三久安山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『音水湖』を参照していただくようお願いいたします。

2004. 4.29.  木曜日  晴れ  気温ふつう
はじめてこの山に登ったのは1998年の12月22日のことでした。その時の使った登山道は溝谷集落から 延びている『蓮花岩山林道』を利用しました。この林道を登っていくと『蓮華岩山隧道』というトンネルがあります。 トンネルを抜けてさらに2.2kmほど行くと、林道のコーナーに広いスペースがあり、落石防止ネットのある斜面に古い木のハシゴが 立てかけられていています。それで枝尾根を登れば短い距離で頂上へ登れました。 (ここには登山口の標識等はまったくありません。林道を終点まで行くと標識の設置された登山口もあるようです)

去年は同じGWにM氏と62林班コースで裏手から三久安山に登りました。今回はまたまたバリエーションルートを考えてチャレンジしてみます。 とりあえずは溝谷の集落へ向かいましょう。 この集落はたたら製鉄、木地師と関連のあるところですが、これから向かう谷道はその昔は『ひきハら ミち』と 道標にもあるように波賀町引原へ向かう峠道だったようです。現在も峠の痕跡が鞍部に残っているのが? それも気にかかります。

林道は集落を過ぎると未舗装になり、ヘアピンカーブの所でなんかの案内板がありました。 見ると『蓮華滝・・・・』となっています。耳を澄ますとすぐ近くて滝の音が聞こえています。 さっそく寄り道をしましたが、実際は遙か奥に滝はあって普通の靴で行くのはちょっと無理がありました。 何度も川にはまりそうになりながら滝壺付近に近づけるだけ近づく。やはり長靴が具合良さそうです。 ここからは最低でも二段に段差があるように見えます。高さは11mということですが、 水量が豊富なのでその迫力はすばらしいです。 近くには大師堂、岩窟には不動明王も祀られていると言うことですが足元が不安な為に次回の楽しみに取って おきましょう。

そういえば林道の途中に石仏がありました。地蔵菩薩の立像で大正十年九月という比較的新しい年号が 彫られています。さらに左の面には『れん希゛左ん江(蓮華山へ)   八丁』(IXY安田さんより ご教授いただきました)『発□人 溝谷 小椋ぬ□ 秋武たま』と ありました。これは蓮華山への道しるべであるとともに、この滝の大師堂への道標石仏だと思われます。 さきほどの案内板にも『・・・ここは溝谷の木地師 忠兵衛、勘兵衛、藤右ヱ門らが木地師の会合場所として作ったと伝えられている』とあります。 小椋姓は木地師そのものですから大正の頃まではお祀りも盛んだったのでしょう。
蓮華滝群の中の一つ蓮華岩山隧道

滝で思わぬ時間を取ってしまいました。急ぎましょう!! 今回登り口に予定しているのは林道途中にある『蓮華岩山隧道』というトンネルです。 この銘板と先ほどの石仏からも判りますが、三久安山は蓮華岩山、あるいは蓮華山とも呼ばれているようです。 大阪営林局が昭和52年に造ったトンネルですが見た目はまだまだ新しく見えます。 ここで準備をしてスタート。時計を見ると10時ジャスト、お昼には頂上に立てるでしょう。

トンネルの横手山側を見るとわりとはっきりとした踏み跡が見えます。「こいつやな!」と登り始めましたが あっさりとその先で無くなっていました。しかし、植林帯にはうっすらとした踏み跡が続いているので 小さな谷川を左に見ながらそれをたどると炭焼き窯跡に到着。そこから流れを渡って薄い踏み跡をよじ登っていくが やがて植林帯も終わりになる。雑木の林に突入だが、そうなるともう踏み跡どころか獣道すらない。 身体をすり抜けられるスペースを探しながら、がむしゃらによじ登っていくだけである。

ようやく枝尾根の上に立つことが出来ました。10時40分。目の前には藤無山が樹林越しに見えています。 道があるとは言えませんが、もうヤブではないので気楽です。目の前の30mほどを登るとゆるやかな 稜線があるのを地形図で確認済み。ホッとして周囲の雑木林を眺める余裕も出てきます。

その稜線に出て驚きました。西側上部は伐採されていて大展望が広がっています。 三久安山はブナの広がる静かな山という認識はあっても展望が得られるとは思ってもいなかったからです。 伐採跡は痛々しく感じますが、斜面全体ではなく上部だけで、それもずいぶんと昔のようです。
伐採地に飛び出しました。ごらんのような大展望です。
さらに951P付近から東方向も見てみます

その展望に驚いてあわててカメラを取り出しますが、その先はさらに展望が良いので写真を撮すなら とにかく先に行きましょう。私は立ち止まるたびにカメラを構えるのでここで大幅に時間をロスして しまいました。(^_^;)

951ピークで小憩しながらトンネルからさらに続く林道を眺めてみる。あのへんが昔使った 登り口だなあ・・・と眺めていると二輪に乗った人影が一瞬見えた。オフロードバイクならその エンジン音が聞こえるはずだが音が無かったと言うことはMTBか??その先から出てくるのを待っていたが いつまで経っても見えないということは、あの登山口から登っているのでしょう。 タイミングがあえば頂上で出合うかも知れません。こちらも再スタートです。11時10分。

おやつを食べたかったがゆっくりしておられません。伐採地を過ぎると稜線上が歩きにくくなるが左の 植林帯の中なら問題なく歩ける。等高線はゆるやかになり、目の前の斜面を登ると方向は北から西に 変わっていくはず。その斜面はもう植林ではなく、新緑がまぶしいほどの雑木の林です。 そして斜面を登り切ると・・・。
大杉が目印の平坦地蔓の衣をまとったブナ

枝尾根との合流点、そこには大杉があり、その下には不思議な平坦地が広がっている。 なにか建物でも建てる為に整地したかのようにフラットだ。 木地師達がここでくつろいでいたのかもしれません。 ぐるっと周りを見ると ここだけでなく大杉はあちこちにあった。もちろん植林のものではなく、昔からの 自然にある杉のようだ。そしてブナもぼちぼちと姿を現してくる。 もうパラダイスは近いぞ!!

稜線上は下草もなく、ただただ枯れた笹原になっていた。去年よりもさらに笹は枯れているように感じる。 6年前の写真を見てみると頂上周辺は一面の笹原だったのに・・・・。頂上に近づくにつれてブナも だんだんと幹が太く大きくなっていくようだ。こうやってみると、62林班コース>今回のコース>正規コースの 順でブナは良いように思う。

三久安山の頂上はそこだけちょこっと土盛りをしたようにふくらんでいる。そして真っ赤に塗られた三等三角点がある。 標高1123.2m、11時55分。コーヒーとサンドで簡単な昼食を摂る。10分ほどした頃だろうか、ハイカーが一人 正規ルートで登ってきた。どうやらあの二輪のお人のようだった。私の顔を見るなり「しまださん??」と言う。 トンネルの横に置いてあった車でわかったらしい。ということは私のHPの読者ということです。

不思議な縁というか、この方(Yさん)は10日に御祓山で兵庫の山々 山頂の岩石の橋元さんに出会ったそうです。というのもYさんの話を聞いていると 橋元さんからもらったメールの内容とまったく同じだったからです。(^_^)v
山頂の様子正規コースで下ります

お話をしたり、無線をしたりで気がついたら1時間も経過しています。そろそろ下山に取りかかりましょう。 下山はYさんの登ってきた正規ルートです。途中で氷ノ山が見えたり、音水湖が(チラッとですが)見えたり します。西斜面は植林なのでいずれ伐採されると、とんでもない展望地に変身するかもしれません。

分岐ピークには13時20分(山頂より15分)。ここから左手の急斜面を下っていきます。 途中から鹿避けネットの残骸が、それでなくても細い枝尾根の真ん中に現れるので、 右に左に除けながら下っていきます。足元が不安定なので気を付けましょう。

鹿避けネットのゲートをくぐり抜けると、そこにはイワウチワとシャクナゲの花園があります。 といっても、小さなエリアですが・・・・。しかも イワウチワはすでに終わっていて、シャクナゲは裏作なのかほとんど咲いていませんでした。 今回はこれが目的だったので残っている花はないかとYさんと探します。
わずかにあったシャクナゲハシゴで降ります

あきらめて下山を続けましょう。ワイヤーを使っての激下りをクリアーすると 眼下にはYさんの止めているバイクが見えています。ヤブに隠れ気味になっているハシゴを 見つけ出してソロソロと下る。ここも6年前とずいぶん雰囲気が変わっていた。 ハシゴは付け替えられているのかそれほど痛んでいない。 (ただし体重の重い方は踏み抜く恐れあり!!)

Yさんはバイクで、私はトンネルまで歩きで林道を下ります。 さすがに宍粟郡の深山!!途中にはたくさんの滝があります。そしてそのそばには 多くの山野草が・・・・。カメラに収めながら歩くので遅々として進みません。 トンネルには14時40分着。こちらの入り口右手には登れそうな踏み跡がある。 これで登るのが正解だったかも・・・・。

今回の三久安山の地図は こちら(約130k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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