はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1 『谷川』を参照していただくようお願いいたします。 2004.11. 7. 日曜日 晴れ 気温ふつう
ホツユイセイ山とはずいぶんと奇妙な山名です。実はこのすぐ横手にある三角点
『枡の底』(これも奇妙な名前ですけど・・・)の情報を得る為に国土地理院の『点の記』を
見ていて発見した山です。この『点の記』は便利なことも多いのですが、時々でたらめな事を
書いていることもあります。たとえば須留ヶ峰と大杉山の山名のことや、生野の雲頂山を間違って雲須山と記載していたりとか・・・。公の記録だけに細心の注意が必要なところですが、今も昔も公務員はええ加減な連中だという良い例です。
ホツユイセイ山のある西脇市住吉町には水車村という所がある。ここの村長?さんであるKさんにこの山のことを うかがうと、この山はホッコセイ山というのがほんとうらしい。どうやら地理院の調査員はカタカナのコを ユと書き間違えた(あるいは読み間違えた)ようだ。さらにわかったことはこのホッコセイという名も 北斗星が変化した名前らしい。さらに、さらに、地形図ではわからないが妙見滝という滝まであるという。 まさしく妙見信仰の山であることが明確になった瞬間です。 では、妙見滝から枡の底を経てホツユイセイ(北斗星)山へ行くことが出来るでしょうか? Kさんの水車工房に車を置かせて頂きここからスタートする。水車村の前にある県道を挟んである 『かくれ橋』という畑谷川に架かった橋を渡って右に折れる。民家を二軒ほど過ぎて今度は左に 曲がると写真にある墓地にぶつかります。
墓地の向かって右手には引き込まれそうになるほどのきれいな道があります。が、左上にある耕作地跡へ行ってください。 そこに立ち、周囲を見回してもそれ以上道はなくどうみても行き止まりのようだ。目の前に赤さびたトタン屋根の小屋があり その奥は森になっている。もしやと思いその左奥へ踏み込んでみると・・・・。 写真のような明確な道がありました。左には細い谷川があるので滝への道はこれで間違いないようです。10時ジャスト。 (レポートでは簡単に道を発見していますが、実際は相当うろうろしてます) わずか5分ほど進んだでしょうか、足元に石組みのしっかりとした小橋があります。そして見上げると 滝がありました。
こんな山域です。滝と言ってもせいぜい2〜3mぐらいの落差で、滝なのか段差なのかわからないぐらいの ものを想像していました。が、実際の滝を目にしてちょっと驚きました。 水量は望むべくもありませんが、落差は10m近くあるでしょう。残念なことに滝の周囲に雑木が生えているので、 滝を一望できるポイントがありません。仕方なく真下から仰ぎ見ることになったので写真では高さがわかりません。 近くに石仏などがないか探してみるが見あたらなかった。しかし、小さな石組みがある。祠があったにしては 形が変なのでなにか違う用途があったのかもしれません。ここからきれいな道が登っています。 それに乗っかって登っていくと滝の落ち口へと向かっているようです。
すると正面に大規模な石垣と階段が見えてきました。どう考えても妙見社跡のようです。 こんなものがあるとはまったく知りませんでした。階段を登ってみると右手には滝の落ち口があり、 左手はわりと広い敷地になっている。もちろん今は雑木が生い茂っていて歩き回れるような空間はない。 お社の痕跡が全くないがいつ頃出来て、いつ頃からこんな状態になったのだろう。 時間の流れに埋もれた遺跡を発見したり見たりするのはいつも楽しい。根拠のない想像や妄想を巡らせては 悦に入っている。それって脳を刺激してボケの予防にもなったりもする(私の場合効果は薄そうだが・・・・)。 さて、周囲に道らしきものはないので仕方なく谷川をそのままたどることにする。10時18分。 いくつかの炭焼き窯跡がこんな小さな谷川沿いにもある。流れが終わる頃を見計らって 右の雑木斜面を登ることにする。道はないが通れそうな空間を見つけながらよじ登る。 10時47分にピークに立つ。予想外にヤブが深いピークだった。ここが点名『枡の底』だと思う。 ところが三角点が見つからないので勘違いをしたと思い移動をしてしまう。 移動してわかったのだが、やはりあそこが三角点ピークだった。もうちょっと周囲を探索すればよかったと 悔やむ。ヤブを引き返すのもめんどうなので先を行くが、目の前には北斗星への激登り斜面がそびえている。 先ほどの『枡の底』という名前は実はこの激登り手前周辺の地形を指す字です。 ゆるやかな尾根と谷の形状が昔の人をしてそう呼ばせたのでしょう。 激登りをクリアーして北斗星のピークに立つが周囲はヤブだけで何もなかった。11時18分。 ひょっとして妙見の祠か石組みでも残っていればと思ったのですが、ちょっと残念。 さらに稜線を進もうとするがヤブがひどくて進めません。しかたなくちょっと下に降りて 山腹を巻きながら前進を続ける。やがてヤブは薄くなり西脇市と黒田庄の境界ピークに立つ。 |
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ササワラから松の木に登り見える展望 |
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このピークは黒田庄ではササワラと呼ばれている。ちなみにこの西にある谷は
ササベ谷と言うらしいから、この周辺は昔は笹に覆われた山域だったと思われる。
このササワラは標高は600mプラスあり、ここから西に向かえば杉原山を経て三角点山へ。
北へ下れば大樅峠となっている。昔は展望があったのに今はまったくなにも見えません。
台風で倒れかけた松によじ登ると、あ〜ら見えます、黒田庄白山に妙見山!!
すぐ向かいには天徳山です。
この天徳山も多田繁次氏の著書にあった山名で、慶佐次盛一氏はテンロクとしています。 ところが地元黒田庄のご老人は金剛童子と言っていました。 あ〜っ!!どの山名を優先しよっかなあ??やはり地元の呼び名か? 頭がこんがらがる前にここで昼食にしましょう。時間も11時50分。 12時20分。下山を開始します。下山は西脇市と山南町の境界尾根を東に下ります。 入口は明確ですが入ったとたんにとんでもない倒木地獄が始まります。 左は杉植林、右は赤松の林。どちらの倒木もひどい状態です。杉は根元からではなく幹の途中から 無惨に折れている。赤松林も本来ならマツタケが採れそうな所だが無茶苦茶になっている。
倒木を乗り越えてたどり着いた峠は大呂峠。12時40分。 自然石に彫られた地蔵菩薩の石仏は安泰だった。ここから直進すれば高山、猿藪。 北へ下れば山南町、南へ下れば西脇住吉町で無事周回終了となる。 さて、今回の山行きは山名やら地名のレクチャーっぽくなって恐縮ですが、この大呂峠も いわくがあります。水車村のKさんとの会話の中でこの峠の事が出てきましたが、 「今田の小野原と油井を結ぶオロ峠とこの大呂峠の音が似通っているのが気になる」とおっしゃる。 それを聞いてピンと来た。 オロ峠は漢字の才口(ざいくち)をカタカナと勘違い?して読んでしまった名前だと思うのです。 そのカタカナ読みのオロを再度漢字化したのがこの大呂峠です。 つまり才口→オロ→大呂という変遷をたどったと考えて良いでしょう。 Kさん曰く「村の入口という意味である在口ともイコールではないか」 峠からは一箇所だけ倒木があったが比較的楽に林道まで下山が出来た。この峠道で降りるのが普通だが 峠から東にある鉄塔巡視路で降りてもこの林道に出る。巡視路なら途中にある鉄塔での展望が期待できるので それを楽しむのもいいかもしれません。水車村には13時35分着。 最後になりましたが、私のレポートの中で妙見山直列という項目があります。ちなみにこの北斗星山の位置を確認してみました。 すると残念ながらその直線上にはありませんでしたが、わずか450mほどしか離れていません!! う〜ん、惜しいなあ。 今回のホツユイセイ山の地図は こちら(約160k) でごらんください。 |