庚申山〜天雲山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『北条』を参照していただくようお願いいたします。

2004. 3. 7.  日曜日  晴れのち雪  気温寒い
加西市に今年の干支の山があることがわかりました。去年の夏に丹波の猿藪という山を 先行して登っているので、この山は12年後の申年までキープしようかとも思いました。 しかし、それまで生きているかどうかもわかりませんし、誰かに先を越されるのも癪です。 こうなったら思い立ったが吉日、善は急げ、論より証拠だ!! 急いては事をし損じるってのもあったなあ・・・。

目的の庚申山は加西市の殿原町にあります。殿原はその昔、国分寺があり、野原に寺が建ち並ぶ 様から塔の原と呼ばれたのが地名の起源とされています。まずは庚申山中腹にある卍マークがなんであるかを 探ってみましょう。 車一台がぎりぎり通る細い道をゆっくりと走ると、民家の入り口付近に『ようこそ庚申堂へ・・・・』と 手書きの看板が立てられている。どうやら卍マークは山名の由来と思われる庚申堂のようです。

庚申とはなにか?私の 石仏探訪 の中にある青面金剛の石仏のレポートをいくつかクリックしてもらえれば概略がわかります。 要約すると、60日(60年)ごとに巡ってくる庚申(かのえさる)の日に、人間の体の中に住むという 三尸(さんし)の虫がその人間の行った悪事を天の神に告げるといういわれから、その夜は寝ずに(寝ているあいだに 三尸の虫は身体から抜け出るそうだ)すごすのが庚申のならわしとなっています。

看板のすぐ横手にある民家を訪ねてみると車を止めても良いと言ってくださる。この周辺には止められそうな 所がないのでこれはありがたかった。さっそく準備をして参道を歩き始める。8時33分。 切り通しのような参道を5分ほど登っただけで早くも正面に大きなイチョウの木が見えてきた。
庚申堂への参道大銀杏と庚申堂

山腹にある小さな平坦地に本堂があり、その前にはオハツキイチョウの大木がある。今は葉がすっかり落ちた 姿だが、説明板にはこうある『・・・樹勢は旺盛である。地上約7メートル以上の樹冠は長さと幅とも約 30メートルあり、遠望すれば一大球形を呈する。・・・』オハツキとは葉の上に花がつくのでこういう 名前が付いたらしいが、その茂った状態のイチョウがどれぐらいすばらしいか一度見てみたいものです。

現在庚申堂と呼ばれているこのお寺は昔は清水寺と呼ばれていたそうで、本尊は十一面観音(京都の清水と同じですが、 関連あるのでしょうか?)と青面金剛(庚申堂だからあたりまえですけど)の二体の木像があるらしい。 今日は扉が閉ざされているので拝観することができませんが、毎年3月(今年は14日)に初庚申祭としてお祭りがあります。 といっても昔からあるような一晩のお籠もりではなく、昼間に大護摩を焚き、お参りの人にぜんざいを 振る舞うというものらしいです。 一通り周囲を散策して山頂へのルートを探します。8時45分。
庚申堂の上にある水平道庚申山の頂上は藪で〜す

境内から南に向かって水平な小径があった。それをたどると四叉路の分岐となる。それぞれを行くとどこへ行くのか 非常に気になるが、とりあえず山頂方向への分岐を選んで登っていく。登ると言ってもすぐに平行の道になる。 道がちょっと崩落した所があり、下を覗き込むと先ほどの庚申堂の屋根が見えた。ここも分岐になっていて 左が山頂へ向かっているようだがもう少しこの平行道を歩いてみる。

なんのための道か判りませんがずっと続いています。猪除けのトタンがある付近から急に道悪になり、若干下っているよう にも見えるためここでUターン。ここから山頂へ登ってもいいのだが、先ほどの崩落分岐から登ってみたいため 引き返す。その分岐から登ってみたら、途中まではなんとか踏み跡らしいものもあったもののそのうち完璧な藪になってくる。 しゃがんだり、すり抜けたりしながら高見を目指すと緩いピークにたどり着く。どうやらここが 庚申山の頂上のようです。9時10分。Ca.220m。

地形図にある三角点はここからさらに奥のピークです。四等三角点、点名『谷合』、標高222.7mには 9時20分着。まだまだ充分時間はありますから縦走を続けましょう。最終目的地は 大内町にあるという天雲山です。とはいうものの 藪っぽい尾根が続きます。特に倒木が多くて乗り越えたり、くぐり抜けたりします。 松茸山だったのでしょうが、今は荒れ果てて松も枯れて倒れています。
236Pはクヌギ林のピーク鹿と近接遭遇

次のピークの236はすばらしいピークでした。足元には倒木どころか下草の一本もなく、 周囲はクヌギの林になっています。展望はありませんが、もうそれだけで大満足。 下界から見てもここだけきれいな林のピークになっているのがよくわかります。 個人の持ち山だと聞きましたが、しっかりと手入れされているとこんなに良い山を保てるんです。

このまま良い道が続くのかと期待したがピークを過ぎると前半と同じような 倒木だらけの尾根になる。301.2mの三角点ピークが近づく頃、すぐ横をドタドタと獣が走り抜けていく 足音がする。見ると鹿の成獣が6頭ほどだった。オスは立派な角を持っており、それが藪にひっかかって 首をのけぞらしながら走っていた。あわててカメラを取り出すが、最後の一頭だけなんとか撮すことが 出来た。こちらをギロッとにらまれた瞬間はさすがにちょっと恐いものがあります。

三等三角点『大内』、標高301.2mには10時10分着。ここが天雲山かと思いましたが、周囲は藪っていて展望も 無いため違うようです。これまでは藪ではあっても尾根の一本道だったのでコンパスを見る必要も ありませんでしたが、このピークではそれが必要です。目の前にある踏み跡を下ってしまうと 西の尾根を下ることになります。
天雲山からは北から東方向に開いているが生憎の天気
点名『大内』から20分でいきなり大展望のピークに到着する。ここが天雲山(てんぐんざん)だ。10時30分、標高Ca.320m。 展望が良いのは周囲の松などを大規模に伐採しているからです。これは地元大内町の町おこしの結果らしいです。 アルミの長椅子も二台置いてありました。

天雲山には言い伝えがあります。 保元の乱の敗戦で逃れた源為成がこの地へ落ちのびて来て隠れ住んだものの、自らは捕まるが我が子為教を この天雲山に隠したというもの。
椅子に座ってオカリナドアには鍵がかかってます

この小さな山のどこに隠れたのかと思うのだが今はこの展望を楽しむ。雪雲が急速に近寄ってきたため 笠形山すら見ることが出来ないのが残念だ。お昼には早いのでコーヒーを入れてお菓子を食べながら考えるに、 ここは初日の出には絶好のポイントと見た。ふと見ると庚申山、236P、そして歩いてきた尾根も ばっちり見えています。

下山は地元の人達が整備した遊歩道を利用します。NHKのアンテナ横を通過してどんどん下っていきます。 傾斜は結構急ですが、路面にステップが刻まれているので滑ることなく降りていけます。 (階段でないところが良いですねえ)

もうまもなく下界と思われる頃目の前に扉が現れる。鍵がかかっているので金網から手を突っ込んで向こう側から 鍵を解除する。ドアを開けて向こうに抜けるとドアには『天雲山遊歩道へようこそ。頂上より東南に六甲山、 北に笠形山の眺望を楽しんでください。・・・』と書かれてあった。

五社神社に降りたのは11時05分。神社には古く色のあせた武者絵が奉納されているが、源為成に 関係のあるものだろうか?文政十一戊子歳(1828)九月吉日と書かれていました。あとは舗装路を 歩いて庚申堂の参道入り口に止めてある車まで戻るだけです。畑仕事してるおじさんに話しかけたり 道ばたの花を見たりしながら11時35分着。

車を止めさせてもらったお礼をあらためて言うために民家を訪ねたらそこのおじさんが言うには 庚申山にハイキング道を整備する計画があるらしい。たぶん私が歩いた平行道を利用すると思うのだが 頂上までも行けるようにするらしい。12年後の申年には頂上からの展望が楽しめるようになっているかも しれません。ただ、過度の整備はやめていただきたいものです。

朝早く地元の山を登ったのでまだお昼にもなっていません。そこで上若井町付近に面白い岩があると 聞いたのでそれを見に行ってみましょう。釜坂峠に上る手前に舗装路から右手にあるあぜ道に 入っていく。現在はあぜ道だが昔はこれが釜坂峠への道だったと思われます。その証拠に すぐ先には道標の石仏が祀られていました。

その石仏と畑を挟むようにしてあるのがこの岩です。小さな祠があり、ちゃんと手向け花も そえられており、お参りが続けられているのがわかります。 実はこの岩はぼぼ岩と言う名前で、その形は女性の性器そのものです。 岩の真ん中部分に溝が一直線にあり、その真ん中には岩を貫通するような穴まであります。
貝塚愛染明王が正式名?(*^_^*)

最初場所がわからなかったので近所のおじさんに「この辺で変な形の岩をお祀りしていると 聞いたのですが知りませんか?」と聞いてもなんのことか判らない様子。そこで思い切って 「ぼぼ岩って知りませんか?」と切り出すと「あぁ、ぼぼ岩かあ、そんなら・・・・」と あっさりと教えてくれました。変にこちらが照れてしまうのはいけません。 地元の人にしたら名前に関係なく信仰の対象なのですから。(でも、女性に尋ねるのはやめましょう (^_^;))

普通に考えると夫婦和合とか、安産祈願、子授け祈願・・・・などの御利益を思いますが、 なんでも尿?に関する岩だということです。加西市には『よばりこき地蔵』などという おねしょに関する石仏がありますが、これもそのたぐいなのでしょうか?

今回の庚申山〜天雲山の地図は こちら(約130k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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