洞滝〜点名『高路奥』

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『大名草』、『但馬新井』を参照いただくようお願いいたします。

2004.10.30.  日曜日  ガス後小雨  気温ふつう
生野の梅ヶ畑に洞(ほら)滝と言う滝があるが、よほどの滝マニアでもここを知っている人は少ない。 以前からその存在を知ってはいたが、なかなか山行きとの組み合わせが出来なくて 今日に至ってしまいました。そこで、今回はMTBと組み合わせてルートを設定し、さらに紅葉も 楽しんでしまおうという欲張りな企画を立てましたがどうなりますやら・・・・。

とうぜん、やまあそルート(道が無くなったり、とんでもないアクシデントがあったり・・・)になることは必至ですので、 お供はM氏をおいて 他にはありません。「それって、MTB乗れるんかいな!?まあ、おもろそうやから行こか」と、 どうやらうまく騙せたようです。梅ヶ畑の集落入口に神社があって、そこの鳥居前に駐車をして スタート。10時15分。

梅ヶ畑には現在2軒しか民家が残っていないそうだ。しかし、集落にある六地蔵の石仏には享保の年号があった。 ということは300年近い歴史のある村が終焉の時を迎えようとしているのだろうか。 最奥にある民家にいた女性は神戸からの移住者でした。都会の喧噪を離れてここに定住すると言うことでしたが 不自由はないとおっしゃる。でも 「このあいだの台風での倒木はすごかったよ。まるで震災の時のように地鳴りがしたから・・・」と 指さす方向は山の斜面全体がずり落ちたようなすごい倒木だった。
目の前には倒木だらけの林道道がだめなら川を行け!!

洞滝の事を言うと歩きならなんとか行けるだろうということでした。なんとか行けるということは我々にとっては 楽勝コースと同じ事?倒木を鼻歌で乗り越えながら、ふと右下を見ると川底がフラットな岩盤に なっているのが見えます。先ほどの女性が「川がすごい水量だったからゴミが全部流れてきれいになってる」 と言っていたのを思い出しました。

「これって走れるんとちゃう?」さっそく川に降りてMTBを乗ってみます。何事もやってみないとね。 でも見た目より川底は段差が大きくてあっという間に転倒しそうに・・・・。 こんなことしているといつまで経っても滝にはたどり着けません。 林道にある大小三箇所の倒木帯を乗り越えて滝の入口にやってきました。

念のため洞滝のことをWEBで検索したら2件ほどヒットしましたが、それにはなかなか見つけられなかったとある。 そんなことないですよ〜。どうぞご安心下さい。地形図にも記載はあるし、そもそも林道からでも滝は見えています。 どうしてもわからなければ『水源かん養保安林』という鉄柱とか黄色のテープが目印になるでしょう。 林道が復旧したらぜひ見に行ってください。(ただし夏場はヒルが出ます)
不思議な空間だ!!洞滝

遠目から見て「なんかしょぼい滝やなあ」と、M氏は言っていますが、とんでもない!! 滝に近寄るとその不思議さに圧倒されます。 落差は7〜8mほどしかありませんが、その周囲の岩壁はぐるっと馬蹄形に、まるでなにかでえぐったように 洞になっています。これが名前の由来のようです。

ここも台風の爪痕があって、正面から滝を見ようとすると倒木が邪魔になっている。仕方なく、この方向で 写真を撮すことにする。滝そのものにある倒木もどけようとM氏が悪戦苦闘するがとてもとても無理です。 向かって左側の洞の奥には祠があるのでそばによって観察する。中を覗いてみると 不動明王の石仏が安置されていました。
独特な作風の不動像洞は滝を中心に左右に広がっている

ふつう石仏に作者の銘などがあることは稀です。ところがこの石仏には『行司作』と彫られています。 実はすぐ近くにある黒川の集落や竹原野にも彼の作ったと思われる石仏があります。 その作風や名前が彫られていることから彼はプロの石工ではなく芸術家だったのでは?と 想像しています。(石仏に彫られた年号からして明治時代の人らしい)

さらに石仏には『神仙庵』と彫られている。神仙庵とは韓国南山にある、多くの磨崖仏が点在する 有名な場所のことである。どうやら行司氏はここをその神仙庵になぞらえようとしていたのかも しれません。ここに多くの石仏が並べられていれば、まさに生野の神仙庵となっていたでしょう。 いつまでもここにいて想像を思いめぐらせていたかったのですが、まだスタートしたばかり。 11時07分ここを離れます。

ここから峠までは比較的安定した路面が続きます。といっても、傾斜は急なので途中で上着を脱がなければ暑くて たまりません。外気温は低くて皮膚は冷たいのに体の中は灼熱地獄・・・・、運動量の多い自転車では冬場でも 汗まみれになってしまいます。どうやらいつものパターンにはまってきました。 『帰去来』と彫られた石碑のある峠には11時35分着。
峠からピークを目指す展望岩に登ろうともがく。周囲はガス

昔、この林道が無かった頃は細く急な峠道があったと聞く。斜面を覗き込んでもその痕跡もない。 梅ヶ畑にいたおじさんは『新田越え』と言っていました。さて、小憩も終えて、ここからすぐ西にある 三角点ピークを目指す。10分も登れば頂上に着いてしまいます。標高は813.6m、四等三角点。 山名はわかりませんが、点名は『高路奥』というつまらない名前。

展望はなく狭いピークです。周囲はガスに覆われているが先ほどまであった風がない。 それを幸いにここでお昼を済ませてしまいましょう。お湯を沸かしている間もじっとしていると寒くなってきます。 やはり秋になっているんですねえ。 鍋焼き天ぷらうどんの後はホットコーヒーでほっとしましょう。 後かたづけして12時30分再出発。

次のピークが展望の岩場でした!!ここで食事をすればよかった!!でもガスだから しかたないか・・・。しかし、ここ・・・MTBを担いで登るのはちょっと危険ですぞ。 う〜、身動きがとれん・・・。M氏に引き上げてもらい事なきを得る。 神埼郡とか生野町は植林だらけと思われがちだが、ここは雑木が多くて紅葉の穴場なんです。 晴れていればここから紅葉の山腹やら、マタニ、千が峰も見えるはずですから〜。 あ〜残念!!

さらに西へ下っていくと高圧鉄塔の巡視路と出会う。この巡視路は去年の5月に 西雄岳〜但陽山という コースを歩いたときに利用した巡視路なので見覚えありです。そして分岐着。左へ行けば前回のルートである但陽山へ。 今回は右の巡視路を選択して簾野の集落北へ降りる予定です。等高線がゆるやかなのでMTBで 乗れるともくろんでいます。ところがいきなりのプラ階段、その後は細く、露岩のある尾根が続く。 歩くには問題ありませんが、MTBには面白くない尾根です。

しばらくは押しながらの前進。鉄塔15を右にあるのを確認するが、行ってこい(袋小路で行き止まりの鉄塔巡視路 のことをそう呼ぶ)なのでそのまま直進。ふつう、こういう分岐にはいつも目にする火の用心マークが あるはずなのにここには一切それがない。いつもはあるのに、それがないとちょっと違和感や不安感を覚える。
分岐(地図のE)からは乗れる!!鉄塔14からも極楽や

いつまでもこのまま乗れないと今日の企画は大失敗だが、ありがたいことに分岐Eからは おもしろく乗れます。これこれ!こうでなくっちゃね!! 乗っている間はなにも考えられないのでレポートは省略ぎみ・・・。 途中にある行ってこいの鉄塔14に寄ってみるが相変わらずのガスで展望はなし。
鉄塔13過ぎるとだらっと広い尾根鉄塔11までは乗れます

鉄塔13へは702のピークを巻いて行くことになる。ここで初めて火の用心マークを見る。 ちょっと安心するが実は要注意ポイントです。鉄塔は右上にあるので、とりあえずそこまで 登ってください。鉄塔12への巡視路はわかりにくいのですが、頭上にある送電線の 方向へ走っていくと写真のような植林の広い尾根を走るようになります。

薄い踏み跡をたどりながらどんどん走りましょう!!鉄塔12を過ぎて 二度目の巻き道となる。(この二箇所の巻き道が乗れそうで乗れないんです。逆に、滑り落ちそうで危険!!) この周辺は自然林が残っていて来来週ぐらいが紅葉の見頃かも。

鉄塔11からは右に巻き込みながら激下りになる。やっぱり等高線通りや・・・。 しかも雨が降ってきました。これも予報通りや・・・。 さらに、鉄塔10からいきなり倒木地獄となる。これも予想通りや・・・。 さっき国道が見えてたからもうちょっとやのに・・・。 倒木を目の前にして二人でもがき苦しむ。
鉄塔10から国道が見える橋が無い・・・

倒木をなんとか越えるとそこから魔法にかかったように道がなくなっていた。 こうなりゃ、どこから降りてもすぐそこが道路です。左の植林の中ならMTBに乗って 下っていけます。そこを駈け下って川に近づきますがどこに橋があるかな・・・・あれ?ないぞ!!

冗談でM氏に「ここを下っても橋がないんやで」って言ってましたがほんとに橋がありません。 右には行きにくそうなので左へ行くと耕作地跡が広がっている。その作業道をたどっていくと 川にぶち当たる。川向こうにも道がある。でもここも橋がない。 耕作地を放棄してから小橋は流されてしまったのだろうか。

「どうせ雨やしこのまま渡ろう」やけくそ気味に言うM氏。あぁ、哀れ。 今日降ろしたばかりのM氏のMTBシューズは川の中に沈んでいくのでした・・・。 (耕作地跡をそのままたどれば簾野の集落へ行けると思うんですけど・・・) 14時37分国道復帰。15分ほど雨の中をMTBで飛ばすと駐車ポイントに着きました。 もちろん全身ぬれねずみ。

今回の洞滝〜点名『高路奥』の地図は こちら(約180k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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