五六見山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『相生』を参照いただくようお願いいたします。

2005.12.25.  日曜日  晴れ  気温ふつう
MTBで遊ぶには絶好の季節なので普通なら北摂、篠山方面を狙うのですが、先週の大雪の 影響で今週は瀬戸内沿岸の山に変更を余儀なくされました。この方面の山は海も見えるし、 展望も良いのですが尾根にも山腹にもシダが多くて、どうにもホコリっぽい感じが否めなくて あまり足の向く山域ではありませんでした。今回はこの方面に通じているM氏に お任せ致します。m(_ _)m

天下台山の南にある野瀬集落をスタートゴールに設定して、五六見山から反時計回りに 雄鷹台山、野瀬奥山、御坊尾根と縦走をやってみようという計画です。 いつも計画だけは雄大ですがほとんど計画通りに行ったことはないのですけど・・・。

集落内は車を駐車出来そうな所がなく困っているとおじさんが「あそこに停めるのは問題ないよ」と 教えてくれる。そこは畑の真ん中に通じているちょっと広めの舗装路です。 ゴソゴソと準備をしていると、ハイカーの乗った乗用車がやって来ました。
「野瀬の東登山口ってどこか知ってます??」
「はあ?」

私もM氏もいきなり訳のわからん事を聞かれてうろたえます。 だいたい東登山口ってどこの山の登山口よ!!聞いたこともありません。 これから登ろうとする五六見山への登山口もどこにあるのかわからんのに・・・。 うろたえたまま9時30分にスタートするも、 M氏の迷走でなかなか登山口にたどり着けません。ようよう、耕作地の奥にある 登山口を発見。ちゃんと手書きの道標も設置されていました。 (近くに水晶山から五六見への直登コースもあるので注意)

余談になりますが、迷走の原因の一つは地形図にある砂防ダムのマークです。 駐車ポイントからその方向を見たのですが、地形図にある砂防ダムは実際は無く、逆に その西にある谷のB地点付近(別途地図)は地形図には無いのに実際にあるのが混乱の元でした。
集落奥にある耕作地にある砂防ダムへの管理道を行く

砂防ダムの管理道は傾斜がきつくてMTBに乗るのはちょい辛い。押していくと目の前に ピークが見える。これが水晶山だ。ほんとはピークではなく五六見山から派生している 枝尾根の先端部分なのですが、麓から見るといかにもピークに見えることから 山と言われるようになったのでしょう。しかも年配の村人が言うには確かに昔は 水晶が摂れたという。はたして現在はどうなんかな?

途中で右に標識と踏み跡があるので舗装路から離れていよいよ山道を登ることになる。 この道は野瀬と尼谷の集落を結ぶ古道だったらしい。右に立派な石垣のある棚田跡を見ながら ガレガレの道を登っていきます。地形図で予想はしていましたが、傾斜は急だしシダは深く 足元は落ち葉でツルツルと滑ります。堰堤には10時05分着。ペースのろのろや。
砂防ダムの堰堤は展望良し急斜面を担ぎ上げる

ダムの上には雪が残っていますのでちょっと歩くのは怖いですが展望はバッチリです。 小さい谷には不釣り合いなでかいダムですが、なんで地形図には載っていないのでしょう? 新しいからかな?足元の銘板には造られた年月日が書かれてませんでした。 登山道は左岸にありますが、下を見ると右岸には先ほどまでの管理道がダムの下まで 続いているようです。

ダムを過ぎると谷は徐々に細くなっていき、道は右に左にと歩きやすい方へ細かく 方向を変えますが赤テープが良い目印になっているので見逃さないように登っていきます。 辛抱強く担ぎを続けるとようやく尾根が見えてきました。 10時30分尾根に着。古道は当然ながら正面の尼谷へ下っています。 右に行けば五六見山、左は雄鷹台山方向。 近くに看板がぶら下がっていて『瞑想の撓(たわ)』とありました。う〜ん、ここで何の瞑想するんかなあ・・・・。

整備されたのか「えらいええ道になってるなあ」とつぶやくM氏。山頂へ向かうべく西方向に少し行くと ここにも立派な道標があった。それは柏登山口と山頂への三叉路分岐である。 個人が手書きで書いたものとはあきらかに違います。相生市が設置したんでしょうか? ん?ん! 五六見山へ行くはずなのに道標は『仏が台山』となっています。 五六見の別名でしょうか?
柏登山口と山頂への分岐頂上にある祭祀跡??水晶山の岩場に立つ
雄鷹台山へUターンするのですから、この辺に自転車を置いて空身のままで山頂へ行けばいいのに M氏は持っていくという。しぶしぶ従って担いで登る。山頂が近づくと海も見えるし、周囲の山も ばっちりである。何度か立ち止まっては写真撮り、そして五六見山の頂上に着。10時55分、三等三角点、 標高292.9m。三角点の近くにある立木には『五六見山(仏ヶ台山)』と看板がある。 やはり二つの名前があったのね。

変な物がある。こちらから見るとそれは石仏の様にも見えた。回り込んでみると、 それは石垣で出来た台座に置かれた四つの自然石でした。一見お墓のようにも見えますが 私見では違うように思える(根拠はありません)。

山名についてですが、この周辺には天下台山、雄鷹台山、宝台山、そしてこの仏が台山と『台』という文字を 含む山が四つもある。この文字の意味するところはわかりませんが(平たい山頂?あるいは山のことを台と言う?)、 なにやら面白い。仏が台山というのはこの石仏、あるいは墓標に見える自然石などからついたのかなとも思う。 『とんび岩通信』というHPによると五六見(ごろみ)山はゴリョウのミ山(御霊の御山)からの転訛らしい。 そうとは知らない我々は、沖行く船が航路の目印にしたために『航路見(こうろみ)』から来たのか・・・ などと戯れ言を言うのでした。

他にもいくつかの道標がぶら下がっている。その一つが『水晶山 野瀬』という道標。てことは、ここから 水晶山を経て野瀬まで道があるってことか??「水晶山へ行ってみよ」と言うM氏の後をついて 下っていく。道は普請したらしくきれいで明確です。すると露岩がありました。M氏が 見逃すはずがありません。さっそくそこから展望を楽しみます。天下台はもちろんですが、空気が 澄んでさえいれば後山も那岐山も見えるロケーションのはずです。
水晶山の岩場からの展望
「水晶ってあるんかなあ」頂上へ帰りながら地面を見つめるがそれらしいものはない。 っていうか、そう簡単に見つかるはずもない。手ぶらでトボトボと再度頂上に11時25分。 縦走どころかもう昼ご飯の時間ですやん。(^_^;)

ちょいと戻って海の見えるポイントでお昼にします。岩の上に寝っ転がると 暖かくて汗がじわっと出てきそうなほど。二人ともまったく縦走をする気など無くなって ドテーっと座り込んでます。するとなにやら声がします。見ると男性が単独で・・・・、 いや、単独ではなく花子ちゃんというワンコと一緒でした。
姫路の花子ちゃん

花子ちゃんと一緒に頂上に戻ります。彼女は姫路からご主人とやってきて鳩が峰から雄鷹台山を経て ここまでやって来たそうです。 頂上の三角点の南方向に踏み跡があったので行ってみると そこも伐採の展望地でした。 赤穂の坂越にある宝珠山の縦走路、坂越の遊歩道など、MTBで気持ちよく遊んだポイントが よく見えます。横でおとなしくしている花子ちゃんを 写真を撮してあげるというと、はにかんでこちらを向いてくれません。
頂上南にある展望ポイント
山頂にはもう一枚気になるプレートがあります。それには『大黒山 野瀬賀茂神社→』とある。 賀茂神社はスタート地点近くにあった神社。大黒山は途中にあるピークのことか? ということは、この頂上から神社まで下山道があるってことです。地形図を見ると なんとか乗れそうな傾斜です。縦走はあきらめましたがこれで降りると面白そうです。 M氏も未知のルートに興味津々で異存はなさそう。12時40分下山開始。

ここも新たに整備されたルートのようだ。枝打ちの跡も新しい。けれど道の幅が狭くて MTBのハンドルがひっかかる。何度も転倒しそうになるが、それが面白い。 でも、もう20cmほど広げてくれないかなあ・・・。
五六見山から下る大黒山頂上

一旦下ってゆるやかに登り返す。途中から右を見ると水晶山の展望岩が見えた。 登り返したピークが大黒山だった。13時ジャスト。木立に囲まれて展望はないが周囲には大岩が点在しています。 大黒山はだいこくと呼ぶのかおおぐろと呼ぶのかわかりませんが、だいこくならこれらの岩は さしずめ大黒岩と呼ばれそうな岩だった。

大黒山と手書きされたプレートを見ると標高は264.7mと妙に詳しく書かれています。何かの資料を参考に したのでしょうか?さらによく見ると大黒山の下に別の山名が書かれていて、その上から白くべた塗りされて 大黒山となっているではありませんか。その別の山名は『前五六見』とあります。 想像をたくましくしますが、 前五六見と書いた後で大黒が正しい山名とわかったのかな・・・・。
道が広くなったぞよっ!ええ感じや木立スラロームや

大黒山からの下りも先ほど同様に狭い道でしたが、徐々に広く明確になってきているようです。 気が付けばハンドルが引っ掛かることもなく軽快に走っています。 「これこれ!!こうでなくっちゃねえ」このルートで下ったのは大正解です。

この山域は木の少ないホコリっぽい所が多いのですが、 神社の裏山ということもあるのか雑木の密集したしっとりとした広い尾根です。 落ち葉でタイヤを滑らせながら気持ちよく木立スラロームを楽しみます。
谷に向かって斜面を下る賀茂神社

神社へ降りるにはそろそろ右へ曲がらねばなりません。頂上からずっと赤テープなどの マーキングで誘導されていましたが、予想通りの地点から赤テープは右に方向を転じています。 このマーキングは的を得た付け方をされていて、なかなか山に通じている人の技と思われます。

地形図で見ると短い距離なのに、実際はすごく長く感じます。谷を下って終点近くになるといきなり 右に折れて平行道を行くことに。頭の中の地図ではそちらに神社があるはず。 そう思っているといきなり神社裏にある広い敷地に出ました。そこから境内に入ると小さな古墳がありました。 13時37分。

賀茂神社と聞いていましたが、貴布祢神社の額も掛かっていて二つの祭神を祀っているのようです。 どちらも京都の神社ですが、貴布祢と言えば水の神様、そういえば五六見山は雨乞いの山だったとか。 この神社もその願いが込められているのでしょう。

今回の五六見山の地図は こちら(約160k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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