穴地蔵〜安全山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『黒井』を参照していただくようお願いいたします。

2005. 5.15.  日曜日  曇り  気温ふつう
たぬきさんのHPで穴地蔵のレポートを読んだ時に、あの山中にこんなものがあったのか!石仏マニアのやまあそとしては これは是非行きたい!!いや、行かねばならぬ・・・と堅く心に誓っていたのです。 そのたぬきさんから別コースで登るので一緒に行こうとお誘いを頂く。コース途中には寺跡もあるし、途中にはいくつかの石仏も あるという。さらに穴地蔵まで行くのはショート過ぎるので安全山まで足を延ばしてみるらしい。

安全山の北に井中という集落がある。待ち合わせ場所の集落入口にやってくると、すでに母たぬきさんは地元の おじさん達に話しかけて情報を収集中だった。「登り口もわかったで〜」というたぬき号に続いて谷奥へと車を進める。 最奥には徳昌寺という寺があって、その駐車場を借りるのかと思ったらそうではなかった。 実は別の団体も穴地蔵へ行くらしくて、お寺の駐車場はそこが使うみたいです。 それに先んじて我々も登ってしまおうという魂胆なので お寺の手前にある墓地に車を止める。8時15分スタート。
入口には立派な標識がある谷の入口にある今滝寺跡

ちょっと後戻りすると立派な標識が目に入る。それは新しく『十九山古道 穴地蔵まで90分』と 親切丁寧に書かれています。地元の団体が作ったらしく今日がその登り初めらしい。 十九山登山口と標識のある谷は深い植林で薄暗い。その入ったところが今瀧寺跡との案内がある。 住職の墓石やら五輪塔が並べられていて、その一つには明治六年の銘があった。 ということは少なくても明治まではお寺として存在していたということです。

石垣は残っていますが一見棚田跡のようにも見えるし、現在は杉植林に覆われていますから 墓石が無ければ寺跡とはわからないでしょう。さて、ここから穴地蔵までの道沿いにはいくつかの石仏があります。 その一つ目が足元にありました。舟形光背で錫杖と宝珠を持った地蔵菩薩立像です。頭の所に『一番』とあり、 『文政八酉歳(1825)六月吉日』『願主 因п@早川幸助』とある。 このような石仏がこの先18体もあるそうだが・・・・。

二つ目の石仏があった。てっぺんが欠けているので番号が判然としませんが、よーく見ると四番のようです (二と三はいずこへ??)。一番とまったく同じような地蔵菩薩に見えますが、これまたよーく見るとちょっと変化して おり、数珠を持って合掌した姿でした。 七番は数珠無しで合掌しています。六番(七と前後してあります)は宝珠のみを持つ。 八番は数珠を持っているが合掌はしていない・・・と、微妙に変化したお姿です。 そのいずれも『因пiいんりと読むのか??)願主幸助』と彫られています。因рフ意味がわかりませんでしたが、 登山道入口にあった案内板には因幡のことのように書かれています。
石仏を眺めながら登っていくまもなく稜線かな

9時10分、稜線に出ました。汗でシャツもパンツもビショビショになっています。 毎日のようにウォーキングを欠かさない父たぬきさんはいたって元気、私と母たぬきさんは ちょっと息が上がり気味。後からやってくるはずの団体は高齢の方が多いらしいので 大丈夫でしょうか??
ここから東に向かえば安全山、西に向かえば穴地蔵を経て水山、十九山となる。 最終の目的は安全山ですが、まずは穴地蔵へ向かいます。つぎの小ピークは展望台という 標識があり、周囲も刈り払われて標識通りの展望が楽しめます。
展望台からの展望。東〜南
同じく東〜北
あいにくカスミがひどくて遠望はありませんでしたが、氷上にある名のあるピークはほとんど見えるようです。 下界を見ると水を張った田圃が鏡のように光っています。たぬきさんちも昨日のうちに田植えを済ませているので 夫婦そろって今日の山歩きが出来るという案配です。「あっ、ドウダンツツジや」花を見つけるのが 得意な母たぬきさんが見つけました。展望の写真も撮らないといけないし、花の写真も撮らないと・・・ あーいそがし。

稜線を辿っていくのかと思っていましたら、途中から杉植林の山腹を巻くような道になりました。 途中で枝尾根を横断するようになっていますが、ちゃんと標識があるので 迷いようもありません。やがて前方に岩場が見えてきましたが、おっ!あんな所に穴があるぞ。
穴地蔵のある岩窟に着く。杉の裏側に石碑もある穴地蔵石仏

八番から無かった幸助さん寄進の地蔵菩薩石仏はこの入口にあります。光背の頭部分が欠けていますが たぶん十二番(あるいは十三番)だと思います。ここまでの欠番の石仏は谷底にでも落ちてしまったのかなあ・・・。 ちなみにこの石仏の持物は数珠でした。さらに穴の入口には大きな石碑があります。 見ると『南無阿弥陀仏』の名号塔でした。裏にもなにか彫られているようですが摩耗していてまったく わかりません。

いよいよ穴地蔵とご対面です。穴の奥行きはほとんどありません。岩石の種類はわかりませんが、 板状に節理が見られます。それが自然に剥離してこの穴になったのか、あるいは人が掘ったのか?? じゃーん、穴にあった石仏は小さな板碑型の石仏でした。『安政二乙卯年(1855)七月』と彫られている 基台にちょこんと乗っかっている。しかし、基台と石仏が同じ年代かどうかは怪しいもんです。 というのも、穴地蔵へ導いてくれた幸助地蔵の方が古いのは変だからです。

ぷっくりとしたほっぺがかわいい石仏です。 穴地蔵、つまり地蔵菩薩と言い伝えられていますが、どう見ても如来像(定印の阿弥陀如来)です。 厳密に言うと地蔵と如来とはまったく別物です。 でもこういったことは庶民の信仰にありがちなことで、 どんな石仏を見たも「お地蔵さん」なんて言うぐらいですから目くじらを立てるほどのことではありません。 さらに岩窟の横手にはちょっとした平地があり、瓦も散乱していることから小さな庵程度のものが あったのかもしれません。
まっすぐ安全山を指しています途中から振り返って見る

ついつい石仏のことになると熱く語ってしまいました。さて、引き返して安全山へ向かいましょう。 展望台を過ぎ、井中からのコースからの合流点にはジャスト10時。後発の団体さんは9時半に スタートと聞いていますから出会うことなく済みました。でも下の方から風に乗って人の声が聞こえてきます。 どんな解説をしているのか聞いてみたかったですね。

「なんかお腹がすいたねえ」440mピークでおやつにします。今瀧寺跡からの登りでは汗びっしょりでしたが 稜線に出てからは涼しくて快適です。逆にお日さんが隠れているためか止まっているとちょっと寒いぐらい。 道はしっかりとしていてペースも順調過ぎるぐらい、この調子で歩き通したらお昼には下山してしまうよー。(^_^;)
ええ道が続くわ〜ここを登りきると安全山

452mピーク手前で左に巻き道があった。正規ルートはピークに登ってから左に120度折れて下る。 ならばその巻き道を行けばアップダウンなくショートカットできるはずです。 植林の中のトラバースでしたが、予想通りに正規尾根に復帰。楽ちんが出来たのはラッキーだが、 まっすぐ行ってタカクラ(478.1mの三角点ピーク)へ寄り道してもよかったかな。

ここから標高差120mほどの登りが続きます。冷たかった身体がまた熱くなってきました。 倒木はほとんど無く、張り出した枝も切り払われているので、 この登りを逆に下りに使うとMTBには全乗りシングルトラックだと断言しますぞ。 安全山の頂上は雑木に囲まれた小さな広場で、真ん中に三等三角点がちょこんとあります。標高537.4m。 11時ジャスト。
安全山の広場です。矢印が下山コース

三角点から東にある送信施設を回り込んで舗装路に出ました。数十mで舗装路終点の広場に到着。 あっけないぐらいに早かったですね。「安全山っていつ頃からそう呼ばれているの?」気になっていた 山の由来をたぬきさんに尋ねてみたが、昔からそう呼ばれているらしく由来は不明。 しかし、その山名にあやかって安全地蔵と彫られた真新しい石仏やら、安全祈願の看板、石碑などが目に付く。

時間は早いがお昼にします。っていうか、ここで食べないとこれ以降食べるところがありません。 車が一台上がってきて(舗装路があるので車で山頂までやってこれます)おじさんが山頂をうろうろ。 また車の中に戻りましたが、中で食事しているのでしょうか?あほやなー、外で食べたら気持ちええのに。ねえー。 食後にはちょこっとオカリナも吹きました。
なんとなくある切り開きがこんな立派な道になる

12時05分下山開始。地形図にある点線ルートで下ろうというのがたぬきさんのもくろみ。 その狙い通りに送信施設の角から怪しげな切り開きがある。イバラでひっかかりながらも 黄色いプラ杭を目印に下っていくとだんだんとよさげな道に変わっていきました。

こうなると、目をつむっていても大丈夫。左右にソマ道分岐もありますが、細い尾根を 踏み外さないように下っていきます。穴地蔵から安全山までの尾根も楽勝コースでしたし、 この下山ルートも楽勝です。だいぶん下った頃、父たぬきさんが「リスや!!」と叫びます。 見ると梢から梢にリスが素早く移動しています。止まっている時を狙ってカメラでパシャ!!
父たぬきさんが見つけたリス井中の集落に降りました

ちなみに父たぬきさんは山中で動物を見つけるのが得意らしい。母たぬきさんはお花を見つけるのが得意。 そんで、やまあそは石仏を見つけるのが得意。それぞれ得意技を披露しながらの山歩きです。 最後は民家の裏手の植林斜面を下ってゴール。13時05分。ちょうど1時間でした。

道路を歩いていると左手奥に石仏を発見!!みると穴地蔵とまったく同じの板碑型の如来が六体。 六体が横一列に並べられてお花が手向けられています。如来ではありますが、たぶん六地蔵ということで 祀られているのでしょう。これも穴地蔵と同じ扱いかな・・・。石仏満載の山歩きが出来ました。

今回の穴地蔵〜安全山の地図は こちら(約160k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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