天狗山(日生)

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『備前三石』を参照していただくようお願いいたします。

2005.12.10.  土曜日  晴れ  気温寒い
先週の赤十字山は私的には満足できる山だったので、今週も近くの山域でMTBを 担ぎまくろうと思っていましたが、M氏はどうも気に入らないらしい。 当日の朝、電話で「今日は歩きで日生の天狗山に行くで!!」と自ら山行きの プロデュースを買って出ています。てなわけで、今日の山はM氏に任せることにします。

兵庫県から岡山県に入ってすぐのところにある日生の寒川(そうご)を目指します。M氏は どうやらネタ本を持っているらしくて「え〜っと、右にJAがあるからそこの駐車場へ停めるんや」という。 ところがJAは見あたらない(どうやら無くなっているようだ)ので『寒川コミュニティセンター』の駐車場を利用させていただく。

「ちょっとトイレ借りてくるわ」とセンターに入ったままなかなか帰ってきません。私も入ってみましたが、 どうやら天狗山の話を聞いたりしていたみたいです。天狗山は旗振り山としてつとに有名です。 大阪の船場から米相場を伝える手段として旗振り山は各地に存在していました。 そのうちの一つがこの山ということらしいです。

その資料によると紙の筒で出来た単眼望遠鏡で受信をして、送り出すのは畳四畳ほどの大きさの旗を振っていたそうだ。 右回し、左回し、回転数などで数値などの情報を送ったという。同じ時間に頂上に居ないといけませんし、 そんなでかい旗を器用に振ること自体可能だったのか?悪天の時はどうするのか? 旗振りの回数を見間違えて次に伝えてしまったときは?・・・などなど、いろんな疑問も浮かんできますが、 きっとその時代独自のノウハウがあったことでしょう。
M氏、わかってるんかいな?この祈りもむなしい結果に・・・

9時55分スタート。ちょっと東に歩くと八幡宮の参道があって、そこには『天狗山登山道入口』という標識もある。 鳥居をくぐると参道の両脇に狛犬があるのだが、さすが備前だけあってそれは備前焼で出来た狛犬でした。 基台は大正年間のものでしたが、狛犬はけっこう新しい感じがします。石の階段を登って本殿で今日の安全を祈願します。 登山道は本殿の左手奥です。

コンクリートの階段を少し登ると金網に囲まれた上水道の施設があり、ここからが本格的な山道となる。 ちょっと上に大きな石垣が見えてその上は平らな敷地になっている。現在は雑木に覆われているが 昔はなにがあったのか?まさか城跡ってことはないだろう。
下界はみるみる小さくなるゆるやかな稜線となり快適です

いきなりの急登りとなる。それとともに展望も一気に広がってくる。後ろを振り返ると町並みが 驚くほど小さくなって、その後ろには瀬戸内日生の海と鹿久居島が見えていた。 ただ、残念ながらカスミがひどくてあんなに近いところなのにハッキリ・クッキリでない。(>_<)

M氏のネタ本にはこのメインコース以外にAコースというのがあるらしい。 それとの合流点にやってきた。そこにはアンテナ中継所があるはずでしたがそれらしいものは無い。 Aコースは麓からまっすぐに直登しているルートで、それは中継所への電柱設置の道だったのかもしれません。 でも、中継所が無くなっている時点でこのネタ本の内容を軽く疑ってみるべきだったかも・・・。

中継所跡からはゆるやかとなり息づかいも落ち着いてくる。 シダとイバラで歩きにくい所もあるという事だったが、なんら問題もなく、快適そのものです。 道がしっかりとしているのはハイキングの本に載ったことからハイカーが増えたからだろうか? 登る人が増えると道は一気に明確になるのは経験上知っています。 そういえばセンターのおじさんもこの山が本に掲載されたとは知らなくて 「バスで大勢のハイカーが来たことがあって驚いた」と言っていました。
山頂は案外広いオカリナ吹きたい・・・

天狗山の頂上が見えてきました。そこには展望の良さそうな露岩も見えていて、 露岩好きのM氏は早くもよだれを流し始めています。 その天狗山には11時08分着。標高392m。三角点があるはずと探してみると、中央にある大岩の表面に丸い 金属標が埋め込まれていました。見ると四等三角点となっています。こちらの方が重い石標を担ぎ上げるよりは 楽ちんなんやろうけどなんか味気ないなあ。

西端には展望に良さそうな岩が二つある。 一つは2mを越える高さがあって、ここに登ると360度の展望 プラスお山の大将になれる。その足元には高さは無いが、中空に迫り出た岩がある。ここの方が 浮遊感に包まれて天狗の気分が味わえます。旗を振った場所を想像するに、先ほどの中央にあった大岩っぽいなあ。 天狗山と名前の付いた山には必ずと言っていいほど 岩があって、尚かつ雨乞いの伝説がある。ここにもお約束の岩はあるが雨乞い伝説もあるのだろうか?

さらに天狗岩からの展だが、西方向は同じような高さの山ばかりだし、馴染みのない山域なので なにがなんだかまったくわかりません。北西にあるピークにはなにやら建物があります。 双眼鏡で見てみましたが窓もないし、なんなんでしょ? 後で地形図を見ましたら電波塔のマークでした。ってことは、これもアンテナ部分だけ撤去後の建物ってことかな。謎!!
西方向を見るが、どれが何やら皆目わからん
南に転じても同様のこと

遠くはカスミがひどいですが、運が良ければ後山連峰、那岐山連峰。そして瀬戸大橋、鳴門大橋が見えるという。 そのどれもが見えないということは今日も運に見放されているってことか? なんだかんだしているうちに11時半になっていた。じゃあ、ここで昼食にしてしまいましょう。 三角点のある岩の南側で風を避けます。じっとしていると寒いので鍋焼きうどんがうまいです。

12時05分再スタート。地形図を確認すると次なるポイントである三ツ池までは三つのピークを 越えながら順次標高を下げていくようになっています。さすがにこちらのルートは 登りと違って若干ヤブっぽくなってます。それでもオフィシャルルートですから 地図無しでも迷うようなことはありません。
いきなり急下りやんあそこ行ったらおもしろそう

途中にジャケットが立木にひっかかっていました。きっとリュックにくくりつけていたのが 枝にひっかかって落ちてしまったのでしょう。あぁ、無情・・・。 それほど道幅は狭いってことです。 シダヤブがひどくなったら足元にスパッツを装着しようと思っていましたが まだそれほどではありません。 それぞれのピークから振り返ると天狗山がよく見えます。 そして三つ目のピークにやってきました。
ザレ場に立ちました三ツ池に下ります

進行方向とは逆にも踏み跡があります。「あっ!これってあのザレ場に行く道やで!」目ざといM氏は さっそくそちらへ進んでいきます。たぶんこのルートで下山する人はみんなここに来るのでしょう。 案外しっかりした踏み跡が続いていました。予想通りそこは開放感のある所でしたが、 先端に近寄りすぎるとちょい危険。

オフィシャルルートに戻って三ツ池に下ります。三ツ池とは三つのため池の総称で、写真で見えているのは 一番大きい奥池、その下に中池、さらに下池とある。これで面白いのは下池が出来たのは承応三年(1654)、 中池は天保六年(1835)、奥池は明治十三年(1880)と、どんどん上に大きなため池を造り足したという事実です。 もちろん現在のものは三つとも平成に改修されたものです。 ということはやはり古くから灌漑用水が不足していたという事実があったことになるわけですから、 天狗山が雨乞いの山だった可能性は高くなります。

奥池を回り込むように遊歩道はある。堰堤には13時05分着。ここより中池、下池を経て下山するルートが ネタ本にあるBルートです。いや〜っ、なかなか良い山でした。「さあ、下山しましょうか・・・」と言いかけると 「よっしゃ、Cルートに行くど〜!!」突然M氏は雄叫びを上げます。「せっかく来たんやからCコースに行かんと!!」 ネタ本にはここより251.3mの三角点ピークを経て寒川峠に下るCルートなるものが書かれています。

しぶしぶ承諾しますが、それの進入口が見つかりません。今までのオフィシャルルートにはテープやら 布やらの目印があったのですが、Cルートの取り付きらしき地点にはなにもありません。 (ここでネタ本への疑いが大きくなる)ふと見るとあやしげな水路があったので そこへ入り込んでいきます。
水路を行くこれがCルートかいな!!

山に降り注いだ雨水をこの水路で集めて先ほどのため池に注ぎ込む。 雨が少なく、保水力の小さい山では有効な方法です。その水路跡もすぐに終点になってしまう。 ネタ本に書かれているルートは日生町と備前市の境界に沿ってあるので そちらへ方向を修正しなければいけません。終点から尾根によじ登って行く。(もちろんヤブ)

ここより三角点ピークまでは道などと言えるものではありません!! こんなことなら三ツ池から素直に下っていればよかった・・・。 それが出来なかったのならせめてスパッツを付けていればよかった・・・。 というのも深いシダヤブのため 靴の中は葉っぱのゴミだらけになっています。こんな所では靴も脱げないので 我慢して進むほかありません。

「島田さん、ここまで来てしもたら、もう後戻りはでけへんで〜」とM氏の最後通告。 やけくそで到着したのが251.3mの三角点。14時15分。全身ゴミだらけの埃だらけ。 三角点もシダをかき分けてようやく見えるという具合です。 もちろん周囲のどこにも道なんぞあるはずもありません。 寒川峠への方向を確認して進むしかなし。

寒川峠までは到底行けそうにありません。地形図を見ると 最初の鞍部から左手に下ると簡単に林道に出られそうです。 ラッキーにも薄い踏み跡があったのでそれをたどって何とか林道に降りられました。 靴を脱いでみるとコップ一杯ほどの枯れ葉のゴミが出てきます。 例のネタ本の著者はきっとこのCコースは歩かずに、歩けるだろうという予想だけで 書き込んだに違いありません。
工事中の寒川峠

寒川峠に到着しました。地形図では細い実線だったので古い峠道を予想していたのですが、実際は 一車線の舗装路が上ってきています。さらに驚きは、峠は深く掘り下げられて、二車線の広い 舗装路が造られようとしています。そこは工事中で歩けないので一車線のほうをテクテクと 下っていきます。峠から30分ほどでコミュニティセンターに着。 あ〜、素直にBコースで帰りたかった〜〜〜。

今回の天狗山(日生)の地図は こちら(約200k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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