九鬼峠〜戸倉山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『土万』、『山崎』を参照いただくようお願いいたします。

2004.11.28.  日曜日  晴れ  気温ふつう
宍粟郡山崎町には興味を引く山塊が存在します。それは東西に貫通する中国自動車道を挟むように ある南と北の山脈です。 その南側の山塊の中心には 雨が岳 があり、今年の2月にMTBで縦走したことがあります。あまり乗れないと思っていたのに 予想外に乗車率が高く大満足でした。その時見たのが高速の対岸にあるこの北の山塊です。

等高線的に西から東向けに縦走すれば案外乗れるかもしれません。そして最後は山崎町の一本松の城跡で ゴールというルートが設定できそうです。山ヒルが出る山域なのでこの時期まで登るのを躊躇して しまいましたが、先日の台風のもたらした影響がどのように残っているか心配です。

いつもはM氏と私だけなのですが、今日はKさん、Yさんも同行してくれます。 スタート地点は山崎道の駅、9時30分スタート。まずは山崎の市街地を抜けて 生谷温泉横から伊沢川に沿って上流へ向かいます。登り口に設定しているのは上牧谷の集落奥にある 峠からです。県道を走りながらこれから向かう尾根を眺めていると山腹の倒木のひどいこと!! 単に木が倒れているのではなく、斜面全体が滑り落ちているように見える。 山腹はひどくても尾根は大丈夫かな??

郵便局から左に折れて集落の奥から林道へ向かう。その入口にある民家へ立ち寄って峠のことを聞いてみる。 するとその峠は『九鬼峠』と言って塩田へ抜ける生活路だったらしい。そこから山に入ると言うと 「熊が出るからあぶないよ。そこの柿も熊に食べられたんやから」と庭の柿の木を指さす。 「行くんやったらこれ持っていき」と、みかんを頂いて送り出してもらう。
狭いながらも楽しい我が家♪峠までたどり着けるのか?

林道はなんの問題もなく快適に走れました。すぐに終点となり、そこからは谷沿いに昔の峠道です。 その峠道の入口には熊を生け捕る檻が設置されています。口も閉まっているし、餌もないので 用をなしてはいませんが、これがあると言うことは熊がいるってことでしょう。 万が一この場に熊が現れたら、我々がこの檻に入るのが一番安全だったりして??

檻の向こうはいきなりの倒木帯です。谷を跨ぐように倒れているので、下をくぐったり、 隙間を抜けたりして案外楽にクリアーできます。でも、ここでこれだけ倒木があるということは 山中はもっとあるって事では??みんなの顔には早くも不安げな表情が。
九鬼峠には地蔵の石仏がある

谷が二手に別れているところは地形図で確認して左を選択。すると上の方に祠が見えてきた。 どうやら九鬼峠に到着したようだ。ここまででも結構汗をかきました。 祠を覗いてみると石仏があった。 両手で宝珠を持っていて座像である。顔は摩耗して表情はわからない。 誰がしたのかタオルでほおかむりされている。台座には上牧谷の文字と天保の文字が確認できた。 地蔵だと思うのだが大師なのかも・・・勉強不足やなあ。

峠には巡視路の標識があった。前回の展望鉄塔の続きがここまで延びているのです。 その巡視路を使って尾根に取り付こうとしたのですがここも倒木がひどい。 仕方なくダイレクトに主稜線へ向かって担ぎ上げをする。 こういうのに慣れている我々はスイスイと登っていくが、Kさん、Yさんのお二人は 少々遅れ気味で気の毒。

主稜線も若干荒れてはいたが登って行くに従って踏み跡が現れてくる。落ち葉に埋もれてわかりにくく なっているが、少し整備すれば下りは乗れ乗れまちがいなしだ。 広い尾根なので右に行ったり左に振ったりしながら登っていく。 途中一箇所だけ長水山が見えるポイントがあった。
雑木をくぐりながらゆるやかに登る今回唯一の展望でした
ゆるい下りを乗車して進むと目の前に石柱があった。見るとまだ新しい。こんな所になんの石柱かと 覗き込んでみると『播磨国一宮 伊和神社御用林』裏には平成十年とある。 へえ、こんなところが御用林なんですねえ。しかし、周囲を眺めてみるとここはひどい倒木地帯です。 杉も桧も樅も倒れまくりです。ここだけ見ると御用林は壊滅ってとこでしょうか。

我々もMTBをリレーのバトンよろしく手渡しで倒木の上をクリアーさせる。 この先は少し乗れましたがそれも数十mだけ。 広い尾根なのだがなかなか連続して乗ることができません。クランク状になった尾根の 二つ目のピーク(Ca.510m)には11時45分着。「ええっ?!もうそんな時間なん? ならお昼にしましょう」どこであろうと、とりあえず時間が来たら食事にするのです。

驚いたことに足元にはお箸袋とミカンの皮が落ちています。ってことは、誰かが登ってきた ということです。乾燥しきっていない皮なので 最近のことなのでしょう。ひょっとしたら山の持ち主が台風の爪痕でも 確認に来たのでしょうか?コーヒーもいただいて12時15分スタート。 ここからは200mほど走れました。奇声をあげながら低木の枝をくぐり抜けると そこには・・・・!!
信じられない激倒木たまらず南斜面に逃げる

こんな倒木見たことがありません。広い尾根全体を覆い隠すように北から南に向いて植林が倒れています。 空身でもこの倒木帯を抜けることはむずかしいでしょう、ましてやMTBを担いでは絶対無理です。 このまま引き返しましょうか??「よっしゃ、行くで!!」なにを血迷ったのかM氏は 倒木を跨ぎ始めました。他の三人も夢遊病者のように後に続きます。

尾根を進むのは無理なので、北斜面へエスケープしてみる。少し前進できたがそれ以上は無理っぽい。 そこで尾根に復帰して、今度は南斜面を少し下るとこちらの方が歩きよい。ここから次の ピークへ登ってみるが三角点ピークはさらに向こうだ。しかも倒木はよりいっそうひどくなっている。 再度南斜面を倒木の影響がない所まで下って、斜面を巻く要領で進んでいく。 もちろん道などは無く、足元ズリ落ちながらの前進である。

距離は短いのになかなか三角点ピークまで行けません。元気なのは私とM氏だけで Kさん、Yさんのお二人は声もありません。ここは無理してでも体育会系の乗りで 大声を出さねばなりません。もちろんそれは熊除けのためです。 「オラ、オラ、声出さんかい!!」鬼コーチよろしくM氏の罵声が植林に響き渡ります。

遅れ気味の二人を待ちながら前方の様子も探らないといけません。すると植林帯も終わりらしく 向こうには雑木の尾根が見えています。そこへまで斜面をへつりながら行ってみると そこは三角点ピークから真南に延びている枝尾根でした。 さらにそこには下山できそうな道も下っています。14時。
雑木の尾根にシングルトラックこうでなくっちゃね

全員がそろったところでMTBをここに置いてピークまで登り返してみましょう。 この雑木の枝尾根にはまったく倒木もなく楽々と頂上へ行けました。 戸倉山(点名『上牧谷』)、三等三角点、標高512.2m。 その頂上も倒木の嵐でした。三角点はこの倒木に埋まってしまっているのでしょうか? あきらめて帰りかけましたが、M氏は執拗に地面をはい回って三角点を捜しています。

本来ならここからも主稜線を東に向かう予定でしたが時間も押しているので ここから雑木枝尾根で下山です。ところがその主稜線を覗いてみると、なんと ここからは倒木がありません。再び倒木が現れるかもしれませんが、なんか このまま行けそうな感じがして未練が残ります。遅れて戻ってきたM氏が 言うには三角点は無事あったそうです。

さ〜て、ここからはダウンヒルです。 落ち葉が深すぎてバランスが取りにくく、何度も転倒しましたが、あの倒木帯を思えば ここは極楽です。古い山道でもう使われていないらしく、乗れ乗れの所も有れば 不明瞭で倒木でふさがったところもあります。
ゴールは近い菅野小学校

里に近づくとまたもや暗い植林帯になります。分岐もありますが、乗れる方向に下っていきましょう。 小さな墓地に飛び出ると目の前には菅野小学校がありました。 スタート地点の上牧谷で「ここから山道で菅野小学校へ抜けたんやで」というおばちゃんの話を聞きました。 ということはずばりこの道がそうだったのでしょう。15時。

点名『上牧谷』が地元ではどう呼ばれているか、小学校のすぐ横にある民家に聞き込みに行く。 おばちゃんが出てきてお話をするが山名はわからないと言う。
「この辺りのことに詳しいご老人はおれらませんか?」
「あ〜、おらんなあ。みんな墓の中やわ」
「・・・・(^_^;)」
「向かいにあるデイリーヤマサキで聞いてみたら?」
というわけで、三人には先に帰ってもらって私一人で聞き込みを続ける。

簡単にわかると思っていたのに、どうやらデイリーのおばちゃんもわからないらしい。
「そういやあ、昔その道で山に登ったことあるわ。でも名前は墓の中の人でないとわからんなあ・・・」 あきらめて帰りかけたが、70才ぐらいのおじさんを見つけて同じ事を聞いてみた。
「あの辺は戸倉というんやで」と言ってますが、それが山名なんでしょうかねえ・・・謎です。

・・・・・後日、山崎町のTAKUさんから点名『上牧谷』は 戸倉山という山名だと教えて頂きました。下山した青木のおじさんも 戸倉という字だと言っていましたので間違いないと思います。 よってレポートを修正追加しました。・・・・・

とりあえず今回は山名調査はあきらめて帰路につきます。舗装路を走るのは久しぶりです。 下り基調なのでスピードも出て気持ちよく走れ、途中から山崎の商店街と古い町並みの中を 抜けて道の駅に到着。15時30分。 いつもは等高線の傾斜や尾根の形状でMTBに向く山かどうかを判断していましたが、 今年の台風の倒木は放置されるでしょうから、今後しばらくはそういうのは通用しないということでしょうか。 Kさん、Yさんお疲れ様でした。m(_ _)m

今回の九鬼峠〜戸倉山の地図は こちら(約160k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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