沖ノ山

はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1
『板根』を参照いただくようお願いいたします。

2003. 6. 8.  日曜日  晴れ  気温ふつう
ブナを求めて峰越峠から若杉原生林をMTBで走ったのは20日ほど前のこと。その時気持ちよく走った 県境の尾根から時々見えるピークがあった。方向と距離から考えるとどうやら沖ノ山(おきのせん)らしい。 ところがそれには直下に赤土のり面の林道が見える。チシマ笹が猛烈に生い茂る、冬しか登れない 山だという認識だったのですが、ひょっとして・・・・という想いが駆けめぐる。 試しにと言うことでその時も沖ノ山方向へ行けるところまで行ってみた。(ヤブで行き止まりだったけど・・・)

その日、帰りに通った林道ダルガ峰線からもこの沖ノ山とそこへ続いている林道がはっきりと 確認できる。「よっしゃ〜!次は沖ノ山やなぁ」と向井さんもすっかりその気になっている。 まずはあの林道の登り口を探さないといけないがだいたいの予想は付く。もしその林道の傾斜と路面の状態で MTBが乗車できなくても押していけば歩くのとは同じペースだ。 しかし下りはどんな路面でも傾斜でも林道でさえあれば充分に乗って下れる。 したがってMTBでの登山ということに意見が一致する。

翌週には沖ノ山に行くつもりでしたが、天気が悪くてこの日になりました。 岡山県の西粟倉村から志戸坂トンネルを越えて鳥取県の八頭郡に入る。話は変わるがこの志戸坂は中央分水嶺の峠で 尾根を跨ぐ旧峠、その下には昭和9年?に開通した志戸坂隧道、そして現在(昭和56年)の新トンネルと三段構えにの峠です。 これだけを単独で探検してみるのも面白そうです。そのトンネルを抜けて鳥取県に入ったらすぐに東に延びている谷 (大井谷)を行きます。

渓流沿いの舗装の林道。右手は鳥取・岡山の境界の山稜。左手は沖ノ山がそびえている。林道に入ってすぐにある 左手分岐に『ふるさとの川 八十八景 いかりの滝』という標識がある。快調に車を走らせているといきなり正面から 木材を積んだトラックが降りてくる。うまくかわしたがこの先で伐採作業をしているのだろうか?しかも日曜日なのに。 暗い林道から谷が広くなると最初の伐採地がある。ここで出会った軽トラックの男性に沖ノ山への林道を尋ねる。
植林伐採の現場ブナの街路樹?のある林道

立派な作業小屋が二棟あってその奥には『三界萬霊供養塔』のある。昔に集落かなにかがあったのか? 次の谷の広くなったところで大規模な伐採作業をやっていた。車を降りてさらに詳しい事を聞こうとしたが 反対に怒られてしまった。「入り口に立ち入り禁止って書いてなかったか??」「すみません。 見落としてました」と謝って退散。帰るふりをしてこの伐採地手前にある『林道 ワル谷線』を登っていく。

最初のおじさんから聞いたのではたぶんこの支線林道でしょう。しかし標識には延長が400mほどとしか 書かれていないので不安のまま車を進める。日曜日でも作業をしているし、林道の途中にあったゲートも 作業をしていない日は閉じられているようならば、一般の登山者は基本的には入れないということかもしれません。 私たちは後日、この林道と沖ノ山の持ち主に電話をして、事後承諾という形ですが登山したことの許可も得ております。

標高で言うと900mオーバーぐらいの所が旧林道の終点のように思える。そこから新しい路面で 延びているようだ。ここに車を止めていよいよMTBに乗り換える。9時50分スタート。 思った通り路面が荒れていてMTBに乗るよりも押して歩く方が楽だった。植林地帯もすぐに終わり 山腹には笹とブナの木が現れる。
もうすぐ鞍部。立ち止まってカメラを構える

林道はのり面も路面も重機で一気に作り上げたという感じ。台風とか雪解け時に崩れてしまいそうに見えるが 現在の時点ではそれもなく四駆なら充分に登っていける。頂上直下の林道も見えているがはたしてこれと つながっているのか?これと違う系統の林道のようにも思えて不安も少々ある。 とりあえず鞍部に着けばなにかわかるだろう・・・・。

我々は現在頂上から離れるように西から東方向に歩いているのだが、鞍部の手前で予想通り分岐になっていた。 一方はそのまま東方向(若杉原生林方向)へまっすぐと、もう一つはそこからターンして沖ノ山の頂上方向とに 別れていた。ここで頂上へ林道が登っていることが確認できてホッとする。 するととつぜん、先にいっていた向井さんが「あった、あった!来てみぃ」と叫んでいる。10時45分。
鞍部分岐からターンするとそこには・・・・

そこにはブロンズの等身大像が設置されていた・・・・。 積雪時にこの山を訪れた人のHPによると、山頂近くになって雪の中から人間の上半身が 出ていて驚いたとある。もちろんこの像のことだが、雪のないこの時期でも妙に生々しく、遠目で見ても どきっとするような像である。最初はこの林道は県が作ってブロンズ像も県知事が誰かだと想像していた が、どうやらこの山の持ち主らしい。

それは横にある石碑に書かれているからである。ほかにも『沖の山 泉わきでる 大井谷』『智頭の町 みまもる 千代川』 と、自作の句が添えられている。 林道が出来たのが平成13年の11月とある。二冬越えた割には崩れたところはなかったし、轍もあるところから 頻繁に登っているのかと思う。しかしどういう理由でこの林道を作ったか?延長された部分には植林帯がなかったので 植林作業用とは思えない。 二人して想像したのは、我が持ち山の頂上から下界を眺めてみたいという欲求から?ではないだろうか・・・・と、 結論が出た。
やはりツーショットはお約束

そしてここに住む訳にはいかないので代わりに自分のブロンズ像を置いた。これならば未来永劫(とはいかないが・・・) ここから下界を眺められるという次第だ。是非はともかくこういったことの出来るというのは一種うらやましくもある。 石碑とブロンズ像のあいだにはもう一つ小さなブロンズ像がある。なにか思い入れでもあるのだろうか? それは中国の古代思想家である老子とか孔子のような風貌だが、ロバ?にまたがっている。 まさに謎の中国人である。ブロンズ像のご本人に後日お聞きしたところ、「だれか知らんけど、一人やったら さみしいから置いておいた・・・」ということでした。

さあ、先を急ぎましょう。ちょっと走って後ろを振り返るとやはり人間のように見えて不気味だった(^_^;) 向井さんが「この辺やろ!突入や」という言葉にまんまとだまされて、林道からチシマ笹の海に飛び込んだが 三角点なんてありゃしない。「あっちのピークの方が高いわ」とすごすごと林道に降りる。 とりあえず林道を一番の高見まで行ってそこで周囲をよく観察しましょう。

そこは絶好の展望場所でした。お昼をここで食べようと言いましたが向井さんは頂上へ行こうと言って 聞きません。このちょっと下に入り込めそうな所があったので(赤白ポールの残骸でマーキングしておきました) そこから登りはじめる。人がくぐって登れるだけのスペースがある。足元のスズコを見ると 先端をかじった跡があった。どうやら熊の仕業らしい。とするとこの道は熊の道と言うことか!!
ヤブに突入。だが顔は笑っている三角点はここではありません

熊除けに大声をあげながら登っていく。笹をかき分ける向井さんはすでに頭からゴミだらけになっている。 15分もしないうちに三角点を発見。11時45分、二等三角点、標高1318.2m。ここで昼食を食べたかった 向井さんだが、三角点の廻りにはそういったスペースもないし、ましてや展望なども皆無なので 林道へ降りることに。

頂上へ登る時は足元にあるはずの三角点に視線が集中していたが、帰りは上を見ながら後戻りした。 というのもマーキングとか登頂標がないかと思ったからだ。 すると予想道理、三角点より離れたブナの木に二つの登頂標があった。一つは姫路の某山の会のもの。 もう一つは播磨町の個人の方で小さな紙片をパウチに加工したもので、今年の3月に登っていた。 やはり雪のシーズンに登ったらしく、一番高い所にあるこのブナ近くに三角点があると予想したようだ。 三角点の近くに付けたかったら雪のないシーズンにおいで〜。
お昼はこの林道で展望を楽しみながら・・・。
林道の最高点に戻ってそこで昼食とする。日差しはあるが低い湿度と涼しい風でとても心地よい。 食後はいつものように無線をする。宍粟郡の千町が峰OAPさん、奈良の薊岳QLVさんとつながるが いつものお仲間である。他にも移動運用の無線局が今日は多かったようだ。向井さんは林道の続きが どこへ下っているのか調査をしている。たぶん車で通過した川沿いの林道に降りていると思う。

我々は車を林道の途中に置いている都合上ピストンで戻る。もちろんMTBで駆け下りることになる。 展望の林道最上部からまずはブロンズ分岐まで一気に駆け下りる。分岐から東方向に延びている支線をちょっと 探検。車の轍も全くなく長い間足を踏み入れた形跡はない。それは水平に200mほど進んで終点になる。
支線の終点からも踏み跡はあったそれをちょっと歩いてみる

終点からも切り開きがあり踏み跡程度の道になっている。ハイカーによるものではないマーキングが あるので、林道延長のための調査道かもしれません。大きなブナもあるが工事されるとそれらも 伐採の憂き目にあるのだろうか?若杉原生林まで続いていないことはあきらかだがどこまで続いているのか? 少なくとも1193mピークぐらいまではあるかもしれません。

本線に戻って車まで林道ダウンヒルです。ガレているのとヘルメットを持ってこなかったので スピードは押さえ気味です。でも15分で車まで戻って来れました。やはりMTBで登ったのは 大正解です。

今回の沖ノ山の地図は こちら(約130k) でごらんください。

それじゃあみなさんも「山であそぼっ」(^o^)/~~~


ホームにもどる