内倉山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『村岡』を参照していただくようお願いいたします。

2005. 8.20.  土曜日  晴れ時々小雨  気温暑い
どこに行こうかと前日から思案していましたが、とうとう決まらないまま翌朝となりM氏の車に同乗する。 一応○○山へ行こうと出発するが、そのとき携帯で「内倉山へ行くの??」とメールが入る。 ここでハッたと膝を打つ。 内倉山はやまごさんから教えてもらった山でいつか行こうと思っていた山です。

M氏も「よさそうやん。そこに行こか!!」と賛成する。 しかし今日はその地図も用意していません。「地図なら後ろにあるやろ」 後ろの座席を見ると兵庫県内の地形図が数十枚のたばになって置かれていました。 さすがM氏(^_^;)

内倉山は瀞川山の北に位置しますので、 先週に引き続きまたまた美方郡香美町に行くことになりました。町内の大通りに入る前に矢田川右岸の バイパスを走る方がよろしい。小代中学と小学校を過ぎて実山の集落に入る手前、大きなイラスト地図の 看板が道路にありました。これを見るとだいたいの感じがよくわかります。
集落手前にあるイラスト地図

これと地形図を見比べてみると峰山観音堂は775mと標高のある台地状の頂きがそれでしょう。 でも内倉洞窟のある850mに相当するピークがありません。さらに岩山とはどこのピークでしょう?? とりあえず車で集落の細い道を上っていきます。

お宮さんの前に駐車できるスペースがありますが、そのまま先に行ってみます。 すると、突然道は激細になりました。「こりゃ、あかんで〜」と、先ほどのお宮さんに 駐車することにします。向かいの家の窓からおじさんが顔を出して物珍しそうに我々を見ています。 あいさつついでに駐車の許可もいただきました。10時33分。

激細の道は入口に電柵が設置されています。地上低くにあるのでまたいでパスできます。 ただし、先ほど車の中からは見えにくかったので、あのまま前進していたら電柵を踏みつぶして 訴訟問題に発展していたかも・・・。
よさげな滝もありました廃棚田のある谷を行く

細いのは最初だけでその後は道幅も広くなり、普通車でもなんとか進入できそうです。 あっ!滝がありました。落差は6mぐらいでしょうか。 ツルツルの岩盤が良いなあと流れの先を見ると、ウォータースライダーのような ナメ滝の二段の滝になっていました。あれで滑ってみたいなあ・・・。

滝があったためか、林道沿いにはイワタバコも咲いています。広い谷は昔はきれいな 棚田だったのでしょう。今は見る影もなく荒れ果てています・・・、と思いきや、 最上段のところは現役の棚田があり、青々とした稲が元気よく育っています。 みるとおじいさんが一人で世話をしていました。 「こんちわ!!内倉山に登るんです」と挨拶をする。

植林の中の道となりました。正面に岩があり、なにか彫られています。 見ると『月いづる 舞台は 撫に峰観音』後ろの岩には『内倉洞窟峰山観音』、 どちらも最近彫られたようです。 そして林道もようやく終点となりました。11時15分。

ようやく山道らしい雰囲気でちょっと登ると分岐。どちらも同じ稜線に出ますが、左は 峰山観音への新道。右は旧道となっています。 どちらでもいいのですが新道で登ってみましょう。 おっと、いきなりマムシがとぐろを巻いています。
峰山観音へは新道を行く礫岩の戸渡りを行く

新道は山腹を巻きながら北方向へ向かっています。すると枝尾根に乗っかりました。 枝尾根からは東へ方向を転じて775mのピークを目指しています。 途中に礫岩の戸渡り尾根がありました。距離は短いけど左右に切れ落ちていて プチスリルが楽しめます。そしてこのちょっと上からの展望が案外とよろしい。
戸渡り上からの展望
真っ正面に仏の尾の丸いピークがあり、左の青が丸は思ったより低く形もよくない。 右奥には驚くことに扇の山と大ズッコも見えています。 まもなくお昼なのでここで食べたかったのですが、M氏はもっと先に行こうと言う。 言うとくけど、あたしゃお腹が減ったら機嫌が悪くなるよ。

このまま755mピークまで直登かと思いきや、ありゃりゃ、いきなり右に曲がってピークから 離れていきます。そして、主稜線に合流。右を見ると稜線上にきれいな山道があって、 内倉洞窟へ続いている。予定通り左を行くと稜線の東山腹を巻いて4分ほどで 目の前に石で出来た五輪塔が見えてきました。

全体は植林で薄暗い感じですがとにかく広い。五輪塔はよほど古いのか表面は摩耗がひどく、 銘と思えるものはなにも無かった。そして何度か崩れたのでしょう。誰かが積み直していますが、 中には五輪塔ならぬ、六輪塔になっているものもある。
五輪塔が並ぶ奥に観音堂がありました

植林の向こうに建物が見えます。行ってみると観音堂でした。 外見からするとけっこう最近に建てられたように思えます。ドアを開けて 中を覗いてみるが目が慣れないのか真っ暗です。 うっすらと見えてくると壁一面に落書きだらけ。こんな所まで来るぐらいだから、 山歩きが好きだとか、こういう歴史の遺物が好きだとか、そういう人ばかりではなく バカも登ってくるんやなあ・・・。残念。

観音堂の正面には木像の仏像があります。フラッシュを焚いて撮してみると それ金と紺、そして朱に彩色された十一面観世音菩薩座像でした。 壁板の隙間から風雨が吹き付けているわりにはきれいな仏像だ。 もともとからこんな粗末な掘っ立て小屋だった訳ではなく、古くは一峰寺という 寺院があったらしい。表にはそれを証明するような礎石が点在していました。
しゃくなげの尾根を行きます『ポイント24』分岐から右へ下ると
ロープで登る箇所がある

稜線を逆戻りして内倉洞窟を目指します。新道との出合いを過ぎ、次は旧道との出合いと なります。下山はこれで下りましょう。お腹は減り減り状態ですけど、さすがに 観音堂のピークは薄暗くて食べるには遠慮したい所です。それで内倉洞窟へ急いで 行きたいのですが、ひょっとして洞窟は名前の通りもっと暗いのでは??

けっこう急な登りが何度か連続します。細い稜線の両側はシャクナゲの群落がすごい。 と、またぞろ分岐がありました。標識には意味不明の『ポイント24』と書かれています。 それにはこの分岐を右に行くと内倉洞窟らしい。見るとどうも危なっかしい道に見える。

稜線をさらに登った所からも洞窟に行けると踏んでいたのですが、M氏の 強引な先導で右に曲がる。とたんに道悪となる。 危ない箇所もいくつかある。トラロープを掴みながら斜面を登る。 どうやらこれは旧参道らしい。安全に行くなら稜線コースやね。
まじ、こうしないと入れませんここに落ち武者が住んでいた?

岩盤を回り込んで一段上がったところに洞窟の入口がありました。12時40分。 しかし、これが難問。写真のように匍匐前進しないと入っていくことが出来ません。 入り込んだ洞窟は礫岩の地層が浸食されて??空洞になったような感じ。 奥行きもさほどなく祠が置かれています。説明板がありますが、とんでもなく長文、さらに難文。 空腹で酸素の足りない脳では理解不能です。

下山後見つけた町内にあった別の案内板には要約されてます。それをさらに要約すると
平氏が、一ノ谷の合戦(1184年)で源氏に敗れたとき、朝倉高清は平氏に荷担したため 源氏に追われ、この内倉洞窟に隠れ住んだらしい。結局は頼朝から許されて 但馬一円の領地を治めて、越前朝倉氏はこの一族の子孫ということらしい。

朝倉高清もここで食事をしたのでしょうが、風が通らなくて暑いし、ほこりっぽいので ご飯を食べるに気になりません。 またまた、匍匐で洞窟を抜け出す。この洞窟の上に登ってみましょう。 というのも、ここを登れとばかりにアルミの梯子が掛かっているのです。
洞窟の真上は断崖展望はええで〜

真上は二人座るだけで満杯のピークですがくつろげる所でした。ようやくお昼にありつけます。やれやれ・・・。今は晴れていますが、ここに来るまでに霧雨も降ったりしていたのでどうなるか案じていましたが 天気も回復してます。さらに、風が通って涼しいので食後のコーヒーも美味しいです。 すべて朝倉高清さんのおかげです。

展望は礫岩の戸渡り尾根よりも高度が高い分だけさらに良い。目を凝らすと日本海も見えています。 「ということは、あれは浜坂の観音山やな」めずらしくM氏がドンピシャの同定をする。 「なら、あのへんが蓮台山と久斗山やね」と私。視線を前にずらすと、なんと先週ブナを見に行った 一二峠も見えています。

で、この洞窟を含むこのピークは地形図上のどこにあたるのでしょうか?? 周囲を眺めながら「あーでもない、こーでもない」と言いながら思った地点を 別途地図に書き込みました。偶然にも?最初のイラスト地図とほぼ同じ標高です。 なぜ、こうも迷うかというと、実際歩いた感じと地形図が違うからです。 経験上こういうことはあるので、自分の勘を信じましょう(GPSがあると一発やのに・・・)。

13時30分下山を開始します。もとの旧参道ではなく、アルミ梯子から続く新コースです。 シャクナゲをかき分けるように(オーバーな表現)登っていくと主稜線に出ました。 やはりこの新コースのほうが安全です。(^_^;)
ここから瀞川山方面はトラロープで通せんぼされています。 この先?には一枚岩盤の「びんこし岩」というのがあって、それが イラスト地図の岩山らしいです(やまごさん談)。

旧参道で下っていきます。途中に崩落した所などもあり注意が必要。麓から風に乗って 人の声とか町の雑音が驚くほど明確に聞こえてきます。広い谷がメガホン状に収束している地形のために こういうことがあるのでしょう。やまごさんが洞窟で人の声を聞いたというのも こういうことかもしれません。

お宮さんの駐車ポイントには15時ジャスト。最近くせになってしまった水浴びを またまた近くの小川でやってもた!!

今回の内倉山の地図は こちら(約150k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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