物部山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『但馬竹田』を参照していただくようお願いいたします。

2005.11.26.  土曜日  晴れ  気温温かい
朝来市近辺の山に登りたかったが、暖かい季節はなんといっても山ヒルがうじゃうじゃの 山域なので近寄ることが出来ません。ようやくヒルも出なくなったようなので 手始めにまずはこの山を選んでみました。どこから登って、どこから下ろうかと地形図を 見ながら思案しましたが、とりあえずは登りだけ決めましたのであとはぶっつけ本番でいきましょう!!

和田山町の物部集落へ車を進める。JRの青倉駅のちょっと北には集落名の由来となる 物部神社とその鳥居があった。その西には広い谷が広がっており、地形図には 点線ルートが尾根を越えて上八代まで続いているのがわかる。その峠と思える所から 支尾根を登れば町界尾根へ、さらにそこから頂上まではわずかの距離とみた。 谷の入口にはゲートがあったのでその前に駐車する。 いつものように周囲の民家を数軒訪ねてみたが、どうもかんばしい情報は得られなかった。 時計を見ると、やばい!9時半を過ぎてしまってる。

ゲートからある舗装路をてくてくと歩いていく。この辺に物部城があったと聞いたがどのへんかな? 街道を監視するのであれば播但の高架近くにある小ピークが怪しいぞ・・・。などと 思いながら畑地跡を抜けると道は二手に別れています。その分岐点には村の人から聞いていた 祠があります。山中にあったものをここに降ろしてきたらしい。見ると真新しい石柱があります。 そこには『播但連絡道ノ貫通ヲ天与ノ好機トナシ山神小祠ノ再建ヲ達成シ得タリ・・・・・』とある。

その分岐は左を選択すべし。林道の横には広い谷につきものの棚田跡が広がっていますが、 これまたお決まりの植林がされています。そのため薄暗くて下草などはありません。 それが良かったのか綿々と続く石垣が昔のままの姿で残っています。
ゲートの向こうは播但自動車道の高架堰堤横でちょっと一服

地形図の堰堤マークまでやってきました。古い砂防ダムはすっかり砂で埋まっています。 道の真ん中には古い立て看板があり、スキーのストックが3本立てかけられていました。 そしてなにやら文字が書かれています。『入山証なき者 松茸とるべからず 物部区長・物部区山林委員』 おお!松茸山やったんやね。ラッキーなことに15日は過ぎていますからおとがめはないでしょう。 さらに猟犬の鳴き声も聞こえなかったので散弾銃で撃たれる心配もなさそうです。 3本のストックは入山した村人が使っているのでしょうね。
気持ちの良い峠への道だったが土砂崩れで道が・・・

このまま快適な道が続けば良いと願っていたが、そうは問屋が卸しません。植林を抜けて 谷が狭まった所で期待通り?にガレガレになっていた。どうやら台風か大雨で土砂崩れを おこしたみたいです。道は完全に無くなっていますがとりあえず歩ける所を歩くしかありません。 ぎょえ!!でかいスズメバチが飛んでます。前門の土砂、後門のスズメバチ・・・。

正面左手はズルっと山腹の斜面が崩れ落ちていて、人間の皮膚をはぎ取ったように 生肉色の山肌をさらけ出していた。これが谷を埋める原因になった土砂崩れの斜面。 峠は正面より若干右奥のはずだからとそちらへ視線を向けると獣が作った細い踏み跡がある。 それをたどると思った通り埋まっていない峠道と再会する。
八代越えの無名峠に着きました

小さな掘切の峠には10時25分着。ここから正面の谷に下ると思ったら、ちょっと山腹を巻くように 水平に道はあり、隣の谷を下るようになっていた。地形図を見るとその通りになっていて「おお! 正確やん」と思わず声が出る。きれいな峠なのに石仏とか道標のたぐいはなく、物部集落で峠の名前も聞いたが 知らないと言われたし、物部側は崖崩れになっているかわいそうな峠である。

足元にbPの石標があり、そこから物部山へ向かって枝尾根上にきれいな道がある。 歩き始めたが驚くほど良い道だった。周囲の状況から考えて松茸を採るための道だろう。 途中に小ピークがあるが石標は16だった。地形図を見るとその先に『!』マークがある。 なんだろうと見てみるとちょっとした崩落の斜面だった。滑り落ちても怪我程度で 済みそうだがここも地形図は正確やったね。

石標30の所まで来た。地形図を見るとここから南東にまっすぐ枝尾根が延びていています。 それは398mの標高点を経て林道分岐にあった石の祠まで続いています。見える限り踏み跡もあったので ひょっとしたらここから下山も可能かも!!
枝尾根にはきれいな道が・・・さらに町境界尾根は大回廊だった

和田山町と朝来町の境界尾根ピークには11時05分着。石標を見ると36。ここまでずっと雑木の尾根で しかも歩きよい道まであったので楽勝でした。やはり山は登ってみないとわからんもんやね。 西を見ると物部山の頂上があり、東には下山にうってつけの踏み跡がある。 大路ダムまで下るも良し、途中の614m標高点から南東へ物部神社まで下るも良し。 ここも下山の候補コースとする。

大回廊で一気に頂上を目指したいところだが、竹田城付近が樹木越しに見えるために撮影で 何度も足を止める羽目になる。結局はまともな写真も撮せないまま頂上に着。11時30分。 標高はCa.700m、三角点無し。標石のナンバーは46でした。実はここより200mほど北に 三等三角点があって、ここよりちょっぴり標高も高いところがある。 しかし、ここは養父町、和田山町、朝来町の三町境界ピークになっており、下界から見ても 山頂にふさわしいところである。

南西を見ると八代峠への稜線があってこれも歩けそうだ。ただし、こちらに下ると帰るのがたいへんになる。 北に目を向けるとここと同じような標高の三角点のあるピークがあって、当然ながら歩けそうな感じである。 とりあえずは腰を落ち着けて食事とする。風が吹くたびに枯れ葉がハラハラでなくバラバラと大量に落ちてくる。 山は急速に秋から冬へと姿を変えつつあるようだ。
山頂でコーヒーを楽しむ下山の尾根も広い道がある

コーヒーも楽しみ、久しぶりにオカリナも吹く。スーッと気持ちが落ち着いていくのが自分でもわかる。 山と自分が同化していく一瞬である。吹く曲はもちろん『物部姫』ならぬ『もののけ姫』です。(^_^;) 数曲奏でて満足、満足!!無線をつけてみると五台山のたぬきさんと繋がる。

さて、いよいよ下山です。登る途中に見つけたいろんなルートの内どれで下ろうかと思案しましたが、 ピークから北にある唐川と大路ダムを結ぶ峠が気になって仕方ありません。 この峠から大路ダムへ下って円山川に沿って物部に帰ろうかな?? でも結構な距離があります。しんどいとわかりつつも未知のルートを行ってみたくなるが、ふとこんな 格言を思い出す。『適度の好奇心は人間を賢くするが、余計な好奇心は人間をバカにする』

12時30分下山開始。三等三角点(標高707.5m)のあるところはピークというより稜線上の途中と いった感じで、狭くヤブっていたので先ほどの三境界ピークでお昼にしたのは正解でした。 どういうわけかこの辺だけヤブになっていて先行きが不安になる。引き返そうかな・・・。
伐採地から広がる展望
不安は杞憂だった。ちょっと先からは広く切り開かれた尾根道が下っている。さらに伐採地に出たとたん 東方向に気持ちよい展望が広がった。カスミがあったので遠望はほとんどだめだが近くの山々は きれいに見える。竹田城趾はもちろん、その竹田城へ水を供給していたという伝説のある大路山、 落城の際にお姫様が逃げたという金梨山、愛宕が朝来への変化したという朝来山。下を見ると大路ダムの水面も 見えています。

鞍部に着きましたが峠という雰囲気ではなかった。ん?おかしいなあと思いながら そこ越していくとその向こうが細い切り通しの峠でした。13時05分。 養父町の唐川と和田山町の久世田(あるいは大路かな?)を結ぶ峠です。 ここにも石仏はありませんでした。しかし、ちょっとした敷地跡のような所があり、 そこには巨大な松の倒木があります。ひょっとして祠かなにかがあってこの松が 峠のシンボルだったに違いない。
峠にあった巨大倒木大路ダム

あとは大路へ向かって降りるだけです。明確な峠道でしたがジグザグに下っていった先には 大倒木地帯が待ち受けていました。まともに進入したらどれぐらい時間がかかるか わかったものではありません。ここでも動物たちはうまくエスケープルートを 造っていました。下りではわかりやすいですが、登りではちょっとわからないですね。

林道がすぐ左に見えてきますが、地形図の点線ルート(峠への古道)がどこまであるのか気になるので そちらを歩いていきます。きっと何百年も使われていたのか深くえぐれた道になっている。 それもやがて林道と合流してしまいそこからは長い林道歩きとなる。 やがて林道の入口に到着。鎖ゲートの向こうはダム湖になっています。 ここには『寺山地蔵堂』がある。中には四体の石仏がありますが寺山(大路山)の中腹にあった 千眼寺に由来する石仏だと思う。

ダムを通過して舗装路をダラダラと下っていくとそこにも石仏があった。 細長い石柱で上部に弘法大師が彫られ、下にはこうあった。『右 たきのや おう屋 道  左 者り満(はりま) 道』とある。 これこれ、この『たきのや おう屋』って部分、これこそ峠への道標です。 この時点で14時10分。ここから延々と舗装路を歩いて自動車にたどり着いたのは14時50分。 わずか40分でも舗装の歩きは辛いです。

聞き取りを続けようかと思ったが舗装の歩きがこたえてしまいました。これで帰ることにしましょう。 聞き取りをするなら物部の区長さんか、松茸摂りに山へ入っている山林組合の人がよさそうですね。

今回の物部山の地図は こちら(約200k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


ホームにもどる