うちおく(銅山)

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『大屋市場』を参照していただくようお願いいたします。

2003.10.12.  日曜日  晴れ時々曇り  気温暑い
今日は天気も悪いという予報だったので、雨の降らないうちに歩き終えそうなお手軽コースを予定していましたが、 北に向かっているうちにどんどん天気が良くなってくる。そうなると二人とも欲が出てくる。 そこで「『うちおく』はいかが?」とM氏に提案する。うちおくは先々週から通い詰めている但馬・播磨の 境界尾根(中央分水嶺)にある一ピーク周辺の呼称です。スタート地点は先週と同じ古屋廃村跡にある石碑前。 予定を変更してここまでやってきたので時間はすでに11時15分。

まずは小倉屋敷跡と製糸工場跡(石垣しか残っていませんが・・・)を見学する。M氏は初めてだが 私は二度目 、先週と同じように石垣によじ登って周囲をうろうろする。瀬戸物のかけら、五右衛門風呂の 風呂釜。だれが酒宴を開いたのか、お銚子とおちょこが切り株の上に乗っている。

前回のレポートに書いたボイラー(明治14年、横須賀海軍工廠に作らせた)の残骸でもないかとうろついたがなかった。 帰宅後調べてみると、なんとこの製糸工場明治22年に突然廃業している。今となってはその理由も定かではないが、 どうやら当主が仕事より遊びに夢中になったためという説もあるらしい。哀れ、かのボイラーは綾部のグンゼに引き取られたという。
再度、小倉製糸工場跡を訪ねる

前回と同じように小倉家墓地横を素通りして林道終点の分岐に着く。谷が左右に分かれていて同様に 道も分かれている。まずは左の道を登って鉱山跡を訪ねてみる。 すぐに終点になり、その広場右手の小さな谷は土砂に埋もれてその上にシダがびっしりと生えている。 ここが鉱山跡だろうか?地形図ではこの奥もあやしいが道が無くなっていてこれ以上進めなかった。 この辺りも石垣が点在しており50余名の人々が働いていたという話もあながちおかしくない規模だ。

時間がおしているのでここに見切りをつけて分岐に戻る。佐治見越えのある坂の谷を登っていくが、 先週は途中の分岐を見逃してソマ道をそのまま登ってしまい、佐治見越えを逃してしまった。 今度は慎重に地形図をにらみながら分岐を選ぶ。「なんや、こっちの谷やがな。楽勝やね」 ところが、ここからいきなり道はなくなり植林の激斜面をよじ登ることとなる。
霊鷹(れいよう)鉱山跡?佐治見越への激登り

M氏は猿のようによじ登っていくが、人間の私は右に左によろよろと登っていくのが精一杯。 途中には踏み跡すらなかったのに、峠の数m手前で踏み跡が現れる。植林帯になったため昔の峠道はまったく 消滅してしまっています。12時20分。しんどさということを考えれば先週のソマ道を登って尾根に着き、 この峠まで逆行するほうが遠回りだが楽だ。

この峠から北へ行けば先週の和田山、南に行けばうちおくとなる。尾根にははっきりした踏み跡はないが 下草もないのでどこでも歩ける。やがて左杉植林、右くぬぎの林となる。あなたならどちらを歩きますか? 私はもちろんくぬぎ林の方です。

峠の激登りでヘロヘロになっているのに、ここでも急な登りがある。それをクリアーすると 807mの標高点を過ぎ、こんどは左手が赤松の林となる。先週『ふるや炭工房』のとっさんに「昔、うちおくに松を植えに行った・・・」 という話を聞いたがここがその赤松林のようだ。この松林、ゆるいピークを越えると窪地、またピークを 越えると窪地・・・・・と、なんだか不思議な地形が連続します。

この不思議な地形の尾根を登りに利用したので問題ありませんが、下りなら少々難儀です。 所々にある黄色いペンキのマーキングと大昭和製紙の小さな看板が境界の目印になるでしょう。 ただし、コンパスと併用しないととんでもない所へ降りていく危険があります。
くぬぎの林を登る赤松林を行く

目の前に播州・但馬の境界尾根が見えてきました。これに乗ればうちおく最高地点 の三角点ピークまですぐです。 ここも壁のように立ちふさがる斜面をよじ登らなければなりません。 お腹が減っているので力も入らず三歩登って二歩ずり落ちながらようよう尾根にたどり着く。 そこには明確な道があった。大きめの石標がありそこには『山字銅山』と彫られていた。
うちおく(銅山)三角点

13時15分、三等三角点、標高953.7m。点名は『筏』(大屋町にある集落の名前)となっている。 実は点の記には、この三角点の周囲が草地になっていたので「こりゃ、展望があるで、M氏よろこんでや!!」と 登る前から息巻いていましたが、到着してみると周りは雑木と植林に囲まれてまったくなにも見えません。 点の記の記載から30年経っているので仕方ないかぁ・・・。

風がずいぶんと強い。山頂は杉苔に覆われていて座りにくいのでちょっと離れたところで風をよける。 上空を眺めると青空も見えるが雲の流れが早い。無線で繋がったOAPさんのいる駒の尾は真っ白な ガスの中だという。ここも1000m近い標高だが不思議と天気は崩れそうにない。 コーヒーもいただいてさらにゆっくりしたいところだがもう14時になろうとしている。下山しましょう。
こんなすばらしい尾根が・・・峠付近まで続いています

下山はもちろんピストンではなく、分水嶺の稜線を辿ることになる。地形図にある857mピークを経て 点名大路の手前にある鞍部の大路越えから古屋廃村跡へ戻ろうというコースです。 どんな道が待ちかまえているのかまったく予想も出来ませんでしたが、下り初めてそれは驚きと変わる。

こんな尾根最近見たことありません。県内にこれほど見事な広葉樹の尾根ってあったかなあ・・・・。 見える限りずーっとそれが続いています。さすがの変人M氏もここはすごいとうなっています。 「自転車持ってきたら乗り乗りやのになあ」身体一つでもええかげんしんどい登りやったのに どうやって担ぐの?
大路越え間近の展望地

857mピーク付近から振り返るとうちおくのピークと山頂部分をガスに覆われた藤無山が望めた。 ここから見る限りうちおくから案外楽勝で藤無山まで行けたりして・・・・。 果たして行けるかどうか・・・これは今後の課題やね。

大路越えに近づくと一カ所明延方面に開いた所があった。そこから見える山の写真を撮って 少し下るとそこは2週間前に訪れた大路越えだった。14時30分。尾根道の状態がよかったので わずか30分ほどでやってこれた。時間の余裕があったらもっとゆっくり歩きたい尾根だった。 ここは超おすすめです。
大路越えに着!!

冨土野でこんな計画があったそうだ。それは二組に分かれて一方は古屋廃村跡から、もう一方は 大路廃村跡から、それぞれがこの大路越えに向かって登っていきここで会おうという計画です。 お年寄りが昔を懐かしんで古道を歩いてみたいということだったらしいが、結局は実行されなかったらしい。

その代行というわけではないが、2週前は大路廃村からここへ、今日はこの峠から古屋へ下っていく。 しかしその下り斜面を見た限りは踏み跡すらない。このまま谷の源頭部へ降りて道がなかったらつらいので、 谷には降りずに左の支尾根にエスケープしてそこを下ってみる。すると思った通りそこには細いながらも 道があった。

そのまま植林帯の部分も抜けて、もうよかろうと谷に下ってみる。すると炭焼き窯の跡があった。 これがあると確実に道があると言っていい。確かに横を流れている谷川に沿って登りも下りも道があった。 これで楽勝です。あとは途中にあるはずの赤滝、御滝を見学です。ところがいつまでたっても滝はなく そのうち林道に出てしまう。
大路谷を下る

最初我々が尾根にエスケープして谷を歩かなかったが、どうやら二つの滝はその付近にあったらしい。 後で地形図を見るとずいぶんと峠寄りに滝があったようだ。林道をちんたらと歩いていると いつの間にか『アルトスビレッジ』に着いた。15時20分。

今回のうちおく(銅山)の地図は こちら(約120k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


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