西光寺山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『谷川』を参照していただくようお願いいたします。

2004. 6.19.  土曜日  曇り時々晴れ  気温暑い
西光寺山はいろんなコースで登り、そして下りましたが、寺坂コースだけはまだ歩いたことがありません。 山頂に行くだけなら短時間で行けるでしょうから、山頂ではゆっくりとオカリナを楽しんで、 下山はいつものように登山道でないコース(こういった道を総称して『やまあそコース』と呼んでます)で下ってみます。

篠山市今田町本荘の七星ソースの社屋奥を進んでいきます。墓地に車を止めるのが手っ取り早いですが 足元のしっかりした車なら林道の終点まで行けます。適当なのはため池の堰堤近くあたり (頂上まで約2.1kmの標識あり)でしょうか。そこへ車を止めて8時40分スタート。いきなりですが サギソウの咲く湿地帯に寄り道します。 8月頃が見頃なので何にも咲いていないように見えますが、この時期はモウセンゴケの白く小さな花が 咲いています。デジカメで写そうとしますがこれがむずかし〜い!
寺坂コースの分岐蜘蛛の巣もない快適道

東屋が見えてきました。右手にはわかりにくいですけど石灯籠もあります。ここを直進すると 炭焼き窯横を通過して登っていくメジャールート。左手の草に覆われた細い道には 『寺坂登山道(寺屋敷跡)』と標識があります。東屋には『西光寺山の金の鶏』民話の 大きな看板が取り付けられていますがここに全文をコピーしているとたいへんな字数なので割愛!

寺坂コースは入口だけ草むしていて入るとそうでもありません。木製の祠跡、新しい石の祠、そして石組みで出来た 祠と三基の小さな祠がありました。石組みの祠の中には四角形の石が祀られています。何かの石塔の一部 のようです。表面にうっすらと文字が彫られていますが薬師如来を表す梵字『バイ』のようです。

小さな流れを渡ると左に行かないように気を付けましょう。平行するように廃道となった林道が左手にあり、 ともすればそちらに行ってしまいそうになります。植林の中の細い道には『本堂跡山頂至』と書かれたブリキ板が 転がっていてこちらが正規ルートです。不明瞭な踏み跡しか残っていないのでは?と想像していたがまったくその心配はない。 蜘蛛の巣もほとんどない気持ちの良い道です。やがて細い谷川を横切ると小さくガレた急斜面を登っていくことになる。

いくつも炭焼き窯跡が残っています。昔はこの谷斜面で多くの炭焼きの煙が立ち上っていたのでしょう。 周囲には山桜、ウバメガシ、コナラ等が多く目に付く。汗はかくものの下から吹き上げてくる 冷風のおかげで蒸し暑いといった感じはない。どこが寺跡かわからないので とにかく登っていく。やがて社町と篠山市の境界尾根に出る。9時40分。
稜線に出ました。ええ道や!!

尾根は展望はないがさらに快適な道となっている。尾根の真上に道はなく、進行方向左下に 平行して続いている。寺跡がこの奥にあるとしたら結構な標高だと思う。 だとしたら水場が必要だがこれほどの標高であるのでしょうか?? そんなことを思いながら歩いていると大きな岩が現れ始める。 おっ〜!なんだか怪しげな場所だぞぅ・・・。

おお!こんな所にチョロチョロながらも水が流れてるやん!!その水をたどって行くと 大岩が点在する中にフラットな敷地跡らしき所がある。古いブリキの看板がぶら下がっていて それには『古井戸跡』、『寺屋敷跡』などと書かれていた。しかし寺跡はここだけではなかった。
岩の割れ目から水が染み出してます僧屋敷跡
ここから道は二手に別れていますが右を選んで少し登ってみるとそこ(社町と篠山の境界)にもフラットな 敷地跡が広がっている。現在は雑木が生い茂っているがそれがなければずいぶんと広い。少し周囲を 探索してみるが迷子になりそうな所だった。しかもなにか雰囲気が変で遠くから変な音も聞こえてくる。 霊感のまったくない私でさえちょっと息苦しくなるような場所だった。

西光寺は伝説では3世紀半ばに創建されたというがこれは眉唾ものであろう。四十八坊あったと記述がある。ほんとかどうか わからないがこれだけの広い敷地跡があるのだから相当のお寺だったと想像できます。 その西光寺は少なくとも四度の戦火にあっています。一度目は1184年の源平三草の合戦から一ノ谷の合戦の時期。 二度目は1467年の応仁の乱。三度目は15世紀後半頃に赤松と山名の戦いの最中に焼かれたらしい。 四度目は十六世紀に松永弾正によって焼かれる。

西光寺山の南西にある672mのピーク(大洞山と呼ばれてます)にある 『洞ヶ岳西光寺諸死精霊』は最初この寺屋敷跡にあったのを後に672mピークに持っていったらしい。 諸死精霊とあるのは数度の戦火で亡くなった僧侶たちや武士たちのことであろう。 その人数を思うととてつもない数字になると思う。霊的に感じるものがあるのはこのためだろうか? 慶長年間の頃?天台宗金鶏山西光寺は亡び、その後真言宗修験宝螺ヶ山西光寺として再スタートすることとなる。 では、さらに先へ行ってみよう・・・。
建物の礎石がきっちりと残っている

規則正しく並べられた礎石が残っている。白い杭が地面に立てられていてそれには 『丹波合同1000人ハイキング記念』『平成1年5月14日』とあった。 1000人もの人がここを通過したのでしょうか?いくら気味が悪い所でもそんだけの人数なら心強いね。 石塔、石仏、墓石などが残っていないか探したが結局無かった。ひとまとめにしてどこかで お祀りしているのかもしれません。

赤いテープのマーキングに従って進んでいく。どうやら672mのピークを巻きながら西光寺山へ 近づいている様子だ。やがて西脇と篠山の境界になる主稜線に出会う。ここからは西脇側植林、 篠山側雑木となる。見知っているルートなので安心です。炭焼き窯からの コースとの合流点には新設の案内板があった。やれやれ、もうまもなく頂上です。
西光寺山山頂には新設の東屋三角点横にはササユリちゃん

10時30分、三等三角点、標高712.9mの西光寺山に着。久しぶりの山頂にはいわゆる箱物、 真新しい東屋が出来ていました。この山頂は木陰らしいものがないので正直言うとありがたいかも・・・。 その奥には三宝荒神を祀る社。さらにその裏には三等三角点がある。 三角点からは西脇市方面への下山道がありますが、その降り口にはささゆりが咲いていました。 さて、時間も早いのでゆっくりと展望でも楽しみましょうかねえ。
山頂からの広角展望
山頂北側は植林の為展望は無し、しかし東ー南ー西方面は全開である。ここから見える松尾山(高仙寺)、 和田寺山(東光寺)、御嶽山(清水寺)、三草山(朝光寺)、北方向は植林で見えませんが 白山・妙見山(荘厳寺)などはすべてこの西光寺と縁の深い山(寺)である。 こうやってそれぞれのピークを山岳仏教のマトリックスの一部として見ることも面白いです。

双眼鏡だとさらに奥深い同定が楽しめます。大船山のピークの手前に重なるようにあるのは千丈寺山。 海見山の近くの山頂付近に大きな建物が見えます。あんな山の上になんやろ?? そっか、三田カントリー27ゴルフ場のクラブハウスや。社町方向にもたくさんのゴルフ場が見えるが 多すぎてなにがなにやらです。六甲山の最高峰、雄岡山、雌岡山・・・おっ!明石大橋も見えますぞ!!

そして今度は東屋でオカリナです。今日の目的の一つはこいつでした。単独だと気の済むまで 吹くことが出来ます。山頂は概して音が拡散してしまい反響もないのですが、 東屋の屋根に反射して響きも良く鳴ってくれました。なんか上手くなったと勘違いしてしまいそう。 そうこうしているうちにお昼です。 昼食を食べて花の写真を撮っているとハイカーが登ってきました。 体格の良い単独男性、15分ぐらいして西脇に住んで居られるという男性。ちょっと遅れてご夫婦連れ。

地形図を見ると山頂から三つの尾根がある。登頂に使った南西の尾根。北に下ると西脇の双葉小学校コース。 これらは主稜線として西脇・今田の境界ともなっています。 そして三つ目は目立たないがほぼ真東に延びる細く小さな尾根(尾根の終点付近には541mの標高点がある)。 今回はこの尾根で下ってみます。12時30分。山頂に残っている人達に別れを告げて小学校コースを2mほど下る。 そこから頂上の下を回り込むようにして東尾根へ進入開始だ。
下山し始めてすぐにある北方向の展望

踏み跡も無く超藪だったりしたら山頂へ戻らないといけないという情けないことになるが、 そこには驚くほど明確な道があった(最初だけちょっとわかりづらいかも)。 左にちょっとした岩があったのでそこを覗き込んでみると山頂では得られなかった 北方面の展望もあった。

最初だけわかりにくく、下りも急斜面が連続するが、それが収まるととんでもなく良い道が続く。 周囲はウバメガシなどの雑木ばかりです。オカリナの曲を鼻歌で口ずさみながら気持ちよく下っていきます。
どうです!!この道541mの標高点から西光寺山を振り返る

こういう尾根が長く続くと自分がどこにいるのかわかりにくくなるのが常ですが、尾根の先端の 541mの標高点は大岩のある展望地でした。ここで西光寺山を振り返りながら小憩する。 まだハイカー達は頂上にいるのかな?いたとしてもまさかここにいる私は見えないだろう。

ここからさらに東方向へ下ると高圧送電線の巡視路に出会うと思う。そうなればその巡視路で サギソウの咲く湿地近くまで戻ってくることが出来る。そのつもりでここまで下ってきたのだが、 大岩を回り込むと切り開きが南方向へ続いているのが見えた。これで急遽予定を変更する。 大岩の裏から南へ下ってみよう!!

途中でまむしに二度出会う。道は最初だけ良く徐々に悪くなる(といってもヤブではないので大丈夫)。 やはりさっきの東へ下る方が良いかと思い直し引き返し始めたが、二匹のまむしの姿が 脳裏を横切ったのでそのまま下ることにする。さて、どこに降り立つのでしょうか?

登山道入口にあった東屋分岐からメジャールートの炭焼きコースを選択すると、しばらくは 林道を歩くことになる。その林道終点から山道に入るとそこには谷川が流れていて 石の鉢が置かれている水場がある。その水場に降り立ちました。13時35分。

駐車ポイントには14時ジャスト。着替えていると山頂で出会ったハイカーも降りてくる。 私が西脇方向に下ったのにここにいるのがさも不思議に思ったのだろう。 コースを説明したがわかってもらえたかなあ・・・。 541mの標高点からそのまま当初の予定通り東に下れば巡視路に合流できるだろうか?? とりあえず私のコースでも良い周回が出来たが、そちらの巡視路コースがどんなのか 気になる。

今回の西光寺山の地図は こちら(約80k) でごらんください。



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