頭巾山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『口坂本』を参照いただくようお願いいたします。

2004. 7.19.  月曜日  晴れ  気温あつい
18日、綾部の鉢伏山に登った後は東舞鶴で買い物やお風呂に入ったり、港を歩いたりして時間を潰しました。 19日は福井県遠敷郡を予定していますので五波峠というところでテント泊です。 五波峠は八が峰の登山口として有名な峠ですが普通の人はこんなところで テントを張ったりはしないでしょう。峠の下には環境の整ったキャンプ場があるのですが こんな所に泊まるなんてキャンプ場嫌いのM氏ならではの選択です。

朝起きてここから八が峰へ登るという手もあったのですが、峠を下って名田庄道の駅へ向かいます。ここをスタート ゴールにして頭巾山へ登るのが今日の予定です。さっそく準備をしてスタート。飲み水は十分に用意しましょう。 今日もとんでもなく暑そうです。8時30分。

県道771を川沿いに西へ西へと進んでいきます。早くも汗が出ますが舗装路ですので小手調べの サイクリングと言ったところでしょうか。20分ほどで『野鹿の滝 2.5km』の標識と橋のある 分岐にやってきました。古いイラスト地図もありますのでそれらの位置を頭にたたき込んで いよいよ林道(舗装)です。いきなり鹿とばったり遭遇しましたが、向こうも驚いて急ターンで 山へ逃げ込もうとします。ところが路面が舗装なので足を滑らせてずっこけてました。 この鹿君、照れ笑いを浮かべて山の中に消えていきましたよ。

まず最初の見どころはなんと言っても『野鹿(のか)の滝』です。林道から滝への遊歩道があるので それを利用すれば滝壺の近くまで見ることが可能です。落差は30mほどでしょうか。 汗びっしょりで谷底へ下るとそこには冷気が充ち満ちています。水浴びでもしようかと思ってましたが、 水は超冷たくってそんなことしたら心臓が止まってしまいます。しかも 足元は滑りやすくMTBシューズでは特にデンジェラスです。先ほどの鹿と同じ目にあいそう・・・。
野鹿の滝(顔を洗うM氏)つづら折れで歩きよい

林道に戻ってさらに登ります。この先から路面は未舗装に。谷川は左下にありますがいつの間にか 水は無くなっています。たしかこの辺りだったと思い気を付けていると、ありました!! 見落としそうな所に頭巾山への登山口の表示があります。9時50分。これが無いとここは わかりにくいです。水の流れていない河原に降りると対岸にもちゃんと標識があります。

歩きよい登山道です。一定の傾斜でつづら折れになっているのでペースが保ちやすい。 MTBを担ぐ我々にとってはありがたい道です。ただ、どの辺を登っているのか わかりにくい地形なのでとりあえず尾根に出るまでがんばりましょう。 しゃくなげとイワウチワが多いので春に来るべき山です。 尾根に出てしばらくすると大岩を迂回しながら登るポイントになります。 片手でMTB、片手で木の根っこを掴んで急斜面を登ります。 「お腹空いた〜!!」ということで展望地で小憩します。
頂上手前の展望岩場から県境の尾根を眺める
そこから頂上を見るとすぐそこでした。これだったら向こうで大休憩にしてもよかったみたい。 でもここからだと下山に使用する県境尾根もばっちり見えます。しかし頂上からの直下を見ると急すぎて 乗れるかどうか微妙なところ。さて、ゼリーを食べて前進だよん。

すぐに県境の稜線に着。左右にはきれいな道がある。頂上は左方向だ。MTBに 乗車したまま奇声をあげて頂上になだれ込む。11時ジャスト、標高871.0m、二等三角点。
頂上だぁ〜!!

頂上には誰もいませんでした。ハイカーがいたら驚かしてやろうと思ったのにちょっと残念。 頂上には権現を祀る祠がありますが、昔と違って 新しくなっています。修験の権現と言えば蔵王権現を祀っていると思うのですが 扉にはがっちりと鍵が掛かっていて内部を見ることは出来ませんでした。

とにかく汗びしょりなので私はシャツを着替えます。M氏は裸になって濡れたシャツを岩に貼り付けて 乾かしていました。「この天気やからすぐに乾くなあ〜」と、いつものようにお気楽度100%です。 祠の正面には一対の石の灯籠と手水鉢がありますが、この手水鉢の表側に面白い記述彫られてありました。

まずは『奉上 銅食禁山』とある。(『食禁』はこれで一文字です。食という扁に禁という文字なのですが こういう漢字が変換で出てこなかったので・・・)単純に読むと『どうきんさん』となります。 つまり頭巾山(ときんさん)の別名?あるいは古名だと思うのですがいかがでしょうか?

もしこれが古名だとしたら頭巾山の山名の由来(修験者の頭巾に似ている)というのが 覆されることになりますが・・・。 さらに『大権現御神前 安永二年(1773)六月日 山森村 願主 久左衛門』とあり、結構古いものでした。
頂上から北方面を見る
「シャツ乾いたで〜」こちらが手水鉢で興奮しているのにお気楽ライダーM氏の声で 現実に引き戻されました。気を取り直して展望を楽しみます。ほとんど知らない山ばかりですが、 ランドマークな青葉山と弥仙山だけはよくわかります。北方向を見ると海も見えるんですね。海が見える山ってなんだか 得した気分になるのはなぜでしょう。無線をつけると千が峰とまたに山にいるおなじみさんと 繋がりました。なかなか無線のロケーションも良い山です。

しかし暑いこの時期いつまで待っても誰も登ってくる様子はありません。MTB担いで脱水症状になる寸前 のおばかさんは我々だけってことですかね。お昼まではまだ時間はありますが ついでですから昼食も済ませてしまいます。今回は久しぶりにコーンフレークにしました。 牛乳のかけて食べるのですがカロリーが高くて喉も通りやすくこの時期食欲の無くなる私には ありがたい食物です。
この稜線ええやん!!乗り放題や!!

11時40分下山開始です。まずは県境の稜線を東方向に下っていきましょう。 展望地から見たときは到底乗れないと思っていましたがこれが案外乗れるので驚き。 傾斜が緩やかになった所が上谷分岐です。ここから美山町へ下っていけるようです。 傾斜が緩やかになってからはもちろんのこと乗れ乗れです。

すごく雰囲気の良いエリアがあります。尾根の幅も広く木と木のあいだはどこでも通過出来て スラローム走行が楽しい。春とか秋ならもっと良いでしょうね。 ただ惜しむらくはこの先から道が小さなピークを巻くようにあることです。 巻き道には木の根っこが張り出しているので乗ることが出来ません。 変な巻き道よりダイレクトに尾根にあるほうがMTBには都合が良いんです(勝手な希望ですけど)。

ちょっと南寄りに下って登り返したところは送電線の巡視路でした。ここにも立派な標識があります。 右に下れば美山町の山森、左に行けば堀越峠4.5km(4時間)とあります。本来なら堀越峠を目指したい ところです。時間的余裕はあるのですが体力的な余裕はこの暑さですからありません。 そこで堀越の手前にある横尾峠で下山する予定です。
横尾峠です峠道も一部乗れ乗れ

展望のない鉄塔を過ぎた所に横尾峠はありました。地形図にある718ピークのところです。 12時45分。小さな石室の中には二体の石仏が安置されています。 覗いてみると台座の一つには『子安地蔵』という文字が見える。峠に子安地蔵を安置する 理由はなんだったのだろう・・・。

峠の真南に下っている枝尾根にも下山道らしき踏み跡あり。我々はここからさらに 若丹国境の尾根を行きます。伐採跡の斜面を左に見ながら荒れた巡視路を進んでいくと 再度標識に出会う『ここは横尾峠695m(迷点1)』とあった。 堀越峠へは『尾根に沿って植林帯の藪こぎ』とあり、その尾根を覗いてみると確かに藪っぽい。 M氏も「そんなとこ行きたくないなあ・・・」と、にべもない。

予定通りにここから北西に延びる尾根を下ることにする。700m+のピークは右に巻き道がある。 これは巡視路兼昔の峠道のようだ。プラ階段で下りきるとまたぞろ気持ちよく乗れる。

この峠道は里まで続いているのだろうか?そう思いながら気持ちよく下っていくと伐採の斜面に出くわす。 ここは今まさに伐採をしている最中というところ。作業員は休みなのかいなかったが、 チェーンソーとヘルメットが放置してあった。実はここにあった高圧鉄塔の巡視路で 下山するのが現在のルートらしい。ところが伐採中のため火の用心マークはなぎ倒されているし、 巡視路の踏み跡も倒木の下に埋もれてしまっている。 峠道の踏み跡はその先も続いているように見える。ええい!いっそのことこのまま尾根を下ってしまえ!!

途中まったく踏み跡の消えてしまう箇所もあって不安になるがなおも強引に尾根を下っていくと 突然道が復活する。「また道が出てきたで〜」とM氏。 この辺りにはさすがにハイカーのマーキングはまったくない。 その道は左に大きく曲がって枝尾根に入り、 いよいよ里へ下っていくように思えた。つづら折れの急下りが連続する。まったく人が歩いていないかというと そうでもないらしい。ハンターか山仕事の人が脱糞した形跡がある。
つづら折れの峠道。この先で道は無くなる堰堤を越えて林道に出る

このまま最後まで道があると確信していたのに急にそれは無くなる。それは左に曲がって下ったところで あった炭焼き窯跡付近からだ。突如という感じで無くなってしまう。 谷へ下る方向にうっすらと道らしきものも見えるが、その谷がいけません!! 倒木で埋め尽くされて、たとえ降りたとしてもまともに進めそうにありません。 「こらあかんで〜」話し合いの結果、枝尾根に戻ってそこを強引に下ろうということになる。

そこも手入れの行われていない植林帯の激斜面だった。しかしなんとか川らしきものが見えてきたので ホッと安堵する。左を見ると小さな砂防ダムの堰堤が見えた。あれを歩けば川に降りなくても向こう岸に簡単に 行けそうだ。苦労の末なんとか堰堤の上に立てた。下の川を見ると護岸されていて降りることが出来そうにない。 堰堤に出て大正解!!

14時30分林道に出る。すぐ下にある人家で聞いてみると峠への入口はやはりあの倒木だらけの谷付近かららしい。 入口がなくなっているから人も通らないはずだ。「昔は小学校や中学校の遠足はこの峠道で横尾峠から頭巾山だったんやで」 と、おばあさん。「今は野鹿からのコースが出来てだれも通る人もないけどな。あんたらよう通ってきたなあ」 ほんま我ながら変人ですわ・・・・。怪我の功名というか、あの鉄塔から下らなかったおかげで 昔の峠道をほぼ全域にわたって下ることができた。名田庄道の駅には14時40分着。おつかれさん。

今回の頭巾山の地図は こちら(約150k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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