瀞川山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『村岡』を参照していただくようお願いいたします。

2005. 6.26.  日曜日  晴れ  気温蒸し暑い
週末、どこに登ろうかと地形図を眺めていたら瀞川で目がとまった。 昔、瀞川林道をドライブしていて山頂直下の登り口から5分で頂上に立ったことがある。 今回はそんなアホなことをせずにまっとうなルートで登ってみたい。

瀞川山に登ろうと思ったら東山麓にある『木の殿堂』からのコースがメジャーですが、反対の西にある 瀞川滝からのコースがあれば、滝も見れてそこから山にも登れるということで一粒で二度おいしいことになる。 落差60mの滝をクリアーできる道があれば、そこから瀞川林道までは距離も標高差もない。 たぬきさんから「どこかええとこないやろか?」というメールをもらい、ここのことを言ってみる。 すると以外や乗り気な返事だったので、それならばとこちらも同行をお願いする。

道の駅『ハチ北』に8時半の約束をするがたぬきさん夫婦は一時間も早く着いています。 私は時間通りに到着して、ニコちゃんを含めた4名で今日のハイクを楽しみますが、 車が二台あるので楽に周回が出来そうです。たぬき号を『木の殿堂』の駐車場に置き、 やまあそ号で瀞川稲荷へ向かいます。初めての所ですから道には不案内ですが、先着のたぬきさんが 下見してくれていたので指示に従って車を進めます。

兎和野高原を通り過ぎて板仕野の集落に入る手前に水車小屋がある。 稲荷へは正面にある新しい林道を行くらしい。ずんずんと前進をすると赤い鳥居が 現れ始め稲荷が近いことがわかる。その稲荷の入口には車止めがあるので そのまま林道を登っていくと休憩棟と呼ばれる建物と広場があったので そこに車を停めることにする。9時05分。

休憩棟の裏手に道があった。登る道と下る道、さてどっち?稲荷へ行くには下る方がみたい だったが、なんとなく登る方を選択する。路面はくるぶしぐらいまでの草がびっしりと 生えていて人が通った形跡がない??分岐の左奥に東屋が見えたのでそちらにUターンするように 行ってみるとはたしてそこが瀞川稲荷でした。
岩の隙間の奥にお社滝遊歩道入口にある桂

大岩があった。表面には大小の礫が浮き出ていてゴツゴツとしている。 真ん中に人が通れるほどの裂け目があって、正面には一対の御神燈と赤鳥居がある。 異空間に吸い込まれるように入っていくと最奥にお社があった。 これが瀞川稲荷のお社なのかな?? どういう由来でここに稲荷が祀られるようになったのか言い伝えでもあったら知りたいものです。 ぐるーっと境内を一周してあちこち覗いて、先ほどの分岐に戻り滝を目指す。

渓谷に降り立ち歩き始めてすぐに大きな桂の木に出会う。親木の周囲にはそれを守るようにたくさんのひこばえがあり、 さらに根っこ部分には石仏もあった。近づいてみると虚空蔵菩薩。この先、滝までに13体の石仏があるという。 よーく見るとずいぶんと新しくて、昭和も後期になってから作られたものらしくちょっとがっかり。 その後も大日如来、不動明王と次々と現れる。

石仏のある遊歩道は休憩舎から来ている林道と交差するが、林道を行かずにそのまま遊歩道を歩く。 林道の終点で再度交差して、ここからは渓谷を遡る道だけとなる。車はこの林道終点までやってこれるが それでは瀞川稲荷をパスしてしまうことになるので、あの休憩棟に駐車したのは正解だったかも。
双身の滝谷を遡っていく

2条に流れ落ちる『双身の滝』には9時40分。空梅雨で晴天が続いたせいか水量は少ない。 さらに上流へ向かって登る。何度か渡渉を繰り返すが、水量が少ないので危険もなく スイスイと渡っていけます。何体の石仏の横を通り過ぎただろうか?もう 10体以上見てきたのでそろそろ滝に到着のはず・・・。

谷を隠すように左右から張り出した緑深い梢越しに瀞川滝が見えました。近づくと それはとてつもない断崖でした。落差は60mですが上段が奥に引いているため2段に 落ちる滝になっています。 ここも水量が少ないので岩肌だけが妙に目立っているようです。10時10分。
瀞川滝右斜面をよじ登って見下ろす

正面はほぼ垂直と言えるような断崖。左右も同様の断崖がぐるっと谷を包み込むようにあります。 実は前日にやまごさんからの情報でこの滝の右から滝を越える道があるらしいと メールがあったのです。今回はそれを利用しようというもくろみだったのですが、 なんでもそれは10年前の話らしくて、実際に来てみるまではなんとも言えない状況でした。

滝の右上を眺めてみても踏み跡もなんにもありません。 とりあえず私だけがよじ登ってみる。足元はガレガレで浮き石に足をかけると 下に崩れ落ちてしまう。手元にある草は掴むとブチブチとすぐにちぎれてしまう。 足元のしっかりした所まで登り、周囲を眺めてみるがそこからも踏み跡はなかった。 仕方なくみんなの待つところへ降りる。

さて、どうしたものか。ちょっとでも踏み跡があれば道と確信してそれをたどっていたのでしょうが、 それがないのでは引き返すしかありません。谷を下りつつ途中に見落とした踏み跡がないか確かめながら林道の終点まで 戻ってしまいました。谷の途中にないのなら、ひょっとしたらこの林道の終点付近に瀞川山(瀞川林道)への道があるのでは??
瀞川林道へ登る道を行く太平展望台で昼食

なんとも都合の良い想像でしたが、ズバリ、その道がありました。林道の終点からちょっと 下ったコーナーの所にオリエンテーリングに使うポストがあり、そこから水平道が続いています。 水平ならまだしもこの先から下っていかないことを願いつつ前進を続けます。 やがてつづら折れに急な登りになってきてようやく確信が持てました。

目の前が開けて谷の向こうに我々が車を停めた休憩棟も見えています。 たわわに実ったブナの実を眺めたり、道の横から流れ出ている湧き水を見たりしている うちに道標のある分岐に出てきました。表示はありませんが、左を行くと瀞川林道にある展望東屋、 右方向には瀞川山と表示があります。11時35分。

足元には花の散った後のショウジョウバカマ、イワカガミの葉っぱもたくさんあります。 お昼前なのでみんな空腹で足を引きずっています。 おっと、ニコちゃんがササユリも見つけました。 尾根道はしっかりと整備されていて歩きよい。汗だくで登りきった954mのピークは 太平展望台と呼ばれる芝のピークです。名前のような展望はまったくありませんが ヤマボウシの木陰で涼みながら食事にしましょう。12時10分〜30分。
林道出合いで発見!!一直線に延びる瀞川林道

このピークから下ったところが瀞川林道との出合いになります。尾根道はまだ続いていますが 私とニコちゃんはうるさくつきまとう羽虫を避けるために林道へ、たぬきさん達はそのまま尾根道を 行きます。その尾根道をよーく見ると、草ボウボウではありますが右に巻いている道がうっすらと見えます。
実は下山後に野外活動センターでもらった地図には瀞川滝からこの林道出合いまで道があるように 書かれていました。今見ているそれがその道です。滝では無くなっていた道がここではかろうじて 残っているようです。

二手に別れた『たぬ・あそ登山隊』ですが、すぐに林道で合流してしまいました。 ここは木の殿堂への下山口もありますが、正面に一直線に延びた瀞川林道をひたすら進みます。 直線林道が曲がり始めるところが瀞川山への登り口。ここまでくればもう頂上みたいなもんです。 木の階段を上り詰めると・・・。

標高1039.2m、二等三角点の頂上に13時20分。林道からだと5分なのに、まっとうな?ルートからだと 4時間以上かかって登りました。今日はすごく暑くて大平展望台でビショビショのシャツも着替えました。 体内はカラカラでもう一滴の汗もでません。(>_<)
瀞川山の頂上。かすみが無ければ多くの山が見えます
写真ではわかりませんが、かすみの向こうには結構多くの山が見えています。 父たぬきさんは無線をしてみますがどこからも応答はなし。暑いからだれも山には 登っていないのかな??じっとしていると干からびそうですから下山しましょうか?

下り始めて、今日初めてのハイカー達と出会う。見ると平均年齢75歳以上と思われる高齢者ハイカーの 団体である。どこから登ってきたのでしょうか?木の殿堂からか、あるいは林道からの5分ルートか?? この暑さで、あの高齢で・・・、う〜ん、大丈夫かいな?

復路も林道を歩くのはいやだったので頂上直下にある分岐を右に折れる。地形図には書かれていない ルートなのでどこに行くのか興味津々。このまま木の殿堂に降りるルートと合流するのかと 思っていたら、ありゃ、またぞろ林道に出てしまいました。仕方なく暑い林道を歩き、『木の殿堂』と立派な道標のある 分岐で東に下っていきます。

ここからは迷いようのないルートです。傾斜もゆるやかで道幅もしっかりとあり、両側は雑木で緑の トンネル状態です。歩いて下るのがもったいないと思うのは私だけでしょうか。 今日のように誰とも出会わなければMTBで下ってみたいルートです。( 下りだけに関して言えば木の殿堂まで乗車率ほぼ100%)
お花も咲いている下山道木の殿堂が見えました

十石山(標高870m、三角点なし)には14時35分着。雑木に囲まれて展望は皆無だが ササユリが二輪あるのがうれしい。ここからの下りは二方向に分かれていた。 展望コースと森林浴コースとなっているが、地形図の点線ルートは展望コースのようで、 こちらを選択する。言うほどの展望は無かったが春なら花が多いだろう。

森林浴コースと合流して森の中を下っていくと木の殿堂への舗装路に飛び出る。 普通の服装の一般のお客が薄汚れた我々を見て「へえ、あんなところに登山道が?」なんて 表情をしている。出口には道標がありそれには『瀞川山頂3900m・・・』とあった。 時計は15時を過ぎたところ。駐車場でたぬきさんから冷たいゼリーをいただいて クールダウン。いや〜、とにかく暑かった。次回は滝越えルートだ!!

今回の瀞川山の地図は こちら(約180k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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