ムカエ山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『矢名瀬』を参照していただくようお願いいたします。

2004. 8.29.  日曜日  晴れ  気温暑い
先週歩いた遠阪峠から粟鹿山のコース途中にいくつかの気になるポイントがあった。 一つは651Pから激下りで下りたったところにある鞍部。ここを青垣町側に下れば 今出の集落に下りられるはず?ならば、今出から逆に登ってくればここまで来れるのでしょうか? その2、この鞍部から登り返したところは粟鹿山とムカエ山の分岐になっています。そのムカエ山方向の尾根 は一見してなかなか良さそう・・・。ならば、ムカエ山に行ってみた〜い。

これでルートは決まりました。まずはスタート地点の今出の集落に行ってみます。 遠阪峠へ向かう途中に水車小屋を模した大きな看板が目に付きます。 いつもは通り過ぎるだけの分岐ですが『←今出川 親水公園』という案内に従って 村へ入っていきます。

村の奥には『今出せせらぎ園』というおそばの食べられる施設があるそうで、 そこまで道幅の広いバイパスが村を迂回しているのであっというまに駐車場に到着。 思ったより小さな村です。 時間も早いのでお店はまだ開店していませんし、もちろん行楽客も誰も来ていません。 靴を履き替え、リュックに荷物を詰め込んでスタートです。8時20分。
今出集落の入口今出せせらぎ園

ここでは川遊びも出来そうだし、バベキューサイトもあります。川には小橋が架かっていて、 春には山野草を眺めながら散策も楽しめそうです。施設の終端からは林道となっていますが 入口には立ち入り禁止の看板があります。どうやら奥で砂防ダムの工事中のよう。 完成予定は平成17年2月末、今日は日曜日なので作業はされていないようです。 自己責任で前進。

林道でよく見かける地図があった。それにはカラコという字もあった。ということは やはりカラコ山は青垣町の呼び名だろう。工事現場は地形図にある258mの標高点でした。 地形図にはないがここから南方向へ 支線の林道もある。本線の林道はここで立ち切れて重機が谷底を掘り返している。 道はなくなっているが右上から迂回すれば先に行けそうだ。
工事現場を最上部から見下ろす林道の終点

思った通り林道はここから続いています。しばらくは蒸し暑い林道歩きとなりそう。 左下を流れる今出川には小さな滝もあるが砂防ダムも多い。この林道もそれらの 工事用に使われたのだろう。やがて林道の終点に着。8時55分。 目の前に大きな砂防ダムがあり、はたして右から行こうか、左から行こうか ペットボトルの水を一口含んで考える。

右も左も踏み跡らしいものも見えないが、ふと左足元を見ると鉄板が橋代わりに敷かれていた。 ここを進めという意味か?雑草で足元が見えないのが不安。 砂防ダムをクリアーするとこのダムも砂で満杯になっていた。 銘板には平成2年となっているがこんなにも早く砂で埋まるものなのか? この調子なら下で工事中のダムもあっという間に役立たずになりそうだ。
気持ちよい山道がある

ダムの上からはなかなか快適な谷道となる。所々石垣で補強されていたりする。 こんな良い道を見るとやっぱり山東町へ抜ける峠道だったのかと想像する。 右上を見ると伐採斜面が見えてきた。それとともに踏み跡も怪しくなってくる。 もうすぐ鞍部って感じ。

鞍部には9時35分着。汗びっしょりなのでここで休憩をしようと思ったが これからまだ一登りしなければなりません。伐採地を登りきると先週の食事したピークです。 その手前の伐採地最上部で休憩をしながら展望を楽しむためにはもう一汗流さねばなりません。
伐採地最上部からの展望
先週はたぬきさんと食事をしたピークは展望のない所ですが、一段下のここは 伐採斜面の最上部で切り株のベンチもあり、涼しい風も吹き抜けています。 ここから見ると先週通過したカラコ山やら651P、もちろんおなじみの山々もばっちりです。 たぬきさんと二人で651Pを巻こうとして伐採斜面で立ち往生してしまいましたが ここから見ると確かにとんでもない斜面です。

考えてみればあんな砂防ダムを造らなくてもこの伐採地に落葉広葉樹などを植林すれば 保水力もアップして土石流の危険も少なくなり、山や動物たちにも(人間の癒しにも) 良い結果になると思うのですが・・・・素人考えでしょうか? (このレポートを書いている最中、台風で川が氾濫して今出の民家が浸水したそうです)

10時20分、ムカエ山への尾根に乗っかる。下草の無い雑木の尾根。まったく快適そのものです。 標高差もないのでどんどん進んで行きます。赤松の林を抜けると杉植林となる。 展望はなくなるが右下を見ると稲土集落から登っている舗装の管理道が見えた。 674を下ったころから尾根は複雑になってくる。分岐がいくつもあり読図の能力が試される。
静かですそして、静かです

この付近はオオジャレと言うらしい。たぶん大ザレが変化したのかと想像するが、周囲は すべて植林なのでザレた地相なのかは不明。全体的には東方向に進んでいるのだが 地形図片手に右に左にと曲がるので方向感覚がおかしくなってきそうだ。

615を過ぎてからまた自然林になってきた。同時に鹿たちの姿も目に付くようになる。 地面にもたくさんの足跡。まもなくムカエ山の三角点だが周囲は急に植林帯に戻ってしまう。 植林の中で食事はいやだったので三角点の直前の自然林の中で腰を下ろして済ませてしまう。 そしてムカエ山には11時50分着。標高629.3m、三等三角点。

三角点は四隅が欠けてボロボロになっている。足元には錆びたナタが転がっていた。 予想通り周囲は植林で展望は皆目無い。今日はアマ無線のニューカマーが千が峰から無線をすると いうので私を始めいつものメンバーがそれぞれいろんな山から交信をすることになっていた。 これほどにぎやかなのも久しぶりかもしれない。

さて、下山をどうするか。このまま東へ下れば遠阪の集落へ下れそうだ。 だがムカエ山から尾根は左右に別れていてどちらを下ろうか迷ってしまう。 見た感じ左の方が良さそうだったのでそちらを選択する。12時15分。

地形図では遠阪と稲土を結ぶ複雑な峠道の存在が描かれている。その点線ルートにうまく 合流できれば楽に下山できそうだ。 だが、この下山もすこぶる難しい。なにも考えずに下ってもなんとかなるのでしょうが、 自分で思い描いた通りのルートで下りられればこそ満足感もれられると言うものです。
峠?に降り立つ68鉄塔に寄り道してみる
(67鉄塔も見えるよ)

道とは到底言えない激下りの枝尾根がゆるやかになると右の小さな谷にソマ道が下りていた。 このあたりは山ヒルがあふれかえっているという噂なので入念に足元にヒル除けのスプレーをする。 水がチョロチョロと流れるのに沿って下っていくと山腹を横切る道に出た。 どうやらこれが地形図にある点線のルートのようだ。

遠阪の集落方向へ歩いていくと峠のような所に出た(別途地図のE地点)。12時55分。驚くことに高圧鉄塔の 巡視路の存在を示す火の用心マークの標識がある。手持ちの地形図には送電線は描かれていなかったので こんな所で巡視路に出会うとは思っていませんでした。標識を見ると『67』『68』遠阪方向には『道』とある。 ということは『道』の方へ下ればOK。気持ちに余裕が出来たのでちょっと68鉄塔へ寄り道してみる。

鉄塔からはじゃっかんの展望があった。伐採地以来まったく展望がなかったので久しぶりって感じ。 展望もだが現在位置の確認が出来るのがありがたい。先ほどの分岐に戻って遠阪方向に下っていく。 しっかりした道だがヒルが這い上がってこないように足早に下る。
里に降り立つ直前、祠のある分岐

だいぶん下ったところでさらに分岐があった。道沿いには石仏の安置された祠(写真の○で囲った部分)もある。 私の下った道は結構急だったが分岐の道はゆるやかに登っている。祠の中の石仏を覗いてみると 道標の地蔵菩薩だった。それには『右 やまみち  左 いなつち』とあった。 というこは左が本来の峠道で私が下ったのは山道??

「そうやで、左を登って行くのがほんとの峠道なんや」下りたった最初の民家のおばあさんがそう言う。 釈然としないのでこれはまた調査に来なければなりません。ところでこの峠の名前はなんていうのでしょうか?
「それは『二度びっくり』って言うの!」
「はぁっ?? それが峠の名前なんですか?」
「そうやで。うちのおじいさんは稲土出身やからそれで通っていたんや」

遠阪から稲土へ行く場合、この峠道を利用するのだが一番の高み(別途地図のE地点?)に立って 「やれやれ峠に着いた・・・」と思いきや、また下って登り返した所が二度目の峠となって 稲土に下る。よって『二度びっくり』と命名されたそうな。 (最初の峠をクリアーして谷を東に下れば徳畑の集落になる。ここでの呼び名は違うかもね)

『二度びっくり』なんてたぶん日本一の珍名でしょう。今出まで帰ると言うと家の者に送らせると言う。 歩きたいので辞退すると「千歳橋から裏手に遊歩道があるからそれを行ったらええよ」と、ラッキーな情報ももらえる。 教えられた通り橋からは県道を歩かず今出の入口まで遊歩道を歩くことが出来ました。

今回のムカエ山の地図は こちら(約160k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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