二度びっくり〜大箕山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『矢名瀬』を参照していただくようお願いいたします。

2004.12. 5.  日曜日  時雨  気温寒い
『二度びっくり』とは峠の名前ですが、それにしても 面白い名前の峠があったものです。この峠を知ったのは今年8月に登った ムカエ山 の下山時にその近くを通り、降りた集落の民家で聞き出した名前です。 こんな名前を聞いたら誰だって登らずにはおれません。どんな峠でしょうか? 峠だけではもったいないのでそこから南へ尾根をたどり大箕山も登っちゃいましょう。

まずは前回の下山ポイントである青垣町遠阪の和田集落に車を走らせます。ここのAさん宅の おばあさんと再会。前回のお礼を言って、さらに厚かましくも車を止めさせて頂く。 「このあいだの台風でお地蔵さん付近がすごい倒木だし、峠道もわからないと思うよ」
「だめだったら引き返してきますよ・・・・(^_^;)」
ということで10時15分スタート。今回のお相手は若いのに石仏も山も好きなニコちゃんです。 でも、やまあその歩きに付いてこれるかなぁ??

Aさん宅の南横から裏手に回り込む小径に入る。前回ここから出てきたからわかるものの、 初めて来たらぜったいわからない道です。棚田の石垣と巡視路を示す『火の用心』マーク、 さらに奥には動物除けの金網フェンスとドアが正規ルートの目印となる。 そのドアには『・・・必ず閉めて下さい・・・』とあるので必ず閉めましょう。

間伐材で新しく作られた小橋を渡ると立派な棚田の石垣が続く。奥には簡易水道の水源施設らしきものも見えます。 この辺から倒木が出てくる。道がしっかりと塞がれているので、ここはくぐったり跨いだりしてなんとかクリアー。 やれやれ終わりかと思ったら、石仏の分岐当たりも10本近くの杉が道をふさぐように倒れている。 石仏の祠は倒木に潰されずに安泰だったが土が流されて傾いていた。
いきなりの激倒木でした石仏分岐を過ぎると良くなります

石仏には『右 やまみち  左 いなつち』とある。前回はこの『やまみち』から下ってきたので 今回は『いなつち』と書かれた左へ向かう。こちらがおばあさんの言う『二度びっくり』峠へ向かう道です。 ありがたいことに倒木もなくなりわりと快適に進んでいける。おばあさんの言うとおり道が不明瞭に なっているところもあるが少し先を探ると簡単に見つかる。

傾斜もゆるやかで山腹を南から東へ回り込むように少しずつ登っていく。 するととつぜん目の前に小さな切り通しの鞍部が見えてきました。これが最初のびっくりの ようです。11時ジャスト。
最初のびっくりに到着谷川を何回か渡る

峠から先を見ても具合のよさそうな小径が若干下り気味で続いています。 左下から水音が徐々に大きくなってきました。見ると小さな谷に流れがありました。 昨日の雨の影響か結構水量があります。道はどうやら流れの向こうのようです。 この後も流れがいくつも出てきてその都度道を捜すことになります。 右手を見上げると送電線鉄塔がありました。前回に立ち寄った68鉄塔のようです。 あの鉄塔の下にこんな道があるなんてその時は思いも寄りませんでしたねえ。

石垣で囲われた小さな耕作地跡がありました。棚田跡のようですが 場所が場所だけに隠し田だったのかもしれません。今は暗い植林帯の中ですが昔は 雑木の谷でしたでしょうからそこそこ明るかったに違いありません。 道が不明瞭になりちょっと探しモードになりかけましたが向こうを見ると鞍部のような感じです。 そちらへ向かうとちゃんと道もありました。
二度目のびっくりや!!最初のピーク手前から粟鹿を見る
昔の人が山越えで村から村へ向かうとき、峠を越えてやれやれと一安心します。ここから下ると目的の村だと 思うのは当然です。 ところが一度峠を越えたにもかかわらず、一向に下る様子はなく山腹をぐるーっと巻いていき、目の前に二つ目の峠が出現!! 彼はきつねに包まれたような気持ちになるでしょう。降りた村でその話をしたら「ああ、あそこは峠が二つあって『二度びっくり』と 言うんや・・・・」ずーっと昔にそんな会話がされていたのではと想像するのも楽しいではありませんか?

第二の峠から稲土へ下っている道も、見える限りにおいては明確でした。我々はここから南へ大箕山に向かって尾根を 行きます。11時30分。途中には二つのピークが行く手を遮っています。最初が530mほどのピーク、 次が542.8mの三角点ピーク。そしてゴールが626.3mの大箕山です。

最初のピークは標高差80mほどを一気に登ることになります。倒木もありますが簡単に迂回できます。 振り返ると粟鹿山から東に延びる中央分水嶺の尾根がくっきりと見えます。風は強いですがまだ青空も 見えています。遅れ気味のニコちゃんを励ましながらピークをクリアーし、次の三角点ピークへ 向かいます。登りながら熊除けの奇声を発します。するとどこからか同じような奇声が聞こえてきました!!

きっとあれはたぬきさん夫婦の声でしょう!! 実は山垣(やまがい)というところからたぬきさん夫婦が我々と同じく大箕山を目指して登っているのです。 山中のどこかで出会うであろうと予感していましたが、こんなところで逢うとは予想していませんでした。 無事に合流できましたのでここからは四人で楽しくやりましょう!!
点名 稲土は落ち葉と雑木が広がるピークでした

二つ目のピークである点名『稲土』は登ってみてびっくり。広く平ら(ゆるやかにうねっている)で 落ち葉フカフカ、雑木の林のようになっている頂上でした。ちょっと窪んだところには 小さな池もあります。その一番高い所に四等三角点はありました。標高542.8m。12時20分。 「いや〜っ、ええとこやねえ」みんな同じ事を思っているようです。 頃合いも良いのでここで食事にしましょう。

くつろぐには絶好のピークでしたが天気が不安定になってきました。 小雨が降ったり、日光が差したり・・・・。雨を避けるためにあせびの木の下で食事をします。 「これが冬の丹波特有の天気なんや」と、父たぬきさん。 ちょっと急ぎモードで食事をかっ込むが食後のコーヒーはきっちりと頂きます。 さて大箕山へ向かいましょう。13時05分。

ゆるやかだった山頂ですが、いきなりの激下り斜面となります。木々を掴みながら 慎重に下っていきましょう。たぬきさん夫婦は慣れたものであっという間に下っていくが ニコちゃんはマイペース。とりあえず私も彼女に合わせてゆっくり下る。(^_^;)
大箕山が見えてます大箕山手前にある無名峠

激下りが終わった地点は地形図によると峠道と呼んでもいいような点線のルートが 横切っている。しかし、実際はそんな道などなかった。たぬきさん達もこの点線で 登ってくるつもりだったのが、それがなかったが故に点名『稲土』手前で出会ったのでした。

となると、どこか下山できそうな道(峠であれば一番良いのですが)を捜す必要がある。 踏み跡らしいものがあると「ここからなら降りられるかなあ・・・・」と、覗き込んでみるも 簡単に降りられそうな斜面とは思えない。どんどんと大箕山に近づき、これから急斜面が 始まるというその地点に峠があった。13時43分。

雨と風はだいぶん激しくなってきて一瞬登るのをやめようかと躊躇するがたぬきさん達はさっさと登って行く。 ニコちゃんのペースではとても山頂までは無理っぽいので、彼女を残して私も単独で後を追うことに。 地形図以上に登りの傾斜はきつかった。しかし尾根には明確な切り開きがあるのでそこを登っていけば良い。 山頂に近づくにつれて風はますます強くなってきた。
大箕山頂上下山途中にある展望地
14時15分山頂着。標高626.3m。山頂は思ったより倒木がひどい。NHKのアンテナ施設があるが、 幸いそれらには倒木は倒れていないようだった。小さなプレハブの倉庫は風で倒れたりしないように、 太い番線でアンテナの柱にくくりつけられている。 三等三角点の石柱近くには『大箕山 丹波富士』と書かれたプレートが転がっている。 たしかに下界から見る大箕山は富士のような美しい形です。 本来なら粟鹿山や岩屋山周辺が見えるはずですがガスと小雨でそれもなりません。 ニコちゃんが気がかりですので早々に下山します。

斜面を駈け下っていくとニコちゃんは途中まで登ってきていました。が、彼女の足ではそこから頂上までは 時間的に無理です。そのまま下山を続けて14時47分峠着。さて、無名の峠ですが、里までの道は どうなっているでしょうか?少し倒木はありましたが、路面のしっかりした、あきらかに昔からある峠の道です。

先行するたぬきさん達の後を追うようにして下っていくと、広く暗い植林帯の中の林道に 降り立ちました。そこには壊れかけた祠と、中には石仏があります。こんなところに 石仏があるのも驚きでしたが光背部分には『右 やまみち 左 いなつち(あるいは いなさか かも?)』と読める文字があります。 やはりここは峠道だったのでしょう。
峠から下ると石仏があったトタン塀を越えると集落

我々はもちろん左方向から下山してきたわけです。逆に集落から登ってきた時、この石仏がなければ 間違いなく直進してしまい峠へは行けないでしょうね。ここからは林道歩きになりますが、 途中からガレガレの川底のような道になってしまいます。これも台風の結果でしょうか? 正面にトタン塀とネットのバリケードをくぐり抜ければとたんにそこは山垣の集落です。 まだ小雨は降っています。15時20分。

ここにも石仏があって、それには『右 やまミち 左 さかミち』とある。 もちろん左から下ってきてますが、地形図を信じてしまうと、ほんとは道がないのに 右の谷を登ってしまうことになります。 そうこうしていると先行で下山したたぬきさん夫婦が車をこちらまで回してくれました。 それに乗せてもらって和田集落のAさん宅まで戻ります。

今回の二度びっくり〜大箕山の地図は こちら(約160k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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