大字子山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『北条』を参照していただくようお願いいたします。

2004. 2.27.  金曜日  晴れ時々曇り  気温ふつう
冬場で少し時間が空いたときに登ろうと思っていたのがこの山です。加西市の上芥田(かみけた)町と 下万願寺町に挟まれるようにある山です。関電の送電線が頂上のすぐ北を横切っているので それを利用すれば簡単ですが、それでは面白味に欠けるので、どこから登ろうかと周囲を車でうろうろする。 そうこうしているうちに女切(おなぎり)峠まで来てしまいました。

女切とは物騒な名前ですが、これには由来があります。 『てると一兵衛という好きあった男女がいましたが、てるには親が決めた源四郎という男がいたため 逆に二人は燃え上がったという。そして一月八日の鬼追いの夜に坂で待ち合わせをしたが、そこにいたのは 源四郎だった。逆上した源四郎にてるは斬り殺され、後からやってきた一兵衛もその無惨な姿を見て後を追ったという 』現在の峠には比翼塚の跡があります。

峠にある畑地でおじいさんがチェーンソーを使って丸太の加工をしていた。 ちょっと話しかけて山のことを言うと峠の斜面を登れば行けるという。 たしかに斜面にはうっすらと踏み跡があった。礼を言ってそれに取り付く。 9時15分。
女切峠。右の矢印で登る尾根には明確な踏み跡が

尾根には確かに踏み跡があった。最初は細かったが途中から思いも寄らぬ太い尾根道になり 驚く。倒木もあるがいずれも細くて手で払うだけでボキボキと折れてしまう。 逆方向ならちょっとした整備でMTB乗れ乗れの山道に変身してしまいそう。

10時、TVの共同受信施設に着く。見たところ現役のようだがケーブルがどこへ降りているかは 未確認。ここから赤白の鉄塔が見えている。ちょっとヤブっぽくなるがそれを抜けると 『播磨線 124』の鉄塔となる。ここからは加西市の深山、真っ正面には高丸、 モヤがひどいが雪彦山、笠形山も見えている。

鉄塔から右下を見ると下万願寺町へ下る巡視路が見えた。正面のプラ階段を登って左に折れれば125鉄塔を 通過して上芥田町へ下るが、頂上へ向かう為に正面の薄い踏み跡へ進入する。若干ヤブっぽいが突き抜けていくと 二つ目のピークに大字子山の三角点があった。四等三角点、標高349.2m。10時15分。
大字子頂上から東を見る
頂上からは東方面がちょこっと見える。真っ正面には鎌倉山。頂上はとんでもなく刈り込まれてしまって 方向によっては道路からでも石仏が見えたりするのだがこの方向からは見えなかった。 以前、鎌倉山から遠坂峠へ向かって尾根を辿ったことがあったので、それを目線でトレースしていると 変な物が見える。リュックから双眼鏡を取り出してあらためて見てみると、岩場の上にお堂が建っているようだった。
南にある岩からは鎌倉山から続く南方向が全開する
ほんとうはこのピークからさらに南に向けて縦走をするつもりだったので、ちょっと足を踏み入れてみる。 岩があって南端にあるピーク方向への展望も開けていた。たぶん踏み跡もあると思うのだが、 先ほど見えたお堂がどうも気になる。道路からは決して見えることのない位置だったが、 こうやってこのピークから見えたのも何かの縁だと思ってそこへ行ってみることにする。

巡視路へ戻って125鉄塔方向へ下っていく。鉄塔を過ぎてからは道が不明瞭になるが頭上を見上げて 送電線が真上にある様に下っていけばだいじょうぶ。道路に降りてからお堂への道を探す。126鉄塔が お堂のすぐ下にあることから続きの巡視路を探せば行けるだろうと予想してそれを探す。 それらしい入り口(電撃柵あり)付近でおばあさんが掃除をしていたので話しかける。 耳が遠くて要領を得なかったが連れて行ってあげるという。ほんとはここにある石仏から 参道があったらしいが今は廃道になっているらしい。じっくり石仏が見たかったがおばあさんがさっさと 行くので見れなかった・・・。

あばあさんの足元が危なっかしいので「もうここでいいです。一人で行けますから・・・」と、 なんとかお引き取り願って巡視路のプラ階段を登っていく。プラ階段が終わるとヤブに戻った参道跡も発見する。 ここからは参道と巡視路が兼用されている山道となる。鉄塔を過ぎると巡視路と参道はまたもや別れる。 小さな尾根を辿っていくと目の前に大岩が現れてお堂に着く。11時30分。
上芥田愛宕堂に着く。大きな広場があり反対方向にも参道があった

フラットな広場に木造のお堂があった。中には小さな祠があったが中は空っぽで現在もお祀りされているのか 不明です。広場の先端が岩場になっていて覗き込むと壁の様に下に続いている。そこからは展望が開いて 先ほど登った大字子山ももちろん見えます。
テラス先端の岩に立つもう一つの参道で下山

登ってきた方向と反対側にも踏み跡がある。ピストンで下るつもりだったがこちらの方が女切峠にも近いし そちらを下っていきます。するとこちらは明るい雑木の枝尾根を下る明確な踏み跡でした。 こちらの方がメインの参道といった感じです。どこへ降りるのかと思っていたが、民家の横手に何気なくある 細い山道で県道に降り立つ。振り返ってみてもなんの目印もないし、一般の人には判りにくいのが残念。

標高は低いし知名度もゼロに等しい山ですが、登ってみればそれなりに道も展望もあり、さらに 人知れずある愛宕堂の存在もわかり、里山ウォッチャー(&ウォーカー)の私としてはうれしい限りです。

今回の大字子山の地図は こちら(約100k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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