大師山〜権現山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『大江山』を参照していただくようお願いいたします。

2006. 5. 6.  土曜日  晴れ後曇り  強風
GWも終わりを告げようとしていますが、どこに登りましょうか? 但東町の赤花に大師山という山があるのを知る。そこはコバノミツバツツジやら(ちなみに 但東町の町花はコバノミツバツツジだったっけ?)奇岩やらもあって見どころ満載らしいので そこにしましょ。ツツジの時期は過ぎたかもしれませんが、ちょっと遠出も味わえるし 気合いを入れて出発!!

登り口はすぐにわかりました。但東町から加悦町へ抜ける滝峠の手前にあるでかい看板が目印です。 畑の横手に空き地がありますが、農作業をしているおじさんが言うには、工事車両(円山川も氾濫した 水害の傷跡が今なお残っています)が来るかもしれないので道路脇に止めた方が良いとのアドバイスをもらう。 例年ならGW前に『大師山まつり』が行われるはずが住民が高齢のため今年は(今後も?)行わないらしい。

でかい看板には大師山のいわれやら、見どころが書かれているし、イラスト地図を見ると 奇岩の位置やらコースの概略もわかる。 歩き始めは地道の林道で入口には『車両進入禁止』の立て札もある。 9時35分スタート。
登山口にあるイラスト地図林道の登山道

林道でグニグニと回り込みながら高度を上げる。標高330mぐらいの所でトタン屋根の東屋がある。 この辺までは楽に車でも登って来れそうだった。暑くて汗が出たが ここで休憩しているわけにはいかないので先を急ぐ。足元にはイカリソウ、イワカガミがちょこっとある。 ミツバツツジはほとんど終わっていた。
で、でかっ!!鏡岩

東屋の先に早くもでかい岩があったが名前は無い。参道はグルグルと周辺を回り込むようにあるので 全部の岩を見ることはあきらめて、思いつくまま、気の向くままに歩いていくこととしよう。 と、思うまもなく足元の岩に穴が空いている。『神水の洞窟』とあり、中を覗くと確かに水が湧いているような 感じ。黒いホースも差し込まれていたがどこに吸い出されているのかは不明。

上に『カガミ岩』と標識があったのでそちらに向かう。でかくて表面の平らな一枚岩なので カガミ岩なのだろう。もちろん何も映りませんけど・・・。 そのカガミ岩の真上にも東屋がある。四角い屋根の東屋だが、足元の古い標識には『六角堂』とあった。 トタンの天井に額が張り付けてあって、それには『噂(おと)に聞く 岩伏山に来てみれば 大師のみいつ岩におどろく』 と達筆で書かれていた。ここは大師山のはずだが岩伏山は別名なんやろか?
六角堂からの展望

東屋の裏には『仏ヶ岩』がある。これがこの山中でメインの奇岩かもしれません。 洞窟のようになっていて、中には小さな祠が三つある。 中に入る前にちょっと気になるところが・・・。 それは天井になる大岩の縁にギョウザの合わせ目のように2条の線があることです (写真の白矢印)。自然のものならいかにも不思議ですが、よ〜く見ると セメントかなにかで作られていますがどういう意味があるのかは謎です。

肝心の祠の中には石仏が安置されていました。もちろんのこと、弘法大師もありますが、 虚空蔵菩薩、大日如来、千手観音がおられました。ちなみに登山口になった案内板には 千手観音のことを千寿観音と書いていました。まあ、手か多いよりは寿が多いほうがええけどね。
仏ヶ岩体内くぐり岩

カエル岩(ひきがえるが座っている姿に似ているらしい)の下にあった古い標識には 『烏帽子岩』とある。ど、どっちや〜!!と思わず突っ込む。横手にある 『体内くぐり岩』をくぐり抜けると安産が出来たという。残念ながら妊娠できる身体ではありませんが 試しにくぐり抜けてみる。しかし、体内くぐり(案内板の原文どおり)って、たしか 胎内くぐりと言うのが正しいのでは??

ほんとうならこの周囲がミツバツツジの群生地なのだがほとんど落花していた。 どこへどう行けばわからなくなったが、体内くぐりから上へ上へと登っていく。たぶん この辺の最高点(Ca.390m)だと思われる所にあるのが『夫婦岩』だった。10時30分。 いつのまにか風がおそろしく 強くなっていて、三脚を立てようと思ってもひっくり返るぐらいだった。 参道から飛び出た岩に立ちたいが、風で足元がすくわれそうで怖くて素通りする。
大師山の順路から離れるとこうなる

順路は下に向かっている。今まで見た岩以外に『休憩岩』、『重箱岩』、『布掛岩』、『玉岩』、『コウモリ岩』、 『門岩』などがあるらしいが、これらは次回ってことで下には降りずに、そのまま稜線を進んでいく。 目的地は県境を越えて、地形図にある卍マークの所です。順路を離れると とたんに踏み跡は不明瞭になるが尾根は細いので迷うことなく進んでいける。

今回の計画を立てるために 地形図でこの山域を眺めていると面白いことに気が付いた。それは大師山を中心とする 狭い範囲に5つもの峠が存在することです(別途地図に『い』〜『ほ』までマーキング)。 『い』と『ほ』は舗装路というのは判っていますので、残りの三つをコースに組み入れて 歩いてみましょう。まずはそれらを表にしてみると下記のようになります。
それぞれの峠の詳細
地図のマーク峠の名前峠が結ぶ集落その他
滝峠但東町赤花−加悦町奥滝舗装路
無名加悦町加悦奥−加悦町奥滝???
加悦奥峠但東町赤花−加悦町加悦奥???
奥藤峠但東町赤花−但東町奥藤???
加悦奥峠但東町赤花−加悦町加悦奥舗装路

『は』と『に』の峠名は下山後に聞き取りしたものを書き込みましたが、この時点では 判っていません。どんな峠が待ちかまえているか楽しみやね。

兵庫と京都の境界線上にある464mピークには10時55分着。帰路はここから北に向かって 境界尾根と下っていき、『は』と『に』の二つの峠を通るつもりです。その取り付きを探してみると、 ピークよりちょっと大師山方向手前にあった。雑木帯と桧の植林帯との植生界が目印になる。 さらに誰が付けたのかちゃんとマーキングもある。
一つ目の峠(地図の『ろ』)に着く

気が付くと足元にはイワカガミがたくさん咲いているし、頭上にはコバノミツバツツジが。 ひょっとしてこの先にはもっと咲いているかと思い急ぎ足になる。 464mピークから5分ほどで『ろ』の鞍部に着。

右の奥滝方向には踏み跡無し。反対に加悦奥方向には驚くほど明確な道があった。その道はこの峠より 卍方向に続いている。つまりこれは参道ってことだ。ならば卍までは楽勝で行けますね。
白滑(しらなめ)権現堂の手前岩の手水鉢と権現堂跡

卍マークは白滑(しらなめ)権現堂と言うらしい。そしてその先にある三角点ピークは権現山です。 その権現堂に近づくとまたもや巨石群が現れる。それをぐるっと回り込むように登っていくと 権現堂跡に着きました。11時15分。

石で出来た大きな手水鉢があるが、表面が風化してしまって文字があったか どうかも判らない状態です。 その向こうは小広い空間があって地面には礎石と思えるような石の並びもある。 どんな権現が祀られていたのか不明ですが、麓に降ろされているということなので 機会があれば見てみたい。

予定ではここで昼食にしてUターンするつもりでした。というのも権現山の頂上は たいして見どころもないと聞いていたし、下山後には赤花にある鬼子母神という所に 行ってみたかったからです。

ところがこの権現堂跡から頂上に向かっても遊歩道のようにええ道が続いています。 なんだかそれに誘われるようにフラフラと歩いていきます。 途中にテーブルのような岩があって、岩の下はイワカガミの絨毯だった。登頂後にここで食事も いいかなって思いながら頂上へ向かう。
権現山頂上(矢印は三角点)

アップダウンはほとんどないが、頂上手前でちょっとした登りがある。 左手は植林帯できれいなソマ道が確認できた。どこへ下っているのかな? 右手は雑木の谷で巨岩が見える。わずかな登りで頂上に立った。11時30分、 標高526.7m、二等三角点。

三角点を中心に切り開かれていて明るい頂上です。しかし展望はほとんどありません。 権現堂跡からの遊歩道のような道はこの頂上で終点と思いきや、さらに続いているようで、 真北に向かって下っています。 試しに歩いてみると斜面は階段になっていたり、土が崩れないように補強があったりで まさしく遊歩道になっています。これは驚き。きっと加悦奥のどこかに登山口があるものと思われる。
頂上から西方向を覗く

さっさと下山してさきほどのテーブル岩で昼食にしようかと思っていたら 南方向にチラッと岩が見えた。そこへ行くとにゃんと、にゃんと!!それは大展望の岩でした。 前言を撤回して文句なくここで昼食にします。
展望岩から見える山々

真っ正面には大江山連山が。そっか〜、権現山の位置からすると大江山が 真っ正面なのは当たり前。そう納得はするものの、その圧倒的な大きさには 驚くばかり。ただし、シルエットはあくまでも女性的で柔らかみがある。 反対に男性的なのは手前にある江笠山で、こちらも負けじと 大江山に浸食するようにすそ野を延ばしている。
展望岩でオカリナを吹く

それらを見ながらお昼です。 風がおそろしく強いのでコンロの置き場に気を遣う。なんとかお湯を沸かせて お昼を済ませ、コーヒーを飲む前に無線で呼びかけてみる。まあ、標高も低いし 高い山に囲まれているので応答は期待出来ない。 代わりに単独の時の楽しみの一つ、オカリナを吹く。 しかし、これも強風のためにピッチが大狂いに・・・。

さーて、下山です。12時20分。山頂は風が強かったので、さきほどのテーブル岩で 改めてコーヒータイムとします。足元にはイワカガミの絨毯!! コーヒーをすすりながらまさしく至福の時。

兵庫と京都の境界線上にある464mピークには13時ジャスト。行きで見つけたマーキングから 境界を下っていく(その後、マーキングはまったく無い)。ここからは見どころ、楽しみどころは無くなりますが、 なんと言っても 道探しのお楽しみの始まりです。最初は桧と雑木の植生界をたどれば良いのですが、 途中からそれを離れます。枝尾根がいくつもあるのでそれの見極めがむずかしい。 現在位置を見失わないよう地図と地形を交互に見る。

左右に視界のない境界尾根を下って来たが、いきなり目の前が広がる。 周囲の状況から『は』は目の前だとわかる。しかし、ここからヤブになる。 夏場なら蜘蛛の巣やらイバラやらでたいへんな事になりそう。 そして鞍部に降り立つ。13時40分。
『は』

薄暗く狭い峠でした。赤花方向は明るいもののヤブで踏み跡も無くなっている感じだが、 強引に下れば林道に出会うはず。加悦奥方向は暗い植林帯で道ははっきりとある。 下山後に聞き込みするとここは加悦奥峠というらしい。 (ちなみに『ほ』も加悦奥峠と言う)

周囲を探索したが石仏とか道標のたぐいはなかった。よっしゃ、次の峠へ向かうぞ。 342mピークへ登り返して振り返ると、大師山から権現跡、権現山までが一目で見渡せた。 う〜ん、ようここまでやってこれたと感慨にふける?『に』には14時ジャスト。
『に』

地形図では点線のルートだったが降りてみるとそこは林道だった。 見た感じ赤花方向、奥藤方向のどちらにも通じているようだ。名前は奥藤峠。 ここにも石仏はなかった。目的通りにここまで無事に下ってこれました。 さあ、駐車ポイントまで帰るか。

林道はグニグニと回り込んでいるが、旧峠道とおぼしき点線ルートは谷に 残ってそうだ。下ってみると確かにあった。それでショートカットして林道に出る。 谷にはきれいな流れがあったので顔を洗ってすっきり。 大師山登山口には14時30分。

大師山から権現山のピストンはいかにも味気ない。かといって今回のような 峠巡りはマニアックすぎる。ここは、大師山から権現山へ行き、 山頂から北へ下山するのが良いのではないでしょうか(車は二台必要になりますけどね)。 もちろん4月の中旬ぐらいが花も楽しめるのでお勧めです。

今回の大師山〜権現山の地図は こちら(約80k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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