ウチガネ〜高山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『柏原』を参照していただくようお願いいたします。

2005.11.12.  土曜日  小雨後晴れ  気温ふつう
氷上のたぬきさんご夫婦からコンサートを一緒に観ようとお誘いを受ける。好きなジャンルの音楽だったので もちろん快諾しましたがコンサートは夕刻からの開演です。ならば、お昼間にちょこっと山を楽しんで 夜はコンサートと、一日たっぷり有意義にすごそうということに。 数カ所の山を計画していましたが、朝方の天気が芳しくなかったので雨の影響を避けて一番南にある 山南町のこの山を選びました。

事前の知識がないのでどんな山かもまったくわかりません。とりあえずたぬき号に乗り込んで 登り口である山南町畑内にある常徳寺へ向かいました。狭い村道には車を止めるようなスペースは ありませんが、お寺にはうってつけの駐車場があるので利用させていただきました。9時スタート。

本堂ではなく、山の方向にある小さなお堂から道はあるようです。真っ赤なモミジに見送られて 鹿避けネットをくぐると赤土で滑りやすい山道が上へと続いています。ちょいと登ると 大正時代に造られた石の階段があってその上には石の小山とお堂のある広場。
紅葉のきれいなお堂の横手から登る石の階段奥にはまたお堂が

階段を登った正面に小さなお堂があるのだが、つい右手の岩の小山の方に視線が行ってしまう。 こちらには岩盤に大きな手堀の穴が掘られていて中には一対の石仏が安置されています。 さらに背丈ぐらいの位置にも小さな穴があって、それぞれ役行者、弘法大師の石仏がありました。

普段ならじっくりとこれらの石仏を見るところですが、お寺の入り口にあった案内の『腰掛け岩』とは たぶんこの上にあるのでしょう。それを目当てに三人ともそそくさと小山に登っていきます。 するとそこは岩と砂、そして松が周囲を取り巻く尾根の突端でした。下のお堂と違って明るく展望もよさそうだ。
腰掛け岩です。真下には石仏もある

真っ正面に岩を組み合わせた祠があって、ここにも石仏がある。見ると如意輪観音だった。 その上が真っ平らなテラスになっていて展望が広がっています。 どこに『腰掛け岩』があるんかな〜?と、周囲を見回していましたら、なんと先ほどの石仏の 祠の屋根部分がそうらしい。

『腰掛け岩』の由来は、山南町の慧日寺の開祖である特峯妙奇禅師がこの岩に腰を掛けて どこに寺を造ろうかと周囲を見渡したという。確かに腰掛け岩からは篠山川の流域の大半がここから眺められます。 「で、慧日寺ってどこなん?」と母たぬきさん。え〜っと、おお!!確かにここから真っ正面に慧日寺は ありました。
腰掛け岩からの展望
「あのむこうのピークって山南町の天狗山とちゃう?」と母たぬきさん。確かにそのようです。 西の方には黒田庄の天狗山も見えています。この辺は天狗が多いみたいやね。 特峯妙奇禅師にあやかって腰掛け岩に座ろうと思ったが真下には石仏があるし、 罰でも当たったらいややなあとふと思う。しかし写真効果を考えて一枚撮しましたが・・・・。

細い踏み跡があり、一直線によじ登っていくと赤白の高圧鉄塔に到着します。9時30分。 真新しい鉄塔は平成13年に出来たもので、播磨中央線の銘板がありナンバーもキリ番の「100」。 高見城山にある鉄塔と同じ系列のものです。視線を変えるとこれから向かうウチガネも見えています。

鉄塔からいきなりヤブですがそれを抜けて325mピークからは快適な尾根道となります。 色づいた落ち葉をサクサクと踏み歩くと言いたい所だが、前夜の雨で濡れているので 牛乳に浸けたコーンフレークって感じでしなしな状態。 あーだこーだと話をしながら登っていると頂上に着いてしまいました。 三等三角点、標高433.2m。10時15分。

特にこれといった展望もなくウチガネを後にします。次なる目標は高山というピークですが、 途中に寄り道も考えています。それは高山へ向かう途中にある386mピークから ちょっと横手にある篠場坂です。ウチガネから下る際は北へ激下りとなるので足元注意。 下っている途中で紛らわしい分岐に誘われてちょっとミスコースはご愛敬。
歩きよい稜線でウチガネへミスコースで植林帯を巻く

386mピークには10時55分。このピークは非常に紛らわしいポイントだった。 進行方向の左右に下っている道がある。 地形図を取り出してみると左は高山へ向かう町界尾根のはずだから、 寄り道する予定の篠場坂という峠はとうぜん右方向だと思いこんでそちらへ下ってしまう。 この時コンパスは見ていませんでした。(^_^;)

実は左方向に下るのが正解で、ちょっと下った所に高山と篠場坂の分岐があるのです。 てっきり386mピークが分岐ピークだと思いこんでいました。 これはコンパスと併用しないと地形図だけではわからないことです。 したがって我々の下った方向はまったくの見当違いでした。当然ながら下りきった所には峠など あるはずもありません。そのまま次のピークへ登ってそこで初めてミスコースだと気が付きました。 これって、如意輪観音のバチが当たったん??

もちろん後戻りしないと篠場坂へは行くことが出来ません。でも 激登りの386mピークへ帰るのは辛いので篠場坂までは山腹を巻くことにする。 幸いなことに下草のない植林帯だったので、仕事道&獣道をたどってドンピシャで峠に 到着することができました。やれやれ・・・。11時27分。
篠場坂石舟坂

『上下久 小倉』のでかい看板がある。丹波市発足の記念として峠の両側にある地域が交流登山を したときに建てたものらしい。峠付近に石仏は見あたらなかった。 後でわかったのだが山南町側に下った岩場にあるらしい。 う〜ん、これは残念。とりあえずここから激登りで386mピークへ登り返す。 とんだ寄り道だったがピーク手前で前述の高山への分岐を発見!!

気持ちを新たにして高山へ向かいましょう。せっかく登ったピークですが、ここも急下りが 続きます。降りたった所は暗い植林の中の鞍部でした。ここも古い記録にある峠(石舟坂)でしょうか? 峠を示す石仏等も無い。とりあえず写真を撮してみたが峠かどうかちょっと疑問が浮かぶ。 すると、本物の峠がその先にあった。12時ジャスト。

狭く小さな切り通しで、まさしく古道だった。ここにも石仏は無かったが山南町側に 祠があったのようなスペースが残っていたのでここになにかあったのかもしれない。 とりあえずお腹がぺこぺこなので早く食事をしたい。 明るく広い所で食事をしたいので峠を離れる。
食事ポイントの先に展望箇所があった
がまんができずに適当な所でお昼にしてしまう。まあ、どこで食べても 美味しい物は美味しいんですけどね。食後いよいよ高山へ登り始める。 ちょっと急だったので 「おやつにもらった八つ橋が喉まで戻ってきた〜」などと冗談を言っていると、 目の前尾根のど真ん中に大岩があった。それを登ると、あっ〜!! 展望がええやん!!ここで食事したらよかった〜。こういうのを後の祭りという。
たぬきさんの後ろに曲輪の段差が見える

たぬきさんは高山をその風貌からクジラだという。その尻尾から背中に登り、 いよいよ頭部へ来た頃、城跡と思えるような曲輪が現れる。 少なくとも三段ほどはあったろうか。最後の一段をクリアーすると真っ平らな 高山(妙見の尾とも言うらしい)の頂上だった。標高409m、三角点無し。13時33分。

三人ともてっきり砦跡だとばかり思いこんでいたが、ここは寺跡(方井寺)だと下山後に会ったおじいさんに 教えてもらった。麓から参道もあったらしい。「焼き討ちにあったから上にあった石は黒く焼けていたやろ」と言うが そこまで注意深く見ていませんでした。せめて五輪塔とか石仏でもあったらねえ・・・。

さて、ここからの下山も注意が必要です。急下りの斜面の等高線は一様で80mほど下ったところから尾根が発生しています。 コンパスで下る方向を確かめていざ下ろうとすると、なんとその方向に鉄塔が見えます。 「なんや、あれを目標に下ったら楽勝やん」今度は間違えなくてすみそうです。
鉄塔96からの展望

下る途中もずっと鉄塔は見えているのでヤブもほとんど気になりません。細い尾根に乗っかって目標にした 96鉄塔には13時50分着。ここからの展望もなかなかよさげです。 本当ならこの稜線上にある『オオ谷』というピークにも登ってみたかったのですが 夕刻からあるコンサートに間に合わせないといけないのでここで下山とします。

鉄塔ですからもちろん巡視路があるので下山道の心配をする必要はありません。 まもなく林道に出るであろうという時、下から誰から「誰かおるんか!!」と声がする。 降りてみるとおじいさんともう一人男性がいた。どうやら我々を松茸泥棒と思ったらしい。

丹波の松茸シーズンは15日までです。あと3日なのでもう大丈夫だろうと安易に考えていましたが それは間違いでした。入札によって止め山になっているのですからやはりこれに 従うのが常識というものです。幸いおじいさんの疑いは晴れて山のことをいろいろと 教えてもらいました。
集落からクジラのような高山を見る古墳の玄室に入ってみた

林道のゲート手前の広場に地蔵の石仏があった。墓所でもないし、なんでこんなところにポツンと あるかといぶかしく思いながら、写真もそこそこに通過してしまう。するとおじいさんが言うには あれは石舟坂にあった石仏らしい。ということは峠にあったあのスペースにあったのかなあ。 もうちょっとちゃんと写真に写していればよかったと悔やむ。

なんでもよく知っているおじいさんだった。「集落の入口付近に古墳があるんやけど見るか?」と言う。 古墳があるなんて聞いたこともないが立派なものが残っているらしい。だいたいの場所を聞いて 歩いていく。この辺かなあと言っていると軽トラで先回りしたおじいさんが目の前にいた。 「ここの獣除けネットのドアから行くんや」まことに親切極まりないおじいさん。

道標があるわけでもなく、ここまで聞かないととても行けなかったでしょう。 ネットに沿って道とも言えないような踏み跡を行くと ポッカリと口を開けた古墳がありました。盛り土も残っていて入口付近には 土砂が溜まっています。覗いてみると中は広くて高さは2mはありそう。 さっそく潜り込んでみます。

これだけ立派な古墳が誰にも知られずに眠っているのは もったいないことです。かといって価値のわからない我々が 興味本位で覗き込むのはもっともったいない?? 例のおじいさんいお礼を言いたかったがもう姿はなかった。 お寺には15時15分着。 その後、たぬき邸でお風呂と食事をごちそうになってコンサートも堪能!!

今回のウチガネ〜高山の地図は こちら(約200k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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