に見えている。早く着きすぎたので昼食を食べるわけにもいかず、 コーヒーを湧かしておやつを食べることにする。大山を見たかったが曇天で 遠望は無理なのでこれはあきらめる。
有り余るほど時間があるので北峰へ行ってみる。さほど離れているわけでもないので 展望に変化はない。双眼鏡で天児屋山を見るが天児屋隊の姿は見えない。 オカリナを吹くが手袋を取ると手がかじかんで指が動きません。 無線を聞いてみると明石やら和歌山とか三重とかが聞こえる。 山頂へ戻ってボチボチと下山を始める。10時30分。
帰りは稜線を下ることにする。傾斜は急だが下りだから楽ちん。 これ以上下ると天児屋山が見えなくなるので途中で座って双眼鏡を取り出す。 無線で天児屋隊を呼び出すとまもなく頂上だと言う。あわてて双眼鏡を 覗いてみると確かに胡麻つぶのようなものが動いている。 直線距離で6kmほど離れているがこうやって確認できるなんて愉快です。 向こうもこちらを双眼鏡で確認。彼らはそのまま大通峠まで行くらしい。 11時、ブロンズ像のSさんのいる広い雪原に着。Sさんにもお別れを告げブナの林を行く。 行きには見えなかったいろんな表情のブナに出会う。
帰りはのんびりゆっくりと。ピストンで帰るにしても、せっかくですから若杉原生林も歩いてみましょ。 智頭町・若桜町・西粟倉村の三境界ピーク(Ca.1195m)には11時45分着。
雪から道標が飛び出ているのでそのピークだとわかる。道標はカエルのマークが入っている 中国自然歩道の道標です。北へ向かうと東山(道標には芦津・吉川越1.1kmとある)、東へ下ると若杉原生林 (道標には若杉峠1.5kmとある)になる。当然の事ながら私が歩いてきた沖ノ山方向には道標の矢印は無い。 雪のシーズンだからどこでも歩けたが、夏場ならチシマ笹の壁が行く手を塞ぐことになる。 MTBで来たときにM氏が笹をかき分けてみたが「こんなとこ行かれへん」とぼやいていたのを思い出す。 時間がちょうど良いのでここで昼食にする。天児屋隊はどこまで行っただろうか? 千種へ抜ける峰越峠が開通していると言う情報をOAPさんから聞いていたので タイミングがあえば大通峠の下にある三室山登山口まで迎えに行ってみようと考える。 三境界ピークから若杉峠方向に下ってすぐの右手を見るとなんだか下れそうな感じがする。 もちろん夏場は激ヤブでここを下ろうなんて想像も出来ないようなポイントである。 地形図を見ながらちょっと下って左に折れる。ここは案外メジャーな冬道のようで 何カ所かマーキングもあった。そして遊歩道と合流する。
一見ブナの雪原にしか見えません。 なぜ遊歩道とわかったかというと、そばにある木の幹に樹木名の書かれたプレートが付けられているからです。 それらが雪原に点々とあるのがわかります。その先には原生林の地図看板と休憩東屋がありました。 地形図で現在地を確認するとこの東屋からまっすぐ南東に下ると登りはじめの東屋になるはず。 そのまま遊歩道を行けばよかったのに変な色気を出して東屋から遊歩道とお別れする。 最初は良かったが途中から激斜面になって立ち往生。仕方なくアイゼンに履き替えて下る。 谷に流れている川を渡らないといけないが頑丈そうなスノーブリッジがあったので その上を渡って事なきを得る。そして目の前に登りはじめにあった東屋。12時45分。 中から声がするので覗いてみると数名のハイカーが食事をしていました。 「沖ノ山(おきのせん)まで登っていました・・・」などと話をすると「ああ、扇ノ山(おおぎのせん)ね!!」 ガクッとズッコケそうになる。名前が似ているから聞き違えたにしても全然方向が違いますやん。 駐車場で着替えをして峰越峠を越えて三室の大通峠へ向かう林道の入口に来る。 13時40分、天児屋山縦走の三人が降りてきました。 先週は同じ山を登った四人ですが、今回は違う山で雪を楽しみました。 無線と双眼鏡でお互いを確認しあうというお遊びもして楽しい一日でしたね。 今回の沖ノ山の地図は こちら(約170k) でごらんください。 |