はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1 『前之庄』を参照していただくようお願いいたします。 2004.12.30. 木曜日 晴れ 気温寒い
今年最後の山をMTBで行くのか、歩きで行くのか、どこへ行くのか?直前まで決められないで
いましたが、どうやら歩きで締めくくりになりそう。ならば先週の続きで岩尾根歩きで展望も
楽しめるこの山にしましょう。歩きならば年末で帰省しているだめちゃんもお誘いできます。
過去、この山はいくつかのルートで登っていますが、今回は集大成というべきルートを
設定しています。
スタート地点は前之庄三枝草にある宝積院の駐車場を使わせて頂く。許可をもらいに 行くが人の気配がなかったのでとりあえずそのままスタート。9時25分。 登り口のある村田牧場へ進んでいく。右手にある建物からもうもうと湯気が立ち上っている。 しかも強烈な臭いである。中を覗いてみると鶏糞?がうずたかく小山のようになっており、 そこから湯気が上がっているのでした。発酵してるんでしょうか? このコースもすっかりメジャーになったのか、分岐には赤い木片に白い文字で『薬師』と 書かれたプレートが電柱に掲げられている。そこを曲がるとこんどは牛舎がある。 牛というのは好奇心が旺盛なのか人間を見慣れているはずなのに柵に寄ってきて 大きな瞳でこちらを見ている。
奥には明王池というため池がありその堰堤上を右に行くと奥に先ほど同様の赤いプレートがある。 ここが登り口となっています。昔はもっと奥から登ったのですが、こちらの方がしっかりと 道になっていて問題なく登れます。ただし台風による倒木が残っているのと、先日の雪が 木々に残っていてそれらが頭上に降り注ぐのが困りもの・・・。 尾根に登ると一気に快適になります。あきらかに昔より道がしっかりとしていました。 しばらくすると下山に予定している西尾根とその向こうにある明神山も姿を現してきます。 その西尾根には8mほど段差のある岩場があるのですが、そこはゴリラ岩と呼ばれています。 なんとも無粋な呼び名で、昔からそんな名前で呼ばれているはずもなく、気に入らなかったのですが、 今回ここから眺めてみてびっくり!!まさにゴリラ(私にはキングコング)に見えるではありませんか!! |
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ゴリラ岩向こうには明神山が!! | 雪が残っているので足元注意 |
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だめちゃんもM氏も同様に驚いて笑ってます。まあ、見たままと言えばそれまでですが、 我々の感性ではこの命名は合格です。シダの尾根を突き進んでいくとやがて特異な岩尾根の 連続する所に出ます。ここが今回最初のハイライト部分でしょう。 ここを整備した団体?は『地獄鎌尾根』と命名していますが、これも陳腐な名前で 私は気に入りません。昔からの呼び名は『赤岩』と呼ばれているらしい。 |
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赤岩周辺からの展望。十字峰のすぐ右には薬師がある(撮し忘れた) |
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この赤岩上部の露岩はまるで瓦のように剥離している。落語に出てくるカワラケ投げのように
それを谷に向かって投げてみたくなる。ここまでの岩はグリップもよくて滑らずに登れたが、
このカワラケに足をのせると滑り落ちる危険もあるので注意だ。
上り詰めたところが地形図にある十字峰です。薬師の峯に向かうには、そのピーク直前を右に下って いけばよろしい。ここにも道標が完備されているので迷うことはない。大きなヌタ場があって 周囲の木にも泥がなすりつけられている。冬枯れの木々の向こうに先ほど登ってきた 赤岩(地獄鎌尾根)を見ることができる。標高の低さに似合わずなんとも迫力満点です。 もしハイカーが登っていれば写真もひときわ迫力がでるんですけど。 そうこうしているうちに薬師の峯頂上に着きました。11時50分。時間も予定通りです。 頂上は冷たい風が吹き抜けるので、一段したにある薬師如来の石仏があるテラスで食事をしました。 久しぶりに見る薬師如来の石仏ですが、こうやってマジマジと眺めても傷みもなく 姿も美しい一品です。年号でも彫られていればさらにうれしいんですけど。 |
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薬師の頂上から北、そして東方向を見る。晴れていればもっとすばらしいかも |
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ここでちょっと不思議な体験をする。三人で食事とおしゃべりを楽しんでいたのだが、
急に猛烈なデジャヴ現象に見舞われる。二人の話す言葉とか自分の話す言葉すら
『アア、コレッテ、ムカシ、ソックリソノママ、シャベッタ、コトバダゾ!!』と
頭の中で別の自分が反芻している。コトバだけでなくこの場の状況すら昔体験したことの
ように思える。その刹那一瞬の記憶が飛んでしまう。つい1分ほど前に喋った事が
なんだったのか思い出せなくなる。
単に頭がボケてきたのか、あるいは薬師如来の霊験なのか・・・。 とにかく薬師の仏様だけに来年の健康には気をつけたいと思うやまあそでした・・・。 12時45分再スタート。
十字峰からこんどは西尾根に向かって下山を開始する。この西尾根もなかなか面白いのです。 赤岩ほどではないのですが、やはり露岩の連続するスリリング且つ展望の良い下りが楽しめます。 一旦下って登り返すとアンテナのある三角点ピークにたどり着きます。 四等三角点、点名『岩ケ谷』、標高335.0m。13時55分。 NHKの共同受信施設のあるピークです。ここから西に下っていくと夢前川に降り立ちますが、 その枝尾根は『塩売り戻し』と呼ばれる露岩とザレ斜面のある面白い所です。 ここもなかなか捨てがたい下山ルートなのですが、涙を飲んでパスします。
そしてたどり着いたのが『ゴリラ岩』の眉毛の部分。14時03分。 下を覗き込むとでべそのように出っ張った岩が見えます。 あれはちょうと鼻の部分に見えたところです。 ここからダイレクトに降りることは無理です。昔はちょっと手前を西斜面から 回り込んで行ったことがあるのですが、現在は東斜面を巻くように道が出来ていました。 それをたどると難なく『ゴリラ岩』の鼻の部分にやってこれます。 ちょっとわかりにくいですが、ゴリラの右目付近に行者の石仏が安置されています。 昔は上半身の欠落した古いものでしたが、これもまた新調されて新しいものが 置かれてありました。たぶん塩売り戻しから登ってお祀りされているのでしょう。 さて、下山を続けます。 5分ほど歩くと虎ロープを張られた所に出ます。それには『←村田牧場・・・・』と書かれており、 左に下っていけば明王池の堰堤付近に降りられるという寸法です。 指示通りに左折すればめでたし、めでたしで終わるのでしょうか、やまあそルートは さらに直進を続けるのです!! シダに覆われたり、道不明瞭になったりで、先ほどまでとはうってかわって悪路の 様相になりますがこれが普通なのです。いままでが快適過ぎたのです。 人間ぬるま湯ばかりに浸かっていると心身共に柔になってしまいます。 巡視路に合流しました。その先には『播磨線86』の鉄塔、そしてさらに先には 行者山の頂上が待ちかまえています。Ca.250mの頂上には15時05分着。 ちょっと遅れ気味のだめちゃんを待っている間に周囲を見てみると 展望はありませんが曲輪のような段差が頂上を取り囲んでいます。ひょっとしてここも 砦跡なのかもしれません。
行者山からの下りはちょっとむずかしいのですが、私は今回が二度目なので 先頭を行かせてもらいます。やがて行者と不動明王の石仏のあるテラスに降り立ちました。 ここは宝積院の裏山にある観音霊場三十三箇所の巡礼路の最上部です。 したがって左右に降り道はありますが、左に降りると宝積院の裏手に降りれます。 石仏を眺めながら降りていくとお寺の裏庭に出ました。まさに一筆書きの周回達成の瞬間です。 15時40分。岩尾根、展望、石仏、ちょっとヤブ・・・、お楽しみ満載のルートいかがでしたでしょうか? 今回の薬師の峯の地図は こちら(約170k) でごらんください。 |