キリヅメ行者山〜西光寺山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『谷川』を参照していただくようお願いいたします。

2004. 8. 8.  日曜日  曇り  気温蒸し暑い
左人差し指を怪我してしまいMTBのハンドルが握れないので今日は歩きです。どこへ行こうか 考えましたが、6月に引き続いて再び西光寺山に登ることにします。 この時期に登るなら今田町本荘からのコースが定石でしょう。というのも途中にサギソウの咲く 湿地があるし、今が一番の見頃と思われるからです。

そういった定石を無視するのがやまあそです。今回は西脇市の住吉町を起点にして登ってみましょう。 県道36を西脇市内から黒石ダム方向へ車を走らせ、住吉町へ入ると右手にたくさんの水車が見えてきます。 ここは『住吉水車村』というところで、この道脇に車を止めます。2mを越える白い杭が立っていて 『行者山 神変大菩薩 キリヅメ参拝口』とあるのを以前見つけたのが今回のきっかけに なっています。今日は氷上のたぬきさんとご一緒する約束でしたがほどなく訪れて出発です。
行者山登山口道はしっかりしているが急です

正確には『木戸岩行者山』というそうだがご当地の字を拝借してレポートでは『キリヅメ行者山』と させていただく。水車工房の東に登り口がある。赤い板に白抜きの文字で役行者の説明が、 グリーンの板にはルート図が書かれている。ここまでは下見の時に確認済み。これから先は 私もたぬきさんも初めてです。

登り口付近で出会った地元の男性に話しかけてみたら彼は帰省かなにかでここにいるような雰囲気だった。 「へえ、こんな所に道が出来たんや。子供の頃は机峠から行ったんやけどなあ」 看板にも平成14年に参拝登山道を開設したと書かれている。それ以前はほとんど忘れられた 存在だったと思われます。それを道普請をして復活させたようです。 これを機会に多くの人が訪れるといいんですけどね。

道は普請されただけあってしっかりとしています。上部には炭焼き窯跡があったので昔の仕事道を 整備したものかもしれません。 ただ傾斜が急なのでいきなり汗まみれになるし、息が切れてトラロープをついつい握ってしまうシーンもあります。 登山道の脇には大正13年に造られたため池の説明板やら、一合目から行者山まで順番にコメントの書かれた板、 さらには10mおきに距離の書かれた板まであり、にぎやかな登山道です。
テラスの上に石仏が・・・行者石仏を覗き込む

ほとんど一直線に登っていましたが大きく左に回り込んで行くと緻密に組んだ石垣が見えてきました。 きっちりとした入口もありそこから入場します。9時20分。 奥には大岩がそびえ立ち、その根本部分には石室のようなものも見えています。 ピークではありませんがここが行者山です。石垣の上はフラットなテラスになっていますが これが案外広くて驚きです。

テラスの左には不動明王の石仏もあります。石室へ登って中を覗いてみるとこちらは役行者石仏だった。 この石仏に年代が彫られていれば行者山の起源がわかるのだがそれはないらしい。 言い伝えでも起源は不明のままらしい。盛んにお祀りがされていた頃は広いテラスで 護摩焚きが盛大に行われたかもしれません。西光寺の山域は知り尽くされているようで まだこんな見どころが残っていたんですねえ。

ここから西光寺山へ向かいます。道標も完備されているのでそれに従って進んでいきます。 9時40分、西脇市と篠山市の境界尾根にたどり着きました。ここには赤土の露出した 広い道があります(この道の由来は 西光寺山南向け縦走 を見てください)。 右に登れば西光寺山、左に下れば机峠。数年前にここをMTBで走ったときには この行者山への分岐は無かったように記憶しています。ここは予定通りに西光寺山へ。
赤土の尾根道を登る
後ろは篠山のゴルフ場
一転して雑木の小径となる

急登りのガレ道が連続する。シャツはもちろんだがズボンにも汗がにじんできている。その臭いを追って アブがしつこくつきまとう。618mポイント付近から赤土道は左下へ大きく曲がっていく。 その代わりに正面には雑木の尾根に小径がある。この雑木のトンネルへ一歩入ったとたんに 冷気に包まれて自然のクーラーの恩恵を受けることになる。風もないのに涼しいなんて、 なんとも自然の不思議な力を感じる。

やがてこぐり岩経由で西脇市双葉小学校方向から登ってくる登山道と合流する。こちらの登山道は近畿自然歩道になっていて メジャーな登山道です。我々の歩いてきた方向には『住吉行者山経由下山口』と手書きの標識がある。 これを見て実際に歩いたハイカーはどれほどいるだろうか?同じ西脇方向からのルートになるので この二つの道をくっつけて周回すると楽しめると思う。

10時25分頂上着。お昼頃に頂上へ着くようにしてするのが一般的な計画ですが、この時期はとにかく暑い。 したがって今回のように朝早く登ってお昼頃には下山するようにすればへたばることもないでしょう。 上空は曇りですが周囲にはモヤがあり、本来は好展望のピークですが今日は良くありません。 頂上には東屋がありますがたぬきさんはこれを見るのは初めてです。誰もいないのを幸いに 二人で独占して座り込みます。
野点用なので茶碗も茶筅も小振りですカテキンを飲み干す

お昼ご飯を食べない代わりに今日はここで野点を行いましょう。登って下るだけのせっかちな登山だけではなく たまにはこういう趣向もいいのではないでしょうか。個人的には今後もちょくちょくやってみたいともくろんでます。 私のは割れても良いように安物の茶碗ですが、たぬきさんのは萩焼の国宝クラスのものでした。<金持ちなんです
まずは一服頂いくと何とも言えないお茶の香りが口から鼻孔に抜けるのがわかります。 たぬきさん持参のお茶菓子を食べて二杯目のおかわりで締めました。あ〜っ、おいしかった(^_^)v

オカリナも一曲奏でて満足、満足。下山に取りかかります。11時30分。ルートはそのままピストンです。 雑木のトンネルを抜け、赤土のガレ道になる。行者山への分岐を素通りして高圧鉄塔(奥多々良木80)に着く。 ここにある巡視路でも下れますがせっかくですからこの先にある机峠に下ってみましょう。
鉄塔を過ぎるとササバのピークが見えてきますずばり!!机峠です

滑って転けそうな急下りで降りたったところが机峠(地元では机坂という)。12時20分。 言い伝えではここで聖徳太子が机の前にすわってなにやらゴソゴソとやっていたらしい。 それでこの峠の名前になったのだが、すぐ上のピークはササバという。漢字で書くと楽々庭とも 笹場、笹葉などときりがない。さらに調べるとこの近くには札場という字があるし、真北に6kmほど 行った山南町では篠場という地名がある。いったいどうなんや!って考えると頭が痛くなりそうだが とにかく宗教的儀式の行われた場所だろうということだ。

峠ではあるが石仏などはなかった。ところがなんと机があります。きっと聖徳太子が使ったものでしょう!! さっそくその前にお座りして本などを読みます。リュックにはお茶菓子の水ようかんとくずまんじゅうが残っていたので こいつも頂くことにする。聖徳太子もきっとこうやっていたんやろなあ〜・・・などと感慨にふける。

いつまでもこんなバカをやってられないのでこの峠から下山しましょう。道は驚くほど広い。 現在では路面が荒れているので歩ける所を選びながら下っていくが、昔なら荷車ぐらいは楽勝で 通行できたでしょう。路肩が崩れないようにしっかりと石が組まれている所もありました。
峠道から北方面を見る
北がよく見える所がありました。高山、猿藪の尖ったピークはおなじみです。正面のへこんだ所は 大呂峠やね。その左に見える小さなピークはホツユイセイ山という変な名前の山なんです。 ・・・・これって英語かなあ・・・。だとすると WHAT YOU SAY 山??(文法はむちゃくちゃやけど) と書くのでしょうか?これは今世紀最大の謎の山です。 ここは藪の薄くなる冬にでも登ってその謎を解いてみましょう。

峠道は途中から巡視路と出会います。巡視路は峠道と重なったり離れたりしながら下っていきます。 歩きやすい方を選んで下っていくと里に近づいてきました。 昼ぐらいには下山の予定でしたが13時05分と少しゆっくり過ぎました。 お腹も減りましたのでたぬきさんとお別れして帰路につきます。 暑い低山にお付き合い頂きありがとね。

今回のキリヅメ行者山〜西光寺山の地図は こちら(約110k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


ホームにもどる