藤無山〜うちおく(銅山)

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『戸倉峠』、『大屋市場』を参照していただくようお願いいたします。

2004. 8.13.  金曜日  晴れ  気温蒸し暑い
毎年のことですがお盆近くになるとどういうわけかこの藤無山へ登っています。 ならば今年も登ってみようと計画しますがちょっと趣向を凝らします。 まず登るコースをどうするか。大屋スキー場からと志倉の林道終点からコースが WEBにもある一般コースですが、今回は若杉の集落から南へ延びている 犬小路林道を利用することにしましょう。

まあ、ついでにこの暑さですから恒例のかき氷も山頂でやれば楽しいのではないでしょうか。 HPで参加者を募集しましたが、この企画はとんでもなく無責任なものでした。 というのも主催者自身が山頂までたどり着けるかどうかわからないからです。 はたして誰が来てくれるのかわからないままM氏と登り口に向かいます。

林道の入口は若杉の集落から谷沿いにあるものだとばかり思っていたら違っていました。 集落をバイパスしている新しい県道から谷を高巻きするようにあります。 途中に水道の取水施設があるため舗装と電柱が目印になりますが、林道の名前などの 標識などは皆無です。

どこまで自動車で上って行けるのかわからないままどんどん進んでいきました。 崖崩れや道幅が細くなればそれで即アウトです。逆にうまくいけばこの林道は藤無山から 東に延びる稜線の直下まで上っていますから簡単に稜線に取り付くことが出来そうですよ。(^_^)v

林道が二手に別れるポイントまでやってきました。予定通りに左の道を選択しますが次の コーナー奥で路面が危うくなっています。バックで引き返してちょっと広くなったところで 駐車。この時点で10時を回っています。このコースではどう見ても12時に山頂へ行くことは無理っぽくなって きました。そこで急遽計画を変更してさきほどの分岐から右の支線へ行ってみようということに・・・。 10時20分。
犬小路林道支線の終点そろそろトンデモなくなってきたぞ

この支線は分岐付近で路面が悪い為に最近四輪が入ってきた形跡はない。途中の路面はすこぶる 良いところもあり地形図に表示されている終点以上に延びていることを期待する。が、 それは虫のよい考えだったようで地形図通りの終点だった。10時40分。

『百年杉の森』という大きな案内板がある。それによるとここには明治三十年に植林された杉が残されており 胴回りが2m〜3mの杉が400本以上もある美林になっていると書かれている。 とりあえず踏み跡はその杉の植わっている谷に沿ってあるので杉の間を縫うようにして登っていく。 この辺は楽ちんコースでした・・・。

杉林を過ぎると名前のわからない雑木の古木がいくつもある。ひこばえなのか、幹の周囲に びっしりと、まるで竹箒をひっくり返したような形状のものもある。ふと足元を見ると こんな所にも茶碗のかけらが落ちている。どれほどの年月が経っているのかわかりませんが こういうのを見ると奇妙な安堵感を覚える。

うっすらとあった踏み跡もなくなりさらには獣道も見えなくなりました。斜面の角度はえげつなくなり 手足を使った四駆で登るほかありません。コンパスを見ると針は西を指しています。 そのコンパス方向を仰ぎ見るとなんと大岩が行く手を遮っています。右に回り込んでも 延々と続いているようなので岩の切れ間をよじ登ることにする。
熊笹もたいしたことなかった

それまではあまり下草もなく足を取られるといったこともなかったのですが、岩をよじ登ると そこからは熊笹が茂っています。予想はしていましたが密集度はそれほどでもなく安堵する。 しかし岩が次々に現れるのにはちょっと閉口する。どこからクリアーするか? 二人で左右に別れて登りやすい所を探す。
展望のテラス岩
赤いルートが藤無から東に延びる分水嶺

三つほどの岩をクリアーしただろうか、登ったところは展望のあるテラス岩だった。 そこからは東方向にある須留ヶ峰、大杉山などが見える。下山時に歩こうと 思っている藤無から東に延びる分水嶺もばっちり見えています。 なんとかうちおくのピークまでは行ってみたいがここからはずいぶんと 遠くに見えます。

展望の感じから頂上は間近と見た。奇声をあげながら登っていくと同じように奇声で返事がある。 かき氷のメンバーかと思いながら岩をよじ登るとまったく知らない単独の男性ハイカーがいた。11時50分過ぎ。 「あんたらようそんなところから登ってきたなあ!!」とあきれ顔。 ここは大屋スキー場コースで頂上手前にある展望地だった。ということは頂上まで5分強だ。

ダイレクトコースを選択したおかげで藤無山の頂上にはほとんどジャスト12時に着くことが出来ました。 (この登りルートはお勧めできません。別途地図に参考ルートを書き込みました)
頂上にはもぐもぐさんが先着していて挨拶を済ませてさっそく食事を始める。そうこうしているうちに KDTさん、のりかさん、やまごさんと次々に現れる。いづれも大屋スキー場のコースからだった。 さとゆきさんも来る予定だったが、なんとJRの和田山駅からMTBで自走してくるらしい。
今年はこんな感じ
三角点の上に置いてます
スイカもトッピングしたりして

食事もそそくさと済ませてさっそくかき氷を始めます。写真のことを考えていつも通りに シロップはイチゴ味、それに練乳、ゆであずき、抹茶、フルーツ・・・と用意をする。 さらに今回は容器にも凝りました。我が家に家宝として伝わるガラス容器です。 これはかき氷用のもので50年以上は軽く経っています。(まじホントです)

このかき氷を始めるとみなさん寡黙になってしまうのが欠点です。私もカメラでみなさんを 撮すことすら忘れてシャカシャカと夢中になってしまいました。 「あ〜っ、あ、あたまが痛い〜」ともぐさん。3杯も食べるからやで。
ちべたいよ〜みなさん満足しました??

とうとうさとゆきさんは現れませんでしたが時間の関係でこれで解散とします。13時05分。 みなさんはピストンで下山。我々はこの三角点から南東にある稜線を下ります。 さも当たり前のように熊笹斜面に突入する我々をみんなは奇異な目線で見ています。 足元が見えないのは最初だけで、しかも下りですから熊笹も進行の抵抗にはなりません。 方向だけ注意が必要です。

ちょっと下ったところで写真を撮っていると山頂からさとゆきさんの声がします。 まさにすれ違いで山頂に来られてようです。残念ですがこのまま下山を続けていきます。 激下りも無事にクリアーしてなんとか稜線に乗っかることが出来ました。 これからはどんな稜線の状態かが気がかりです。
最初熊笹ですが全開の所もある

それも杞憂に終わりそうです。踏み跡は明確でしばらくすると南方向が開けて来ました。 志倉林道の終点も見えます。この稜線上の最低標高の900m弱の鞍部に着きました。 ここがどんなところか気になっていましたが両側が植林でどちらも下ろうと思えばなんとか 下れそうな雰囲気はある。真ん中に『七0』と彫られた石柱あり。

帰宅後、本屋で昭文社のエアリアマップ『氷ノ山』(2004年の最新版)を見て驚いた。それには この鞍部に林道の表記がある。それは志倉林道の支線から我々の登ってきた犬小路林道の支線へ 繋がっています。有名で信頼のある地図ですからきっと我々が横切っているはずの林道を 見落としていたのでしょう・・・???

この付近の尾根はずいぶんと広い。「小型の重機で造ったような道やねえ」と二人で話す。 するといきなり今度は左右に全開の開放感あふれる尾根になりました。 フトウガ、段が峰、暁晴山、東山、一山、阿舎利山等々。 北に目を転ずると氷ノ山の頂上小屋、途中にある神大ヒュッテまでくっきりと 見えています。
北方面を見る
946ピークからは一転して暗く細い道になります。あまり面白くない尾根ですが 一定ペースでがまんして歩きましょう。気が付くと早くも左下に下山用の林道が見えました。 このペースならうちおくまで行けそうです。940強のピーク手前で巻き道があったので それを利用して進んでいきます。

うまく巻き終えて再度分水嶺に乗ることが出来ました。 この付近から植林は消え雑木の尾根になっています。したがって雰囲気良し!! 登りもきつくなく気が付けばうちおくの三角点に着いてしまいました。14時50分。 このうちおく(銅山) は去年の10月に訪れていますが、さすがに夏場に来ると雰囲気は違いますね。
うちおく間近の稜線うちおくの三角点

個人的に言うとこれで藤無山〜うちおく〜大路越え〜松が岡〜冨土野峠までの分水嶺を踏破出来たことになります。 リュックにフルーツゼリーが二つ残っていたのでM氏と分け合って帰路のためのエネルギーを補給する。 この時点まですべて順調に経過したので気持ちよく下山できそうです。 最後の要注意ポイントは犬小路林道の終点を見つけること。

この下山に使用する林道は分水嶺から見えていたのだからどこから下っても関係ないように思うでしょうが そのほとんどが高い法面になっていて路面に降り立つのが危険な所もある。 したがって林道の終点付近だけが唯一安全に下りられると思われるのです。
林道終点にドンピシャ!!林道から藤無を見る
赤いルートが登りのコース

「M氏、右下に林道が見えてるけどあの辺ならええんとちゃう?」植林の山腹を下っていくと そこはドンピシャリに林道の終点でした。したがって法面も低くてなんら問題なく下りることも出来ます。 終点には『有用広葉樹母樹林』と表記された柱が立っています。 指定年月日は平成9年7月、 樹種はクリとなっていました。周囲はほとんど杉の植林帯でどこにクリの木があるのかわかりません。

この林道は一カ所ひどい崩落箇所があり、やはり四輪で終点まで来ることは難しいようでした。 そこ以外はなんら問題もなく歩いて行けます。途中から見える藤無ピークを眺めると 我々の登った枝尾根もわかりました。よくまああんな急斜面をよじ登ったものです。

駐車ポイントには15時50分着。横を流れている谷川で顔を洗うと冷たくて気持ちよい。 汚れた服を着替えて林道を下る。この林道からは見えないが県道との出合い付近に 不動滝と呼ばれる滝があるらしい。林道から県道へ出るとすぐ滝への入口があります。 階段を下りて5分も歩かない内に滝へ到着。
不動滝

これがなかなかすばらしい!!落差は13mとさほどでもありませんが、せり出すようにある 巨岩の間から豪快に落ちてくる様は名瀑に値します。水も透き通っていて良質の?マイナスイオンが たくさん出ているよう。

周囲を丹念に探したらイワタバコの花が一株だけ咲いていました。 滝の起こす風と周囲の暗さでなかなか上手く撮せませんでしたが・・・。 藤無山、まだまだ奥が深いですぞよ。

今回の藤無山〜うちおく(銅山)の地図は こちら(約150k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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