御祓山『桜縦走』 その2

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『大屋市場』を参照いただくようお願いいたします。

2005. 4.16.  土曜日  晴れ  気温あつい
一昨年に引き続き、今年も『みづめ桜』と『樽見の大桜』の両方を訊ねてみたい。 もちろん歩きではなく前回同様MTBを使用します。既知のルートですから 地図が無くても大丈夫だし、どれくらいの体力が必要かもよくわかっています。 そこで今回は大屋富士にも寄り道をしてみましょう。はたしてどんな発見があるか楽しみ〜。

やまごさんもつつじと桜を見てみたいという。ならばご一緒いたしましょう!! まずはやまごさんの車を『樽見の大桜』の駐車場に置いておきます。そこから 私の車で『みづめ桜』の登り口である糸原まで行く計画です。 ところが『樽見の大桜』駐車場への道が去年の台風のためか通行止めになっていて途中の路肩に 停めなければなりません。

舗装林道を登り始めてすぐの所に3台ほどの自動車がすでに路肩に停めている。 地元のおじいさんが番をしていてるのでここが車がやってこれる終点なのでしょう。 やまごさんの車もここに停めてリュックを取り出したり準備をする。 そのあいだおじいさんに話しかけてみるが、なにが気に入らないのか言うことすべてに つっけんどんな返事しかない。

「桜のある場所は桑畑だったそうですけど、いつ頃までやっていたのですか?」
「あんたらに、それを言ってなにがわかるんや」
などなど・・・話題を変えてもすべてこの調子。 若い奴なら胸ぐら掴むところですが相手は棺桶に半分入りかけたような老人です。 よほど過去に辛いことでもあったのかと哀れんでその場を去る。
登り口に出来た東屋つつじは8分咲き

一転してここは糸原の駐車場。こんどは私がMTBの用意をして9時30分スタート。 林道は工事中で路面の整地途中という感じ。 棚田跡を過ぎて小橋を渡ると、ここにあった簡易上水道の施設跡やら軽自動車の廃車も片づけられ 新たに標識が設置されています。 正面はみづめ桜へ直登する北コース、右を行くと3年前下山に使用した南コース。 さらには東屋まで出来ていて、わずか3年で大きく様変わりしています。
コバノミツバツツジ

登山道まで変化しています。尾根に直登するようにあった道に加えて、 大きく山腹を巻くように新道が出来ています。しんどいですけど直登の方が時間短縮できるので それを登っていきます。ツツジは咲いていますが、どうも昔と雰囲気が違います。 よーく見るとツツジ以外の周囲の雑木がばっさりと全て伐採されているのでした。

たぶん地元の人がツツジだけを目立たせるためにそうしたのでしょうが、どうも違和感だけが 際だってしまい昔感じた感動がありません。周囲の雑木の薄い緑があってこそ、あの鮮やかな 紅色がきれいなのにツツジの周囲は赤土の荒れ地状態です。帰りの駐車場でお話した ハイカーもまったく同じことを言っていました。
氷ノ山にはまだ雪が多い

上から降りてきたカメラを持った人にみづめ桜の様子を聞いてみると残念なことにまだまだと言う。 それならば急いでも仕方ないのでツツジやら山の写真を撮っていよう。 南を見ると大杉山、須留ヶ峰の両ピーク。山腹に白く見えるのはタムシバだろうか。 北にはまだまだ多くの雪をたたえた氷ノ山。前を歩くグループに天滝が見えるのを教えてあげる。
まったく咲いていませんでした  (T_T)

みづめ大桜には10時50分着。先に聞いていたとおり、つぼみはあるもののまったく 咲いていない状態でした。実は駐車場の入口にも18日〜24日頃と手書きの案内もあったのです。 北斜面に斜めに突き出すように出ている幹には大きなウロもあるので 倒れてしまわないか心配だ。根元を歩くと根が傷んでしまうのでその注意書きもある。

MTBを担いでこんなところに来るのはやはり珍しいらしい。ハイカーから奇異の目で見られるが、 その中には私のHPのファンも少なからず居てくれているようで、MTBを担いだ姿から やまあそとわかってくれて声を掛けてくれる人もいる。

山頂を目指す。桜のあるところから南コースへの巻き道があり、そこから頂上への尾根に出るように なっている。それを無視して斜面にある古い踏み跡をたどって登ると短時間に尾根で出られます。 すでに私はヘロヘロで空身のやまごさんがうらやましい。 何度か登って思うのだが標高670m付近に不思議に広い平地がある。それを通過すると 山頂直下はけっこう急な登りが連続する。標高773.1m、大きく割れた三等三角点の 御祓山の山頂には11時25分着。

ここでお昼にしましょう。山頂には単独男性、二つのグループ、それと我々、全部で20人を 越えているでしょうか。この山がこれほど賑わうとは思いませんでした。 樹木の間からわりと多くの山が望めます。そしてこれから向かう樽見の桜のある上山高原の畑地も 大きく望めました。我々は尾根を縦走してそこへ向かいますが、二つのグループは一旦下山して 車で樽見へ向かうらしい。

最初に降りていったグループのいた場所を横切って縦走を開始しようとしたら、そこには多くの ゴミが放置したままで驚く。分別のある年代の男女のグループで、姿形はちゃんとしたハイカーだったが マナーは最低!!どうも、最近の年寄りはやることがなってない!!こんな日本にしたのは おまえらや!!残っていた別のグループの人達がそのゴミを片づけてくれて感謝!!
大屋富士への作業道途中からの展望

御祓山は見る角度によっては双耳峰に見えます。その二つ目のピークを過ぎるとキープレフトで 枝尾根に入らないように・・・。いきなり広い道が現れます。車も通れるような林道と尾根とが合流。 目の前に大きな雑木のピークがあります。ここが上山高原と大屋富士への分岐です。 わかりにくいけど左にある作業道で私は大屋富士へ、やまごさんは右の林道を経て樽見の桜へ 先行します。ということでここで一旦お別れします。12時30分。

一昨年はこの作業道にちょっと入り込んだだけでUターンしてしまいましたが、今日は向こうに見える 大屋富士を目指します。作業道は幅が狭く車はもちろん無理ですが、MTBにはなんら問題もありません。 快適に走行できるのですが、途中には動物除けのネットがあり、何度もゲートをくぐらねばなりません。 ダウンヒルで下りきってネットに沿って登り返しますがピークから離れていく方向になり、あわてて そこにあったゲートをくぐります。そこは暗い杉植林帯でしたが目を凝らすとなにやら石柱が見えました。

整然とした石垣が残っていてその真ん中に石柱が立っています。それには『村社之旧跡』横手には 『明治三十九年午八月移転』と彫られています。現在このお社は糸原の村に下ろされていて、村の おじいさんに聞いたところそれは『うぶたま(たぶん産霊あるいは産魂という漢字だと思う)神社』と言うらしい。 これで思い出した事がある。御祓山の麓には御井神社という五十猛命を祀る神社がある。 (話は逸れるが五十猛命は大屋毘古神とも言う。大屋町の町名はここから来たのか??) 御祓山の山名もこの神社とは無関係ではない。その昔は御祓山の山頂にこの御井神社があったという。 実際の山頂にはそれほどのスペースはないが、登る途中にあった標高670m付近の平地が怪しい。

さらに御祓山の南東にはカカナベという峠がある。初めてこの峠の名前を聞いたときは 「はは〜、カカアがナベ持ってこの峠を越えたんかぁー」なんて、お気楽な想像をしていましたが、 カカナベとは神辺(かんなべ)が変化したものでしょう。そうなると御祓山に隣接する大屋富士 (この山名も近代のものですから古名がぜひ知りたい)にあるこの産霊神社跡も関連のあるものと 想像をたくましくするのでした。
山中にあった石柱上山高原の向こうに大徳山

お社跡を後にして大屋富士の三角点を捜します。遠くから見ると雑木のたおやかなピークだったのに 、実際は倒木もあるしあろうことか三角点が見つかりません。樽見に到着したであろう やまごさんを長く待たせるわけにもいかないので 残念ですがここを離れます。林道分岐に戻りやまごさんを追いかけます。

林道はすぐに終わり、終点から細い尾根に入り込みます。 左右のうるさい枝などは刈り取られているので人間が歩くにはなんの支障もありません。 それどころかちょこっと乗れる所すら有ります。途中にある小ピークからは 上山高原とその向こうに大徳山、さらには床尾連山も。

尾根から上山高原にある林道に降りたったとたんやまごさんから携帯が入る。14時05分。 ちょうど樽見の大桜に着いたらしい。「よっしゃ、飛ばして行くわ」スポドリをぐいっと飲んで 走り始めます。すると前から男女4人がこちらに向かって歩いてくる。 みると年配のお二人が両親で若い(20代後半?)男女は子供さんのようだ。 「樽見の桜はこっちですか?」と、お父さん。 いきなりとんでもない質問にこちらも驚く。「こんなところ行くととんでもないですよ。 樽見の桜はまったく逆方向です!!」
『おおや花霞の森案内図』が目印

この高原は牧草やらハウスやらがある畑地が続いており、それに沿って農道がある。 彼らはなにを勘違いしたか、高原まで車で来て農道を延々と歩いてきたようだ。 途中にあったはずの『おおや花霞の森案内図』を無視してここまで来たようです。 「私もその桜を見に行くところです。でも自転車なのでいっしょに行けませんが、 ルートは・・・・」と、丹念に説明する。

親子に先行して遊歩道に入ったものの花霞の森の遊歩道は荒れに荒れていた。 彼らは迷わずにここに来るだろうか?倒木を跨ぎ、階段を担ぎ下ろして傾斜の緩やかな 桑畑コースで大桜の広場に飛び出す。14時30分。予想通り大勢の人でいっぱいだった。 やまごさんもベンチに座って待っていてくれた。さっそく桜の写真を撮って コーヒーで一息着く。
今年も見事に咲いていました
それにしても先ほどの家族が気に掛かります。ここにやってきても車のある所に戻るのがたいへんです。 私の車は糸原にあるし・・・・。やまごさんに話をすると話の内容もわかってもらい、その親子を 送ってくれるという。そうこうしていると彼らも無事にここまでやってきました。 おかあさんが「あそこで逢わなかったらとんでもないことになってました」と恐縮している。 やまごさんに送ってもらえることを説明して、安心してゆっくりと桜を見てもらう。

それにしても暖かい陽気です。犬を連れている人、赤ちゃんを抱いて来ている人、きれいな洋服と町中で 履くような靴の人。この陽気なので下山途中にある暗い林の中にはひょっとして山ヒルが 出てきているかもしれません。ここは確実に出るポイントなんです。 その恐怖を知っているのは私とやまごさんぐらいでしょう。

15時を過ぎましたので下山します。私は自転車なのでやまごさんに後のことをお願いして 先に下っていきます。今日はギャラリーが多くて下り始めると上からの歓声が聞こえてきます。 しかしハイカーの邪魔にならないように、人のいるところはストップ、いないところは楽しく ハイスピードでかっ飛びます。全乗りで面白いダウンヒルだ〜。前回同様、駐車場からは 古道を下ります。県道はのんびり走りましたが30分ほどで車まで戻ることが出来ました。

今回の御祓山『桜縦走』の地図は こちら(約160k)でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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