とんがりさん(中央分水嶺踏査)

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『但馬新井』、『神子畑』を参照していただくようお願いいたします。

2004. 6.13.  日曜日  晴れ  気温あったか
このとんがりさん(朝来町田路の呼び名)には三度訪れています。一度目は 2003年の11月でした。 二度目は同じ月に知り合いを大勢連れて同じコースをたどりました(レポートはありません)。 今回で同じ山を三度も登ることになりますが目的はちょっと違っています。 頂上から分水嶺をたどって国道312号線の生野町円山付近に降り立つという計画です。

当初の計画では逆のコースも考えていたのですが、 それだととんがりさんまでずっと上り調子になってしまいます。 登りは道探しはしなくて済みますが長い距離だとスタミナが続きません。そこで楽になるように 下りルートを選択した次第です。しかし下りはルート探しがむずかしい!!特に今回はゴールの里に近い 付近が要注意です。はたしてうまくたどれるでしょうか?

一人では周回がたいへんですが今回も母たぬきさんが同行してくれることになったので助かりました。 一台をゴール地点の西山の集落に止めて、もう一台で菖蒲沢へ向かいます。スタート地点は採石場を過ぎた 段が峰への登り口の広場にしますが、林道の路面が荒れていてここまで来るのは四駆以外はとても無理でしょう。 そのためかハイカーと思われる大阪ナンバーの車が一台、採石場の橋の手前にあるスペースに 止まっていました。

9時10分にスタート。林道を歩き始めてすぐにあるのが不動の滝です。これは『たじまハイキング』にも書かれていなくて、 やまあその私が自ら発見したビューポイントです。えっへん!!!(前のレポートの写真見てね) 昨日の雨のおかげで水量はすごいです。たぬきさんも滝の横手にある石仏に感激しておりました。
山道の始まりは木道からまもなく田路へ抜ける峠です

林道の終点から山道となります。木道があるのはこの上流にある営林小屋へのために 設置されたものでしょう。この営林小屋付近は谷が二手に別れる所です。 間違って鹿避けネットのドアをくぐってしまうと間違い。そのまま栃原川の源流を目指して 登っていきましょう。水に濡れないように右に左にと歩いていますが、夏の暑い日は 足元を決めて沢の中をジャブジャブと行くのも涼しくてよさそうです。

ガイド本にあるルートは川から離れて右に登っていますが、それは無視してやまあそルートで そのまま田路に抜ける鞍部へ向かいます。ここから山頂へ向かう途中には氷ノ山のバッチリ見える ビューポイントもありまっせ。そして10時25分、標高981.4m、三等三角点のあるとんがりさん 頂上に着く。中年のご夫婦らしきカップルが先着されている。たぶん下にあった車の持ち主と見た。
頂上から南方向への展望。紫の線がこれからたどる中央分水嶺です。
スタート時には黒い雲が上空を低く流れていたが、たぬきさんの日頃の善行のおかげで 山頂に着いた頃にはすっかり青空が広がっている。西はフトウガから東は三国が岳方向まで ばっちりの展望が得られました。二人とも同定オタクなのでマシンガンのように口から 山名が飛び出してきます。

大阪からのお二人は食事?をされている様子。ここで食事は時間的に見てもいかにも早すぎるので いよいよ分水嶺踏査の開始としましょう。これからたどる分水嶺を確認していると、広い草地ピークが 見えています。「あそこが食事ポイントによさそう!!」たぬきさんも賛成でさっそくスタートです。 10時45分。

赤いテープに従って生野町と朝来町の境界を下っていきます。ここは本に紹介されているルートだけあって 快適です。ちょっと歩きづらいなあと思った頃、ふと気が付くと周囲にテープはありません。 どうやら下りの分岐を知らない内に通り過ぎたようです。別に下るわけではなかったので 気にすることなく前進あるのみ。

稜線上に杉の木などがあるので、迂回したり枝の下をくぐったりしてクリアーする。妙に先端の尖った岩が 現れる。この辺が要注意。左に迷い込まないようにね。昼食ポイントが真っ正面に見える ビューポイントがあるので現在位置を確認出来ますがちょっとわかりにくい所です。
でっかいおにぎりだ!!岩に挟まれた〜!!

さきほどの尖り岩をきっかけに次々と変わった岩が現れます。これらは板状節理といって 岩が板状に剥がれているのでこういう風になるのでしょう。いつのまにか植林は姿を消して 雑木の林になっています。ちょうど高星山から平石山へ向かう尾根に似ているかな。 そう思ったとたんに林を抜けて低木の切り開きに出る。 振り返るとフトウガの平らな山容がたおやかです。
昼食ポイントの手前。振り返るとフトウガ方面がすばらしい
フトウガを愛でて5分強ほど登り返し、分水嶺を離れて東にちょっと行くといよいよ昼食予定ポイント です。11時45分。けっこう時間が掛かるものだと思っていましたが、とんがりさんからちょうど 1時間でした。そのとんがりさんから見たときそこは草地でくつろげそうな雰囲気でしたが、やってくると まさしくその通りです。背の低いシダと枯れた笹原にある倒木がベンチの代わりになっています。
昼食ポイントはとんがりさん以上に絶景でした。紫の線は分水嶺
晴天ですが風が強くて寒く感じるぐらいです。ウインドブレーカーを羽織って食事を進めます。 食後無線をすると千が峰の局と繋がりましたが他は聞こえません。標高は930ぐらいありますが あまりロケーションはよくないかもしれません。双眼鏡でとんがりさんを眺めてみるとなんと 三人のハイカーの姿が見えます。 赤い服を着たたぬきさんが大きく手を振りますが気が付いてくれたでしょうか? (このレポートをアップしてからメールをもらいましたが、双眼鏡で見えた男性は4月29日に 三久安山 で出会ったYさんでした)

それにしてもばつぐんの展望です。とんがりさんよりはるかにすばらしい!!立ち位置を変えると 東方向もばっちりです。なにより下界の朝来町近辺が見えるので高度感ありますね。 さてそろそろ先に進みましょうか。12時25分頃出発。

ここからの分水嶺は町界でなくなるのでわかりにくいかと案じましたがそうでも ありませんでした。ただし892ピークと分水嶺とに分かれる分岐ポイントがあるので 要注意。先端に展望があるのでそこから覗き込むと行くべき方向がしっかりと確認できます。 900m前後の尾根から一気に200m以上下っているのが見えますが先端は遙か向こうです。 行けるのかなあ・・・。

ちょっと立ち止まってたぬきさんとフトウガ方面を眺めていると足元の茂みが ガサガサと大きな音を立てます。「なんや!!」と驚いていますと子鹿が飛び出して 逃げていきました。ほんの1mほどの距離だったのに気が付かずに残念!!
イバラ藪を抜けて菖蒲沢から円山へ抜ける峠

標高700mのフラットな稜線部分にはイバラの藪地帯があった。倒壊した鹿避けネットも 足がひっかかりそうで危険です。しかしなんだかんだと言いながらもほとんど下りばかりなので 楽です。ここまでの状況では今回のルート選択は正解!!

606の標高点はいつのまにか通り過ぎていました。この辺りは植林帯でほとんど同じような 標高なので位置の特定はむずかしいです。しかしその先にある峠で位置を再確認する。 勝手に峠と言っていますが案外正解だと思っています。というのも「たじまハイキング」によると 菖蒲沢の集落は円山からの分村だということらしい。だとすると円山へ頻繁に通っていた山道が 存在するはずです。地形図を眺めていてここがそうだろうと見当を付けていました。

実際ここの鞍部には道が存在します(石仏でもあれば完璧なんですがねえ)。現在は山仕事の道として 使われているようですが、昔(菖蒲沢の集落にたくさんの人が住んでいた頃)は、たくさんの 往来があったのでしょう(たぶん・・・)。

三等三角点の埋まる標高649.1mの丸山には14時15分着。峠からこの辺までは松林です。 思ったより早くこのピークにたどり着いて気分も余裕があります。展望はありませんが 高圧鉄塔がすぐ近くに見えています。余裕があるためかここでちょっとミスをする。 ルートが細長いので地図を3枚に分けて持っていました。そのため分水嶺はまだ直進と勘違いして そのまま南下を続けてしまう。巡視路と出合いbQ0の鉄塔に着く。そこも大展望!! リュックから続きの地図を出して間違いに気づく。お茶を飲んで引き返す・・・。

bQ1鉄塔までは巡視路を利用できるがここからが問題です。いくら中央分水嶺だと言っても さすがに道があるわけはない。目指す方向を覗き込んでみると植林の激下りで到底進入出来そうにない。 右手から降りられそうなので それである程度下ってから植林の斜面に戻る(変に離れると分水嶺がどこかわからなくなりそうだったから)。 すると下に林道があるではありませんか!その奥の平らな所には池もあります。 林道も池も地形図にはありませんから少し戸惑いました。
bQ1鉄塔からの植林斜面激下りモリアオガエルの卵塊だぁ〜

池と言っても深さはあまりなさそう。それにしても周囲の木の枝にはモリアオガエルの 卵塊がいくつもぶら下がっている。その真下にはえさをねらっていもりが泳いでいた。 さて、分水嶺を探して周囲をうろつく。ここだとねらいをつけて歩いていく。 よ〜し、良い調子だ。もう少し・・・。

ほぼ完璧だと思っていたのに最後の最後になって尾根を間違ったようだ。 ほとんど踏み跡も無いような樹林の間を縫って歩いているのだから これはもういたしかたありません。西山の集落の西の端っこに降り立ちました。 15時25分。

西山の集落の312号線との入り口付近の高台に小さなお寺がある。このお寺は無住ですが 『法道寺』という名前です。つまり銀山湖に沈んだ上生野にあった法道寺がここに 移築されているのです。周囲の民家はもちろん上生野からの転居されてきた人がほとんどです。 ここ西山はそういう歴史のある分水界の集落です。その法道寺の上ぐらいから降りてくる計画でした・・・。

最後は懸念したとおりのミスコースでしたが個人で悪戦苦闘した割りには 好結果だと思います。もちろんたぬきさんにも大いに助けられました。 さて次はどこの中央分水嶺を行きますかな?


今回のとんがりさん(中央分水嶺踏査)の地図は こちら(約160k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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