知見とんがり山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『栃本』を参照していただくようお願いいたします。

2004. 4.10.  土曜日  晴れ時々曇り  気温あたたか
円山川右岸道路を和田山から豊岡方面に走るとき千石橋付近で左手方向を見ると、天を突くようなこのピークに 気がつきます。誰もがそうらしくて、やまごさんもたぬきさんもどういう名前の山か気になっていたそうだ。 折を見て八鹿町側から登ろうと計画していたら 兵庫の山々 山頂の岩石の橋元さんに先を越されてしまいました。そのレポートによると 八鹿町側の山名は『アマワリ(天割り)』という。

誰が名付けたかは知らないが良い名前です。橋元さんが登ってしまったのでしばらく登ることもないかと 思っていたら、こんどは『たじまハイキング』という本で紹介されていた。こちらは日高町の知見から登っていて 、しかも頂上直下に樹齢300年になろうかというエドヒガンの大桜の木もあるという。 よっしゃ〜!!去年は樽水とみずめの桜を見たが、今年は知見の桜を見にいくぞ!!

最初はやまごさんと二人だけの山行きかと思ったが、母たぬきさん、清水さん(やまごさんのお知り合い)、 そして一年ぶりに笹倉さんも来てくれました。タイミングが良ければ時間を違えて登ってくる予定の萬屋さんと そのお友達のTさんにも会えそうです。

ガイド本にある知見の公民館に車を止める。しかし本に書いてあるからといって勝手に止めるのはやめてください。 かならず誰かの許可を得るようにするのがマナーと言うものです。「あぁ、ええよ。桜見に登るんか?」 向かいの民家のおかあさんは気さくに言ってくれる。「あの山は知見ではなんて呼んでいるんですか?」と おとうさんに聞くと、とんがり山だと言う。八鹿町側と違って、ここからは尖って見えないのだが 昔からそうよんでいるらしい。おじいさんまで出てきて見送ってくれる。9時05分。
八十八カ所の石仏の道地形図にある平坦地

ガイド本によると蓮臺寺の石仏道を行くらしいが、そのお寺がわからない。立ち話している おばちゃんに聞くと、これまた親切に案内してくれる。蓮臺寺への階段を登って左手奥から石仏の道が始まる。 四国八十八カ所霊場を模したものなので必ず弘法大師と一対をなしている。そのどれもがなかなかの個性のある 石仏であった。道沿いにはスミレはもちろんだがイワカガミ、ショウジョウバカマなどのお花も咲いていました。 (ガイド本には八十八カ所観音巡りと書かれていますが、これは間違いです。八十八カ所は観音霊場では ありません)

まぁ、この辺りはガイド本を読んでください。林道の桜を愛でながら終点には9時40分着。 右下に見える八幡神社のお社はシートに覆われていてなにか工事中のようでした。 ここから山道になるが足元にはミヤマカタバミのつぼみがいっぱい。この先なにやらうれしい予感がするねえ。

地形図通りの点線で少し登るといきなり平坦地になる。周囲は杉の植林帯で道はそれに沿ってアップダウン もなく続いている。この平坦地はどう見ても耕作地の跡のように見える。あとで萬屋さんも 言っていたが、昔からある隠し田か木地師が住んでいたのではないだろうかということだった。 登山口ではつぼみだったカタバミもここではきれいに咲いていて撮影モード全開になる。

登山口にもあった『知見の大桜』という看板がここにもある。そこから急下りで谷に降りる。 そして源頭部へ向かってジグザグの急登りが連続する。足元にはふきのとう、エンレイソウ、 キケマン、エンゴサク・・・等々。
大桜と出会う300年の風雪に耐えた幹

「あっ〜!!あったぁ!」たぬきさんが大声を上げるので上を見上げると、逆光の光越しに それは立っていました。10時30分。ソメイヨシノを見慣れているので一瞬なにかしらと思ってしまうほど 異様な姿をしている。大きな枝は両手を左右に大きく広げているように見える。その腕は節くれて 曲がっていて、年老いた男性を感じさせるが、淡いピンクの花弁は乙女のようにかわいらしい。

逆光でうまく写真が写せないので近づいてみるが、今度は全体が写らなくなる。 幹の周りはぐるっとロープで囲われていて根っこが傷つかないように保護されていた。 これは良いことです。糸原のみずめ桜は囲いもなく根っこは踏まれ放題で、幹には大きなうろもあり いつ倒れてもおかしくない状態でした。
ちょっと上から撮してみる展望のある岩場で食事

元気が有り余っていて、 あちこち飛ぶように移動している笹倉さんが「こっちの方がええで」というので上へ移動すると 順光で桜の花がきれいに見える。植林が邪魔をして全体は見えないがこれは仕方ないか・・・。 萬屋さん達は遅くスタートすると聞いていたので我々ものんびりと花を見ながら登ってきた。 そろそろかと無線を入れて萬屋さんと交信するともうちょっとかかりそうと言うので、我々はこの上にある 展望岩に先行する。
かすみがひどくて残念な展望
下から見上げると岩場のように見えるがそこに立つとフカフカ松葉と落ち葉のテラスでした。 北方向を中心に展望はあるのですが あいにくのひどい霞で遠くはまったく見えません。真後ろにはこれから登る知見とんがり山の頂上。 西に目をやるととんがり山の弟と呼んでいいような572mの兄弟ピークがある。その奥には蘇武岳、三川山、 大岡山、飛行機は飛ばずに閑古鳥が飛んでいる但馬空港、来日岳、ほんとうなら日本海も見えるだが・・・・。 さらに進美寺山、須留岐山、山上にある畜産団地はクッキリだがその向こうにあるはずの床尾連山は見えませんでした。

さきほどの大桜は岩壁からのぞき見るとすぐ下に見えます。萬屋さん達も桜までは到着しているようです。 時間は早いですがここで食事を済ませてしまいます。各自勝手に食事を進めています。 そのうち萬屋チームとも合流してにぎやかになりました。 しばらくおしゃべりした後、萬屋さん達はこれから食事で、我々はとんがり山山頂へ向かう。 11時55分。

思った通りの激登り。道とは呼べないが先人の踏み跡があるのでそれをトレースする。 頂上は東西に細長く背の低い笹が地面を覆っている。八鹿側植林と日高側雑木で区切られていて 西端に二等三角点が地面に埋まっていた。標高589.9m。12時05分。
知見とんがり山(アマワリ)頂上

地面にしゃがんでいた清水さんがなにかを見つけたようだ。見ると杉の切り株の 側面に登頂プレートが張り付いていた。それはあのバカ集団『香住の海と山を探す会』だった。 そのプレートはヒモとか針金でくくりつけられているのではなく、なんと幹にビス止めされて いるのです。まあ、切り株だから文句を言うほどでもないのですが、別の山では生きている木に ビス止めしていたのは事実です!! (香住にお住まいでだれかこのバカを知っている人がいらしたら注意してやってください)

さて、ここからは西隣にある572mの弟峰へ向かいます。最初は二通りの下山路を考えていました。 一つは頂上から町境界の尾根を東にたどって畜産団地の峠から知見に下る。もう一つは 弟ピークから北に延びる尾根で森山の集落へ下る。町境界の尾根は麓から見ると、どうも 植林の率が高そうです。反対に弟ピーク北尾根は雑木主体で桜の木も多く見えています。 当然こちらのルートで下山開始。やまあそがピストン嫌いだということをメンバーも よく知っているのでなんの違和感もなくルートをたどります。
572mの弟ピーク振り返って知見とんがり山

一旦下った鞍部は南に下れば八鹿町の中村、北へ下れば日高町の森山。下山後森山で聞きましたら やはりこの鞍部を利用して行き来があったそうです。鞍部へ下る手前で弟ピークを見ると 雑木の頂上が恐ろしく尖っています。そして鞍部から弟ピークへ登り返しはじめてすぐに展望の テラスに着き、そこから振り返ると知見とんがりが見返せます。

背の高い笹を掴みながら激斜面をよじ登りきるとそこは572mのピークだった。12時50分。 お兄さんのピークは細長いので見る角度によっては尖って見えないこともありますが、 この弟の山頂はまさに針のように尖っています。ひょっとしてとんがり山とはこのピークの ことを言っているのでは?と思ってしまいます。

お兄さんと違い対照的に明るいピークでした。もう少しゆっくりしていたかったのですが、 超人笹倉さんは先に行くたくてうずうずしてます。ということであっさりと北尾根に 乗っかって下山開始です。
雑木の北尾根を下る桜もたくさん咲いています

ほとんどずーーっと下りっぱなしの尾根です。そして予想通り雑木で明るく、しかも ここにも桜の木がたくさんあります。まさに桜尾根と命名したくなるような尾根でした。 明確な踏み跡はありませんが、獣道をたどれば大丈夫。なにより人の手によるマーキングが まったくないのがうれしい。

「ここも桜がきれいねえ・・・」と上ばかり見ていてはいけません。地面にもたくさんの 花が咲いています。とたんにみんなは地面にはいつくばって撮影モード突入。 知らない人が見たら落としたコンタクトレンズを探していると勘違いするでしょう。

私一人なら見過ごすような花がたくさんありました。今回のメンバーが花に詳しい人達だったので 「あそこにほら!」「ここにも!」てな調子で、次々にみんなは見つけます。 それに便乗して今まで見たことのない花がたくさん楽しめました。

263ピーク手前の鞍部付近からは植林になっているので、この鞍部から下りましょう。 うっすらと踏み跡の残る仕事道を下っていくと棚田跡に出て明るい林道に出ました。 そこには『右 不動尊 左 森山ダム』と彫られた真新しい石柱がありました。 14時10分。
桜の咲く山里林道を歩く

森山の集落へ向かっている林道にもさくさんのソメイヨシノが咲いています。 今日はほんとに桜三昧の山行きでした。集会所から出てきたおじさんに話しかけられたのを 幸いに、先ほどの弟ピークの名前を聞き出そうとしましたが、どうもわからない様子で残念。 「そんなとこ歩いたんか。あんたら山のエキスパート(この場合、変人とか奇人という意味です)やなあ」 と言葉もいただく。

14時45分。 知見の公民館まで帰ると畑仕事をしているおじさんが声をかけてくれる。知見の人々は温かい。 しばらくすると萬屋さん達も別ルートで下山して帰ってきました。やまごさんが登山口に置き忘れていた 杖も回収してくれています。たぬきさん差し入れのパンをいただき解散となりました。

今回の知見とんがり山の地図は こちら(約140k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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