釜床山石仏道 (内山寺〜鷲原寺)

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『但馬新井』を参照していただくようお願いいたします。

2004. 3.27.  土曜日  晴れ時々曇り  気温あったか
つい一週間前に古城山〜鷲原寺 のコースをやまごさんと歩いたばかりだったが、今日もまた同じコースを 歩くことに・・・。というのも先週は天気が悪くて予定していた寄り道コースをキャンセルしたためです。 同じ山の同じコースはやまあそとしては非常に珍しいことですが、寄り道コースの紹介とピークの名前等が 判明した所もありますのでどうかお付き合いくださいね〜。

今回同行していただけたのは母たぬきさん。スタートゴールは前回とまったく同じです。 びわのまる公園に車を止めて縦走を開始します。階段を登っていくと城跡にもかかわらず間歩がある。 公園の工事中にぐうぜん発見されたというものです。ステンレス製の格子のドアは施錠されているのですが どういうわけか今日はそれがありません。
びわのまる公園にある間歩採石場上部は目がくらむ

もちろんのこと二人とも潜り込んでいきます。コンクリートが切れる先は匍匐でないと進めませんので、 そこからは覗き込むだけです。穴は右と左に別れていました。たぬきさんが入るとなんだか様になりすぎてます。 (^_^;)

同じコースなのに先週咲いていた花がもう今日はない。季節のスピードの速さに驚く。 山頂の城跡やそこからの展望も楽しんでもらっていよいよ縦走の開始です。 曲輪の端から下り込むが採石場上までもなにやら人工的で城跡の続きのように思える。

採石場、TVの共同受信施設、611ピーク(太盛山 たせいやま)にも寄り道して銀山湖方向の展望も先週通り。 超快適尾根にある奥銀谷への下り分岐は二つある。最初はテープによるマーキングのある下り。 次はアンテナケーブルの降りている下り。こいつは尾根からの分かれ目も判りにくいが これを下れば内山寺への参道途中に出てくるはずだ。その二つとも無視して迷いの森に入っていく。
迷いの森にある池内山寺の境内に入る

ほんとは迷うと銘打つほどの所でもないのですが、そう思いながら歩くのが面白いのです。 たぬきさんもこういうところは手慣れたものでスイスイと進んでいきます。 と、前回気がつきませんでしたが小さな池を発見。水草も生えていて恒久的な池のようです。 水際にはカエルの卵がロープのようにくねってました。

森を抜けて鹿避けネットの残骸にぶつかったところで右に曲がる。ちょっと歩きにくい所だが そのまま稜線を辿ってしまえば先週通り。しかしここから右に下る破線のルートを選択する。 地形図にも書かれてるルートだが見つけにくい道です。

最初のブッシュだけくぐり抜けるとそこからは快適な道が現れます。 植林の中クッキリと道は下ります。もうそろそろと思える頃に右寄りに 斜面を下っていくと途中に変な穴が二カ所ほどありました。ひょっとして縦穴の 坑口跡かな??

山腹を横切る石仏道と合流。そこからちょっと西に向かえば廃内山寺の境内になります。 境内の直前まで深い植林の中ですが、そんな中にもフラットな敷地跡がたくさんある。 湿地のようになっているのはお寺の田んぼだったのでしょう。
建物はなく石垣と池

そして弁財天を祀る池を回り込んで本堂跡に出る。こうみるとずいぶんと大きなお寺であったことが わかります。さらに奥には寺の由来が裏に彫られた大きな石碑。宝篋印塔の周囲には古い墓石やら 石仏が寄せ集められています。稜線上は風もありましたが、ここは無風であったかいので お昼ご飯はここにしましょう。

廃寺のため気味の悪い作り話もあるようですが、ぜんぜんそんな雰囲気はありません。 昔は小学校の遠足でも使われた場所らしいがハイキングコースとして整備すれば 面白いと思います。お寺の入り口と反対方向へ林道のように太い道が延びていましたが これは熊野神社跡への参道のようでした。寄りませんでしたがここも面白そう。

食後は元来た石仏道を釜床方面に行きます。いくつか石仏を見物しながら歩くことしばしで 小さな坑口を発見。道ばたに縦坑を含めて三つあります。こういう穴は間歩(まぶ)と言うのですが このあたりではたぬき穴とも言います。どうりでたぬきさんも心なしか懐かしそうな目つき。 最初に見た二つの縦穴とこことは ほぼ直線だと思うので、鉱脈が直線に続いているのであればあれも坑口だったのでしょう。
たぬき穴発見矢印の化仏が超かわいい〜

倒れている石仏があったので抱き起こして立てかける。見ると馬頭観音だった。特に珍しいものでも ありませんが、額にある化仏の馬をご覧ください。そのうまちゃんの目と耳を見て見て!! なんともかわいい線刻です。
もうすぐ釜床山南にある鞍部

植林から雑木へ。そしてまた植林へと周囲は変化するが道はアップダウンもほとんどなく 山腹を巻いている。左斜面にみつまたが見え始めたらちょっと登りになって稜線と合流する。 そこは鹿避けネットのある鞍部です。

ここから赤い火の用心マークまで直登りです。振り返ると古城山は見えないものの 中央分水嶺の稜線が眺められます。火の用心から左山腹へ延びる巡視路を選択します。 すぐに分岐があるがそれは右。実はさきほどの鞍部からこの分岐までダイレクトに 石仏道があるのですが歩けるかどうかは不明。安全の為にも巡視路を歩くのが賢明かも・・・。 次の分岐も右を選択しましょう。千手観音の石仏が出迎えてくれます。

ここからは先週通りの石仏道が展開します。巻き道なのであんがい距離が長く感じられます。 道幅も昔どおりの所もあれば崩れ落ちているところもあります。 左方向には早くも雑木の林が現れて心が躍ります。 「あのピークはなに?」たぬきさんの指さす方向には低いがおもしろそうなピークが見える。 あれはクヌギ林に下る直前にある『むすび山』と呼ばれる展望ピークです。

稜線(分水嶺)と復帰してすぐに左に巻き道がある。こっちが本当の石仏道らしいが 下っていくと思いこんで稜線を辿る。次の鞍部でその道が復帰していたが踏み跡は薄かったので 稜線の方が安全かもしれません。その鞍部には指さし道標と石仏があり、さらに巻き道と 銀山湖方向への下り道もある。ここは『サデ口』と言い、銀山湖方向へ下る谷はサデ谷と言う。
指先道標発見もっとすごい林がこの先に・・・

小さくかわいい石の道標がある。 指さしの道標で『くこんのん道』と読めそうだが 『こ』は『王』の変体文字と思われるので『わ』であろう。 つまり『くわんのん道』→『かんのん道』、岩屋観音への道標ということになります。

このサデ口から山腹を巻いて稜線と合流すればそこが最終の下山ポイントです。その前に最後の寄り道。 目の前にある小ピークに背丈ほどの笹をかき分けて行きます。ここが途中から見えていた『むすび山』と 呼ばれるピークです。地形図でもわからないような小ピーク、標高もわずか530mほど。 ところが展望はすこぶるよい。行者岳、岩屋観音の大岩、法道寺山、生野とんがりさん等々・・・。
むすび山は絶景だよん極楽の林を下る

ここからはいつもどおりの右下に広がるくぬぎ林を歩いていきます。さすがにこの林にはたぬきさんも 大喜びでした。もったいないからゆっくりと下っていきましょう。右手の谷が正規の石仏道です。 ここにも石仏は点在していますが、ここ数日で間伐の作業が入っているみたいで周囲は伐採された 杉でいっぱいでした。下敷きになった石仏はないでしょうねえ。

釜床山の山名は金床(かねとこ)が変化した、つまり鉱床を意味しているのではないでしょうか? 内山寺の近くにあったたぬき穴を見てそんな想像をしました。さらにこの周辺のお寺は 法道仙人が開基になっているものが非常に多いのです。銀山湖に沈んだ上生野にあった お寺などはずばり法道寺という名前です。法道仙人は印度から日本に来た人ということですが、 生野を初めとする日本の古代の鉱山は大陸からの頭脳と技術がなければ到底探し出すことも 掘り出して精錬することも出来なかったでしょう。

法道仙人はそれらの技術集団を表すのに使われた名前だったのでは?そしてその前線基地として 数多くの寺院が各地に造られたのではないでしょうか・・・・? 最後の2つの段落は私の勝手な想像ですので、ツッコミなどしないようにお願い致します。

びわの丸まで帰ってきたらめずらしくハイカーのものらしい車が一台止まっています。 ハイキング道を見上げると持ち主が降りてくる最中。そして降りてきたお方はなんと 正右衛門ノートの 萬屋さんでした。

今回の釜床山石仏道 (内山寺〜鷲原寺)の地図は こちら(約130k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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