古法華オフ

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『笠原』を参照していただくようお願いいたします。

2006. 2.19.  日曜日  晴れ  気温蒸し暑い

さーて、久しぶりにオフラインミーティングなるものを開催してみました。 場所は1年前に歩いた古法華周回コースの後半部分です。 全コースだと距離が長すぎるのと、前半の善防山と笠松山は良いとしても、そこから北尾根は面白みに欠けます。 それに比べて後半のコースは終始展望の岩尾根(標高が150〜200mぐらいしかありません)が連続する、それはそれは良いコースなんです。

参加者はたぬきさんご夫婦、かねちゃん、ニコちゃん、nanaさん。そして今回初対面のとうこさんとそのお友達の 萬さんとたかさんご夫婦。これぐらいの人数だと全体の把握もできるし、多少隊列が長くなってもみんなの声も聞こえるしでちょうど良い感じ。 古法華の西駐車場に全員が集合して簡単な挨拶の後出発。9時55分。

駐車場の南にあるピークへ登るのですが、一旦県道に出てテクテクと南に歩いて行きます。 小原新新池というため池から登ります。その堰堤手前で立ち話をしている二人のおばあさんを発見。 さっそく話しかけてみます。すると「ああ、あの山は長(おさ)富士って言うんやで。北から見ると富士山に見えるんや」と言う。 そういえばこの古法華で採石されていた凝灰岩は長(おさ)石と呼ばれています。 ちなみに点名である『夕陽ケ山』の名前を出してみるが、おばあさんは首をかしげるのでした。
長(おさ)富士への登り口

堰堤下にある白玉稲荷にお詣りするおばあさんとお別れして我々は登り口へと行く。 古いビニール袋がぶら下がっているのが目印になる。登ってすぐに左右に踏み跡が 別れていて、これはどちらに行っても上で繋がるが比較的左の方がわかりよい。 サルトリイバラに行く手を阻まれるが、いつも行くようなヤブに比べればこれもたいしたこと無い。
どこが道?急登りが続く

私が先頭で登りやすい所を見つけながら登らないといけないので、みんなよりちょっとハイペースで 行くが萬さんも同じペースでついてくる。調子に乗ってしまうとみんなと離れすぎるので 時々みんなが無事にやって来ているのか立ち止まって見守る。

気が付くとずいぶんと高度感のある所まで登ってきた。それでも標高は200mほど。 西方向を見るとセントラルパークの観覧車が見える。上に行くほど道は明確になってきて もう道探しの必要なし。そうこうしているうちに頂上に着。10時45分。 四等三角点、標高227.6m。
長富士山頂から見えた気球

ほぼ360度にわたっての展望がある。みんなの視線は南にR-372を挟んである電波塔の建っている トンガリピークに注がれている。それは王神峯(おおじんみね)と呼ばれる山です。すぐ東にある 法華山と尾根続きで結ばれていますが、尾根はシダの超ヤブの困難なルートなのでお勧めは出来ません。 その法華山と王神峯には面白い故事があるのでちょっと説明したりする。

長富士への登りではイバラで女性陣の柔肌に傷をつけたりして 申し訳ないことをしてしまいましたが、ここから始まる長富士尾根の縦走は喜んでいただけると思いますよ。 その証拠にここからは不思議としっかりとした道があります。尾根の左右は空間が広がっていて 空中を散歩しているような気分になる。左下を見ると我々の車が止まっている駐車場が見えて、手を伸ばせば各々の愛車 に触れることも出来そうなほど。
目の前に何度もトンガリピークが現れる

もちろん後ろにもトンガリピーク

大柳ダムも間近になってきた
だいぶん進んで来ました。みなさんも展望に大満足のようです。 近在には小野アルプスやら、須磨アルプス、播磨アルプスなどとアルプスの名前を付けた 山塊がありますが、それらに比べてもなんの遜色もない、いやそれ以上と言って良い かもしれません。時計を見るとお昼を過ぎているのでこの先にある鞍部へ下る直前のピーク で昼食にしましょう(ここはけっこう広くて展望もある)。

ここからの方が法華山と王神峯がよく見える。志方城山、平荘湖の飯盛山、小野アルプスは 手前にある不動の尾で隠れて見えないなあ。 食後に萬さんからコーヒーをいただく。なんとコーヒーミル持参でガリガリと挽き始める。 とたんに周囲にコーヒーの香ばしいかおりが広がる。 山でこういう贅沢は良いねえ。
鞍部へ下る手前のヤブ鞍部からの登り返しは岩盤

小さなアップダウンが連続するものの、それらはちょうど良いスパイスのようなもの。 全体的に見るとほとんど高低差なくやって来ました。 しかしこの先には鞍部がある。そこへ行く手前がチョイヤブ。シダをかき分けて下りきると 今度は岩盤登りとなる。グリップが良いので手を使わなくてもグングンと 登っていけます。気が付くと父たぬきさんはプラバケツを手に持っています。 中には道中で拾ったゴミが入っています。 バケツも尾根に落ちていたそうです。誰がなんのために捨てていったのかわかりません。 一般のハイカーがバケツを持って登るわけないですからなあ。
北向かいにある馬の背が大きくなってきました。そして矢印の・・・
前回立ち寄らなかった岩尾根が左向こうに大きくなってきました。 なんか名前が無いものかと思っていましたが、萬さんが言うにはその形状から「馬の背」と 呼んでいるそうです。今回はその馬の背に寄ってみますが、左向こうにある 大柳ダム湖に変な岩が見えてきましたよん。
女嶽のアップ  (*^_^*)馬の背に寄り道

女嶽(めだけ)と言います。形は・・・・そっくり。 「こっちの方向から見た方が似ているで」と大声でnanaさん。 女性陣より男性陣のほうが恥ずかしそうで落ち着かない感じ。 現代人はただただいやらしい目で見るだけでしょうが、昔の人はその形状から 女性の病気とか安産祈願のために祀ったらしい。 下には祠もあったというがもう無いでしょう。
馬の背から北方向を見る

古法華というとなんと言っても吊り橋が有名である。善防山から笠松山へ縦走する場合は 必ず通過するお楽しみポイントです。 その吊り橋のある岩盤に磨崖仏があることはあまり知られていません。 何度か探しに来たことがあるのですが、目を皿のようにしても見つけることが出来ませんでした。 でもそういうものはなんかのおりに、そう、井上陽水の『夢の中へ』の歌詞にあるように なにげに見つかるものです。
吊り橋から磨崖仏を見る旧石切場の上にも仏?

吊り橋の下を覗き込むと岩の深い切り通しの峠があります。舗装路になっているので 車での通行も可能ですが、東側は傾斜がきついのでエンジンブレーキを目一杯効かさないと たいへん!!そんな切り通しは明治34年に14mほどの深さを掘られて現在の姿になったらしい。 したがってこの磨崖仏も昔は手の届く高さにあったはず。

橋を渡りきり、岩盤をよじ登ってそこから石彫アトリエ館へ下山します。 ふと見ると旧石切場の上部に真っ白な部分があります。目を凝らすと それも岩壁に薄く彫られた磨崖仏のように見える。昔は無かったように思うのだが、 最近彫ったものなのか、昔からあったが白く色を付けたからわかったのか・・・・。

14時35分駐車場に着。最後のアトラクションとしてこの古法華にあるという、 日本で一番古いと言われている石仏の見学をします。窓口である石彫アトリエ館には事前に予約を入れていたので話は早い。 ただし一人につき200円なりの拝観料が必要です。アトリエ館にいたおじさんにお金を払い、案内の小冊子をもらう。
収蔵庫を開く日本で一番古いという石仏

野にある石仏をたくさん見てきた私にとっても奇異な石仏と言えるでしょう。 こんな石仏は見たことがありません。石製の厨子の中に 石板が立てかけられ、その表面には半肉彫りの三尊立像がある。真ん中は如来で両側は脇侍。 その脇侍の上には三重の宝塔、下には獅子が彫られています。如来の上は大きく欠けていますが 天蓋もあったらしい。

いつの頃かはわかりませんが、火事にあったために表面が剥落していて三尊はほとんど 輪郭のみが残されているだけである。表情が残っていたらどんなお顔であっただろうか? 小冊子では国内で彫られたとあるが、解説のおじさんによると中国製だったと自信ありげに言う。 顔が残っているとその風貌から推理もやりやすいが、お詣りに来た信者達がその表面を擦り取って お守りなどにしたらしい。それって火事よりも災難やなあ・・・。

地元の人々によって守られてきたこの石仏は、昭和30年に有識者の調査によって世に知られることとなり、 その歴史的、美術的価値に驚くことになる。(白鳳時代に作られたということは1300年のあいだ 守られていたわけかぁ)一時、奈良の国立博物館に保存され、重要文化財の指定を 受けるが昭和46年に地元に返還されて、我々のような凡人も気軽に見学することが出来るように なりました。ありがたや〜。

かねちゃんとも久々に話が出来たし、初対面のとうこさん達ともなんの違和感もなくうち解けた 山行きが出来た。膝を痛めているたぬきさん、靱帯の手術をしているとうこさん、足は大丈夫でしたか? 駐車場には15時35分着。全員無事に歩き通せました。(^_^)v 将来、長富士尾根コースは古法華のメジャーコースになり得るでしょうか??楽しみです。

今回の古法華オフの地図は 前回の地図 の後半部分を参照してください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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