はじめに:このレポートは国土地理院発行、2万5千分の1『亀岡』を 参照していただくようお願いいたします。 2003. 3.23. 日曜日 晴れ 気温あったか
23日の天気予報は晴天で気温も高い。氷ノ山でスノーハイクをするには絶好の日和です。
スノーシューもストックも倉庫から引っ張り出して気分もその気になっていました。
ところがM氏から「鉱物採集に行かへんか?」と誘われ、ついOKをしてしまいました。
題して『京都亀山市湯ノ花へ桜石の観察・採集』・・・京都地学会の主催です。
湯ノ花温泉のバス停が集合場所です。ハンマー片手よれよれの中年おやじが7~8人集まって 「じゃあ、行きますか」ってな感じかなと思っていたら大間違い。時間が近づくと、どこから 湧いてくるのか、総勢で100人近い老若男女が集まった。一番若いのは小学校低学年、 最高齢は70過ぎの老夫婦。 主催者も慣れたもので地学会の旗まで用意されていて、それを頭上に掲げて皆を誘導する。 旅館の客引きも「この人らみんなうちに泊まってくれたらなあ・・・」と指をくわえて見ている。 目的地は温泉街からあまり離れていない所で、歩き始めて10分ほどで着く。 ここは鉱山の廃石捨て場らしい。谷を埋めてすっかり平地になっている。 会費と交換に資料をもらい、それを片手に参加者は早足で進んでいく。あれよあれよという間に 桜石の採れるという崖に群がる様は砂糖に集まる蟻のように見えた。
ちょっと引き気味になりながらも崖に近寄り、こちょこちょと斜面をこじってみる。 素人の悲しさかどれが桜石かまったくわからない。他の人達は「あっ、これこれ・・・。 ここにぎょうさんあるわ!」とか言っている。M氏もハンマーでガシガシと 崖を叩いている。「このチラッと光ってるのがそうやがな」とM氏。 なんやこんなもんか・・・ちょっとがっかりする。 他の人はどこをどうやっているのかと眺めてみると、崖以外にも地面をはいずり回る人もいる。 「あんな崖より地面の方がええのがあるんや」と独り言を言うおじさん。やっぱり変な人が多い。 その変なおじさんに習って地面をほじっているとすぐにそれらしいものが見つかった。 M氏は「おぉ、ええのがあるやんか。一つ見つかったらおれはもうええねん」だって。淡泊やなあ・・・。
私もこれぐらいでええかなと思っていたら、主催者が「一番大きな結晶を見つけた方にはこの 水晶を進呈します」見るとめっちゃきれいな水晶だった。がぜん張り切ってまたもや地面を 掘り返す。結果は上の写真です。 湯の花温泉には多くの鬼の像があるのをご存じですよね。 『【桜石鬼伝説】昔むかし薭田野の山々を根城に多くの鬼が住んでいた。たまたま村を通りかかった 高徳な行者が、ただならぬ妖気を感じ、これを祓うため、どこを切手も桜の花に似た模様の出てくる、 「桜石」と名づけられた神秘的な小石を妖気の方向に投げると、山が真っ二つに割れ、その深い穴に 鬼が呑み込まれていった。その後、山のふもとから、鬼の涙が温泉となって湧き出て、それに身を浸すと、 あらゆる怪我や病がたちどころに快癒した。この温泉こそが、湯の花温泉の元祖である。』 この看板を見つけて「なるほどなあ・・・」と感心したのだが、その隅っこに『創作民話』と書かれている。 創作民話・・・・なんやと!創作なんかぁ!?昔から語り継がれた伝承民話とちがうのかぁ? なんと油断も隙もありません。 「ごはんでも食べよか」とても水晶はもらえそうになかったのでM氏と昼食することにする。 他の人は食事もしないで黙々とハンマーをふるっている。 「あの人ら、4時ぐらいまでここにいるんやで」「信じられん!!」 そんなんにつき合っていられないので、食事が終わるとこの異様な現場を早期退出する。 ここを離れて近くにある行者山に登ることにする。地形図にルートは書かれていないが、独鈷抛観音(とこなげ かんのん)から登山道もあるそうだ。M氏はこの北山麓でOLもやったことがあるので、ある程度の 土地勘もある。細い舗装路を登っていき独鈷抛観音の境内へ登る階段下の駐車場まで来る。 ここで道は終点だと思い、車を停めて階段を登りはじめる。すると、途中にある踊り場には先ほどの舗装路が来ていた。 ハイキング道を示す看板があり、その舗装路で峠まで行くように書かれていた。しかたなく、いやな舗装歩きで 峠まで行く。ここからは南東方向が開けていて、小塩山、ポンポン山が見える。13時とずいぶん遅いスタートです。
登山口から登り傾斜がずーっと続く。途中に真っ白な石英の露岩があった。それにはハンマーを振り下ろした跡がある。 そしてCa.440mのピークに着く。ここは行者山より標高があるピークです。 山頂への道の他に北へ下る道もある。その山頂への道は先ほどまでと違って、高低差もほとんどなく快適に歩けた。 MTBなら帰路は100%の乗車可能というところか。 行者山頂上に13時25分着。二等三角点、標高431.0m。東方向と北方向に下る道がある。 ここの三角点の四隅は割れているが、ひょっとしたら鉱物採集者がたたき割ったのか?? 展望も利かず、これといって特徴のない頂上であったが、北方向の 下山道に一歩踏み込むととんでもない巨石ワールドが現れる。 今居た頂上の真下にこんな大岩があったのか!とんでもなくでかい!その正面には『守護荒熊大明神』と彫られた 楕円形の石がある。後ろの巨岩に真四角に掘られた窓があり、そこには『八大竜王』という文字が彫られている。 「まだ下にあるんやで~」とM氏はさっさと降りていく。
荒熊岩の下にはさらに大岩があって祠がある。岩同士が重なり合って洞窟のようになっている。祠はその入り口に なっているのだ。中には前鬼後鬼を従えた役行者像(石仏)が安置されていた。行者山の由来はこれからきたのか、 あるいは山名に基づいて行者の石仏を安置したのか・・・・。 もうひとつ下の祠も同様の洞窟になっていて、ここには不動明王があった。 もうこれ以上したには岩はなさそう。石の鳥居が見えて、その先は参道で里まで続いているのだろう。 ここにも一体の石仏がある。菩薩の座像だ。蓮華に座し、右手に剣、左手は折れていて何を持っているかはわからない。 もし、左手に宝珠があり、亀の上に座していたら妙見菩薩だが、そうではないので 虚空蔵菩薩の可能性が大きい。
こういう企画がなければ生涯桜石に巡り会うこともなかったでしょう。そういう意味では何にでも 興味を示して参加してみることで見聞を広めることは意義がありますねぇ。 今回の行者山の地図は こちら(約150k) でごらんください。 |