古法華周回

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『笠原』を参照していただくようお願いいたします。

2005. 1.30.  日曜日  晴れ  気温寒い
2週間前に行った平荘湖周回は私の提案で大成功??でしたが、今回の古法華周回はM氏の発案企画ということで、 期待20%不安80%どうなることやら・・・。 弁当を買うために立ち寄ったスーパーの駐車場で今日のルートを教えてもらうが 思った以上に面白そうなコースです。しかも私が予想してプリントした地図をはみ出でてしまうような ロングコースです。果たして最後まで歩けるでしょうか?

まずは善防山へ登るのですが、登り口はいくつかあります。一番ポピュラーなのは郵便局前の登り口でしょう。 しかし、我々は下里小学校からのコースを選択します。したがってこの近くに車を停める必要がありますが あまり良い所がなくちょっと無理矢理な感じで停めてしまいました。8時45分スタート。

小学校の入口左手に林道風の道があります。たぶんこれでしょう。ちょうど民家のおじさんに出会ったので 善防山の登山口を訊ねてみるとこの道が正解らしい。進んでいくと、こんな所に住んでどうすんの??って いうぐらい奥にも民家があって驚く。バブルのはじけた分譲地を上がっていくと『第2登り口』という標識に出会う。 下里小学校の生徒達が付けたものらしい。

激登りでしかも滑りやすい。M氏も郵便局ルートの方が楽だという。(なら、そっちから 登ればよかったのに!!)登りきるとそこはいつも出勤途中から見える岩盤の尾根である。 一度は歩いてみたいと思っていたが今日その思いが叶ったわけだ。 郵便局コースからの合流点でもあるここは、どうみてもそう見えないのだが『富士山』と言うらしい。
岩尾根に出た登りから振り返る

ここから一登りで善防山だが、岩尾根はたとえ標高は低くても開放感にあふれて楽しいものです。 本来なら大展望なのでしょうが、ちょっとモヤがきついし逆光なので写真的には良くありませんね。 ピーク直前に分岐があります。左へ下るのは『牧場行き』とあり、右へは『第二頂上』とある。 その第二頂上には『とんがり岩行き』という標識もあります。このとんがり岩はまさに名前通りの とんがった岩ですが、県道から仰ぎ見て「あの岩、えらい尖ってるけど、あそこまで行けるんかなあ?」 と思っていたポイントです。この標識で行けることがわかり、M氏も俄然興奮しています。

第二頂上から3分ほどで善防山本峰です。9時25分、三角点無し、標高251m。ここは有名な山城跡でもある。 そのためか奇妙な看板が掛かっている。『この山上には赤松義則の八男、則繁が城を築いていたが 嘉吉の乱(1441)に落城した。則繁の軍勢は地形を利用し全山の岩肌に油を含んだ「竹の皮」を 敷き詰めた。敵は滑って攻められないと思ったが、敵はその竹の皮に火を放ち白は炎に包まれ山名勢の 大軍の前にあっけなく落城した。この合戦は凄まじかったのであろう。明治初期まで白骨体が 木の葉の下に眠っていたという。姫路○○○の会』
善防山頂上は城跡です丸岩で遊ぶ

知らない人は「へえっ〜、そうなんや」なんて、感心するかもしれませんが、 実はこの『竹の皮・・・云々』という逸話は、この近辺の山城の多くにそっくりそのまま同じお話として 語り継がれています。ということは、 この善防山城がオリジナルなら話は別ですが、どうも眉唾な逸話と言っていいでしょう。 さらに明治初期まで白骨体があったというけど、400年以上野ざらしの骨が残っているはずもない。 どうもこの姫路○○○の会自体も眉唾と言って良いだろう。

この城跡、邪魔っけな大岩が点在するものの、けっこう敷地はでかい。さらに北側には明確な 曲輪跡も残っている。現在は笹と雑木で覆われた展望のないピークだが、昔はその規模からして 遠目からでも目立つものだったと思う。その頂上を離れるとすぐに丸岩という大岩がある。 こういうのを見ると登りたがるのが二人の悪い癖だ。
さ〜て、吊り橋を渡って笠松山へ!!

下り始めると次なる目的地の吊り橋や、笠松山が大きく望めます。 写真を見ると吊り橋から一直線に笠松山へ向かっているように見えますが、実際は 右に大きく回り込みながら笠松へと向かっています。 ちょっと滑りやすい下り道を駆け下るとあっという間に吊り橋に着く。

ここはこの縦走路中のもっともハイライトな撮影場所だ。ただ、歩いているだけでは面白くないので 吊り橋からぶら下がってみるか?そういや、この吊り橋を昔MTBで駆け抜けたことがある。 今思えば無茶な話です。それともう一つ、この20メートルほどある切り通しの断崖のどこかに 磨崖仏が彫られているという話を聞いたことがある。何度か確かめたことがあるが未だに 見つけることが出来ない。だれかその真偽を知っている人はいるのだろうか??

尾根の東側は今も現役で採掘されている採石場がある。その上を通過するが道幅が広いので落っこちることはない。 反対に西側は採石場の跡地で、こちらはクライミングのメッカになっているようです。 今日も数名の人達がそれらしいことをやっていました。
笠松山頂上にある展望台から。まだカスミは晴れていない。
石彫アトリエ工館からの道と合流して、そこから少し登ると笠松山の頂上になります。 10時15分、三等三角点、標高244.4m。実際は展望台があるのでプラス数mしてください。 ここぞまさに360度の大展望のはずなのですが、北は雪雲で笠形すら見えず、南は逆光で真っ白、東西はカスミのために まともな展望は望めません。チョコをちょこっと食べてエネルギーを補充。

この頂上からは南の石彫アトリエへ降りる道、西の東屋を経て大柳ダム湖へ降りる道、北の熊野神社へ降りる道の 三通りがあります。M氏の計画では北へ下っていくという。といっても、通常ルートの熊野神社へは降りません。 一旦下界に降りてからは夕陽ケ山というピークから大展望尾根(写真の白線)を経て善防山へ帰る予定です。

その熊野神社への北尾根は今までと違って面白味に欠けたルートでした。 展望もなくただ淡々と歩くだけです。やがて214mの標高点に到着。10時47分。 ここを右に折れれば権現堂、熊野神社を経て下界へ降りることになるが、我々あほたれ中年隊は このままこの尾根を北進するという。でも権現堂までわずか100mほどなのでちょっと寄り道してみる。

小さな広場の奥の石段を登ると前殿と祠がある。その祠はなんとコンクリートで出来ていて ありがたみも味気もない。祠の裏手が一段高くなっていて、そこへ行ってみると大きな石組みが 地面から飛び出ている。よく見ると石室の一部の様にも見える。ということはこれは古墳か??
権現堂へ寄り道妙厳寺へ下山

214mの標高点に戻り、そこから尾根を進む。先ほどまでと違っていきなり小ヤブとなる。 まあ、進めないほどでもないので気にせずに行きましょう。すぐに右90度に進路変更を しなければいけませんが、このポイントはじっくりと地形図を眺めてください。 楽に歩ける所もあれば、腰までシダで埋まるようなところもある。 そして剣坂山に到着。11時30分、四等三角点、標高178.6m。

ピークは狭く展望もない。北に下る道があるのでそれを利用して下ることにする。 傾斜が緩やかになった頃、山中に祠を発見する。その向こうにはお寺の本堂がある。 降りてみると妙厳寺というお寺だった。11時45分。小さいお寺だが境内は掃き清められて すがすがしい。これで前半のコースは無事に終了して私の気分も爽快だ。

ここから県道を歩いていき後半のルートの取り付きへ向かいます。 まったく予定通りの時間だったが、唯一具合が悪いのは食事が山の上で摂れなかったことです。 舗装路の横手で食事をするのはいかにも侘びしいが、ありがたいことに途中にため池 があったので芝の堰堤でひなたぼっこをしながらお昼にします。 水面の上に見えるピークは先ほど通過した剣坂山です。
夕陽ケ山へ登る

第二ステージ、いよいよ後半ルートに突入します。さて、夕陽ケ山への登りですが 「こんなんはどこからでも登れるんや」と、M氏はあちこちと首を突っ込みます。 その都度ヤブに阻まれて徐々に南へと向かっていき、結局小原新新池というため池まで やってきました。ここから登れるだろうと思っていたとおり、堰堤付近から踏み跡があります。 (最初からまっすぐここに来ていたら良かったのに!!時間のロス!!) 夕陽ケ山の頂上には13時30分着。四等三角点、標高227.6m。ここから見る夕陽はきれいなのでしょうか?
夕陽ケ山から古法華山塊を眺める
古法華の前半コースだった善防山から笠松山、剣坂山までがここからは一目で見渡せます。 「ここからの縦走尾根はず〜っと展望があるんやで」と、M氏も誇らしげに言います。 道もきっちりとあるし、ほんとここはお勧めルートです。 しかし、ここから見る善防山ははるか向こう。しかも目の前のピークは鋭く立ちはだかり、 いくつもアップダウンが続いている。はたして夕方までに戻ることが出来るのかなあ・・・??
振り返ると尖ってます火薬庫です

実際は案外楽ちんにピークはクリアできます。振り返ると通過したピークは確かに鋭く、 尾根は荒々しい岩盤で成り立っているのがわかります。写真を撮りながら歩くので ペースは上がりません。右下をふと見ると変な建造物があります。 「あれ、なんやろなあ・・・」「M氏、あれは火薬庫やで!!」 似たようなものを間近で見たことがあるのですぐにそれとわかりました。

まるで落とし穴に落っこちた家のように見えますが、なんらかの事故で爆発が起こったとしても 爆風や炎の影響が最小限になるような工夫なのです。もちろん周囲は厳重に有刺鉄線の 囲いがあるのは言うまでもありません。たぶん数キロ離れたところにあるN火薬という 企業の管理物ではないでしょうか。
まだまだ遠いなあ・・・

展望もあり、岩もあり、ありがたいことに道もしっかりしていて順調に進んでましたが、 標高点154m付近がちょっとヤブっぽい。それをクリアーした鞍部が分岐のポイントになる。 左右にも踏み跡があり、右は三口町へ下るのでしょう。左に降りるとやがて林道となり大柳ダム湖へ繋がっています。 正面には急斜面の岩盤がそびえています。「道はあるかなあ・・・」M氏は心配していますが大丈夫です。

それは足元を見るとシダに隠れて丸太階段の残骸があるのです。つまり遊歩道として階段を造っては見たものの その後はほったらかし・・・・という典型的なお役所仕事の残骸です。でも残骸があるおかげで ここを登っていけることが判明しました。「ほんというとあっちの岩尾根を登りたかったんやが、こっちの方が 楽やなあ」とM氏は北にある枝尾根を指さします。
展望岩尾根(地図の『は』地点)にいたハイカー

確かに北の枝尾根(別途地図の『は』)は見るからに展望のよさそうな岩の固まりです。見るとハイカーが二人 座り込んでひなたぼっこしていました。向こうもこちらに気が付いたようで手を振って挨拶を交わします。 人気のある古法華山塊にあっても人はあまり来ないような感じですし、 オカリナを吹くには最高の場所のようです。今度来ようっと!!
空気も澄んできて展望が良くなってきた
いやっ〜。ちんたら歩いていたのに思ったより早く戻ってこられました。善防山はもう目の前です。 おまけにこの頃になって空気も澄んできて展望も良くなってきました。 寒気が流れてきているのでしょう。風も出てきました。善防山の第二頂上には15時20分。 M氏はしきりに『とんがり岩』に行きたがっていますが、ここはがまんしてもらって 牧場コースで下山です。

ここも楽しい岩尾根下りです。写真を撮るために先に行ったり後ろに戻ったり。まったく前進しません。 右下にある牛舎からは牛ちゃんのかぐわしい香りが風に運ばれて尾根まで臭ってきます。 鞍部から東へは明確な道が降りていました。朝方登りに使った第二登山口の激登りと違って こちらはゆるやかに下っていてMTBもOKなルートです。15時55分駐車ポイントに戻りました。

2月22日追記:吊り橋にあるという磨崖仏を発見しました。
地蔵菩薩の磨崖仏でした
吊り橋の架かっている切り通しの北壁。吊り橋から2〜3mほど下でしょうか。 数センチ角の三つの穴が目印です(ひさしがあったのかも?)。薄く彫られた舟形の光背の中に地蔵菩薩の座像が浮き彫り されています。手には錫杖らしきものも見えています。見る角度で表情がわかったり、わからなかったり しますからうまく覗き込んでみてくださいね。たぶんこの切り通しも昔は20mもの深さは無かったでしょう。 近世になって車が通行できるように深くしたに違いありません。

今回の古法華周回の地図は こちら(約200k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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